【今さら聞けない看護技術・ケア Q&A】第4回 人工呼吸管理におけるEtCO2の必要性について

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「人工呼吸器」と聞くと重症な患者さんのイメージがあり、苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。人工呼吸器はさまざまな数値をモニタリングしており、換気量やSpO2だけではなく、他にも重要な観察項目がたくさんあります。

「今さら聞けない看護技術・ケアQ&A」第4回のテーマは、「人工呼吸管理におけるEtCO2の必要性について」。なぜ人工呼吸管理においてEtCO2の観察が重要なのか、一緒に学んでいきましょう。

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質問


集中治療室に勤務している看護師です。最近人工呼吸器を装着した患者さんを受け持つことが増えてきました。先日、医師から「EtCO2も重要だから見ておいてね。」と言われました。

調べてみるとEtCO2は「呼気終末二酸化炭素濃度」ということはわかったのですが、なぜ人工呼吸管理で重要なのかは、よくわかりませんでした。これまでは一回換気量や分時換気量、SpO2をモニタリングしていれば問題ないと思っていました。

人工呼吸管理におけるEtCO2をモニタリングする必要性について教えてください。

ひとこと回答


EtCO2は患者さんの換気状態を評価する大切な指標です。EtCO2をモニタリングすることで、患者さんがガス交換を行えているか、把握することができます。

詳しく説明すると


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EtCO2とは


EtCO2は質問者さんも言っているように「呼気終末二酸化炭素濃度」のことです。EtCO2はSpO2と一緒にモニタリングされますが、簡単に言うとSpO2は「酸素化」、EtCO2は「換気」の状態を見ています。SpO2の値は少し時間を置かないと変化しませんが、EtCO2はCO2がなくなると同時に感知されなくなるため、即座に変化します。

EtCO2を測定するにはカプノメータという器械を使い、人工呼吸管理中の患者さんのEtCO2を持続的に測定します。カプノメータは赤外線が二酸化炭素を吸収することを利用してEtCO2を測定し、その数値をグラフ化します。このグラフはカプノグラムと呼ばれ、グラフ化することによってEtCO2の経時的な変化をみることができます。

なぜEtCO2を測定するの?


では、なぜEtCO2を測定する必要があるのでしょうか。人は肺で取り込んだ酸素を体内エネルギーの生産に使用し、二酸化炭素として体外へ排出していきます。つまり、二酸化炭素の動きを見ないと、正常にガス交換が行われているかわからないのです。

質問者さんは「SpO2を見ているから大丈夫じゃないか?」と思われたようですが、たとえSpO2が100%でも、それは体内に「酸素が送られている状態」を指すだけで酸素が消費されているかまではわかりません。SpO2は実は大変不確定な情報といえます。

一方でEtCO2は酸素を消費しないと数値が上がらないため、数値をみることで確実に消費されているかが判断できます。EtCO2の数値が高いときは低換気や閉塞性肺疾患を疑います。

また、痛みによっても数値は上昇します。反対に、過換気やショック、肺塞栓症の場合は数値が低下します。これらのことから、換気状態を評価するにはSpO2よりもEtCO2のほうが、優れた指標となることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

EtCO2は、コネクター外れや食道挿管、回路の破損、中央酸素供給配管へ接続しているのにガス供給が少ないなど、人工呼吸器にトラブルがあった場合にも顕著に反応を示します。

患者さんと人工呼吸器との接続に問題があれば、EtCO2の数値は減少します。接続が外れた場合は患者さんからの二酸化炭素排出がなくなるため、0%を示します。

さらに、数値だけでなくカプノメータの波形も重要です。波形の変化によって気道閉塞、カフ漏れやリーク、自発呼吸の出現などがわかります。

例えば、鎮静中には鎮静剤と筋弛緩剤を併用することがありますが、筋弛緩剤は人によって効果の出る投与量が違います。筋弛緩作用が軽減してきた場合は、カプノメータの波形の台形上部にくさび上の形が入るので、筋弛緩が弱まっていると早めに気付くことができます。

これらのことからも、カプノメータの正常波形を理解しておくと、異常の早期発見につながるといえるでしょう。

カプノメータについて


EtCO2の測定を行うカプノメータについて詳しく見ていきましょう。
カプノメータには、メインストリーム方式とサイドストリーム方式という2種類の測定方式があります。

■メインストリーム方式
人工鼻と呼吸器回路の間にセンサーをつけるタイプのもので、主に人工呼吸器に装着します。

メリット
・長時間使用しても安定して測定ができる
・反応が早く波形のゆがみが少ない
・頻呼吸や低換気量でも測定が可能

デメリット
・回路に直接つけるためセンサーの重さによる挿管チューブの狭窄や閉塞の可能性
・気管の潰瘍形成リスクをさけるため適宜挿管チューブの徐圧が必要
・死腔が大きい

■サイドストリーム方式
人工鼻にサンプリングチューブを取り付け、カプノメータのセンサー自体を他の機械に接続するタイプのもので、主に麻酔器とともに手術中に使用することが多いです。

メリット
・人工鼻に直接チューブをつけるのでメインストリームのデメリットがすべてなくなる
・他のガス(笑気やセボフレン、スープレンといった吸入麻酔薬等)とともに使用可能

デメリット
・サンプリングチューブが閉塞しやすく長期間の使用には向かない
・測定後のタイムラグがあり即応性に欠ける
・波形がゆがみやすく環境に左右されやすい

これらのようなメリット・デメリットを理解し、適切な測定方式を使用しましょう。

また、麻酔中のカプノメータの使用について、1997年までは麻酔科学会も「カプノメータの使用を推奨」としていました。しかし、全身麻酔による影響として呼吸抑制が挙げられることからも、麻酔中は慎重な呼吸管理が必要となります。人工呼吸器のリークや接続外れがそのまま患者さんを重篤な状態にしかねないとして、安全のため全身麻酔では「カプノメータの使用は必須」となりました。このことからもカプノメータの使用やEtCO2の測定の重要性がわかると思います。

EtCO2とPaCO2


EtCO2の値はPaCO2の値とほぼ相関しています。PaCO2とは動脈血二酸化炭素分圧のことで、血液の肺胞換気量の指標となるものです。この数値が高いと肺胞換気量が不十分で、低いと過換気状態であることを示します。

基準値はEtCO2:35-45mmHg、PaCO2:35ー45mmHgです。PaCO2は患者さんへの苦痛も伴う血液ガスを測定しなければわからない値でした。しかし、EtCO2と相関していることから簡易でコストもあまりかからずに測定できるようになりました。ただし、あくまでも相関しているだけであり、一致しているわけではないことは覚えておきましょう。

おわりに


人工呼吸管理は複雑で観察すべき項目も多く、業務をこなしながら一つ一つアセスメントしていくのは大変なことだと思います。ここでお話したことは人工呼吸管理中の患者さんを観察するうえでとても重要な情報ばかりです。正常値を知ることは異常の早期発見につながります。さまざまな情報から患者さんの状態を把握し、アセスメントすることでより良い看護につなげていってくださいね。


※この記事は、看護のお仕事が運営する看護技術に特化したQ&Aのサイト「ハテナース」からの引用です。
ハテナースでは今さら聞けない看護ケアに関する質問に親切に解説しています。

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