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「保健師の経験を活かして予防医療に力を入れていきたいです」訪問看護師インタビュー・川北 朋子さん

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在宅医療の最前線で活躍する訪問看護師へのインタビューシリーズ。今回は、北海道札幌市にある「株式会社CHOUETTE 訪問看護ステーション シュエット」代表の川北 朋子さんにお話を伺いました。保健師としてのキャリアも豊富な川北さん。在宅ケアの魅力や訪問看護師に求める人物像についてお聞きしました。

プロフィール
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川北 朋子(かわきた ともこ)さん 

「株式会社CHOUETTE 訪問看護ステーション シュエット」代表を務める保健師。札幌医科大学衛生短期大学部卒業後、同大学の付属病院の心臓血管外科(旧第二外科)に勤務。結婚・出産後は産婦人科外来などを経て、子育てとの両立のために介護の分野へ。デイケア勤務中、ケアマネージャーの資格を取得。その後、保健師として地域包括支援センターや健診センターに勤務し、2020年1月に同社を立ち上げた。趣味はヒップホップ&ロックダンス。

目次


■選択肢の多い在宅ケアにやりがいを感じて起業
■利用者さまの「お家ルール」に沿ってお手伝いをすることが楽しい
■在宅分野は幅広いので、訪問看護師に病床経験の有無は問わない



■選択肢の多い在宅ケアにやりがいを感じて起業


——現在の職務内容について教えてください。 

主に、主任ケアマネージャーの仕事と訪問看護師、社長業務の3つを担っていますが、シフト作りといった訪問看護ステーションの管理業務も行っています。当ステーションの主な利用者さまは高齢者で、介護認定を受けている方と特定疾病が原因で介護を必要としている方ですね。スタッフは看護師5名、ケアマネ3名、事務員2名の計10名です。

——会社設立までの経歴を教えてください。

もともとは札幌医大の看護師を志望し、札幌医科大学衛生短期大学部に入学しました。周囲には保健師を目指す人が多く、私も保健師科に進学しました。進学して、最終的には保健師になりたいと思うようになりました。しかし、入学当初の目的を達成するため、卒業後は札幌医科大学付属病院の心臓血管外科(旧第二外科)に勤めました。病院ではいくつかの課題を感じましたね。
その後、同病院を退職して外来や病院で働いたのち、子育てとの両立のために夜勤を辞めました。そこで当時の同僚にデイケアを勧められ、初めて介護の分野に足を踏み入れたんです。介護分野の知識がなかったので、介護保険の勉強をするために、ケアマネージャーの資格を取得しました。その後は、基幹型在宅介護支援センターでケアマネージャーと訪問看護を経験した後、北広島市と札幌市の地域包括支援センターで保健師として働いたんです。
札幌の地域包括支援センターでの仕事にはやりがいを感じていましたが、経営している法人が包括的支援事業から降りてしまい、解雇となったんですよ。次に保健師として働いた病院の健診センターで、改めて在宅ケアの方が面白いと感じたんです。ちょうどそのころ、札幌市の包括支援センターで一緒に働いていた職員同士で「会社を作ってみんなで働こう」という話になりました。その後、学生時代の友人が取締役をしていた訪問看護ステーションで働きながら、制度や業務内容、経営などを学び、2019年8月に株式会社CHOUETTEを立ち上げ、2020年1月から事業所を運営しています。包括支援センターの仕事が性に合っていたので、もし健診センターで働かなければ、起業していなかったと思いますよ。

——大学付属病院で勤務されていた際は、どんな課題を感じましたか?

国の保障のあり方についてです。当時、配属先には、先天性の心疾患があるお子さまもいれば、生活習慣病で血管のコンディションが非常に悪い患者さまもいらっしゃいました。そのとき、生まれつき疾患があるお子さまはすでに病気があるので「生命保険に入れない」と聞いたんです。私は保健師の勉強もしていたので、「社会保障費を費やすべきなのは、生活習慣を整えることで病気の予防ができる患者さまではなく、先天性の病気をもつお子さまではないか」と疑問に思いました。
また、入院を繰り返される患者さまがいることにも問題を感じましたね。当時の大学病院の患者さまは、ほかの病院へ転院する方がほとんどで、退院後の生活についての指導ができなかったんです。しかし、退院指導をせずに転院された患者さまが、その後また病院に戻ってくるという状況でした。根本的な解決ができていないと感じましたね。

——病院と比べて、在宅ケアのどういったところが良いと感じましたか?

在宅ケアは病院と比べて選択肢の多さが魅力です。たとえば、病院は「村」で、在宅は「都会」なんですよ。村には、村営のデイサービス、居宅、施設、コンビニなどが一つずつあって、すべてそろっているけど、選べないのが病院だと思います。
「都会」の在宅ケアは、ニーズに合わせて選択できます。デイサービス一つとってみても短時間滞在か一日滞在、食事やお風呂、機能訓練など、ニーズのアセスメントによって、施設の規模の大小や種類を選べるんです。一つに集約された病院が良い方もいれば、疾患によって病院を変えて先生を選びたい方もいます。利用者さま自身に選択権があり、多様なサービスを試せるところが、在宅ケアの面白さだと思いますよ。

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■利用者さまの「お家ルール」に沿ってお手伝いをすることが楽しい


——訪問看護のやりがいや印象的なエピソードを教えてください。

利用者さまの暮らしぶりを見ながら、試行錯誤することがやりがいですね。家庭にはそれぞれの「お家ルール」があるんです。几帳面な人もいれば、全く掃除をしない人もいて、大切なことも人それぞれ違いますよね。「お家ルール」に沿って、生活改善のお手伝いを行うのが楽しいですよ。また、訪問看護師でなければ出会わなかった人に会えるのも魅力だと思います。
印象に残っているのは、安否確認で伺った認知症の利用者さまです。地域包括支援センターから困難事例として依頼された方で、最初はオートロックを開けられず、電話も出られませんでした。合鍵でご自宅に入ったら、足の踏み場もなかったんです。
そこで動線の確保をし、床を拭くなどの環境整備や衛生管理を粘り強く続けた結果、利用者さま自身でインターホンの開錠ができるようになりました。さらに、訪問看護師とは別のアプローチとして、デイサービスでの入浴介助、コインランドリーでの洗濯、公共料金の支払いのお手伝いなどのケアマネ業も行い、多方面から生活支援をさせていただくことができと思います。

——経営者として大変なところは何ですか。

経営面で、職員の理解を得るのが難しいですね。昨年スタートしたばかりで、初めは経営状況が良いとは言えませんでした。今は収益が出ていますが、最初の半年は「非常に厳しい」と想定していたので、職員にもあらかじめ「3年は苦労する」という労働条件を提示してあったんです。にも関わらず、黒字になった途端に給与についての不満がありました。これまでの赤字分を回収しなければならないため、給料を上げたくても、すぐに上げられない事情があるんです。こうした問題に対処するため、経営者が集うwebサイトの有料会員の登録をしており、日々意見交換や情報収集しています。

——職員にどんなことを期待していますか?

自分たちで会社を作っていくという意識を持ってほしいですね。新しい会社なので、一からみんなで作り上げていきたいと考えているんです。私の意見を聞くばかりではなく、職員が新しく決めて良いと思っています。会社にとって有益になるのであれば、何でも試して挑戦してほしいんです。指示されたことを粛々とこなす人より、「こういうことをしてみたい」「これはどうかな」と提案をしてくれる人を求めています。小さい会社なので、柔軟に変化していきたいですね。

——訪問看護師として大切にしていることは何ですか?

保健師の経験から重要性を感じていた「予防」です。日本の保険制度は医療費を増大させる要因になっていると思うからです。
予防は自己負担で全額自負なのに、病気になると保険で安く治療できる場合がありますよね。つまり「病気になった方が得」なんです。しかし、本来は病気を治すことに国のお金を費やすのではなく、そもそも病気にならないように予防費用をサポートするべきだと思います。だから私は利用者さまの衛生面や生活習慣にも気を配って、生活がよりよくなるようお手伝いしていますよ。
ただし、最近ではようやく国が予防医療に力を入れ始め、介護保険で「要支援」という介護予防サービスに保険が使えるようになったので、画期的だと思います。

■在宅分野は幅広いので、訪問看護師に病床経験の有無は問わない


——今後の目標を教えてください

「予防医療」という考え方を広めていきたいです。コロナが落ち着いたら、予防医療の広報活動に力を入れたいですね。「介護予防教室」やご家族に向けた「介護教室」、健康増進のための「体操教室」などを開催したいと考えています。対象者はネット環境に疎い高齢者なので、動画サイトではなく、サロンのように集まって行いたいですね。こうした活動が当社の周知活動にもつながると思います。


——訪問看護に興味があるけど迷っている、または訪問看護の素晴らしさを知らないというナースへ一言

病棟経験の有無を気にせず、興味があればどんどん訪問看護師に挑戦してほしいですね。訪問看護師になるには、一般的に病棟経験があった方が良いといわれています。しかし、在宅分野は幅広いため、私は必ずしも病棟での経験が必要だとは思いません。
訪問看護の利用者さまは、小児から高齢者、慢性疾患と急性疾患などさまざまな人がいらしゃいます。たとえば「総合病院で泌尿器科と整形外科に勤めた経験が30年あっても、その経験は脳梗塞の方にどれだけ通用するのか」「高齢者を病棟で20年診てきた経験は、小児に活かされるのか」など、疑問に思います。すべての技術を網羅するには、定年を過ぎてしまうでしょう。
そのため、当社は経験は問いません。風通しが良い職場なので、やりたいことがある方は向いていると思いますよ。

——ありがとうございました。


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