
貧困が深刻な国では、子どもたちが労働を強いられたり、自然災害への対策が十分にできずに大きな被害を受けてしまったりと、さまざまな問題を抱えています。今回は、そんな人々の幸せな暮らしを願い、現地の支援に熱心に取り組む団体を紹介します。
特定非営利活動法人シャプラニール=市民による海外協力の会は、1972年に創設された国際協力NGOです。団体は「すべての人々がもつ豊かな可能性が開花する社会の実現」を目指し、貧困を起点として起きるさまざまな問題に向き合い、人々の豊かな生活を実現するための支援活動を主に南アジアと日本国内で展開しています。
団体は主な活動として、貧困などの生活上の問題を抱えるバングラデシュとネパールにおける児童労働の削減や減災・防災支援に現地のパートナーNGOと共に取り組んでいます。

バングラデシュやネパールには、貧困などを理由に教育を受けることができず、児童労働を強いられている子どもたちが多くいます。団体はその現状を踏まえ、児童労働を受容しない社会をつくり、子どもたちが教育を受け続けられる社会環境の実現に向けて活動を進めています。
現在活動中の支援の一つに、家事使用人として働くバングラデシュの少女たちへの支援があります。少女たちは掃除、洗濯、調理など家事全般を担うため、雇い主の家という閉ざされた空間で働いています。こうして、社会の目から届きにくい場所で労働を強いられているケースもあり、社会的・経済的に弱い立場にある少女たちは教育や子どもとしての権利を奪われています。
団体はそんな少女たちのために支援センターを運営し、基礎的な読み書きや計算、保健衛生や性の知識などを学べる授業や職業訓練を提供しています。また、雇い主への家庭訪問や、雇い主と親に向けた子どもの権利に関するワークショップも開催し、児童労働の弊害や教育の重要性を伝える啓発活動も行っています。なお、2021年9月現在は、コロナウイルスの感染拡大防止のため、現地の社会状況を適宜判断しながら支援センターの運営に制限を設けて行っています。
バングラデシュやネパールでは、人々の災害に対する知識やインフラなどの防災対策が十分に実施されていない現状があります。そんな中、危険が及ぶ可能性が高い地域に住まざるを得ない貧困層の人々は、災害が起きた際に深刻な被害を受けています。団体は、その問題を解決すべく、行政・コミュニティ・個人に働きかけ、地域全体の防災能力強化を目指した取り組みを行っています。
例えば、緊急連絡網を整備したり、避難訓練を実施したり、災害に強いインフラの整備に取り組んだりしています。実際には、バングラデシュのサイクロンが多い地域での防災支援とネパールの洪水が多い地域での減災・防災支援を行っています。
団体では「取り残された人々」への支援を目指し、地震・洪水などの災害に遭った人への緊急支援やコロナ感染の影響による生活困窮者への緊急救護活動を行っています。
災害の緊急支援は、バングラデシュ・ネパールだけでなく、日本でも行っていました。東日本大震災の発災後は、食料や医薬品、救護物資などを配布し、その後、福島県いわき市で復興支援活動を2016年3月まで行いました。
コロナウイルスの感染拡大が深刻化した2020年には、バングラデシュ・ネパールにて、ロックダウンの影響などで仕事を失い生活に苦しむ人々への支援を実施しています。実際には、各家庭に食料配布をしたり、妊産婦への栄養価の高い食料を配布したり、病気を患う子どもへの医療費の支援といった、医療面と食料面でのサポートを行っています。

コロナウイルスが世界中に深刻な影響を与える中、貧困層は特に大きな影響を受けています。ネパールの少年は血液のがんと診断され、化学療法を受けなければなりませんでした。しかし、両親は十分な収入がなく、治療のやりくりに困っていたそうです。そんな中、コロナウイルスの影響でさらに家計は苦しくなり、家庭の経済状況はさらに悪化してしまいます。そういった状況を知り、少年の家庭に医療費の支援と栄養価の高い食料の提供を行いました。このようにコロナウイルスの感染拡大の状況下で脆弱な状態にある経済的な問題で医療を受けられずに困っている子どもたちとその家族に対して緊急救援支援を実施しました。
世界中でコロナウイルスが猛威を振るっている今、多くの国が感染症対策の正しい知識を人々に伝えることに尽力しています。
そんな中、バングラデシュ・ネパールには、情報が届かない地域に住んでいたり、社会的・経済的に弱い立場にいたりして、情報を得られない方々が大勢います。特に農村部では、慣れ親しんだ言葉で情報を得られる数少ないメディアの一つがラジオです。
その現状を踏まえ、団体は世界的コミュニティラジオのネットワーク・AMARCが実施したコロナウイルスに関する正しい知識を広めるための大規模な啓発ラジオキャンペーンに協力しました。キャンペーンでは、ラジオ放送を通して、コロナウイルスの基礎知識や感染防止のためにすべきことなどを伝える放送用の台本を制作し、現地コミュニティ独自の言葉で発信しています。この取り組みは、アジア地域16カ国・69局のコミュニティラジオが共同で実施しており、団体は活動を支援するべく、バングラデシュ・ネパールの15局に対して資金援助を行っています。
団体はコロナウイルス感染症に苦しむ人々を出さないために、こうした予防医療の取り組みにも積極的に力を入れています。
フェアトレードとは、開発途上国から原料・製品を適正な値段で購入する公平・公正な取引をし、開発途上国の立場の弱い生産者の待遇改善や自立を促す運動のことをいいます。
団体は各国の身近にある素材や伝統文化を活かして作った生活雑貨や小物などを日本での販売し、バングラデシュとネパールの女性たちの生活向上を目指すフェアトレード活動に取り組んでいます。
また団体はバングラデシュとネパールの女性たちが手作りした物を販売するオンラインショップ「クラフトリンク」を運営し、コーヒー・生活雑貨・アクセサリーなどさまざまな製品を消費者に届けています。
「ステナイ生活」は、本・CDやDVD・ゲーム・はがき・切手などの不要品を団体に寄贈すればそれらは日本の専門業者に換金されて、その買取金額が支援活動に活かされるという物品寄付のプログラムです。“捨てない断捨離”で自宅をスッキリさせて、もったいない精神を大切にしながら、海外支援もできるこの仕組みは、みんなが幸せになれる取り組みだといえます。
ご家庭で不要となった物品で南アジアの人々を支援したいと感じる方は、ぜひステナイ生活に参加してみてはいかがでしょう。
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