
『医療・看護現場で働く方に、いつもとは違った視点でその分野を研究している人を知ってもらいたい』という想いで始まったこちらの大学の研究室紹介。
第8回目は東北大学大学院医学系研究科看護管理学分野 教授 朝倉 京子先生にお伺いしました。
主に『看護職の専門性、専門職性に関する研究』『看護職の職業移動と心理社会的労働環境に関する研究』について研究されています。
本研究室では、看護職とジェンダーに関して2つの視点から研究を行っています。1つ目は、看護職の大多数を占める女性看護職を対象とした研究。2つ目は、看護職では少数派の男性看護職を対象とした研究、です。
女性看護職を対象とした研究にはいくつかのテーマがあります。①女性看護職のジェンダー意識が専門職性に与える影響、②女性看護職の精神健康と離職、③女性職場で起こる諸問題などです。男性看護職を対象とした研究では、女性が多数を占める看護の世界で働く男性の生存戦略、男性性のあり様の探究などを実施しています。

私たちの研究室では、看護職が男女にかかわらず生き生きと活躍できる看護界を目指しています。現在の日本の看護界は、約93%が女性を占める女性職の世界です。このように、看護の仕事が実質的に女性職になってしまっていることが、女性の看護職にも男性の看護職にも影響を与えていると考えられます。例えば、本研究室でこれまでに実施した研究からは、女性看護職のジェンダー意識が保守的であると専門職性が低まること、育児中の女性看護職と一緒に働く子どものいない女性看護職の間には葛藤が生じやすいこと、などを明らかにしています。女性の職場であるからこそ難しい問題が生じていることが示唆されます。男性の看護職は、社会から男らしくあることを期待される一方で、男性であるにも関わらず、典型的な女性職である看護職として働くことで社会から男らしくないとみられることもあり、男性としてのアイデンティティを保つのが難しい状況に置かれています。
本研究室では、看護とジェンダーに関する研究を通して、看護職が女性職であるから起こる種々の問題を可視化し、解決する方法を見つけることを目指しています。看護の仕事は、近代以降、女性の仕事として定着しましたが、古来から女性が占有する仕事であったわけではありません。中世の西欧では、軍隊や教会に所属する多くの男性が傷病兵や貧しく病める人の看護を実践してきました。近代における資本主義社会の成立過程で、看護を代表とするケアワークは女性の仕事となっていきましたが、そのような近代的な固定的価値観を転換していくことも本研究室における研究のミッションととらえています。

朝倉先生、お話ありがとうございました!
最後に、東北大学 看護管理学分野研究室の基本情報を記載します。
東北大学
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/
看護管理学分野研究室
https://www.nem.med.tohoku.ac.jp/
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