精神科で働く看護師のなかには、「精神科認定看護師制度」に興味を持つ方も多いでしょう。「ストレス社会」や「高齢化社会」といわれる昨今、精神科認定看護師の重要性は高まりつつあるといえます。このコラムでは、精神科認定看護師の仕事内容や資格取得の方法、向いている人の特徴などを紹介。精神科認定看護師の資格取得を通して、やりがいの向上やキャリアアップを目指したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
精神科認定看護師制度は、一般社団法人 日本精神科看護協会が精神科の看護現場における看護ケアの質の向上をはかることを目的に実施している認定制度です。ここでは、認定看護師制度と混同されやすい「専門看護師制度」との違いや、精神科認定看護師の役割などを解説します。
専門的な技術や知識だけでなく医師や患者などの調整役や研究などにも精通した、看護の分野全体におけるスペシャリストが専門看護師です。
それに対して認定看護師は、ある看護分野に特化した技術や知識を持って高水準の看護を実践できる、特定の看護現場のスペシャリストといえるでしょう。
精神科認定看護師は、所定の教育課程の修了・認定試験の合格を経て、「精神科看護の領域において優れた知識・技術を有すると認められた看護師」を指します。精神科認定看護師の役割は主に以下の4つです。
優れた看護実践能力を用いた質の高い精神科看護を実践する。
看護チームの相談に乗ったり、他スタッフの教育を行ったりする。
他部門との連携・調整を行う。
論文の発表やセミナー開催、書籍の執筆などを行う。
以前は以下の10領域が、精神科認定看護師の専門領域に定められていました。
・うつ病看護
・行動制限最小化看護
・精神科薬物療法看護
・精神科身体合併症看護
・司法精神看護
・老年期精神障害看護
・薬物、アルコール依存症看護
・児童、思春期精神看護
・退院調整
・精神科訪問看護
しかし、2015年度に制度が改正され、新制度がスタート。新制度においては上記の10の専門領域は統合され、一本化しました。
今後の精神科看護は、複合的な問題を抱える患者に対し、総合的にアセスメントしていくことが重要です。新制度における精神科認定看護師は、上記の10領域を網羅的に学習して、統合的に活用する能力が必要だとされています。
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精神科認定看護師は、心に問題を抱える人に対して幅広い知見から質の高い看護や支援を行っています。患者本人への看護活動にとどまらず、家族の相談に乗る取り組みや他のスタッフへの指導、研修活動など、指導的な立場で業務にあたることが多い資格です。以下では、具体的な活動内容について紹介します。
心に問題を抱えて入院している患者は、多様なな悩みを持っています。専門知識を用いて、患者に適切なアドバイスや指導を行うことは精神科認定看護師の重要な役割です。
認知症を専門とする医療機関で、心の問題のスペシャリストとして看護にかかわっている精神科認定看護師もいます。具体的な活動としては、認知行動療法を取り入れた看護やスタッフからの相談の受付、老人福祉施設や公共の場でのうつ病や問題行動への支援策についての講演活動などが挙げられるでしょう。
精神科認定看護師は、病院内のスタッフに対して精神科における看護の指導をしたり、研修会を開催したりすることがあります。具体的な指導内容は看護研究の基礎や看護師のメンタルヘルス、看護倫理などをはじめ、専門性の高いうつ病看護、精神科薬物療法看護、児童・思春期精神看護、薬物・アルコール依存症看護、老年期精神障害看護など多様です。
心の問題はとても複雑かつ深刻です。患者本人はもちろんのこと、家族も深刻な状況に置かれている場合も多いでしょう。心の問題を解決するまでには長い時間を要するため、長期間にわたり患者や家族と真っ向から向き合って取り組んでいかなくてはなりません。精神科認定看護師はそういった患者や家族から相談を受け付けて解決を目指すコンサルタント活動を行っています。しっかりと患者本人や家族の話を聞いて、どこに問題解決の糸口があるのかを探求しながら解決を目指しているのです。
精神科認定看護師は、日々の看護を通して精神看護の専門性を高める活動を行っています。毎日のケアに対する意味づけや効果を確認することで、さらにより高度な精神看護が行えるよう将来に備えるのです。また、同時に新しい知識や技術を積極的に導入し、精神看護の臨床に還元して役立てるための研究なども行っています。
精神科認定看護師は現場での看護の提供だけにとどまらず、薬剤師や医師との連携も積極的に行います。高い技術や知識、経験をもとに、部署や所属を飛び越えた連携をすることで、患者に質の高い看護を提供できるのです。
近年、認知症患者の増加にともない、認知症ケアを専門とする老年期精神障害看護が行える精神科認定看護師への注目が高まっています。そのため、医療機関によっては精神科認定看護師の資格を取得した看護師に昇格・昇給などを付与しているところもあり、就職や転職においても有利に働くといわれているようです。
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ここでは、精神科認定看護師に向いている人の特徴を4つご紹介します。精神科認定看護師に興味がある方は、自分の性格や長所と合っているか照らし合わせてみてください。
精神科医療では、患者やその家族の気持ちと真摯に向き合うことが大切です。どんな状況でもスペシャリストとして強い責任感を持ち看護計画を実行できる、精神力がある人が向いているといえるでしょう。
精神科医療の現場で直面する課題は実に多様で、それぞれの問題に合った臨機応変な対応が求められます。精神科認定看護師になるにあたって、患者の状態や取り巻く環境を正しく理解する観察力はとても重要なスキルといえるでしょう。
精神科認定看護師の資格取得にあたり、実習や研修会で多様な臨床状況の知識を深めることができます。そのため、スペシャリストとして高いレベルの技術や知識を学びたいという向上心のある人に向いているといえるでしょう。
精神科認定看護師は、現場のスペシャリストとして、豊富な知識と経験を持って高水準の看護を提供する役割が求められます。患者に寄り添った医療提供をしたいと考えている人は、資格取得を通じて精神科医療の専門性をより高めてみると良いでしょう。
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精神科認定看護師として働くことにはいくつかのメリットが存在します。少しでも興味がある人は働くメリットを理解して、精神科認定看護師の資格取得を検討してみましょう。
精神科認定看護師は現場のプロフェッショナルとして働くうえで、さまざまな臨床経験を積むことができます。その経験が思わぬところで活用できることも多く、多くの患者の力になることにつながるでしょう。
精神科認定看護師は知識や経験、技術を持って患者一人ひとりに適した看護を提供することが求められます。自分の立案した看護計画で患者が回復する姿を見られると、やりがいを感じられることでしょう。
精神科医療の現場において、患者一人ひとりが抱える問題は多種多様なものです。精神科認定看護師としての知識や経験があれば、より患者の生活に寄り添った看護を実践できるでしょう。
精神科認定看護師になる過程は以下のとおりです。
1. 精神科認定看護師教育課程を受講するための受講資格査定を通過
2. 精神科認定看護師教育課程を受講(研修会・実習)
3. 精神科認定看護師教育課程を修了後、精神科認定看護師認定試験に合格
4. 精神科認定看護師として登録
精神科認定看護師教育課程の受講資格は、5年以上の精神科看護の実務経験がある看護師と規定されています。また、精神科認定看護師認定試験を受験する際には、精神科の臨床を行っていなければなりません。もし臨床を行っていない場合は、1カ月につき28時間以上の精神科臨床経験を積む必要があります。
受講資格と受験資格は多少厳しいものの、認定試験の合格率は90%程度です。ただし、合格率が高いから試験が簡単というわけではないので注意しましょう。
・総時間:735 時間
・基礎科目:195時間
・専門基礎科目:180時間
・専門科目:105時間
・演習/実習:255時間(演習30時間、実習Ⅰ135時間、実習Ⅱ90時間)
・受講資格査定:書類審査、小論文
・精神科認定看護師認定試験:小論文、筆記試験、口頭試問
以下に挙げるように、合計100万円程度が必要とされています。
・入試検定料:約5万円
・入学金:約5万円
・授業料:約70万円
・実習費:約10万円
・認定審査費用:5万円
・認定費用:5万円
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