
疼痛は、身体的にも精神的にも大きな苦痛をもたらします。看護師は、患者さんの疼痛をコントロールすることはもちろん、患者さん自身が疼痛コントロールの必要性や方法を理解できるよう、包括的な看護ケアを提供することが大切です。
この記事では、疼痛コントロールの基礎知識や看護ケアをはじめ、臨床で活かせる看護計画までご紹介します。疼痛コントロールにまつわる知識を習得し、患者さんが安楽に過ごすための参考にしてください。

疼痛は患者さんの生活の質(QOL)に直結します。看護師は患者さんの痛みを正しく評価し、寄り添ったケアを行うことが大切です。
ここからは、疼痛コントロールで看護師が押さえるべきポイントについて解説します。
疼痛コントロールとは、痛みの種類に合わせて多角的な視点を持って疼痛緩和に取り組むことです。そのため、単に疼痛を緩和するケアではありません。
たとえば、疼痛が出現すると、呼吸促迫や血圧・脈拍の上昇などバイタルサインに影響が出て、症状の増悪につながる危険性もあります。そのため、痛みを取り除くことだけに焦点をあてるのではなく、あらゆる視点からケアすることが大切です。
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疼痛コントロールを行う必要性や対応について知りたい
疼痛には大きく分けて、以下の3つの種類があります。
疼痛は患者さんの身体・精神的な苦痛を知らせるサインです。次の章で詳しく触れますが、疼痛の種類や特徴を正しく理解することは、疼痛コントロールのための第一歩といえます。
次に、疼痛の病態生理と原因について解説します。
前述した3種類の疼痛について、それぞれの特徴と原因をまとめました。
擦過傷や打撲、骨折などの炎症や組織の損傷により、受傷部位にブラジキニンやプロスタグランジンなどの疼痛誘発物質が発生して起こる痛みです。これらの物質が末梢神経にある侵害受容器を刺激し、疼痛が生じます。体性痛と内蔵痛があり、患者さんが感じる多くの痛み(主に急性疼痛)がこの侵害受容性疼痛に分類されます。
国際疼痛学会神経障害性疼痛分科会では、神経障害性疼痛を「>体性感覚神経系の病変や疾患によって引き起こされる疼痛*1」と定義しています。末梢神経から大脳までの侵害情報伝達経路のいずれかに、病変や疾患が存在する際に生じる疼痛です。
不安やストレスなどの精神的問題により生じる疼痛を指します。自律神経や内分泌系のほか、免疫系に不調をきたすことで起こり、疼痛によりさらにストレスが増強する場合も珍しくありません。
上記3つの疼痛は単独で現れることもあれば、複数が関与しているケースもあります。疼痛が生じるメカニズムを理解し、種類に合わせた疼痛コントロールを行うことが必要です。
疼痛コントロールにおいて大切なのは、患者さんの苦痛を取り除くための段階的な目標を設定することです。
疼痛コントロール時の目標としては、大きく以下が挙げられます。
上記の目標がすべて達成されることが一番ですが、患者さんによってはなかなか疼痛をコントロールできないこともあるでしょう。その場合には、患者さんの望む疼痛コントロールを一緒に考え、少しずつ痛みを緩和しながら安楽に生活が送れるよう、段階的に目標を設定することが大切です。
疼痛の病態生理や疼痛コントロールの目的について理解できたところで、次は疼痛コントロールにおける看護の視点について解説します。
疼痛コントロールにおいて大切なのは、客観的かつ的確な評価およびアセスメントを行うことです。ひとくちに疼痛といっても、患者さんの疼痛への閾値や既往歴などにより、感じ方はさまざまです。さらに、看護師によって評価やアセスメントに偏りがあると、正確な評価や問題提示が難しくなります。そのため、あらゆる情報を集めて疼痛を評価・アセスメントすることが大切です。
この章では、疼痛コントロールにおける看護を実践するうえで必要な、看護の視点や情報について解説します。
疼痛部位や範囲の観察は、疼痛を引き起こす原因を特定するために欠かせない情報の1つです。
評価の際に念頭に置きたいのは、患者さんは最も強い疼痛部位のみを訴えることがあるという点です。しかし疼痛には、関連痛のように原因とは異なる部位に疼痛が出現している可能性もあります。患者さんが訴える場所以外にも痛みが発生していないか、どの範囲で痛みが出現しているのかまで確認する必要があるのです。
疼痛を評価するときには、疼痛を感じる部位や範囲だけを観察するのではなく、疼痛のメカニズムを把握したうえで、多角的にアセスメントすることが大切です。
疼痛の原因や経過の評価において、疼痛パターンと頻度の情報も重要な指標です。痛みがどのような状況で起こるのか、どのくらい続くのかを確認する必要があります。痛みの出方や頻度によって、考えられる原因が異なります。痛みの出方によっても疼痛コントロールの介入方法が変わるため、誤った評価をしてしまうと正しい鎮痛効果を得られない可能性があります。疼痛が出現するパターンや頻度を観察し、疼痛を的確に評価しましょう。
疼痛が増強すると、血圧上昇や心拍数の増加、呼吸数の増加などのバイタルサインに変化が生じます。
痛みは、患者さんによって感じ方が異なります。そのため患者さんの訴えのみで評価してしまうと、客観的な評価が難しくなり、適切な介入ができなくなる恐れがあるため注意しましょう。
疼痛に随伴する身体・精神的症状を正しく評価したうえで、バイタルサイン測定による情報や疼痛評価スケールを併用すると、より正確に疼痛の程度を評価できるでしょう。
疼痛を客観的に評価するためには、バイタルサイン測定とあわせて疼痛評価スケールの使用が大切です。主に使用されている疼痛評価スケールは以下の2つです。
ここからは、上記2つの評価スケールの特徴や使用方法について解説します。
NRSは、痛みを0〜10の11段階に分け、患者さん自身に疼痛のレベルを指し示してもらうスケールです。0が痛みなし、10が今までに経験した痛みや想像できる最大の痛みとして評価します。
フェイススケールは、人の表情によって痛みを6段階に分類し評価するスケールです。表情で分けられているため、小児や高齢者のほか、認知症患者などNRSの理解が困難な場合も使用しやすく、汎用性が高いスケールといえます。

ここからは、患者さんが安楽に過ごすための疼痛コントロール方法について解説していきます。看護師として日々のケアに活かせる内容をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
疼痛を緩和させるため、まず最初の選択肢として挙がるのが薬物療法です。疼痛コントロールで主に使用される薬物療法には以下の種類があります。
| 薬剤 | 特徴 |
| 非オピオイド鎮痛薬 | 軽度〜中等度の疼痛に選択されアセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)などがある |
| オピオイド鎮痛薬 | 医療用麻薬として急性疼痛やがん性疼痛などに選択される |
| 鎮痛補助薬 | 抗てんかん薬や抗うつ薬などの神経障害性疼痛に対して選択されることが多い |
| 神経ブロック | リドカインなどの局所麻酔薬やオピオイドを用いた硬膜外麻酔など、術後の疼痛管理で用いられることが多い |
疼痛に対する介入方法は、状況や疼痛の種類によってさまざまです。薬剤を処方するのは医師ですが、患者さんの全身状態や疼痛の様子を的確に評価したうえで、薬効の評価を含めたケアを行うのが看護師の大切な役割といえます。
療養環境の調整は、薬物療法と並行して行うケアの1つです。
看護師は、住み慣れた自宅を離れ病室で療養する患者さん、自宅で療養する患者さんなど、さまざまな環境下で生活する患者さんと関わります。患者さんが療養する場が生活の場であるため、生活のしづらさから疼痛が増強しないよう、療養環境を調整することが必要です。
たとえば、患者さんの疼痛の程度やADLに合わせて、ベッド周りの環境を整えるなど、患者さんの要望を聞いて療養環境を調整しましょう。
疼痛は自律神経系にも影響を及ぼします。疼痛により精神的ストレスが生じることがあれば、精神的ストレスにより疼痛が生じることもあり、疼痛と身体・精神的側面の関連性は非常に高いのです。
たとえば、疼痛により交感神経が優位となると、末梢血管や筋肉が収縮し、末梢循環が低下し疼痛が増強することがあります。適切な薬物療法とあわせて、精神的ストレスを緩和できるよう、細やかなコミュニケーションやタッチングのほか、疼痛の状態に応じて温・冷罨法などの看護ケアを並行しましょう。

ここからは、疼痛コントロールが必要な患者さんの看護計画を2例ご紹介します。
疾患や状態、また疼痛コントロールの必要性は患者さん一人ひとり異なります。患者さんの個別性に合わせ、看護計画を立案することが大切です。
術後は急性疼痛が生じる時期のため、疼痛コントロールによる鎮痛や創傷治癒促進に焦点をあてて看護計画を立案しましょう。このケースでは「疼痛コントロールを受けることで、安楽に過ごせる」として、以下の計画を立案します。
【O-P(観察)】
【T-P(実施)】
【E-P(教育)】
術後の急性疼痛に対し、疼痛コントロールがもたらす効果を説明し、疼痛を我慢せず安楽に過ごせるような計画を立案するのがポイントです。

がん性疼痛の場合、1日の大半を占める持続痛と、疼痛が一時的に増強する突出痛を適切にコントロールすることが求められます。このケースの看護目標は「がん性疼痛がコントロールされQOLが維持・向上する」とし、以下のように計画を立案します。
【O-P(観察)】
【T-P(実施)】
【E-P(教育)】
がん性疼痛の特徴を踏まえたうえで、患者さんが安楽に過ごすためにどのようなケアを求めているかという視点を持ち、個別性に配慮した看護計画を立案しましょう。

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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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