
IT技術やモノづくり技術など多方面が発展することで、医療業界でも作業効率化や質の高い医療の提供が可能になってきました。
そこで本記事では、訪問看護をサポートするシステムを開発した企業、遠隔でコミュニケーションがとれるシステムを提供する企業、マイクロサージャリー用の針付縫合糸を手掛ける企業を紹介します。医療現場をより良くしたい看護師さんは、ぜひそれぞれの企業が取り組んでいる内容に注目してみてください。
物流業界における効率化や省力化の実現に向け、「組み合わせ最適化」をコアとする独自のAIエンジンを搭載したソフトウェアを開発・提供している、株式会社ライナロジクス。創業して20年以上で築き上げた業界からの厚い信頼と高い評価に満足することなく、近年ではロジスティクス以外の業界にも視野を広げ、AI技術の実用とさらなる発展に挑み続けている企業です。
訪問看護の業務で直面する課題の1つに、訪問計画の作成の難しさが挙げられます。というのも、看護師は限られた時間の中で無駄なく訪問先をまわらなければなりません。なおかつ、訪問先ではゆとりを持って看護を行う必要があるため、訪問計画の作成時は移動ルートとタイムスケジュールを十分に考慮することが不可欠です。訪問する看護師の人数や訪問先の件数が多い場合は、この訪問計画の作成はさらに複雑化します。そのため、多くのリソースを割かなければならず、もどかしく感じることもあるでしょう。

そうした背景と現場のニーズをもとに開発されたのが、訪問計画システム「LYNA 訪問看護」です。
同社の強みである「組み合わせ最適化」のロジックに、看護ならではの条件を加えて応用した独自のシステムで、AIアルゴリズムによって訪問ルートや訪問する順番の移動コストを最適化し、ベストな訪問計画を素早く自動で作成してくれます。手動の場合と比べ、大幅に時間や労力を削減できるでしょう。

同システムは、PCに訪問スタッフと訪問先の情報を入力することで、簡単に誰もが訪問計画を作れる仕組みとなっています。訪問計画はスマホに送信が可能。出先でも詳細を確認できます。
移動ルートはスマホでも指示が出せるため、慣れないエリアを訪問する場合や入職間もない看護師が訪問する場合も、道に迷う心配はありません。
また、訪問の時間指定がある場合に、アポイントの予定やスタッフの活動時間を考慮し、最も合理的で効率的な移動ルートを選択し、作成する機能が備わっているのも特徴。そのため、訪問漏れや遅刻といったリスクを回避できます。
同システムは、手動で行うからこそ発生してしまう大幅な時間のロスや、ヒューマンエラーといった課題を解決するための最善の策と言えるのかもしれません。
同時に、訪問看護を行う上での生産性を向上する手立てとなりそうです。
1912年に早川徳次氏が金属加工業を独立開業して以降、社名の由来にもなった「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」をはじめ、ラジオやテレビなど世の中にさまざまな電子通信機器や電気機器、電子応用機器を送り出してきたシャープ株式会社。近年では、8Kおよび5Gを組み合わせて新たな価値や社会的課題の解決に向けたソリューリョンの創出を目指す「8K+5G Ecosystem」、AIとIoTを組み合わせ家電やIT機器が人々のパートナーになることを目指す「AIoT」を事業ビジョンとして持ち、社会発展と生活福祉の向上に向けてあくなき挑戦を続けています。

感染症の治療に対応している医療機関では、汚染区域と清潔区域に区分けするゾーニングを行うケースは少なくありません。その場合、医療従事者が汚染区域へ入るには個人防護具を着用し、清潔区域に戻る際にはそれらを脱がなければならないため、作業効率に課題を感じる部分もあるでしょう。
また、たとえ個人防護具を着用していても、汚染区域へ入ることによる医療従事者の感染リスクや精神的な負担もゼロとは言いがたいのが実情です。
そこで同社が開発・提供する「遠隔応対ソリューション」が、作業効率化と医療従事者の感染リスクや精神的な負担の軽減に役立ちます。
同システムは特別な設備を必要とせず、ネットワーク環境とシステムを利用できる端末が揃っていれば導入することが可能。WebRTCにより、医療従事者側からも患者側からも遠隔でコミュニケーションを始められる双方向通信を実現しています。
たとえば、スマホやタブレットなどを介してナースステーションからコールを送ることで、看護師は汚染区域の各病床へのラウンド回数を減らせるでしょう。
さらに、音声はもちろんのことリアルタイムの映像からも患者の様子が窺えるため、主観的情報だけでなく客観的情報が得られるのも魅力の一つです。

そして、同システムは誰もがわかりやすいデザインで、かつ操作性についてもシンプルなのがポイント。特に「自動応答機能」は、患者さんが操作できない状況にあっても自動的にコールがつながるため、医療従事者にとってありがたい存在と言えるかもしれません。
このように、患者さんの様子を映像で窺いながら遠隔でコミュニケーションがとれる同システムは、感染症への対応により多方面で課題を抱えている医療現場の救世主となってくれるのではないでしょうか。
計測機器用指針の製造から事業をスタートし、そこで培ってきた独自の「微細製造技術」を用いて、1964年に医療機器の開発製造、販売へと乗り出した株式会社 河野製作所。医工連携により医療機関が求めるニッチなニーズを見逃すことなく、医療業界ひいては患者さんを支えるためのモノづくりを行っている企業です。中でもマイクロサージャリー用の針は、国内外から高い評価を受けています。

微小外科とも呼ばれるマイクロサージャリーは、3倍から20倍の手術用顕微鏡を駆使しながら、肉眼では困難な神経や血管、リンパ管を吻合・縫合する手術方法です。
手術には髪の毛より細い糸と小さな針を使用しますが、これまでは100㎛までの針しか製造されていませんでした。そのため、100㎛以下の針が必要なケースでは手術できず、それをどうにか打破したいという医療現場で働く医師の声を受け、同社は30㎛の針の製造に挑戦することになります。
30㎛の針を開発するにあたっては、設備の外注先がなかったことで自社内で設備の開発から始まりますが、その後も針の素材選びや針と糸の接続方法に対する課題が浮上しました。
針は使用感の良さや剛性を求めつつ加工のしやすさも意識したバランスを実現し、針と糸の接続方法では浅く裂いた針の尾部に糸を挟んで固定することで無事解決にいたります。
しかし、問題はそれだけにとどまりません。30㎛の針の開発当初は職人と若い世代の世代交代の時期にあったものの、世代間で技術の引き継ぎがスムーズに行えず、これまでの努力や技術が失われる危機にあったのです。
そこで30代から50代のエンジニアたちが立ち上がり、職人の技術を分析して機械化を推進。その結果、職人の手でもってしても約10%と不安定だった生産率は、機械化した現在では約98%にまで上がり、安定した供給が可能になりました。
そうした経緯を経て誕生したのが、世界最小直径30㎛の「マイクロサージャリー用針付縫合糸」です。
同社のノウハウが活きた金属加工技術と耐久性に優れた素材により、直径は最小ながら滑らかな刺通と連続で使用できる丈夫さを兼ね備えた仕上がりに。医療現場からのリアルな声に応えたいという、同社のたゆまぬ努力が実を結びました。
さらに、近年ではロボットアーム型の製造設備を自社開発し、さらなる品質向上と生産効率アップを図っています。同社では今後も職人の技を存続させるための機械化を行い、多様化が予想できる医療業界のニーズに対応していくことを目指しています。
こうした同社の取り組みを知ることは、改めて医療業界を支援してくれている存在を再認識するキッカケとなるかもしれません。

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