
入院中の患者さんは、疾患の症状からくる食欲の低下や環境の変化に伴い栄養状態が悪くなることがあります。栄養状態が悪くなると、疾患の増悪や、筋肉量が減ることによる転倒リスクの増加へと繋がります。
栄養状態を良好に保つため、定期的に患者さんの栄養状態を評価し、適切な方法で栄養を補充することが重要です。
経管栄養には経鼻、胃ろう、腸ろうなどの種類がありますが、本記事では経鼻経管栄養について解説します。

経鼻経管栄養とは、鼻から挿入したカテーテルを介して消化管内に栄養剤や水分を注入する方法です。消化機能に異常はないものの、意識障害や嚥下障害等の理由で経口摂取が困難な患者さんに対して実施します。
経鼻経管栄養は、手術が必要なく挿入が簡便である点、腸から栄養を吸収させることで、腸粘膜の萎縮を予防し、粘膜バリア機構・消化管機能を維持できる点がメリットです。
経鼻経管栄養には、以下の2種類があります。

経鼻十二指腸(空腸)ルートは、栄養剤の逆流が起こりにくいのが特徴です。
栄養チューブ挿入済みの患者さんを想定し、経鼻経管栄養の必要物品と手順を説明します。
1.指示書の確認
医師に指示された栄養剤を準備します。
2.物品準備
この際、投与ラインの先端がシンクに付かないように投与ラインをまとめるなど、清潔に留意しましょう。
3.経腸栄養剤の準備
栄養剤を人肌程度に温めます。
滴下筒の半分まで栄養剤を満たしてからクレンメを開き、投与ラインの先端まで栄養剤を満たします。
4.患者さんのもとへ向かい、体位を整える
5.栄養チューブの位置確認
胃部に聴診器をあて、カテーテルチップで空気を胃内に送り、気泡音を聴取します。その後、カテーテルチップシリンジで胃内容物が吸引できたら、チューブ先端が胃に入っていることが分かります。空気による腹部膨満を防ぐため、胃内容物を吸引する際に、注入した分の空気も吸引しましょう。ほかにも、きちんと栄養チューブが固定されているか、挿入されている長さは正しいか、口腔内でとぐろを巻いていないかをチェックします。
6.栄養チューブと投与ラインを接続し、滴下を開始
7.注入終了後、栄養チューブを白湯にてフラッシュする
これにより栄養チューブの内腔を洗い流し、残存した栄養剤で起こるチューブの閉塞や感染を防ぎます。
8.患者さんの体位を整える
終了後30〜60分は嘔吐や逆流による誤嚥を起こしやすいため、臥位にならないようにします。
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経鼻経管栄養を実施する際は、仰臥位ではなく座位または30度以上のファウラー位にします。必ずギャッジアップさせ、胃食道逆流や誤嚥を予防しましょう。

ただし一番大切なのは、患者さんとって安楽な体位かどうかという点です。患者さんが苦痛を感じる姿勢だと、注入中に体位が崩れたり経鼻チューブの抜去に繋がったりすることがあるためです。
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胃の構造と経管栄養終了後のギャッジアップ時間
疾患や患者さんの状態に応じギャッジアップの角度について
経鼻経管栄養の注入中は、患者さんの全身状態に加え、以下の項目を確認しましょう。
上記に加え、病室の空気を入れ替えたり患者さんの手元にナースコールを置いたりと、環境調整も大切です。栄養剤注入後は、排ガスや排便の有無を確認します。
患者さんのバイタルサインの変化によって、経鼻経管栄養の注入を中止することがあります。
明らかな血圧低下のほか、発熱(38℃以上)、SpO2低下、腹部膨満症状出現などの場合は、主治医へ報告しましょう。長期臥床している患者さんだと、急なギャッジアップに伴う血圧低下も考えられます。
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経管栄養時に頭部挙上してはいけない場合
経鼻経管栄養を実施している患者さんは、下痢や悪心・嘔吐など消化器系合併症が起こることがあります。中でも最も多い合併症は下痢です。下痢の原因と対策は以下のとおりです。
| 原因 | 対策 |
| 注入速度が速く、腸のぜん動運動が促進される | 投与開始時はゆっくりとした速度とし、徐々に速度を上げていく |
| 栄養剤の温度が低く、腸のぜん動運動が促進される | 栄養剤は冷蔵庫から出してすぐのものではなく、室温に戻して投与する |
| 栄養剤が細菌汚染されている | ・開封状態で室温保存しない・投与器具を適切に洗浄する |

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経管栄養剤の使い分け
経鼻経管栄養を実施する患者さんの口腔ケアについて説明します。ケアは、栄養剤注入前に済ませるか、もしくは嘔吐を避けるため注入後に時間を置いて、空腹時に行います。
経鼻経管栄養中の患者さんは口から食べ物を摂りませんが、この場合でも口腔ケアは重要です。理由は以下のとおりです。

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口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防になる理由
24時間経管栄養投与中の口腔ケア
口腔ケアは、歯や舌の清掃だけでなく、マッサージや保湿も含みます。
患者さんの意識レベルや状態に合わせて口腔ケアを実施しましょう。たとえば、嚥下機能が低下している場合は誤嚥を避けるため水分をなるべく少なくする、含嗽ができない場合は口腔ケア用ティッシュで拭き取るなどです。

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