
「有料老人ホームの看護師が提供可能な医療行為はどこまで?」と疑問に感じている看護師の方は多いのではないでしょうか。
有料老人ホームでは医師が常駐しておらず、看護師の判断で医療行為を提供しなければならない場面が多いです。
ここでは有料老人ホームの看護師が対応できる医療行為の範囲や、医療行為に該当しないケア、医療行為を提供する際の注意点などについて詳しくご紹介していきます。
この記事を最後まで読み終えていただければ、安心して有料老人ホームの看護師として働くことができるでしょう。
有料老人ホームへの転職を視野に入れている方はぜひ参考にしてください。
厚生労働省の「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」によると、医療行為について「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為」と定義しています。
したがって、医師、歯科医師、看護師等の免許を有しない者による医療行為は禁止されています。
ここでは看護師が対応できる医療行為と、対応できない医療行為について解説するので比較してみましょう。
絶対的医療行為は高度で危険を伴う行為のため、医師または歯科医でなければ行うことができません。絶対的医療行為の例は、下記のとおりです。
これらの医療行為は医師の指示の有無に関わらず、看護師が提供することが認められていないので注意してください。
相対的医療行為は医師が自ら行わなければならないほど危険を伴う行為ではないため、診療補助行為として看護師で提供できます。
相対的医療行為の例としては、尿道カテーテルの挿入や酸素投与の開始・中止などが該当するでしょう。
また、特定看護師の研修を受けた場合、医師の手順書に基づいて下記のような特定行為を行うことが可能です。
特定行為は21区分38行為に分類され、区分ごとに研修を受ける必要があります。
有料老人ホームで求められる特定看護師を目指す場合、内容をしっかり見極めたうえで選択することが重要です。
有料老人ホームで看護師が対応できる医療行為の例は以下のとおりです。
それぞれの医療行為の特徴や注意したいポイントもお伝えしていくので参考にしてください。
血糖値を下げるために1日数回注射しなければなりませんが、食事量や体調によって血糖値が下がりすぎてしまうこともあります。
低血糖は放置すると命に関わるため、看護師による観察や低血糖時の対応が求められるでしょう。
ただし、ご家族や本人がインスリン注射を持ち込み、医師の指示が確認できない場合、看護師は対応できません。
喀痰吸引は、看護師もしくは認定特定行為業務従事者の認定を受けた介護福祉士のみ行えます。
ただし、喀痰吸引が必要な方は、吸引回数や時間帯によって受け入れの可否が決まります。
日中に数回程度であれば、看護師が日勤で常駐する有料老人ホームで対応できるでしょう。
夜間も喀痰の吸引が必要で、対応可能な職員がいなければ、入居を受け入れないケースも少なくありません。
在宅酸素は、慢性呼吸不全や慢性心不全などの入居者様に行います。
有料老人ホームは、在宅酸素に対応できることがほとんどです。
ただし、労作時に酸素投与量が3L/分以上必要な場合、対応が難しいケースもあるので、あらかじめ施設に確認しておきましょう。
経管栄養は、食事の経口摂取が難しい方や、誤嚥性肺炎を繰り返している方に対して、胃や腸に栄養を直接注入する処置です。
看護師もしくは認定特定行為業務従事者の認定を受けた介護福祉士のみ行えます。
入居者様に負担をかけないように注入速度に配慮するほか、胃ろう周囲の皮膚トラブルにも対応する必要があるでしょう。
皮膚トラブルが生じた際は、皮膚科を受診して軟膏を処方してもらいます。
長時間寝たきりで過ごしている方や、自分で身体を動かしにくい方は、褥瘡を好発しやすいです。
褥瘡の処置を誤ると、皮膚の壊死や傷口からの感染を起こします。
処置に必要な軟膏は医師に処方してもらうほか、受診のタイミングを逃さないことが大切です。
人工肛門や人工膀胱を造設した方は、排せつ物が溜まったストマパウチを定期的に交換しなければなりません。
ストマパウチを貼っている部分の皮膚は、常に負担がかかっているので、テープや装具によるかぶれ、感染症のトラブルが起こることも珍しくありません。
有料老人ホームの看護師はストマパウチの交換時に皮膚の観察やケアを行い、皮膚の状態に合わせて受診につなげます。
医療行為に該当しないケアは看護師や介護スタッフでも実施できます。
厚生労働省の「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」によると、医療行為に該当しないケアは下記のとおりです。
また、入居者様の状態に異常がなく、専門的な管理が必要でない場合のみ、下記のように提供できるケアもあります。
浣腸は直腸穿孔やショックのリスクを伴うため、病棟では医師の指示に基づいて行うケースが多いです。
看護師判断で浣腸を実施しない施設もある点に注意してください。
医師法に違反して医療行為を提供すると、「3年以上の懲役もしくは100万円以下の罰金」という厳しい刑罰を科せられるおそれがあります。
看護師が有料老人ホームで医療行為を行う際の注意点は下記のとおりです。
医師が常駐していない有料老人ホームで医療行為を提供する際は注意しましょう。
人工透析に対応している施設はきわめて少ないでしょう。
もしも透析を必要としている入居者様がいる場合、透析設備のある病院やクリニックに通院するのが一般的です。
有料老人ホームの看護師は、病院やクリニックと連携しながら、塩分を控えた食事や水分量の管理などに対応します。
施設ごとに対応できる医療行為の範囲は異なります。
本来、住宅型有料老人ホームには看護師の常駐義務がありません。
しかし、看護師を配置し、医療行為に対応している施設も増えつつあります。
また、施設内で医療行為の提供が難しい場合、外部の事業所を利用して提供するケースもあるでしょう。
施設の設備と共に、対応可能な医療行為を把握しておくことで、入職後のミスマッチを防げます。
看護師は医師の指示に基づいて医療行為を提供しなければなりません。
有料老人ホームにおいて医師の指示は下記のように出されます。
医師の指示がない場合、ご家族や入居者様本人からの要望があっても対応できないので注意が必要です。
看護師が医療行為を提供するには、医師の指示が欠かせません。
すぐに医師の指示を確認できる施設や、医療行為を提供しやすい環境が整っている施設なら、看護師側の安心感につながるでしょう。
ここでは、医療体制が整っている介護施設の特徴を紹介します。
同じ建物や敷地内に医療機関が併設されていれば、入居者様の急な体調不良が生じても、受診しやすいです。
特に入院設備のある医療機関であれば、スムーズにベッドを確保してもらえる可能性があります。
介護付き有料老人ホームや介護老人保健施設、特別養護老人ホームなどは日中のみ看護師の常駐が義務付けられているものの、夜間の常駐は義務付けられていません。
しかし、中には看護師が24時間常駐している施設もあり、夜間でも医療行為を提供できます。
看護師としてのスキルを発揮しながら活躍したい方にぴったりです。
運営母体が医療法人である介護施設は、介護老人保健施設や介護医療院が挙げられます。
母体病院から医師が往診に来てもらえるので、入居者様の急変が生じた際も安心です。
また、病院と同じような研修が受けられるため、一般的な介護施設に比べて医療的スキルや知識が身に付きやすいでしょう。
ここでは、有料老人ホームで働く看護師の医療行為についてよくある質問について詳しくご紹介していきます。
住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームでは看護師の配置が義務付けられていません。
一方、介護付き有料老人ホームは都道府県から「特定施設入居者生活介護」と指定されており、下記のような看護師の配置が義務付けられています。
| 入居者様が要支援の場合 | 入居者様10名に対して看護師1名以上 |
| 入居者様が要介護者の場合 | 入居者様3名に対して看護師1名以上 |
また、要介護者30名までは1名、30名を超える場合は50名ごとに1名の看護師が必要です。
夜間は看護もしくは介護のスタッフが1名以上配置すれば良く、必ずしも看護師が配置されなければならないわけではありません。
有料老人ホームでも、医師の手順書があれば特定行為を提供することができます。
しかし、介護医療院や介護老人保健施設のように、積極的に医療行為を提供する場面は少ないため、専門性を発揮しにくいと感じる可能性もあるでしょう。
スキルアップのための自己学習や資格取得を検討しているなら、認知症看護の認定看護師もおすすめです。
医師法によって、看護師は絶対的医療行為を提供することができません。
医師の指示に基づいて、インスリン注射や在宅酸素、褥瘡の処置といった医療行為を行うことができます。
バイタルサイン測定や軽微な創傷の処置は医療行為に該当しないので、看護師だけでなく介護スタッフも対応可能です。
また、医療機関が併設されている施設や運営母体が医療法人の施設なら、勤務する看護師の安心感につながるでしょう。
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