
疾患を早期発見し、早期治療へとつなげるには健康診断や各種検査が大切です。しかし、頻繁に受けるような検査ではなかったり、検査時に小さな異変が見受けられなかったりすると、発見が遅れてしまう可能性があります。また、なかには医療機関が少ない過疎地域も存在します。本記事で紹介するのは、こうした医療の問題点の解決に向けて奔走している企業です。
AMI株式会社は、循環器内科医としての経験を持つ代表取締役CEOの小川晋平氏のもと、2015年に設立されました。大動脈弁狭窄症をはじめとする心疾患によって引き起こされる突然死の予防のため、そしてどのような環境や地域に住んでいてもすべての人が平等に同様の医療を受けられるように、AIやICTを活用した革新的な医療技術の開発を進めています。

大動脈弁狭窄症とは、心臓にある三尖弁・肺動脈弁・僧帽弁・大動脈弁のうち、左心室と大動脈を仕切っている大動脈弁がスムーズに開かなくなる疾患のことです。原因には先天性のほか、リウマチ性や動脈硬化によるものが挙げられます。
初期症状は現れにくく、疾患の進行に伴って狭心痛や失神、息切れ、心不全といったさまざまな症状が発現するのが特徴です。最悪の場合には、突然死につながってしまうこともあるため、初期段階での発見が求められます。

通常の聴診器では、周囲の状況でうまく聞き取れなかったり、医療従事者の裁量によって結果に相違が出る可能性があったりするのが現状です。そこで同社は、そうした難点の解消をアシストするため、『心疾患診断アシスト機能付遠隔医療対応聴診器』と呼ばれる超聴診器の開発に乗り出しました。
こちらは、センサーの部分を約10秒間胸に当てると、心電と心音の情報が得らます。そこで得た情報をもとに、独自の信号処理技術とAIを活用することにより、先に挙げた大動脈弁狭窄症や心不全などの心疾患の診断に必要な情報を医師に提供することを目指しています。
この際に難しいとされていたのが、良質な心音データを収集することで、これまで血流や呼吸といったそのほかの音が妨げになっていました。そこで同社は、超聴診器のセンサーや形状の試行錯誤を繰り返し、心音を収集する精度を高めることを目指して日々研究開発をしています。心電のみならず心音も同時計測し、独自のアルゴリズムによって医師の正確かつ迅速な聴診をサポートします。より、質の高い聴診の提供が可能となる状況が整いつつあります。
現在の医療は日々進歩を遂げ、また近年では新型コロナウィルスの影響もあり、遠隔医療による診療が一層普及してきています。対面診療する際には聴診が行われるケースが多いですが、遠隔診療において聴診は難しく、正確なデータの送信は困難を極めていました。
しかし、起業以来培ってきた心音や肺音など生体音の取得、送信、出力技術を応用し、心音を可視化することで、ICTと組み合わせて、心音と可視データを遠方にいる医療従事者のもとへ届けます。遠隔聴診に対応したビデオチャットシステムが開発されているので、よりスムーズな遠隔診療の実現も叶うかもしれません。
また、同社では「遠隔医療で健康増進」を目的とした、『クラウド健進®︎』を展開しています。主に「遠隔聴診対応ビデオチャットシステム」を用いた遠隔聴診や「AMI指先採血キット」を用いた指先採血があります。遠隔聴診、指先採血は単体で受けることもでき、その他検査項目や健康相談内容はカスタムが可能です。自宅や近隣薬局などで簡易的に健康状態を知れるのは、医療を受けにくい地域に住む人々の心強い味方となるのではないでしょうか。
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