有料老人ホームで働く看護師の体験談!仕事のやりがいと大変なことも紹介

2023.6.16

車いすに乗っている高齢女性を後ろから押す女性看護師のイメージ

「有料老人ホームへの転職を検討しているので、実際に働いている人の話を聞いてみたい」と考えている人は多いのではないでしょうか。ここでは、老人ホームで実際に働いていた筆者の経験から体験談や、働いてみて感じたメリット・デメリットなどについて詳しくご紹介していきます。

この記事を最後まで読み終えていただけたら、有料老人ホームで働くイメージを持つのに役立ちます。有料老人ホームへの転職を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。

有料老人ホームで看護師が担当する仕事内容とは?

有料老人ホームにおける入居者様の1日のスケジュールはおおよそ決まっているので、看護師の業務のタイミングも入居者様のスケジュールに合わせて行います。看護師が担当する主な業務は以下のとおりです。

健康管理入居者様の体温や血圧測定などVS測定、体調の変化がないか確認
医療行為経管栄養、痰吸引、ストーマの吸引、カテーテルの処置、インスリン注射
介護業務食事や入浴、排せつなど

身体介助は主に介護職員が行うため、看護師はほとんど行わない施設が多いです。また、看取りやターミナルケアに対応している施設では、看護師がケアを行います。具体的な業務内容は施設によって異なるため、転職前によく確認しておくと良いでしょう。

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介護付き有料老人ホームで実際に働いた体験談

「有料老人ホームで働くイメージが中々できない」という方は少なくありません。そこで、実際に介護付き有料老人ホームで働いた看護師の体験談をご紹介していきます。

メイン業務は入居者の健康管理や医療ケア

筆者が実際に行っていたことは、入浴後の皮膚処置や経管栄養、インスリン注射、痰の吸引です。中には、皮膚がんで肉芽腫を形成している方もおり、ガーゼ交換や軟膏塗布に対応していました。肉芽腫から多量出血のリスクが高かったため、慎重に処置をしなければなりませんでした。また、運動量や活動量の低下などによって便秘を起こしている方も多く、摘便や浣腸、座薬の投与なども欠かせない看護業務です。

さらに、心不全で下肢にむくみのある利用者が倦怠感で臥床している際に、コミュニケーションを取りながらゆっくりマッサージする時間も確保できました。病棟では忙しさからむくみ解消は利尿剤に頼りがちでしたが、施設では薬に頼らずQOLの向上を目指せるのでやりがいを感じられました。

看護師による通院・救急搬送の付き添いがある

入居者様が病院を受診しなければならない場合、ご家族が付き添うのが基本です。しかし、ご家族の付き添いが難しい場合、看護師が通院に付き添う必要があります。通院時は、施設の送迎車で病院まで届けてもらい、受診後携帯電話から施設に送迎車を呼ばなければなりません。医師に病状の説明をするのが難しい方の代わりに、病状や体調を伝えるのも大切な看護師の業務です。

筆者がご家族の付き添いがなく心細そうにしている入居者様に対して、明るく「帰りましょう」と声をかけると、ほっとしたような表情を見せてくれることもありました。一人一人の想いに寄り添った、温かいコミュニケーションをとれるのは施設看護師の魅力の一つと言えるでしょう。また、失神発作を繰り返す入居者様がおり、ある日バイタルサインから緊急度が高いと判断したため、救急搬送に付き添いました。救急搬送の見極めはとても難しく、重症度が高くないにも関わらず救急車を呼ぶわけにはいきません。

しかし、救急搬送のタイミングが遅くなることで、後遺症が残ったり、生命が危険な状態に陥らないように注意する必要もあります。さらに、急変の連絡を受けて、慌てて病院に駆けつけたご家族の精神的なケアも、施設看護師の業務の一つです。医師からのICにはご家族と共に参加し、ご家族が不明・不安に感じていそうな部分があれば、分かりやすい説明を求めるなどサポートもしました。病棟に勤務していると医師のICに入る機会はあっても、ご家族に対して丁寧に接する機会がなかなか持てないことがあります。入居者様だけでなく、ご家族との関わりも大切にしたい方にぴったりの職場です。

月1の訪問診療では医師のサポート業務を行う

月1回の訪問診療では、訪れた医師のサポート業務も必要です。入居者様の服を着脱させたり、日々の過ごし方や体調などを伝えたり、スムーズに診療が終わるようにサポートします。訪問診療は入居者様の健康を管理するために欠かせない大切なイベントです。入居者様は訪問診療を待ちわびており、診察後はホッとした表情を見せる方も少なくありません。

筆者が勤めていた施設では、医師によって処方された薬は事務員が受け取りに行ってくれるため、看護師が対応せずに済みました。また、誤薬を防ぐために、処方された薬は入居者様個人の薬Boxに入れて準備します。準備後は病棟同様に看護師2名体制でWチェックしていました。

気難しい入居者の対応も求められる

急性期病棟では、入院期間が180日までと制限されており、数年にわたって対応しなければならないということはありません。気難しい方でも、割り切って対応することができます。一方、有料老人ホームでは終身や数年間にわたっての入居となるため、入居者様との関係性がこじれてしまわないように細やかな配慮が必要です。

筆者が働いていた施設でも、「特定の看護師からでなければケアを受けない」という入居者様がいました。健康観察のために訪れて話を聞いたところ、「自分のことを理解してくれない」「もっと気に掛けてほしい」といった周囲への不満を抱えているようでした。そこで、時間を決めてから訪室したり、許可を得た上でケアを行ったりと、信頼関係を築けるように努めた結果、筆者には心を開き、打ち解けてくれました。

入居者様が笑顔を見せてくれるようになるまで、訪室時にはいつも緊張感があったことを覚えています。認知症や高齢の入居者様との関わりには難しさがある半面、良好な関係性を築けると看護師としての自信につながったように感じられました。

介護施設ならではのやりがいを感じるレクリエーション

施設ではハーモニカの演奏や書道などのボランティアスタッフが定期的に訪れたり、地域のバレエ教室に通う子ども達がバレエを披露したりして、レクリエーションが盛んでした。介護職員と共に納涼祭やクリスマス会に参加して、場を盛り上げたこともあります。

レクリエーション参加中、トラブルに発展するのを防ぐために、相性の悪い入居者様同士を離して席を設けていました。また、経管栄養の時間とレクリエーションが重なってしまう際は、経管栄養を吊り下げる点滴台が他の入居者様の目に触れないように工夫するといった配慮もしていました。

中には、「レクリエーションに参加したくない」と拒否する入居者様もいます。そのような場合は、介護職員と共に声をかけて参加を促していました。最初はレクリエーションを拒否していても、参加後は「来てよかった」と笑顔を見せてくれる入居者様が多いです。

もちろん、全員の入居者様が快くレクリエーションに参加してくれるとは限らないため、嫌な顔をされることもありました。レクリエーションへの拒否があっても毎回声を掛け、「あなたのことを気に掛けています」というメッセージを伝えるように努めていました。介護職員と協力して積極的にレクリエーションに参加できるのは、施設看護師ならではのやりがいを感じられる一場面と言えるでしょう。

有料老人ホームで働いてみて感じた仕事のメリットデメリット

実際に有料老人ホームで働いたからこそ分かるメリット・デメリットがあります。メリット・デメリットについてご紹介していくので、それぞれを比較してみましょう。

仕事のやりがいや働くメリット

有料老人ホームで働いて感じた仕事のやりがいやメリットは以下の通りです。

  • 入居者様のスケジュールに合わせて比較的ゆったりと働ける
  • 入居様の思いに寄り添ったコミュニケーションをとれる
  • 医療行為は少ないが入居者様の個別性に富んだケアや看護を提供できる
  • 入居者様の笑顔が見られる場面が多く、達成感が得られる
  • ご家族のメンタルケアにも取り組める
  • レクリエーションを通じて介護施設ならではのやりがいを感じられる

有料老人ホームでは、入居者様と関わる時間を確保できるので、一人一人と向き合うことができます。高齢者や認知症介護のスキルを積みたいと考えている方にとって、やりがいを感じられるでしょう。

大変だったことや働くデメリット

有料老人ホームで働いてみて大変だったことやデメリットも確認してみましょう。

  • リスクの高い処置も施設内で対応する場合もある
  • 急変時に冷静に対応しなければならない
  • 救急搬送のタイミングを見極めるのが難しい
  • 入居様やご家族に分かりやすく説明する能力が求められる
  • 入居者様と信頼関係を築けるまで緊張する
  • レクリエーションに誘っても拒否されることもある

有料老人ホームで働く看護師の人数は少なく、自分自身で対応しなければならないことが多くなります。そのため、スムーズに日々の業務を行うには、スキル面だけでなく入居者様と良好な関係を築けるコミュニケーション能力も求められるでしょう。

有料老人ホームはどのような施設?

有料老人ホームの種類は主に3種類です。種類ごとに有料老人ホームの特徴をご紹介していくので、確認してみましょう。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームでは、生活支援や介護サービスを提供しています。原則として、入居対象者は要介護者で60~65歳以上です。看護師の配置義務があり、看護師は医療ケアや健康管理を担います。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームでは、生活相談や生活支援、見守りサービスなどを提供しています。
入居対象者は、自立している方から要介護者までと幅広く、60歳以上から入居可能な施設も少なくありません。

介護型有料老人ホームとの違いは、介護サービスの利用方法です。住宅型有料老人ホームで介護サービスを受けるには、外部の事業所と契約しなければなりません。重度の要介護者や認知症の方を受け入れる施設は増えてきてはいるものの、24時間体制での介護が必要な方や医療依存度の高い方は少ないです。

健康型有料老人ホーム

健康型有料老人ホームは、高齢者が充実した毎日が送れるように支援します。入居対象者は自立している方がほとんどで、要介護度が高い方や認知症の方は入居を断られるケースが多いです。レクリエーションやアクティビティ、イベントが充実しており、介護サービス・医療ケアは提供されません。

有料老人ホームで働く看護師のスケジュール例

有料老人ホームで働く看護師は、入居者様や施設のスケジュールに合わせて業務を行います。ここでは、有料老人ホームで働く看護師のスケジュール例をご紹介していくので確認してみましょう。

8時出勤・申し送り居室を巡回して入居者様の健康チェック入居者様の健康状態に合わせた医療ケア(インスリン注射・経管栄養)
10時入居者様の健康状態に合わせた定期処置入浴後の処置必要に応じて通院付き添い
12時経管栄養の準備・実施食堂にて入居者様の食事の様子を確認必要に応じて食事介助
13時昼休み
14時爪切りや浣腸、摘便などのケア
15時レクリエーション
16時経管栄養の準備・実施夜勤帯の介護職員に申し送りをする
17時退勤

有料老人ホームでは1日のスケジュールがおおよそ決まっているので、緊急トラブルがなければ残業はほとんどありません。比較的ゆったりと働くことができるため、プライベートの時間をしっかり確保して働きたい看護師にとって魅力的な職場と言えるでしょう。

ただし、24時間看護師が常駐している施設では、夜勤に対応しなければなりません。日勤のみで働きたい人は、日中のみ看護師が常駐している施設がおすすめです。オンコール対応の有無も施設によって異なるので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

有料老人ホームで働くために必要なスキル

有料老人ホームで働くのに必要とされるスキルがいくつかあります。それぞれのスキルを詳しくご紹介していくので、当てはまるものがあるかチェックしてみましょう。

介護士や医師など多職種と連携できる協調性

看護師以外に有料老人ホームに出入りするのは、介護職員やリハビリ職員、訪問診療医などです。それぞれの職種の視点から入居者様の状態を観察し、より快適にその人らしく生活できるようにサポートします。特に看護師の業務内容を理解していない介護職員から、心無い言葉を投げかけられることも少なくありません。介護と看護の視点や提供するケアの違いをお互い理解し合うことで、上手に連携することができるでしょう。

高齢者看護や認知症看護の知識・スキル

有料老人ホームには、嚥下能力の低下や四肢の麻痺、認知症など様々な状態の方が入居しています。そのため、高齢者の心身の状態に合わせた看護を提供できる知識やスキルが必要です。専門性の高い医療ケアは行われないものの、経管栄養やインスリン注射、褥瘡の処置といった医療ケアのスキルは求められます。また、高齢者に現れやすい身体的特徴や疾患の理解も欠かせません。臨床経験が浅くて不安な場合、教育・指導体制が整っている施設や、医療ケアが少ない施設がおすすめです。

高齢者とのコミュニケーション能力

入居者様の中には、失語症によってコミュニケーションが難しい方もいます。表情や些細な動作からニーズを読み取り、サポートする能力が必要です。また、意思疎通が上手に図れないことでイライラしたり、暴言を吐いたりしてしまう方も少なくありません。したがって、入居者様と信頼関係を築けるようなコミュニケーション能力が求められます。高齢者とのコミュニケーションに抵抗がない看護師が向いていると言えるでしょう。

有料老人ホームで働くのが向いている看護師

「有料老人ホームで働くのは自分に合っているの?」と不安に感じる方は少なくありません。有料老人ホームで働くのが向いている看護師の特徴は以下のとおりです。

  • 高齢者と接するのが好きな人
  • 高齢者のケアやターミナルケアに関心が高い人
  • 急変時や緊急時に冷静に対応できる人

有料老人ホームに入居している方は自立している方から、要介護認定を受けている方まで様々です。幅広い状態の入居者様の状態に応じて、適切なコミュニケーションやケアが可能な看護師が求められます。高齢者のケアやターミナルケアに興味がある人にとって、働きがいのある職場でしょう。

有料老人ホームで働くなら確認しておきたいポイント

有料老人ホームへの転職を検討している方にとって、施設看護師が務まるのか気になるところです。有料老人ホームで働くなら確認しておきたいポイントを確認してみましょう。

  • 施設によっては夜勤やオンコール対応が必要
  • 看護師の配置員数が少ない施設では1人あたりの負担が大きくなる

看護師の配置人数が少ない施設の場合、1人で緊急時の判断や処置、救急搬送の見極めなどが求められます。転職希望先の施設にあらかじめ、オンコールの有無や看護師の配置人数を確認しておくのがおすすめです。転職後のミスマッチを防ぐために、自分の希望と働き方にズレがないか、転職前に見学もしたほうが良いでしょう。

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まとめ

有料老人ホームで働く看護師は、入居者様の健康管理や医療行為、介護業務を担います。
入居者様のスケジュールに合わせて業務を行うため、時間に追われずに働くことが可能です。また、入居者様と向き合ったケアや看護を提供できるので、入居者様の思いに寄り添えるのも魅力的と言えるでしょう。認知症看護や高齢者看護の知識・スキルを積みたい方や、高齢者と接するのが好きな方にぴったりの職場です。

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この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。

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