低血糖の看護とは?3つの予防法と実際になったときの対処法を解説

低血糖を起こした患者さんのケアは、糖尿病の方を担当するうえで欠かせないスキルの1つです。

ただし、低血糖を起こした患者さんのケアを苦手とする看護師の方もいるでしょう。

本記事では低血糖の原因や予防法を解説します。低血糖が起こった際の具体的なケアや発生するメカニズムも解説するため、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
西川正太
看護師/保健師/保育士

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている

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低血糖とは

低血糖とは「血液中のブドウ糖の値、つまり血糖値が異常に低くなっている状態」のことです。通常、血糖値は70〜110㎎/dlで推移します。以下2つの場合、低血糖と診断されます。

  • 低血糖症状の有無にかかわらず、血糖値が70mg/dL以下
  • 血糖値が70mg/dL以上でも、低血糖症状がある

低血糖症状については、以下「低血糖の進行とその症状」の章で詳しく解説します。

症状がなくても、低血糖と診断される場合があります。そのため、自覚症状の確認だけではなく、定期的に血糖値を測定することが大切です。

低血糖になる3つの原因

低血糖になる原因は、主に以下の3つです。

  • 糖尿病の薬物療法
  • 空腹時
  • ダンピング症候群

低血糖の多くは、糖尿病の方が血糖値を下げる薬を使うことが原因で起こります。糖尿病でない方は、ほとんど低血糖になりません。

食事量がいつもより少なかったり、朝食を抜いたりした後の空腹時にも低血糖になりやすいです。ほかにも、ダンピング症候群といって食べ物が短時間で吸収されインスリンの分泌量が増えることにより、低血糖になることもあります。

さらに、糖尿病の食事療法中で食事を減らしている方や慢性腎不全の方は、低血糖になりやすい傾向があるため、注意して観察することが重要です。

低血糖になる3つの原因の解説イラスト

低血糖のときに起きている身体の変化

ブドウ糖は、主に肝臓から供給される、中枢の神経組織における重要なエネルギー源です。脳は1時間に3〜5gのブドウ糖を使います。

一般的に、血糖値が80mg/dl以下になると、膵臓のランゲルハンス島β細胞からインスリン分泌が抑えられます。

さらに、70mg/dl以下になると、血糖値を上げるためにホルモンであるアドレナリン(副腎皮質)やグルカゴン(ランゲルハンス島α細胞)が分泌されます。

ただし、以下の状況では、血糖が消費されるため、さらに低下して低血糖が重症化する恐れがあります。

  • インスリンの分泌を促す薬を服用する
  • 激しい運動をする
  • アルコールを過剰に摂取する

低血糖を起こしている場合は、これらの行動はしないように注意しましょう。

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低血糖の進行とその症状

低血糖のときには、血糖値の程度により以下の症状があらわれます。

血糖値症状
血糖値70㎎/dl以下交感神経症状(汗をかく、手や指のふるえ、動悸)
血糖値50~70㎎/dl程度中枢神経症状(目のかすみ、集中力の低下、生あくび、頭痛)
血糖値50㎎/dl以下昏睡、けいれん、異常な行動

低血糖の進行とその症状のイラスト

血糖値が50mg/dl以下になると、昏睡やけいれんを起こす恐れがあります。そのため、低血糖が重症化する前に発見し、早期に対処することが重要です。

低血糖の昏睡状態について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

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低血糖を起こした場合の看護ケア

低血糖を疑う症状が見られたときは、まず血糖値を測定します。

同時に、ほかの看護師に応援依頼したり、医師に報告して指示を仰いだりしてください。

患者さんの意識があり食べられる場合は、ブドウ糖5〜20gを摂取してもらいましょう。臨床の場では、低血糖にすぐ対応できるように、ビスコやビスケットなどを置いている病院もあります。

患者さんの意識がない場合は、50%ブドウ糖20〜40mlを静注します。一般的には、5分程度で低血糖の症状は消失します。

ただし、一旦上昇した血糖値が、再度下がる場合があります。これは「遅延性低血糖」と呼ばれ、スルホニル尿素薬(SU)を飲んでいる方に起こりやすいです。

意識が戻らない場合は、脳梗塞や脳出血などほかの疾患の可能性も考えられるため、CT検査や採血検査など追加の検査を実施します。

低血糖を起こした場合の看護ケアの解説イラスト

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低血糖が重症化するメカニズムとは

低血糖が重症化する場合、以下2つのケースが多いとされています。

  • 1型糖尿病の高齢者
  • インスリン療法やスルホニル尿素薬で治療中の2型糖尿病の高齢者

高齢者は、腎臓や肝臓の機能が低下しており、薬を分解したり排泄したりする能力が弱くなっている場合があります。そのため、血糖を下げる薬(インスリンやスルホニル尿素薬)が効きすぎて低血糖になりやすいです。

また、高齢者の方は、自律神経の失調症状が現れる閾値が低下しています。低血糖が起こった際に、汗をかいたり、手が震えたりなどの症状が現れにくい場合があるのです。

つまり、高齢者は低血糖になりやすく、かつ低血糖に気づかないため治療が遅れる可能性があるといえます。

さらに、低血糖により、意識を失って転倒し骨折したり、致死的な不整脈が出たりします。ほかにも、血糖値が50mg/dl以下となる場合は、昏睡やけいれん、異常な行動などの脳神経障害の症状が現れることにより、その後の日常生活動作の低下に影響したり、認知機能の低下につながる恐れがあるため注意が必要です。

低血糖の3つの予防法

低血糖が重症化すると、昏睡やけいれんをはじめ、さまざまな症状があらわれるため予防が重要です。低血糖の予防法は、主に3つあります。それぞれの予防法を把握し、臨床の場で実践しましょう。

患者さんへ指導する

血糖値を下げる薬を飲んでいる方には「低血糖になる可能性がある」ことを説明し、十分理解してもらうことが大切です。低血糖の症状に加え、低血糖になりやすい状況も説明しましょう。以下を控えるように患者さんに指導してください。

  • 食事量の不足
  • 食事開始の遅れ
  • 過剰な運動
  • アルコールの過剰摂取

低血糖症状を自覚した際は、すぐにナースコールで知らせるように患者さんに伝えてください。

院内に糖尿病教室や栄養士による個別指導などの機会があると、患者さん自身が糖尿病の基礎的な知識から、低血糖への対処法を学べるため活用しましょう。

低血糖を予防するため、患者を指導する看護師

血糖測定を実施する

血糖値を朝、昼、夕、寝る前の1日4回測定します。

血糖値の推移を見て、低血糖を起こす恐れがある場合は、すぐに医師に報告し対処しましょう。特に、検査や治療で食事開始が遅れる場合、もしくは絶食となる場合は、低血糖を起こしやすいです。臨床の場では、絶食が必要な検査が急に入る場合があるため注意してください。

絶食が必要な検査や治療があると事前にわかっている場合は、血糖値を下げる薬の中止を医師に確認しましょう。

ほかにも、インスリン注射の量が変わったり、血糖値を下げる薬が増量となったりした場合も低血糖に気をつけてください。

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患者さんの変化を観察する

低血糖を起こしても、明らかな症状がみられない場合があります。

そのため、普段の様子と変化がないか観察することが大切です。具体的には、以下のポイントに沿って観察しましょう。

  • いつもの食事摂取量
  • 食前、食後の服薬状況
  • インスリン注射の使用状況
  • 意識レベル
  • 患者さんの病識

患者さんの普段の状態を把握しておくと「いつもより食事が摂れていないな」「いつもより活気がないな」など患者さんの状態の変化に気づき、低血糖を早く発見できる可能性があります。

まとめ

低血糖のケアは、糖尿病の方を担当するうえで欠かせないスキルの1つです。

糖尿病の患者さんの増加により、低血糖へのケアが求められる場面も増えています。特に高齢者の方は、低血糖が重症化しやすく、昏睡やけいれんを起こす可能性があります。
そのため、低血糖を予防することが大切です。患者さんへの指導をはじめ、定期的に血糖を測定し、変化を見逃さないようにしましょう。

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