
「助産師の仕事に興味がある」「将来助産師になりたいと考えている」という方もいるかもしれません。助産師は、妊産婦と新生児のケアを行い出産に立ち会える数少ない職種です。本記事では、主な仕事内容以外にも年収・給料相場についても解説しています。看護師との違いや国家試験の概要についても紹介しているため、ぜひ最後までご一読いただき参考にしてください。
助産師とは妊産婦への指導や分娩介助、新生児ケアを担い、女性と家族のライフイベントを支える専門職を指します。正常な経過の分娩であれば、医師の指示なしに自身の責任で介助や保健指導を行うことが可能です。業務範囲は広く、育児指導や不妊治療、思春期の性の相談などに関わることもあります。かつては自宅出産(お産婆さん)を支えていましたが、戦後は病院での活動が主流となりました。また助産婦と言われることもありますが、現在では助産師が一般的です。
助産師として働くには国家資格を取得する以外にも、女性であることが条件です。日本では、法律により男性は助産師になることが認められていません。資格の根拠法は「保健師助産師看護師法」であり、助産行為は、医師と助産師のみに許可された業務独占となります。
助産師の主な就職先は以下のとおりです。
| 就業場所 | 割合 |
| 病院 | 64.2% |
| 診療所 | 22.1% |
| 助産所 | 5.8% |
| 看護師等学校養成所又は研究機関 | 4.2% |
| 市区町村 | 2.4% |
引用:厚生労働省「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
助産師の約9割は医療機関に就職し、最も多い勤務先は病院で全体の約6割を占めます。助産所で働く助産師は全体の約6%にとどまっているのがわかるでしょう。また、助産師には開業権がありますが、実際に開業している人は1割未満です。
助産師の仕事は、出産の介助や出産前後の母体ケア、新生児のケアや妊産婦への健康指導が中心です。妊娠期から出産、産褥期(産後)に至るまで、母子双方の健康を守り、支援する役割を担います。
分娩の介助は、助産師の業務の中核をなす大切な役割です。正常分娩の場合、医師の指示を待たずに助産師の専門的判断で介助を行うことが認められています。医師が不在の状況では、助産師が主体となって分娩の進行を管理しなければいけません。そのため、的確なアセスメント能力(判断力)と高度な専門スキルが不可欠です。
妊娠中に、妊婦への保健指導や相談対応を通じて、安全・安心に出産までを過ごせるよう支援することも重要です。出産後は、産婦の母体の回復を促すためのケアも行います。産婦に対し、授乳が軌道に乗るように授乳方法の指導など具体的なサポートをすることも役割の一つです。特に初産婦が安心して育児をスタートできるよう、心身両面から支えることが大切だと言えるでしょう。
妊娠中の栄養管理や体重コントロール、適切な運動など、日常生活に関する指導も仕事内容の一つです。両親学級など出産準備教育を通じて、分娩に向けた呼吸法やリラックス法を指導することもあります。産後の母体の健康管理やセルフケアの方法、メンタルヘルスの維持について助言することは助産師の大切な役割だと言えるでしょう。また、退院後の生活や、家族計画(避妊)に関する情報提供および相談も担います。
出産直後の新生児に対し、全身状態の観察やバイタルサインの測定も業務の一つです。出生直後の赤ちゃんは状態が不安定になりやすいため、高度な観察力と医学的知識が求められます。新生児の体を清潔に保つための「沐浴」を実施することも大切です。家族が退院後も自宅で沐浴を行えるよう、両親への沐浴指導も行います。
厚生労働省の職業情報サイト「助産師」と「看護師」によると、それぞれの年収・給料相場は以下のとおりです。
| 職種 | 月給(円) | 年収(円) |
| 助産師 | 29万1,000円 | 580万6,000円 |
| 看護師 | 26万円 | 519万7,000円 |
助産師の年収は看護師より約61万円高く、月給で見ても約3万円上回っていることがわかります。この差は、出産管理や分娩介助などの高度な技術が多い点や、資格の希少性や難易度が関係しているようです。表の金額は平均値であり、地域や年齢、勤続年数でも変動するため参考程度にとどめましょう。
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助産師と看護師は、仕事内容以外にも給料や資格などの違いがあります。それぞれの違いをまとめました。
助産師は正常分娩に限り、医師の指示を待たずに分娩介助を行えます。しかし、看護師は分娩介助は行えません。また、助産師には助産院の開業権があり、独立して業務を行えます。助産師は、主に周産期における女性と新生児のケアを専門とする仕事です。
一般的に、看護師と比較して助産師の給与は高い傾向にありますが、これは専門性の高さによるものです。勤務先や経験年数、夜勤回数などによって給与は大きく変動します。助産院を開業した場合、経営状況によっても収入に大きな差が生じるでしょう。詳しい金額は
前述した「助産師の年収・給料相場」を確認してください。
助産師免許の取得には、看護師免許の国家試験合格が必須条件です。助産師国家試験に合格しても、看護師国家試験が不合格の場合は助産師にはなれません。また、助産師になるための条件として、女性であることが保健師助産師看護師法で定められています。
助産師になるには、国家試験に合格しなければいけません。ここでは、国家試験の概要や受験資格、合格率についてまとめました。
助産師国家試験は毎年1回、看護師国家試験と近い日程で実施されることが多いです。出題基準は、基礎助産学・助産診断・技術学・地域母子保健・助産管理の項目で構成されています。試験内容は、社会背景や助産師の役割、分娩時の管理・ケア、関連法規など多岐にわたり専門知識が問われます。
受験資格を得る前提として、看護師国家試験に合格していなければいけません。高校卒業後、看護系大学や短大、専門学校で専門教育を修め、看護師国家試験合格を目指します。看護系大学で助産師選択課程を選択した人は、所定の過程修了後に受験資格が得られる仕組みです。その他の場合、看護系大学院(2年間)または専攻科・別科、助産師養成所(1年間)で専門教育を修了しなければいけません。
厚生労働省のデータによると、合格率は非常に高い水準にあります。第108回助産師国家試験合格発表では、98.9%と9割以上の人が合格していました。毎年98%前後の合格率を推移しており、受験資格を得て学習を深めていれば決して難しくない資格だと言えます。
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助産師は、母子の健康をサポートすること以外にも、赤ちゃんが誕生する瞬間に大きなやりがいを感じられます。
生命誕生という感動的な瞬間に立ち会い、母子の健康と安全をサポートできることは大きなやりがいです。妊産婦やその家族にとって人生の一大イベントに、最も近くで関われる役割を担えます。信頼関係を構築した妊産婦が安心感を持って出産に臨めるようサポートしなければいけません。
助産師の仕事の中でも、「生命の誕生」という、何度立ち会っても感動的な瞬間に深く関われることは大きなやりがいの一つだと言えるでしょう。元気な赤ちゃんが生まれたときの喜びを共有できることは何物にも代えがたい瞬間です。母子の健康と安全のサポートを通じて、出産という特別な瞬間を支える役割を担います。
助産師として勤務する際は、迅速な対応力が求められます。また、時にはつらい場面と向き合わなければいけないことを理解しておきましょう。
出産のタイミングは予測が難しいため、深夜でもお産が始まったら休む間もなく迅速な対応を求められます。生活リズムが崩れやすく、体力的にきつい場面が多く、体調を崩しやすい職業だと言えるでしょう。就業場所によっては残業があるだけでなく、休日や夜間の呼び出しにも対応しなければいけません。分娩介助中は同じ姿勢で1時間以上過ごす場合もあり負担が大きいため、休日にしっかり休息を取ることが重要です。
命と向き合う職業であるため、流産や死産、中絶手術といった辛い状況にも立ち会うこともあります。経過が順調であっても、出産には大きな負担がかかるため、妊婦さんの急変が多く、緊急の対応を求められる場合があるでしょう。つらい場面に立ち会うことが精神的にきついと感じる助産師も多く、気持ちの切り替えが求められます。
助産師は向上心がある人や女性に寄り添える人、赤ちゃんが好きな人には向いています。ここでは助産師に向いている人の特徴を4つまとめました。
助産師として専門性を高めるため、最新の知識や技術を積極的に吸収する意欲がある人に向いています。日々変化する医療情報や社会背景に対し、自己研鑽を怠らず成長することが大切です。自身のスキルアップが、安全で質の高い助産ケアの提供に直結します。職場の研修や外部のセミナーに積極的に参加し、学びを継続できることが重要だと言えるでしょう。
妊娠・出産・育児における女性の多様な感情や状況を理解し、共感的に接することが大切です。身体的なケアだけでなく、精神的なサポートを通じて女性の自己決定を尊重しなければいけません。一生に一度のライフイベントに立ち会うことに対し、責任感と喜びを感じられる人に向いていると言えるでしょう。
新生児特有の繊細なケアに対し、細やかな注意と愛情をもって対応できる人は助産師に向いています。赤ちゃんの成長と発達を心から喜び、それをサポートすることにやりがいを感じられるでしょう。新生児の状態変化を的確に察知し、迅速な判断が求められることもあります。新しい命の誕生という感動的な瞬間に立ち会うことに、大きな魅力を感じる人に向いている仕事です。
分娩介助は時間が読めず、長時間に及ぶため、体力的な負担が大きくなります。命に関わる状況や突発的な事態に直面しても、精神的なプレッシャーに負けず冷静に対応できる力が必要です。夜勤や不規則な勤務体制の中でも、体調を崩さないように自己管理が求められます。
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助産師はきつい仕事?大変といわれる理由ややりがい、向いている人を解説!
ここでは助産師に関するよくある質問をQ&A方式で回答します。
現在の日本の法律(保健師助産師看護師法)により、助産師の資格取得は女性のみに限定されています。助産師が女性のデリケートな部分を扱う職種であるという特性が、男性助産師実現の批判的な意見の一つです。したがって、現状では男性は助産師にはなれません。
助産師が、医師の指示なしで単独で行えるのは正常分娩の介助のみです。帝王切開や会陰石灰、陣痛促進剤の使用などの医療行為を単独で行うことはできません。またハイリスク妊娠(多胎、逆子、合併症を伴う妊娠など)の介助や、母子に異常がある場合の処置、異常分娩や緊急時の処置も助産師単独では行えません。
日本は、出生数自体は減少傾向にあるものの、「出産」という行為自体がなくならないため、助産師の需要は下がらないと見られています。産科医不足の医療現場では、助産師へのニーズが高まっており、活躍の場が広がっているのが現状です。近年、産後ケアや不妊治療といった新たな分野で助産師の需要が増加しています。
助産師外来は、妊婦さんの健康管理と保健指導が主な業務内容です。妊婦さんが充実したマタニティライフを過ごせるように、心身両面からサポートを行います。妊娠時から病院の助産師と継続的にコミュニケーションを取り、信頼関係を構築する場でもあります。妊産婦が安心して出産に臨めるよう支援を提供し、助産師にとってもじっくり関われる重要な場である。
助産師とは、妊産婦への指導、分娩介助、新生児ケアを担い、女性と家族のライフイベントを支える専門職です。助産師は、女性のライフイベントや子ども好きな人、向上心がある人には向いている職種だと言えます。
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