採血を成功させるコツとは?準備や手順、採血後の観察項目まで解説

採血は、病気の診断や状態の把握に必要不可欠な検査です。検体検査のなかでも侵襲性の高い検査のため、失敗に対する不安や恐怖心に悩む看護師の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、看護師が自信を持って採血に臨み、採血を成功させるために知っておきたい知識やコツを紹介します。準備や手順、採血後の観察方法まで詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
島田綾乃
正看護師
大学病院で10年間、病棟看護師として勤務。 耳鼻咽喉科、腎臓外科、循環器小児科、脳神経外科、SCUでの臨床経験があり、得意分野は外科系。 現在は育児をしながら、看護師ライターとして医療分野の記事を専門に執筆。
※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

採血を成功させるコツは基礎知識の理解から

採血検査は、病気の診断や状態を把握するために重要な役割を持ちます。採血を成功させるために、まずは基礎知識を押さえましょう。

採血の基礎知識

一般的に看護師が血液検査として実施するのは、静脈血採血です。血液ガス分析の検査では動脈血で採血しますが、医師が施行する決まりとなっています。

採血方法には、真空管採血とシリンジ採血の2種類があり、患者さんの状態や必要となる検体量によって使い分けます。採血は侵襲的処置であるため、患者さんの心情に配慮したこまやかな声掛けや確実な手技で、患者さんの不安を和らげることが大切です。

採血スピッツの順番

主に、一般外来や病棟の血液検査で用いるスピッツと各必要量は以下のとおりです。

  • 生化学(2〜10ml )
  • 凝固(1.8~4.5ml )
  • 血算(2ml)
  • 血糖(2ml)

これらのスピッツには、検査値を正しく算出するために必要な添加物が含まれています。採血の仕方によって、採取検体が不要に凝固し正く検査が行えないこともあるため注意が必要です。スピッツに注入する血液量や順番を厳守する必要があります。

血液検査で用いるスピッツの図解イラスト

採血の順番

血管穿刺直後は、血液中に検体凝固の原因となる微量の組織液が含まれています。そのため採血スピッツを挿入する順番に注意が必要です。
真空管採血の際は、以下の順番で採血しましょう。

  1. 生化学(血清)※凝固しても影響ないもの
  2. 凝固
  3. 血算
  4. 血糖
  5. その他

血液を採取できたスピッツから、ゆっくりと中の抗凝固剤と混和させます。翼状針を使用する際は、ルート内部の空気が採血スピッツに流入するため、凝固検査など正確な採血量が必要なスピッツは2本目以降に採血しましょう

対してシリンジ採血の場合には、まとめて一度に必要な血液量を採取します。そのため、1本目は凝固スピッツに分注して、血液が凝固してしまうのを防ぎましょう。

また、検体によっては氷冷管理や遮光管理が必要なものもあります。施設のルールに従い、保管方法や提出方法を考慮しましょう。

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【採血のコツ】準備と手順

採血をスムーズに実施するコツは、必要物品をしっかりと準備し、事前に手順を押さえておくことです。

この章では、採血のコツをお伝えしながら、準備の方法と手順を解説します。

採血の準備

準備不足により患者さんを不安にさせることがないよう、まずは採血の準備について理解しましょう。必要な物品は以下のとおりです。

  • 医師による採血指示書 (パソコンのカルテを参照することもある)
  • ディスポーザブルグローブ
  • アルコール綿
    ※アルコール過敏症の場合:グルコン酸クロルヘキシジン
  • 携帯用針捨て容器
  • トレイ
  • 駆血帯
  • サージカルテープ
  • インジェクションパッド
  • 各種採血スピッツ
  • シリンジ採血の場合:シリンジ(必要量分)、18〜23G注射針(もしくは翼状針)、分注ホルダー
  • 真空管採血の場合:分注ホルダー付き注射針
  • 肘枕

準備に加え、物品の配置も重要です。片手での操作が必要になるため、採血手技が完結するまでに必要な物品は、すべて手の届く場所に過不足なく配置するのがコツです。

採血の手順

採血に慣れていないと、手順を頭に入れようとしてもなかなか覚えられない看護師の方もいるかもしれません。手順を理解するコツは、物品準備から患者さんに採血を実施し、検体採取するまでの場面をイメージすることです。

真空管採血あるいはシリンジ採血のどちらであっても、大まかな手順は同じです。一方、採血方法によって注意点が異なるため、以下のポイントを押さえつつ手順を確認してみましょう。

患者さんの確認・説明

採血を実施する前に、必ず以下の項目について患者さんに確認をとり、採血の必要性を説明しましょう。

  1. 採血の説明:目的や検査項目、合併症など
  2. 採血の指示確認:患者姓名、年齢、ID、採血年月日、検査項目などの情報
  3. 採血スピッツの準備と認証ラベルの確認:ラベル記載内容(姓名やID)を照合する
  4. 必要物品の準備
  5. 患者確認:フルネーム呼称、ID照合
  6. 必要事項確認:アルコール過敏症やアレルギーの有無、血管迷走神経反応の既往の有無、採血禁忌部位、禁食等検査前指示の有無、抗血小板薬等薬剤服用の有無など

上記の項目を洩れなく確認することで、重大なインシデントやアクシデントを予防することにつながります。

採血実施

患者さんの確認と説明を行い、採血実施の同意を得たら、実際に採血していきます。以下の手順を参考に、各施設のルールに従い採血を進めましょう。

1.グローブ装着:ラテックスアレルギーの有無確認
2.穿刺血管の選択
3.患者の姿勢:過去に迷走神経反射や気分不良を起こしたことがあるなど、患者の状態に応じて座位もしくは臥位を選択する。腕の位置を心臓よりも低くすると血管が怒張しやすい

採血時の姿勢を患者さんに伝える看護師

4.駆血:駆血帯は穿刺部位の7〜10cm程度中枢側に巻く。40mmHg程度の強さが適切
5.穿刺部位の皮膚消毒:アルコール綿を用い消毒したあと自然乾燥させる
6.採血針の刺入:採血針を持っていない側の親指で、刺入部の3〜5cm下を軽くおさえ皮膚を緊張させる。針の角度は15〜20度で血管の走行に沿って刺入。刺入後は、指先のしびれや痛みがないかを確認する。
7.採血スピッツの差し込みと抜去:ホルダーを保持して採血スピッツを差し込む。採血スピッツ内に血液が流入後、停止したら速やかに抜去し5回以上転倒混和する
8.駆血帯の解除:ホルダーから採血スピッツを抜去した後、抜針前に駆血帯を解除する
9.採血針の抜去:抜去後速やかにガーゼや消毒面にて穿刺部位を圧迫する。抜針後はリキャップしてはならない※シリンジの場合は穿刺〜抜針まで同様だが、止血後は採血スピッツへ血液を分注
10.採血針とホルダーの廃棄:採血針はホルダーから外さず一体のまま直接針専用の廃棄容器へ破棄する
11.止血:通常は5分程度圧迫止血する。原疾患や抗凝固薬・抗血小板薬などにより出血傾向のある患者は長めに止血が必要

上記の手順を繰り返しイメージし、採血に挑みましょう。採血中に看護師の不安が患者さんに伝わると、患者さんは緊張し体がこわばり、余計に穿刺しにくくなります。採血時は自信を持って臨むことも大切なコツのため、事前の準備とイメージトレーニングを何度も繰り返し不安を解消しておきましょう。

採血を成功させるためのコツ

採血行為によって、内出血や血管迷走神経反応などの合併症を併発するリスクがあります。

採血を成功させるためには、上記合併症のリスクを最小限にする血管の選び方や、異常を早期発見するための観察力が必要です。

この章では、採血を成功させるためのコツをまとめました。

血管の選び方

採血を成功させるためには、どの血管から採血するのかベストかを見極めることが大切です。基本的には、肘正中皮静脈・橈側皮静脈・尺側皮静脈のいずれかの血管のうち、太くて浅く弾力のある血管を選択します。

しかし、尺側皮静脈は運動神経を含む正中神経を損傷するリスクがあるため、選択する際は深く穿刺しすぎないよう慎重に実施しましょう。万が一、肘部に容易に穿刺できる血管が見つからない場合は、主要な神経損傷のリスクが低い前腕や手背の血管を選択するのもポイントです。

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血管の出し方

血管を探してみても、なかなか血管が出にくい患者さんもいるかもしれません。その場合は、以下にまとめた血管を出しやすくするコツを試してみてください。

  • 腕を温める
  • 患者さんの腕を心臓の位置より低く下げる
  • 駆血帯をきつく締めすぎない
  • 親指を中に入れて握ってもらう
  • 軽く叩いて刺激する
  • 水分をとってもらう

いつも採血する場所を、患者さんに聞いても良いですね。

患者さんの血管を見つけるコツを試す看護師

血管がはっきり見えないと不安になってしまいますが、焦らずに上記のコツを試してみましょう。

ただし、繰り返し手を握ったり開いたりする行為はカリウム値に影響を与える可能性があります。そのため、カリウムを測定する採血の場合には、実施しないよう注意してください。

採血中の内出血予防のコツ

採血中に起こりやすい合併症の1つに内出血があります。内出血はときに皮下血腫につながるおそれがあるため、すばやい処置が必要です。
内出血を起こさないために、以下のポイントを意識しましょう。

  • 穿刺後に針先で血管を探さない
  • 採血中は腕を動かさないようにしてもらう
  • 採血中は針が動かないよう十分に固定する
  • 採血後は十分に止血する

血管が細く弱い患者さんや抗血栓薬内服中の患者さんは出血しやすいため、内出血を引き起こしやすい状態です。上記のポイントを意識して、なるべく太く弾力のある血管に穿刺するようにしましょう。

採血時の注意点とケアのコツ

採血は、抜針後検体を採取できたら成功というわけではありません。

採血後に起こりうる合併症について理解し、侵襲を最小限にとどめるための観察やケアを行うことも看護の1つです。
最後に、採血時の注意点とケアについて紹介します。

止血困難・皮下血腫

採血後に起こる皮下血腫は、十分な止血が行われないことで起こります。

たとえば、抗凝固薬や抗血小板薬内服中、また易出血傾向の患者さんは、通常よりも時間をかけた止血処置が必要です。止血が不十分だと、重度の皮下血腫やコンパートメント症候群のリスクがあり、手術などの侵襲的処置が必要になってしまいます。

一般的な止血時間は5分程度といわれていますが、出血リスクの高い患者さんの場合は、5分以上の時間をかけ止血することが大切です。止血できたかを最後まで確認しましょうまた、動脈誤穿刺は避けるように慎重に穿刺する必要があります。

「止血の方法について患者さんに伝える看護師

アレルギー

採血で起こるアレルギーは、消毒薬やラテックスなどの物品に誘発され発症することが多いと考えられています。アレルギーを予防するには、採血実施前にアルコール綿やラテックスアレルギーの既往がないか確認しましょう。

採血中や採血後にアレルギー症状が出現した際は、すぐに医師へ報告し患者さんのバイタルサインを測定します。アナフィラキシーショックを呈した場合は、迅速な救命処置が必要です。医師への報告や救急カートのほか、AEDの持参などほかのスタッフへ応援を呼びかけ対応しましょう。

神経損傷

採血時の神経損傷に関する報告は稀ではありますが、神経分布や血管の走行を正しく理解していないと神経損傷を起こす可能性があります。なかでも、第1〜4指に疼痛や痺れを誘発させる正中神経損傷の発生が多く、引き起こすと患者さんのQOLに影響するため注意が必要です

予防のコツは、近くを走行する尺側・正中皮静脈を深い位置で穿刺しないこと。また、浅い角度での穿刺や針の長さが短い翼状針の使用を検討することです。

血管迷走神経反応(VVR)

採血中にたびたび見られる合併症として、血管迷走神経反応(VVR)があります。迷走神経の興奮に伴う血圧の低下、徐脈により脳への酸素供給が不足し起こる合併症です。採血に対する極度な不安といった精神的ストレスが関係していると考えられています

予防のコツは、事前の水分摂取やリラックスできる環境づくりなどです。過去に同様の出来事があった場合、トラウマ体験となって発症しやすくなります。万が一迷走神経反射が起こった場合、椅子から転落するおそれがあるため、臥位を取るなど工夫しましょう。患者さんが安心できるような声かけも大切です。

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