
体にハンディキャップのある子どもたちが、歩くことを楽しみながら、元気ではつらつと活動できるようサポートしている工房があります。本記事では、たゆまぬ努力を惜しまず、子どもたちを補装具という形でサポートしている小児用補装具専門店に注目してみました。
2018年にオープンして以来、身体にハンディキャップを持つ子どもたちを対象に、歩行や姿勢保持などをサポートするための補装具を製造から販売まで行っている、株式会社ゆめ工房。小児のみを対象とした補装具を扱う専門店は全国でもまだ少なく、工房ではコンセプトの「こどものみかた」を軸に、義肢装具士であるご夫婦がこだわりの技術を駆使して、二人三脚で子どもたちの夢を支えるお手伝いをしています。

子どもは成長途中で、大人とは異なり歩き方も一定ではないため、工房ではカスタムメイドで補装具を製作し、都度、臨機応変に対応しているのが特徴です。個々の子どもが抱える症状やニーズをしっかり汲み取り、その子だけの補装具を製作することで、継続的な使いやすさを実現しています。
補装具の具体的な製作方法は、まず石膏を染み込ませた包帯を身体の部位に巻いて採型し、その型に石膏を流し、足のモデルを製作。装着する子どもの足の形状や歩き方をもとに、その石膏モデルに修正を加えます。あとは、熱で溶かしたプラスチック板を石膏モデルに沿わせ、真空状態で成形し、仕上げにプラスチック板の余分な箇所をカットして磨き、滑り止めなどを取り付けたら完成です。
工房では、脳性麻痺やダウン症などで歩行に困難をきたす子どもが、その歩行を支えるために身につける関節用補装具のほか、足底板や体幹装具といったさまざまな製品を製作しています。
足底装具は、一言でいえば、靴の中に入れる中敷きです。ただ、通常の中敷きとは異なり、子どもそれぞれの足の形状を考え、バランスを補正することも考えた上で、立ったときの姿勢や歩行が安定するよう計算して製作されています。
下肢装具は、足にそのまま装着して使用するタイプの装具です。たとえば、プラスチック製の場合は、足底の補正に加え、足首を固定して支えることで、安定して歩けるようにサポートします。また、両側支柱付の装具は、足底の中敷きでバランスを整えると共に、継手付きの支柱によって足首と膝の動きを上手くコントロールできる仕様になっています。
上肢装具は、装着する人の状態や疾患によって、さまざまな種類があります。ただ単に手や腕という大きな枠にとらわれず、手首用や肩用、指用といった部位ごとに、ニーズに沿った製品を展開しているのが特徴です。
ダウン症は、人によって程度や症状が異なりますが、ダウン症特有の足の形態に対応した装具もあります。主に、足のサイズやかかとが小さい、関節が軟らかいといった足の症状を考慮し、足への負担を回避し、バランスを保って歩けるよう、プラスチック装具とインソールの2タイプを展開しています。
人には、視覚や嗅覚といった「五感」に加え、身体の動きや状態に対する感覚の「固有受容覚」と、身体の傾きやスピードに対する感覚の「前庭覚」が備わっています。これらの7感覚を刺激する多くの情報を頭の中で処理することを「感覚統合」といい、工房ではその感覚統合を養うための遊具も製作しています。
たとえば、『広場deシースケ』は、シーソーとスケボーをかけ合わせたような仕様の遊具で、シーソーの原理を利用して片方にボールを乗せ、もう片方を思いっきり踏み、ボールを飛ばして遊ぶというものです。
この遊具は、一見すると少し変わったデザインで、一体どのようにして遊ぶのかが想像できません。しかし、遊び方が解決したら、子どもの「もっと遠くまでボールを飛ばしたい!」という心理的欲求を引き出す画期的な遊具です。
それだけ、子どもの心理と運動能力を知り尽くした義肢装具士が、子どもたちに必要とされる感覚を養い、それを正常に機能させるため、本気で遊具作りに取り組んでいます。
工房では、これまでダウン症の子どもたち用のインソールを数多く手掛けてきました。
その数、なんと800足以上!それも、補装具の仕上がりを決定づけるギプス採型は、足の細かい部分まで考慮して慎重に型を採り、子ども一人ひとりの歩行を分析したのち、歩容の改善に向けて細かく修正を加えるなど、こだわりを持ってインソールを製作しています。
そのほかにも、豊富な実績を持つ同工房は、その知識と経験を活かし、ハンディキャップのある子どものためのイベントを自ら実施。たとえば主催している『ゆめカフェ』では、身体障がいや発達障がいのある子どもとその家族、支援団体などが一同に集い、思い思いに悩みを語る場を提供しています。
また、『ワラーチワークショップ』では、足のトラブル回避や履き心地を計算したワラーチをみんなで作り、一緒に走るという楽しいイベントを行っています。
こうした同じ悩みを持つ人達の架け橋となり、心と心をつなぐイベントの積極的な実施も、同工房のコンセプトを基盤とした揺るぎない活動の1つだと言えるでしょう。
このように、小児用補装具の製作のみならず、さまざまなアプローチで子どもたちをサポートしているこちらの工房の取り組み、同じような境遇のお子さんと接する機会のある看護師さんは、今一度、自身の関わり方について考えさせられるきっかけになるかもしれません。

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