
くも膜下出血は、脳卒中の中でも生命の危険が高い疾患の1つです。
「バットで殴られたような急激な頭痛」や「今までで経験したことのない頭痛」と表現され、意識障害やめまい、嘔吐などを伴います。
症状や経過によっては予後不良となることもあり、好発部位や合併症、術後の管理など、看護のポイントを抑えておきましょう。

くも膜下出血は、脳のくも膜下腔内に血液が流入した状態をいい、英語の「sub-arachnoid hemorrhage」が略され「SAH」や「ザー」とも呼ばれています。
脳は、硬膜・くも膜・軟膜という3枚の膜で覆われており、くも膜と軟膜の間にある隙間がくも膜下腔です。脳動脈瘤や脳動静脈奇形などが破裂、出血し、くも膜下腔に流出することで症状が出現します。
くも膜下出血の8割が脳動脈瘤の破裂であり、脳動脈瘤の好発部位は、ウィリス動脈輪の内頚動脈(ICA)や前交通動脈(A-com)、中大脳動脈(MCA)で、破裂部位によって症状が変わってきます。
くも膜下出血では、約40%の患者さんが死亡し、約30%には高度の障害が残り、残り約30%が社会復帰できると言われています。

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くも膜下出血の破裂部位による症状の違い
くも膜下出血の代表的な症状は、急激に起こる頭痛や意識障害、悪心・嘔吐、眩暈などです。けいれん発作を起こすこともあります。
脳脊髄液で満たされているくも膜下腔内に血液が混入し、頭蓋内圧が上昇することで症状が出現します。
また、破裂後24時間以内に出現する特徴的な症状として、化学性髄膜炎による髄膜刺激症状(頸部硬直・ケルニッヒ兆候・ブルジンスキー兆候)があります。

くも膜下出血の8割を占める脳動脈瘤破裂は、以下の前駆症状があり、注意が必要です。
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髄膜刺激症状の観察項目、判断方法
くも膜出血の3大合併症は「再出血」「脳血管攣縮」「正常圧水頭症」です。
合併症は、予後や後遺症に影響を及ぼします。合併症によって発症タイミングが異なるため、特徴を把握し観察することが重要です。
それぞれの合併症の特徴と看護のポイントを紹介します。
再出血は、発症後24時間以内に最も起こりやすく、予後不良の2/3を占めています。
破裂した血管は、フィブリンにより一時的に止血されていますが、血圧上昇や頭蓋内圧亢進でフィブリンが剝がれることで再出血が起こります。
くも膜下出血と診断された時点で、降圧・鎮静・鎮痛を行い再出血の予防をしていきましょう。
看護のポイントは以下のとおりです。
脳血管攣縮(スパズム)は、脳の血管が収縮して血液の流れが悪くなることをいいます。発症後72時間〜14日間の間に起こりやすく、この期間を「スパズム期」と呼びます。
脳血管攣縮が起こると、その先の脳血流量が減少し頭痛や嘔吐、失語、失認などの症状が出現します。脳梗塞を発症することもあり、血圧コントロール、IN‐OUTバランスといった看護のポイント、3H療法という循環血液量を保つ治療法も理解しておきましょう。
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正常圧水頭症は、脳脊髄液の循環や吸収が慢性的に障害され、脳室が拡大した状態です。
歩行障害・認知症・尿失禁が3徴候で、くも膜下出血の発症後3週間以降に現れることがあります。発症した際は、髄液排除試験(タップテスト)やシャント術を行い、脳室ドレナージを実施します。
看護のポイントは以下のとおりです。
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くも膜下出血の約8割は脳動脈瘤の破裂によるものです。その他、脳動脈奇形(AVN)の破裂が1割程度、高血圧性脳出血や脳腫瘍、外傷によっても起こります。
脳動脈瘤ができる原因は明らかになっていませんが、高血圧、喫煙、飲酒、家族歴が原因だと考えられています。そして、脳動脈瘤の血管壁が、血流に耐えられなくなって破裂します。
交通事故の衝撃・階段からの落下等によって起こる外傷性くも膜下出血は、脳挫傷やびまん性脳損傷を伴うことが多く、それ以外のくも膜下出血とは治療法・看護ともに異なります。
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くも膜下出血及び、脳動脈瘤の診断には、CTやMRI、血管造影、腰椎穿刺等を行います。
くも膜下腔は低吸収域ですが、血液が流入することで高吸収域となり、CT上で五角形の白い画像所見が認められるのが特徴です。
血管造影検査(MRアンギオグラフィー)は、脳動脈瘤や動静脈奇形の位置を正確に判断する目的で行われます。
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くも膜下出血が発症した際は、血圧コントロールや鎮痛を目的に薬剤投与を行います。
動脈瘤の治療としては、開頭クリッピング術と血管内治療(コイル塞栓術)の2つがあり、年齢や基礎疾患、全身状態、動脈瘤の場所・形状・大きさを考慮して選択されます。

脳動脈クリッピング術とは、くも膜下出血の原因となっている脳動脈瘤や未破裂脳動脈瘤に直接クリップをかけて血液を遮断する手術です。
開頭手術で行われ、身体的侵襲が高く手術創が残りますが、確実に動脈瘤を処置でき再発のリスクは少なくなります。
術後は、脳血管攣縮や水頭症に注意しましょう。
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脳動脈瘤コイル塞栓術とは、大腿動脈よりカテーテルを挿入して、脳動脈瘤や未破裂動脈瘤にコイルを詰め、動脈瘤の破裂や再破裂を予防する手術です。
局所麻酔下で行われるため、身体的侵襲が低く創部も小さいのが特徴です。しかし、脳動脈瘤への血流を完全に遮断することは難しく、10〜20%の確率で再発のリスクが残ります。
術後は、再出血に注意しましょう。
また術後には、頭蓋内圧亢進症を予防するために腰椎にスパイナルドレーンを刺入し、ドレナージを実施していきます。
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くも膜下出血は、発症直後から回復期まで、段階に応じた対応が必要な疾患です。急性期における変化の早期発見に加えて、回復期の廃用症候群予防や精神的な支援、そして退院後の生活を含めた看護をしましょう。
鎮静や頭痛のコントロールが十分にできていないと、血圧が上昇し再出血が起こります。
意識レベルや呼吸状態、瞳孔不同・対光反射の有無、頭痛や嘔気・嘔吐の有無と程度、血圧などを観察しましょう。
看護のポイントは、鎮痛・鎮静・降圧・安静です。 病室のブラインドを下げて光刺激を遮断する、緩下剤を使用して排便時の怒責による血圧上昇を避けるなどです。
スパズム期の脳血管攣縮に伴う脳梗塞は、予後に影響し後遺症を残すことがあります。意識障害や運動麻痺の出現や瞳孔、バイタルサイン、水分出納バランスを観察しましょう。
看護のポイントは、8時間ごとのin-outバランスを観察し、体内を常にプラス傾向に保つことや血圧コントロールを行うことです。全身状態やバイタルの異常時にはすぐに医師へ報告しましょう。
正常圧水頭症の3徴候(歩行障害・認知障害・尿失禁)の観察をし、ADL状況や退院後の環境整備をポイントに看護しましょう。
不安の軽減やご家族の支援も大切になってきます。

■まとめ:
くも膜下出血は、生命の危険を伴う疾患です。意識障害や合併症の出現などの管理が難しく、医師への相談や報告も重要です。本記事で、病態生理と看護のポイントを理解しましょう。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
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Q. お礼奉公中でも転職は可能?
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