
精神科看護師の仕事内容に興味がある方は多いかもしれません。精神科の看護師は、精神状態のアセスメントや服薬管理などによって患者さまに寄り添い、生活や自立のサポートをします。この記事では、精神科看護師の仕事内容や給料、やりがいなどを解説。メリット・デメリットやキャリアパスも紹介しているため、ぜひご覧ください。
精神科の看護とは、精神疾患や心の問題を抱える方が自分らしく生活できるようにケアすることです。精神科看護師とは、主に精神科病院やクリニックで働く方を指します。精神分野の疾患は身体的疾患と異なり、生育環境や生まれ持った性格によっては完治が難しいことも。精神科看護では、患者さまのペースや尊厳を大切にしながら社会復帰に向けた支援を実施します。
精神科看護師は統合失調症や摂食障害、うつ病といった気分障害、てんかん、依存症の患者さまなどに対応します。厚生労働省の「精神保健医療福祉の現状等において(P2)」によると、精神疾患の総患者数は2023年時点で約603万人です。入院患者は減少している一方、外来患者が増加。
同資料(P6)によると、入院患者さまのうち、6割強が65歳以上の患者さまです。加齢による認知症が進行し、介護施設の共同生活が難しくなった方を受け入れることもあるでしょう。
精神科には例として、以下の施設があります。
障害の程度や症状によって在宅療養が可能な方は、外来やデイケア、訪問看護のサービスを受けながら地域で暮らします。精神科病棟は大きく分けて、出入り自由の解放病棟と、精神科の病院職員が施錠管理する閉鎖病棟の2種類。閉鎖病棟はすべての疾患が対象で、閉鎖が必要な方が入院します。疾患の種類や経過に応じて、「急性期精神科病棟」「認知症病棟」「慢性期精神科病棟」「依存症病棟病棟」などに分かれる場合も。
以下に、精神科と一般的な診療科の違いをまとめました。
| 精神科 | 一般的な診療科 | |
| 対象となる方 | 精神疾患をお持ちの方 | 障害や身体疾患を抱える方 |
| 受け持ち患者さまの人数 | 患者:看護職=4:1 ※大学病院や100床以上の病院は「患者:看護職=3 :1」 | 患者:看護職=3 :1 |
| 入院形態の判断 | 措置入院や応急入院あり | 医師の指示のうえで、患者自身が入院形態を選択 |
| 入院期間 | 長期 | 短期~中期 |
| 医療処置や生活介助 | 少なめ | 科によっては多め |
参照:厚生労働省「参考資料(P2)」
精神科は一般病棟に比べると、受け持ち患者数が多い傾向です。適切な医療の提供、および患者の安全確保のために、措置入院、応急入院の措置になることもあります。厚生労働省「精神保健医療福祉の現状等において(P8)」によると、精神科の患者さまの6割が1年以上の入院です。5年以上にわたり入院する方もおり、ケアの期間が長くなりやすいといえるでしょう。
一般診療科に比べ、医療処置や日常生活の介助は少ない傾向にあります。高齢者が多い精神科病棟では、採血や点滴、おむつ交換、食事介助などの処置が増える場合も。
精神科看護師は、疾患によって日常生活に支障がある方に、その方らしい生活が送れるように支援する役割を担います。ここでは、「精神状態のアセスメント」「薬物療法の継続に向けた服薬管理」「危険行為の予防や施錠などの安全管理」など、看護師の仕事内容をまとめました。
精神科看護師は、抑うつや幻覚・妄想、希死念慮や危険行動などが見られないか観察し、必要に応じて精神科医へ報告・相談します。精神状態を「全身状態の観察」「日頃のコミュニケーション」「バイタル測定」「排便管理」など、総合的なアセスメントで判断することが大切です。身体状態が心理に影響する方や精神薬の副反応がある方、身体疾患を合併している患者さまなど、多様な状況に対応します。
精神科看護師の仕事の一つが、適切な薬物療法が継続できるよう服薬管理をすることです。看護師は、服薬拒否や自己管理が難しい患者に対し、服薬確認や内服支援を実施。場合によっては薬を飲むことを拒否される患者さまもいるので、内服を支援する際は、必要に応じて口の中も見て「きちんと飲み込んでいるか」を確認します。
精神科看護師は、危険行為の予防のために危険物を管理することもあります。精神科の看護では、患者さまの言動に注意を払ったり、建物の施錠管理を徹底したりするのも大切な仕事です。遠隔地からのナースコール対応や患者さま間のトラブル対応を行う場合もあるでしょう。
自立に向けた日常生活の支援や生活指導も、精神科看護師の仕事です。看護師は、排泄・清潔ケアなど日常生活をサポートします。高齢化などで日常生活に援助が必要な方には、おむつ介助や食事介助を提供。自宅復帰に向け、できることは患者自身に行ってもらう視点も重要です。生活指導では自立して生活できるように整理整頓、整容の習慣づけを支援します。
精神科看護師の仕事には、コントロールを促すセルフケア支援も挙げられるでしょう。精神科では、社会復帰を見据えて、症状を自分である程度コントロールする力を育てる支援を行います。患者さまに自身の疾患や病状の理解を促し、退院後も自宅で療養生活を継続できるようにサポートします。
コミュニケーションで患者さまとの信頼関係を構築し、安心して入院生活を送れるよう支援するのも、精神科看護師の仕事です。症状安定と生活リズムを整えるために不安や悩みの傾聴をします。ご家族へのメンタルサポートや相談対応も行うのも看護師の役目です。
患者さまのメンタルケアやリフレッシュを目的に、レクリエーション活動や作業療法の実施することも。作業療法士のサポートや患者さまとのコミュニケーションを兼ねた活動に参加するのも精神科看護の一つです。
精神科病棟では、消灯後の定期的な見回りによって、安全確認、不眠や不穏状態の患者さまへの対応を行います。急性期や救急の精神科病棟では、夜間に緊急入院の対応が必要になることも。安全確保のため、夜勤体制に1名以上の男性看護師の配置を義務付けている精神科病院もあるようです。
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精神科看護師の仕事は怖い?その理由や対処法、働き方の魅力を解説
ここでは精神科看護師の1日のスケジュールを、日勤と夜勤に分けて紹介します。
精神科看護師の日勤の流れは以下のとおりです。

精神科病棟は1日の流れや1週間のスケジュールが決まっていることが多いでしょう。業務が比較的ルーティン化されているので、残業は少なめの傾向にあります。
精神科看護師の夜勤の流れは、以下を参考にしてみてください。

日勤に準夜勤、深夜勤務を加えた「3交替制」のシフトを採用している職場もあります。
ここでは、精神科看護師のメリットである「回復を見守れる」「長期的なケア」や、デメリットとされる「精神面の影響」「看護スキル」について解説します。
ここでは、精神科看護師として働くやりがいやメリットを解説しますので、参考にしてみてください。
精神科では、患者さまが深い心の病から少しずつ回復し、本来の自分を取り戻していくプロセスに立ち会える喜びを味わえます。精神疾患の回復は、検査データや目に見える傷口の治癒とは異なり、日々の対話や関わりのなかで実感できるもの。強い不安があったり、目を合わせてくれなかったりした患者さまが、薬物治療や看護師の傾聴によって笑顔を見せてくれるなどすると、やりがいを感じるでしょう。
患者さまが退院したあとの暮らしまで見据えた支援ができることも精神科のメリットです。精神科の治療のゴールは、社会や地域でその人らしく自立して生活していくこと。入院中から段階的な生活訓練をチームで支えていけるやりがいがあります。
精神科看護の仕事には、多くのやりがいがあるものの、人によってはデメリットに感じる点もあります。双方を正しく理解し、キャリアの選択にお役立てください。
精神科では、患者さまの強い不安や葛藤といったネガティブな感情に日々直面するので、看護師自身も精神的な影響を受けやすいといえます。患者さまに共感しようとするあまり、メンタルコントロールの難しさを感じる場面があるかもしれません。寄り添いながらも、相手との心理的な境界線を保ちながら、ケアすることが大切です。
精神科では、身体的な治療を行う機会が少ないため、一般的な医療処置や高度な看護技術を磨きにくいでしょう。精神科の業務は、心のケアや薬物療法の管理、ADL(日常生活動作)の維持が主です。人工呼吸器の管理や検査・手術の対応などがほとんど発生しないためです。人によっては「手技を忘れてしまわないか」といった焦りを感じるかもしれません。
ここでは、精神科の看護師に向いている人の特徴を「コミュニケーション」「スキルアップ」「観察力」の観点で解説します。
相手の年齢や病状、意思疎通の難しさに関わらず、コミュニケーションを取れる人は精神科の看護師に向いているでしょう。精神科には、自身の気持ちを言葉で表現するのが苦手な方や、反対に強い興奮状態にある方など多様な患者さまがいます。精神科では看護師の言葉がけや聴く姿勢が、患者さまの症状緩和につながることもあるため、「一人の人間」として尊重し、根気よく対話する姿勢が大切です。
精神科のスペシャリストとして、専門性を高めたい方も精神科の看護師に向いています。精神科看護の経験を積むことで、心理学や精神医学、認知行動療法といったメンタルヘルスケアのプロとしての知見が増えていくでしょう。精神科の分野の資格を勉強したり、セミナーに参加したりしてスキルアップするのもおすすめです。
精神科の看護師は、変化を五感で察知できる鋭い観察力がある人に向いた仕事です。精神疾患の病状の変化やサインは、目に見えるデータには現れにくく、患者さま自身の日常の様子に反映される場合もあります。検査データやバイタルサインだけでなく、患者さまの視線や声のトーン、会話スピードといった「平常時とは異なるサインがないか」を観察することがポイントです。
ここでは、精神科看護師のキャリアパスについて解説しますので、将来の働き方をイメージするヒントにしてみてください。
精神科看護師には、「精神看護の専門看護師」「認知症看護の認定看護師」のキャリアパスがあります。日本精神科看護協会の資格である「精神科認定看護師」を取得し、専門性を高めるのもおすすめです。
精神科看護師には、認知症看護にも対応できる精神科看護師を目指すキャリアもあります。たとえば、高齢者の精神疾患に特化した事業所の訪問看護師として活躍する道も。精神科での経験に加え、認知症に関する専門知識を身につけることで、より個別的なケアを提供できるかもしれません。
精神科で磨いた傾聴スキルや精神症状のアセスメント能力は、ほかの診療科や訪問看護、高齢者施設などでも活かせます。医療現場では、病気への不安や困惑から、強い不安やうつ状態などの「精神的な問題」を抱える患者さまも多くいます。精神科での経験を踏まえた総合的なメンタルケアができる看護師は重宝されるでしょう。
レバウェル看護の独自調査(2024年3月)によると、精神科病院で働く看護師の月給は28万8,125円、賞与は84万3,000円で年収は430万500円でした。年収は月給×12ヶ月 +年間賞与で計算しています。
| 平均月給 | 平均賞与 | 平均年収 | |
| 精神科病院の看護師 | 28万8,125円 | 84万3,000円 | 430万500円 |
| 病院勤務の看護師全体 | 33万2,482円 | 77万6,162円 | 476万5,946円 |
※月給や賞与は入職タイミングによっても異なる
精神科看護師の平均年収は、全体と比べてやや低い傾向にあります。これは、残業が少ない労働環境のため、残業手当が少ないことが影響しているようです。高収入を希望する場合は、待遇が良い傾向にある規模の大きい総合病院の精神科を検討するのも手段でしょう。なお、精神科では職場によって危険手当が付くこともあります。
ここでは、ほかの診療科から精神科に転職した看護師さんの体験談を紹介します。精神科への転職を検討している方は、参考にしてみてください。
リエゾンナースとして活躍するため看護師になったTさんは、総合病院の急性期病棟に新卒で入職しました。しかし、1年間勤務してみて、「早く精神看護に携わりたい」と思うように。Tさんから相談を受けた「レバウェル看護」のキャリアアドバイザーは、今後のキャリアプランをできるだけ具体的に描いてみることを提案します。Tさんは悩みながらも、精神看護の資格を取りたいという目標を叶えるために転職し、精神科での臨床経験を積むことを決意。それを受けてキャリアアドバイザーは、資格取得支援制度があり、資格を取った後も活躍できる環境の職場を紹介しました。
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2年目で転職するのは早すぎる?目標があれば転職は成功させられる
看護師Sさんは、妊娠を機に2年間勤めた産科クリニックを退職されました。出産後の復職に不安を覚えたことから、職場の産前・産後休暇を利用せずに、退職の道を選んだとのことです。周囲のママ友が仕事に復帰していくのを見て、復職したい気持ちが強くなり、「レバウェル看護」にご相談くださいました。Sさんは、経験がある産科クリニックへの入職を希望。しかし、子育てと両立できる条件の募集がなかなか見つかりません。キャリアアドバイザーは、Sさんが希望する勤務条件に重点を置き、あえて産科ではなく、精神科病棟の求人を紹介します。
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育児と両立できる職場に復職したい…アドバイザーが提案した転職先とは
ここでは、精神科看護師の仕事内容に関してよくある質問をQ&A形式で解説します。
精神科の患者さまとの関わり方に難しさを感じる看護師もいるでしょう。精神科の患者さまとのコミュニケーションでは、否定せず、まずは一旦受け止める傾聴の姿勢が大切です。そのうえで、「共感しながらも冷静に距離感を保つ」「必要に応じて医師や精神保健福祉士、社会福祉士など他職種と連携する」といった対応をしましょう。
精神科看護師に転職する際は、長期的なキャリアプランを立てることが大切です。精神科では身体的疾患を発症すると基本的にほかの精神科病院に転院するので、医療的ケアの提供機会が少なめです。よって、救急や急性期などの一般診療科への転職が難しくなる可能性も。資格取得や身につけたいスキルなどを描いておくと納得のいく転職につながるでしょう。
精神科看護とは、精神疾患や心の問題を抱える方が自分らしく生活できるようにケアすること。精神科の看護師は、患者さまの尊厳を守りながら地域社会での自立した生活を支援します。精神科の看護師は、「精神状態のアセスメント」「薬物療法の継続に向けた服薬管理」「危険行為の予防や施錠などの安全管理」などの仕事を行います。
患者さまが回復していく様子を見られたり、退院後の生活を見据えた支援ができたりするのが、精神科看護師として働くメリットです。一方、精神面の影響を受けたり、高度な看護スキルを磨きにくかったりするデメリットも。精神科は誰とでもコミュニケーションが取れる方や、精神科分野の専門的なスキルを高めたいと考える看護師には向いた仕事といえるでしょう。
「1人では精神科看護師の求人詳細を調べきれない」といった不安を感じた際は、レバウェル看護にぜひご相談ください。キャリアアドバイザーが職場の雰囲気や具体的な仕事など、求人詳細を丁寧に説明いたします。精神科を含め、自分で探すよりも条件に合った求人が見つかるかもしれません。仕事のイメージが湧くことで、精神科が初めての方でも安心して応募できるでしょう。LINEやメールで求人情報は取得できますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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