
新卒から6年間、小児科の3次救急に勤めました。ある業務への苦手意識から次第に眠れない日が続き、うつで休職・退職。あの頃は人生のどん底でした。
次こそは長く働ける職場に…と思って私が選んだのが、「派遣看護師」という働き方です。
お試し派遣で4つの職場を転々とし、自分の向き不向きを知りつつも、今ようやく、やりたい看護が、そして続けられる働き方が見つかったと感じています。
常勤は無理だと思った理由、派遣として働いてみて実際どうかの体験談を、収入や感情面の変化も含めてお話します。
新卒で小児科専門の三次救急の病院に就職し、6年目になった頃のことです。徐々に責任ある役割を任されるようになり、その1つが夜勤リーダーでした。
ほかの業務は場数を踏むうちに慣れたのですが、夜勤リーダーは苦手意識が消えませんでした。
特に上の立場の先輩がいない日は「急変や災害が起きたら、私の判断次第で患者さんの命に関わる」と不安で…夜勤前や仮眠休憩中に一睡もできなかったり、後輩に強く言いすぎてしまったりしていました。
そのプレッシャーからか、次第に眠れなくなり、動悸や胃痛、頭痛も出るようになりました。内科と頭痛外来で検査を受けたのですが、結果は異常なし。症状を抑える薬をもらって、ごまかしながら出勤していました。
毎日「辞めたい」と思って友人や家族に愚痴をこぼしたり、求人情報を調べてみたり。でも、行動に移す気力も勇気もなく、心と身体のSOSを見て見ぬフリをしていました。
そんな状態が半年ほど続いたある日。突然激しい胃痛と吐き気で涙が止まらなくなり、初めて近所の精神科に駆け込みました。診断は、うつ状態。そのまま休職することになりました。
なぜ、こうなるまで働き続けてしまったのか。今振り返ると、「期待に応えなければ」という思いに縛られていたのだと思います。新人の頃から「仕事ができる」と評価してもらい、委員会や研修、学会発表、学生・新人指導…と次々に任されました。
キャリアの観点ではありがたいことですが、完璧主義だった自分は「できません」と言えずにすべてを抱え込んでしまって…。症状が出はじめた頃には、もう限界だったのかなと思っています。
休職期間に入り、ようやく仕事から離れて休める…と思ったのですが、実際は毎日が絶望の連続。身体を横にしていても、頭の中はまったく休まりません。
「体調は良くなる?」「復職できるかな?」と不安が止まらず、1日にうどん3本しか食べられない日が続きました。
それでも、社会との距離ができるのが怖くて、ぼんやりした頭で無理やり勉強しようとしていました。
今まで勤務する中で「後で調べよう」「この疾患の病態がよく分からない」といった知りたいことリストを作ってきていたので、それを一つずつ勉強することで、なんとか看護の世界と繋がっていたいという思いでした。

1年ほど休職したあと、完全には回復しないまま、焦りが勝って、半ば無理やり復職します。
でもまぁ、うまくいくはずがないですよね…。
配属されたのはコロナ病棟でした。周囲から気を遣われる居心地の悪さに加え、イレギュラー業務、患者さんは全員コロナ。
自分も感染したらという怖さが抜けず、帰宅してもモニター音が聞こえる感覚があって…また、眠れない日が続いてしまいました。

ただ、その時はあまり落ち込むことはありませんでした。むしろ「やっぱりだめか」と確認できた感じです。
「以前のように仕事ができる自分」に戻りたいのに、戻れない。それに、うつ状態のつらい思いだけは二度としたくない。
ここまできてようやく「もうこの職場は無理だ」と思えて、戸惑いはありましたが退職を決断しました。
編集部より📝
働き方に悩んだとき、誰かに今の状況を話すだけでも整理されて、自分の大切にしたいことが見えるかもしれません。
レバウェル看護では転職するか決めていない段階のご相談もOKなので、キャリアに悩んだとき、もっと良い求人があるか見てみたいとき、お気軽にご相談ください。
辞めたは良いものの、これからどう働けばいいのか分からず、朝から晩までスマホとにらめっこ。求人情報や看護師のブログを読み漁りました。
そんな毎日のなかで「今度こそ、自分の身体を最優先にしなければ」と考えるようになりました。
体調的に夜勤はできないし、小児以外の経験もない。いっそ看護師以外の仕事を…とも考えましたが、何を選べばいいのか分かりませんでした。
そんなときにあるブログで知ったのが、派遣看護師という選択肢です。
調べてみると、単発や短期間限定の求人がたくさんあることにびっくりしました。長く続けることを前提にしなくてもいいし、収入を得ながら、自分に合う職場や仕事内容を試せる。時給もパートやアルバイトよりも高い。
「今の自分には、これしかない!」と、ビビッとくる感覚があり、すぐに派遣会社に登録しました。
最初に選んだのは、単発派遣の新型コロナウイルスのワクチン接種でした。「1日だけ」というのが当時の私にとっては大きな安心材料でした。
とはいえ、5ヶ月ぶりの現場でめちゃくちゃに緊張。「今日だけを乗り越えよう…」と自分に言い聞かせ、出勤しました。
結果、とっても楽!(笑)行きの車ではバクバクしていた心臓も、ひたすらにワクチンを吸い上げているうちに穏やかになるのが分かりました。
無事に1日を終えたときは、心からほっとしました。同時に、前職では働き続けることに固執していたけど、看護師として働ける場所は他にもたくさんあることを確認でき、視野が広くなった気がしました。
たった1日でしたが、私にとっては大きな一歩でした。
編集部より📝
レバウェル看護にも、派遣の求人があります。日勤のみ、週3日、扶養内で働きたいなど、ご希望をお聞かせください。
「まずはどんな仕事があるか知りたい」というご相談も大丈夫です。
次の派遣先は老健で、1ヶ月間働きました。
状態が比較的安定している利用者さんが多く、お話しする時間が楽しくて、毎日穏やかでした。分からないことがあってもすぐ確認できる環境で、その点も安心でした。
ただ、身体への負担が半端なかった。移乗や排泄介助、入浴介助が多く、腰痛が悪化してしまいました。
「自分の心身を犠牲にしない働き方」という軸からはズレていて、ここで長く続けるのは難しいなと感じました。
もし正社員として入社していたら、「せっかく入ったんだから」と無理して続けていたと思います。派遣だったから、契約期間終了で区切りをつけられた。
「続かずに情けない」ではなく「自分に合うか確かめられた」と前向きに捉えられました。
その次の派遣は、重症児デイで働くことにしました。実は1つ目の職場の小児科病棟にいた頃から興味があった領域で、初日はワクワクして出勤したのを覚えています。
受け入れるのは、2歳から15歳までの子どもたち。遊びや発達支援を通して、日常生活を支える仕事です。
病棟にいた頃は、どうしても治療が優先でした。1日に5~8人を受け持ち、常にタスクを気にかけていないといけない。「髪を洗ってあげたいけど、その前に点滴を準備しなきゃ…」と入院中の子どもたちの希望に応えられないことが日常茶飯事で、ジレンマを抱えていました。
でも、重症児デイで受け入れる子どもは、多くても1日5人ほどです。
ゆっくりお風呂に入って気持ちよさそうにしている表情を見たり、シャボン玉で一緒に遊んだり。お天気のいい日には車椅子でお散歩にでかけ、一人ひとりの反応をじっくり見ることができました。
「あぁ、私はこういう看護がしたかったんだ…」。そう実感しました。
白衣やスクラブではなくポロシャツで働けるのも、地味に嬉しかったです。看護師のプレッシャーから少し離れられる感覚があって(笑)。

採血や点滴の手技が鈍ってしまうことへの不安はあったけれど、吸引や経管栄養などの医療的ケアもあり、これまでの看護師経験を生かせるのも良かったです。
重症児デイでの仕事はとても好きで楽しかった。
それでも「せっかく派遣で働いているし、ほかの職場も見てみたいな」と思い、次のお仕事を探すことにしました。
その頃、派遣会社からもらった求人メールで、「学校看護師」という働き方を知りました。医療的ケアが必要な子どもが学校で学べるよう、そばに付き添って必要なケアを行う仕事なんだとか。興味が湧いて、挑戦してみることにしました。
私が担当した子は、常に酸素吸入が必要でした。それでも、酸素ボンベの管理と呼吸状態の観察、運動量にさえ気をつければ、クラスのみんなと授業を受けられます。
お友達と同じ教室で過ごせて、親御さんは安心して仕事に行ける。そんな日常を支えられることにやりがいを感じました。下校時間に、お子さんや先生、お母さまから「ありがとうございました」と言っていただけたときは本当に嬉しかったです。
基本的に1人の子どもに付き添うので、その子のことを集中して見られます。それが、私にはとても合っていたようです。
「こういう働き方なら、身も心もすり減らさず続けられそう」と思えました。
少しでも多くの子どもたちが、希望する形で、学ぶ機会を得られるように支えたい。学校看護師は、私の理想に一番近い仕事かもしれません。
私の看護師キャリアのスタートは小児科の三次医療機関でした。そこから派遣で重症児デイや学校看護師を経験して「やっぱり私、子どもが好きなんだな」と改めて思いました。
子どもたちは成長・発達の過程にあるので、昨日できなかったことが今日はできたり、少しずつ表情が豊かになったり。その変化をすぐそばで見られるのが醍醐味です。素直な反応や笑顔を見ると、私まで元気をもらえます。
こう思えるようになったのは、派遣でいろいろな仕事を経験したからこそだと思います。
それに、小児科病棟で6年間がむしゃらに働いた経験があったからこそ、今できる看護があり、当時の自分の頑張りも決して無駄ではなかったと思えるようになりました。

私はずっと、正社員で責任のある仕事を任されてこそ一人前だと思っていました。だからいつも「私が何とかしなきゃ」と抱え込んでいたんです。
派遣の仕事では、その日に任された業務を終えれば、基本的に定時で帰れます。サービス残業をしたことは一度もないし、委員会や新人指導もありません。
それでいて患者さんからも現場スタッフからも「助かった、ありがとう」と言ってもらえる。私には、その働き方がすごく楽でした。
派遣看護師になって、ようやく仕事と自分の人生を切り離せるようになりました。
派遣で働くようになって、大きな変化がありました。眠剤を手放せたことです。胃痛や動悸もだんだんなくなりました。
ご飯を「おいしい」と思い、休みの日に仕事を考えずに過ごせる。そんな当たり前の日常が、こんなに幸せだとは知りませんでした。
自分の心身の健康を何より優先する。その軸は、もう崩したくありません。
正直に言うと、私の場合、派遣看護師になってから収入は減りました。
正社員の頃は、フルタイム月160時間に加えて残業が月20時間ほど。それで手取りは30万円前後でした。今は、看護師として働くのは多くても月60時間で、お給料は10万円前後です。
ただ、派遣だから稼げないわけではなく働き方次第です。私の場合、今は家族との時間を最優先にしたくて働く量をかなりセーブしています。1日4~6時間・週2〜3日働いて、残りの日は家のことをしたり、趣味を楽しんだり。
正直、節約は必要です(笑)。それでも毎日が本当に幸せで、幸福度は間違いなく爆上がりしました。
派遣看護師になってから、結婚、出産も経験しました。この働き方だったから、人生最大ともいえるライフイベントに、自分のペースで向き合い、適応できたのだと思っています。
我が子と過ごす時間は本当に宝物です。公園で一緒に走り回っている時間がたまらなく幸せで。推し活やパズルなど趣味に没頭する余裕も持てるようになりました。

もし今後がっつり稼ぎたい時期が来たら、勤務日数の多い求人を選んだり、夜勤に入ったりするかもしれません。その時々の生活や目標に合わせて、働く量を自分で調整できるのも、派遣のメリットだと感じています。
編集部より📝
勤務先や勤務日数、夜勤の有無で収入は変わります。「今の生活費だと、どのくらい働く必要があるか」から一緒に考えることもできます。
▼【関連】レバウェル看護利用者インタビュー
40歳看護師の新たな挑戦。初めての派遣で、「やっと子育てに向き合えた」
正直、今すぐ常勤で働くつもりはありません。子育ての最中ですし、休職中に落ちてしまった体力も、まだ戻り切っていないので。
でも、派遣を続けるなかで、将来の目標が見つかりました。子どもがもう少し大きくなったら、学校看護師として常勤で働く。医療的ケアが必要な子どもたちが、学校に行けることが当たり前になったらーーそう願っています。

派遣は、自分に合う仕事を試すための貴重な経験になっています。これからも、ライフステージや自分の状態に合わせて、働き方を柔軟に選んでいきたいです。
今の職場を辞めたいと思っているなら、その気持ちを、どうか無視しないでほしいです。
私は自分の声を無視し続けた結果、体調を崩して働けなくなり、回復にも長い時間がかかりました。もっと早く自分の気持ちを大切にしていたら…と今でも後悔しています。
1つの職場で長く働き続けることだけが正解ではありません。転職することも、正社員を辞めることも、逃げではないと思うんです。一度退職しておやすみ期間を作ってもいいし、派遣で収入を得ながらいくつかの職場を試してもいい。
実際に職場で働いてみると、「どんな仕事が好きか」「どのくらいなら無理なく続けられるか」が見えてきます。派遣で働いて、合うと思ったらそのまま正規雇用に進める「紹介予定派遣」という制度もあります。
派遣を“お試し期間”として使いながら、自分が無理なく働ける場所を探す。それは遠回りではなく、むしろ賢い選択だと思います。
かつての私のように「辞めたい」を放置して心も身体も限界になる前に、派遣看護師という働き方も、選択肢の1つに入れてみてほしいです。
編集部より📝
レバウェル看護では、派遣求人と常勤求人どちらも扱っています。そのため、「まず派遣で試して、合えば常勤に」「どちらが合いそうか一緒に考えたい」という進め方もご提案できます。

看護師の佐野さんに、常勤から派遣に切り替えたときのエピソードを寄稿いただきました…!当時の葛藤やキャリアの見つけ方は、参考になる部分があったのではないでしょうか。
佐野さんがおっしゃる通り、働き方を見直したい方、いろんな職場を見て自分に合うところを探したい方にも、派遣はピッタリです。
たとえばレバウェル看護では最短2ヶ月から派遣の勤務をスタートでき、その後は3ヶ月または6ヶ月ごとに契約更新の流れになります。
とはいえ常勤と比べると収入が安定しない、人間関係や備品の場所が都度変わるというデメリットもあります。
レバウェル看護は、常勤、派遣の求人どちらも扱っているため、担当者がそれぞれのメリット・デメリットをお伝えし、今のご状況に合わせた職場選び・求人をご提案できます。
そもそも今転職するべきか迷っている段階だったり、最新の求人を見たい、というご希望も大丈夫です。利用はすべて無料ですので、一度お気軽にご相談ください。
▼レバウェル看護の派遣で働く方の声
40歳看護師の新たな挑戦。初めての派遣で、「やっと子育てに向き合えた」
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載
おかん看護師
2026年8月21日 11:26
ポロシャツ着て笑顔で働けるのが一番!学校看護師応援してます。
manami
2026年9月1日 16:17
記事読みました。自分は、子育てとの両立目的で派遣にしました(小学生の子が2人います。夫は夜勤がある激務な仕事であまり子育てに時間を割けず)。
派遣にしてから残業がないのと、シフトの融通がききやすいなと感じますね。