バンジーや絶叫コースターよりきつい?!オカリナちゃんのナース奮闘時代~ミラクルな出会いに感謝の芸人時代へ【インタビュー後編】

2019.8.22

元看護師で現在はお笑いタレントとして活躍中のおかずクラブのオカリナちゃん。

看護学生時代を経て、波乱の国試結果から看護師時代に突入。

いろんな事があって今に至る、

オカリナちゃんの「看護師、その後・・・」の人生。

インタビュー後編をぜひお楽しみください!

*前編はこちらから(https://kango-oshigoto.jp/media/article/2498/

~PROFILE~

オカリナ(おかずクラブ)

1984年生まれ、宮崎県出身。高校看護科、看護専門学校、看護師として病院勤務を経て、吉本お笑い養成所NSC東京校入所。現在、相方ゆいPとともに女性お笑いコンビ・おかずクラブとして活躍中。

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ーーー病院では何科だったんですか?

 

オカリナちゃん:いつも聞かれて返事に困るんですけど。街の病院で内科とか外科とかいろいろやってる混合の病院なんですよ。そこの病院に、入院で来た患者さんがとりあえず入るところに配属されてました。

ーーー病院での仕事はどうでした?

 

オカリナちゃん:嫌でした。(またまた即答!!)

だって気持ち的にちょっと油断すると、

「ええーーっ、昨日まで元気だったじゃん」

っていうようなことがしょっちゅう起きますから。

ーーー習ってきたことがリアルに起きる?

 

オカリナちゃん:起きます、起きます。人ってまじで急に悪化したり突然亡くなったり。見回りに行ってさっきまで元気だったじゃんみたいなことよく起きます。

「えぇーーー息してない、緊急コール!」みたいなことが日常ですから。

あと看護師のあるあるで一番多い、「今日は静かだね」って言った途端バタバタになる。なんですかね、あれ。待ってたんじゃないかっていうくらいバタバタになりますよね。

ーーー(看護師編集者)ありますよねー。看護師あるあるですよね。

 

ーーーでは現場でメンタルは強くなっていった感じですか?

オカリナちゃん:そうですね。悲しいとかじゃなく焦りとかどうにかしなきゃのほうが勝つようになりますもん。

でも一回だけ患者さんが亡くなって泣いたことがあったんですよ。

勤めてた病院は路上生活者を受け入れることもあったんですけど、ある末期の肝臓がんの患者さんもそういったかただったんですね。人工呼吸器なんかの処置を全部するわけにもいかない感じで。最後は見てるしかない時間があって、それがわたし的に本当にしんどかったんです。先生に言ったところでどうにかなるもんでもなくて。最期は他の患者さんの前にもかかわらず泣いちゃったんですけど、先生には泣くなって怒られましたね。

泣いちゃダメじゃないですか、何が起きても。それからは泣かなくなりましたけど。

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ナースのみんなが経験してきたこと、オカリナちゃんも乗り越えてきた

ーーー(看護師編集者)そういう瞬間は看護師として絶対ある気がします。

オカリナちゃん:そうなんですよ。「しょうがないから」「しょうがないんだろうな」って自分に言い聞かせてました。

ーーーほかに大変だったことありますか。

オカリナちゃん:夜勤とか嫌でしたね。

まだ時間あるって思っている午前中にどんどん近づく午後。

「うわぁー、もう2時じゃん!」っていう。

夜勤でも働く人はよく働くじゃないですか。派遣さんとか夜勤専従の人とか。

ーーー体力という意味では、今は『世界の果てまでイッテQ』(日本テレビ系列)で体を張っていろんなことに挑戦されてますよね。

オカリナちゃん:そうなんですけど、言ってもバンジーもジェットコースターもちゃんと固定はされてるので、最悪「死ぬわけじゃないし」っていうのはあります。死ぬかもしれないって思った瞬間めっちゃ怖くなりますけど、それでも自分のミスが他人の死に直結しないっていうのは、看護師との大きな違いかな。今のほうが心が軽いというか。最悪、自分がケガとかで死ぬことはあっても、何かのミスで相手を死なせちゃうってことはないから。

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「バンジー飛ぶほうがラク!」・・・ナースって大変なんだな

計画的なのに怠け者、ひっくるめて人生に感謝する、それがオカリナちゃん

ーーー病院には何年勤めたんですか?

オカリナちゃん:奨学金は正看で3年働かないと返せなかったんで。正看になって3年で辞めました。准看の1年足して4年ですね。

ーーー奨学金の返済(およそ3年)が終わったら、そこで看護師は辞めようと決めていたんですか?

オカリナちゃん:わたし、もともと高校のときから漠然と「お金持ちになりたい」って思っていて。ただ、どうお金持ちになっていいかわかんない状態だったんです。そんなときに高校の友達にM1を見せてもらって、「芸人だったらお金持ちになれるかも!」って高校のときに思ったんですよ。高2か高3で思ってるんでけっこう前から長いこと思ってたんですよね。でもそこで看護師になるために入った高校辞めちゃったら奨学金借りてる先や親に迷惑かけるから、ちゃんと高校出て上の学校に2年行って、看護師として働いて奨学金返して、やるならそれからだと思っていました。

そうなると、芸人の道に進めるのは早くても23(歳)くらいだろうと考えていましたね。

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すごく計画的なオカリナちゃん

ーーー高校で別の夢ができたら方向転換しちゃいそうですけど、オカリナちゃんは看護師になることも投げ出さなかったんですね。すごく律儀というか……。

オカリナちゃん:なにもかもぶちまける勇気はないって感じですかね。いるじゃないですか、突然学校を辞める人、なりふり構わないで行動できる人。ほんとすごいなって思います。

ーーーちゃんと順を追ってる感じですね。「ひとつ達成したら次はこれやろう」って。

オカリナちゃん:そうなんですけど、計画を立てるわりには努力をしないところが自分の悪いところなんですよね。国家試験の努力も怠ったし。

ーーーそれでもちゃんと目標を達成しているから素晴らしいですけどね。

オカリナちゃん:結果的には、国試を落ちたことで1年看護師生活が長くなって、それで予定より1年NSC(よしもとの養成所)に入るのが遅れたわけですけど、その年に入ったことで相方のゆいPとも出会えているから結果オーライなんです。M1を見せてくれた友達にも、あの高校に行かなきゃ出会えていないし、おばあちゃんが亡くなったのも、まあ良くないことだけど私にとっては看護師になるきっかけになったわけで。私は、嫌なことがいつもきっかけになって良い方向に変化していっていると思います。

 
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芸人の道に踏み込んでも、背中にしょってる「元ナース」

ーーーNSCに入られてからは一切看護師の仕事は辞められたんですか?

オカリナちゃん:そこから3年くらい飲食店で働いて。そのあとに同僚の勧めで派遣の看護師に登録したんですよ。飲食店はオーディションとかで休みを取るとすごい怒るひどいところだったんで、そっちは辞めて派遣の看護師で1年くらい働いてました。派遣の看護師登録されたことあります?(オカリナちゃん看護師編集者にたずねる)企業の健康診断とかお風呂介助とか看護師のお仕事が毎日来るんですよ。それでよく行っていました。

ーーーーNSCに通いながら?

オカリナちゃん:はい。そのときは健康診断くらいでしたけど。入れないところ入れるじゃないですか。〇〇省の健康診断とか。結構おもしろかったです。

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下積み時代もときどきナースだったオカリナちゃん

ーーー飲食店に勤めたり、派遣の看護師をしながらも、自分の夢に近づいていって生活は楽しくなりましたか。

オカリナちゃん:まあ楽しいっていうか、私にとって「人が死なない」っていうのがやはり大きいんですよね。看護師のサイトで言うの変ですけど、看護師があまり向いていなかったっていうのもあるんです。一生懸命やってなかったから、けっこう苦痛だったし。

今思えば、期限を決めて次にやることも決まっていたんだから、もっと一生懸命看護師として精一杯やればよかったなって思うことあるんです。元看護師ってことで、今でも「これ何の病気?」とか、「この薬なに?」とか、「ここが痛いんだけどどう思う」ってめっちゃ聞かれるんですよ。「知らん知らん」っていう。(笑)

看護師だったころは、友達も高校の同級生もみんな看護師だったから。そんなこと聞かれることないじゃないですか。 看護師だったってだけでこんなに聞かれるなら、もっとやっとけばよかったっていうのはあるんですよ。看護師を辞めたことに後悔はないけど、高校から考えたら9年間看護に関わることやってて。歴で言ったら知ってないとおかしいじゃないですか。

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体のこと、薬のこと、いろいろ聞かれる元看護師。「知らん知らん」の顔

ーーーたしかに、高校生からの9年間って人生の中でわりと大きな部分ですよね。

オカリナちゃん:そうなんです。だから「なんで投げやりにやってたのかな」って後悔しています。

ーーーなるほど。でも私たち看護師サイトをやってるんですけど、自分に向いていないって思ったら辞めるのも選択肢に入れるべきという記事もときどき書くんですよ。本当に夢がある人は夢に向かっていったほうがいいし、向いていない人もいるっていう。

オカリナちゃん:向いていないって思って次に行っちゃうとキャリアが生かせなくなるなて思ったんですよ。

どんな仕事でも「4年働いてました」てなったら、「お、まあまあやってる人じゃん」って思って聞いたりするじゃないですか。

自分もそのくらい働いていたはずなのに、自信がないってどうなんだろうって思いますね。辞めちゃったら採血する機会なんてないし。人が亡くなる場面に立ち会うことだってないし。患者さんとか今はもう出会わない人たちに出会ってた時間は、実践的に症例も見られて学べてたはずなのに、「私は何やってたんだろう」とは思います。

だからこれからナースになる人、現役で働いている人には、投げやりにならないでほしいです。もし他にやりたいことがあったとしても、看護師として一生懸命働いた分はのちのち財産になると思うから。

その後どんな職についても、

ホントに「元ナース」ってめちゃくちゃ体や病気のこと聞かれるんで。

どんな職業も大事なんだけど、看護師の仕事って、知って損になること何ひとつないじゃないですか。知っていて良いことしかないから。人の命を助ける助けない以前に、その学んできたことはめちゃくちゃ大事だと思います。ほんとに聞かれまくりますから、具合の悪い人に。(看護師編集者に向かって)ね、ありますよね?

ーーー(看護師編集者)あります、あります。ママ友からあらゆること聞かれますもん。

オカリナちゃん:元看護師ってことで見られるんですよね。 でも、確かにそう見ちゃうよなって思います。多分どんな職業に就いても元看護師ってだけでそういう風に扱われるんだと思います。 元看護師を背負っていかなきゃいけないんですよ。

芸人は「知らない人に元気を与えられる仕事」だった

ーーー芸人さんになって良かったなって思うことってなんですか?

オカリナちゃん: 知らない人が私たちの出た番組を観てくれて「元気になったんです」って言ってくれたりするところですね。 自分は知らない人が相手は知ってるっていうのが それこそ看護師ではない経験なので。

以前もゆい P と二人で歩いてるときに、女の人が半泣きで寄ってこられて、「本当に辛いことがあったんですけど年末の番組を観て元気になりました」とか。

私たちの存在でそんな風に思ってくれる人がいるんだって知ると、すごい職業だなって思いますね。

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ーーーでは、オカリナさんにとって看護師とは何ですか?

オカリナちゃん: 私にとっては、何かあったときの後ろ盾っていうか。

芸人を辞めるつもりは全くないんですけど、何かあったときにはに保険になる。看護師資格は なくならないから大事なものです。 すぐにバリバリには働けなくても リハビリ期間とか設ければ絶対働けるから、私にとって看護師は大切な仕事だなと思います。

ーーー では、看護学生時代についてはどうですか。

オカリナちゃん: もう一度やれと言われたらもちろんやりたくないですよ。 実習ってしんどいじゃないですか。 実習って本当に邪険に扱われるけど、働き出すと実習生ってマジで邪魔だって実感するんですよね。何でこの時間にカルテ見るんだろうとかね。(笑)

だから学生からもう1回やるのは無理だけど、すごく大事な時間だったなとは思いますね。もし万が一やる機会があるんだったら、 出来るかわからないけどちゃんと勉強したいなって思います。

辞めても こんなに「元ナース」が付きまとうとは思っていなかったんで!(笑)

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看護学校も看護師の仕事も「嫌だった」と即答したオカリナちゃん。

でもインタビューで一貫して感じたのは、

オカリナちゃんの真面目さと優しさでした。

看護師の仕事に一人の人間として向き合っていたからこそ、「患者の死」や「看護師の責任」の重さを感じていたのかもしれませんね。

インタビュー【前編】はこちらから(https://kango-oshigoto.jp/media/article/2498/

 
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