
採血は、病気の診断や状態の把握に必要不可欠な検査です。検体検査のなかでも侵襲性の高い検査のため、失敗に対する不安や恐怖心に悩む看護師の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、看護師が自信を持って採血に臨み、採血を成功させるために知っておきたい知識やコツを紹介します。準備や手順、採血後の観察方法まで詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

採血検査は、病気の診断や状態を把握するために重要な役割を持ちます。採血を成功させるために、まずは基礎知識を押さえましょう。
一般的に看護師が血液検査として実施するのは、静脈血採血です。血液ガス分析の検査では動脈血で採血しますが、医師が施行する決まりとなっています。
採血方法には、真空管採血とシリンジ採血の2種類があり、患者さんの状態や必要となる検体量によって使い分けます。採血は侵襲的処置であるため、患者さんの心情に配慮したこまやかな声掛けや確実な手技で、患者さんの不安を和らげることが大切です。
主に、一般外来や病棟の血液検査で用いるスピッツと各必要量は以下のとおりです。
これらのスピッツには、検査値を正しく算出するために必要な添加物が含まれています。採血の仕方によって、採取検体が不要に凝固し正く検査が行えないこともあるため注意が必要です。スピッツに注入する血液量や順番を厳守する必要があります。

血管穿刺直後は、血液中に検体凝固の原因となる微量の組織液が含まれています。そのため採血スピッツを挿入する順番に注意が必要です。
真空管採血の際は、以下の順番で採血しましょう。
血液を採取できたスピッツから、ゆっくりと中の抗凝固剤と混和させます。翼状針を使用する際は、ルート内部の空気が採血スピッツに流入するため、凝固検査など正確な採血量が必要なスピッツは2本目以降に採血しましょう。
対してシリンジ採血の場合には、まとめて一度に必要な血液量を採取します。そのため、1本目は凝固スピッツに分注して、血液が凝固してしまうのを防ぎましょう。
また、検体によっては氷冷管理や遮光管理が必要なものもあります。施設のルールに従い、保管方法や提出方法を考慮しましょう。
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採血をスムーズに実施するコツは、必要物品をしっかりと準備し、事前に手順を押さえておくことです。
この章では、採血のコツをお伝えしながら、準備の方法と手順を解説します。
準備不足により患者さんを不安にさせることがないよう、まずは採血の準備について理解しましょう。必要な物品は以下のとおりです。
準備に加え、物品の配置も重要です。片手での操作が必要になるため、採血手技が完結するまでに必要な物品は、すべて手の届く場所に過不足なく配置するのがコツです。
採血に慣れていないと、手順を頭に入れようとしてもなかなか覚えられない看護師の方もいるかもしれません。手順を理解するコツは、物品準備から患者さんに採血を実施し、検体採取するまでの場面をイメージすることです。
真空管採血あるいはシリンジ採血のどちらであっても、大まかな手順は同じです。一方、採血方法によって注意点が異なるため、以下のポイントを押さえつつ手順を確認してみましょう。
採血を実施する前に、必ず以下の項目について患者さんに確認をとり、採血の必要性を説明しましょう。
上記の項目を洩れなく確認することで、重大なインシデントやアクシデントを予防することにつながります。
患者さんの確認と説明を行い、採血実施の同意を得たら、実際に採血していきます。以下の手順を参考に、各施設のルールに従い採血を進めましょう。
1.グローブ装着:ラテックスアレルギーの有無確認
2.穿刺血管の選択
3.患者の姿勢:過去に迷走神経反射や気分不良を起こしたことがあるなど、患者の状態に応じて座位もしくは臥位を選択する。腕の位置を心臓よりも低くすると血管が怒張しやすい

4.駆血:駆血帯は穿刺部位の7〜10cm程度中枢側に巻く。40mmHg程度の強さが適切
5.穿刺部位の皮膚消毒:アルコール綿を用い消毒したあと自然乾燥させる
6.採血針の刺入:採血針を持っていない側の親指で、刺入部の3〜5cm下を軽くおさえ皮膚を緊張させる。針の角度は15〜20度で血管の走行に沿って刺入。刺入後は、指先のしびれや痛みがないかを確認する。
7.採血スピッツの差し込みと抜去:ホルダーを保持して採血スピッツを差し込む。採血スピッツ内に血液が流入後、停止したら速やかに抜去し5回以上転倒混和する
8.駆血帯の解除:ホルダーから採血スピッツを抜去した後、抜針前に駆血帯を解除する
9.採血針の抜去:抜去後速やかにガーゼや消毒面にて穿刺部位を圧迫する。抜針後はリキャップしてはならない※シリンジの場合は穿刺〜抜針まで同様だが、止血後は採血スピッツへ血液を分注
10.採血針とホルダーの廃棄:採血針はホルダーから外さず一体のまま直接針専用の廃棄容器へ破棄する
11.止血:通常は5分程度圧迫止血する。原疾患や抗凝固薬・抗血小板薬などにより出血傾向のある患者は長めに止血が必要
上記の手順を繰り返しイメージし、採血に挑みましょう。採血中に看護師の不安が患者さんに伝わると、患者さんは緊張し体がこわばり、余計に穿刺しにくくなります。採血時は自信を持って臨むことも大切なコツのため、事前の準備とイメージトレーニングを何度も繰り返し不安を解消しておきましょう。
採血行為によって、内出血や血管迷走神経反応などの合併症を併発するリスクがあります。
採血を成功させるためには、上記合併症のリスクを最小限にする血管の選び方や、異常を早期発見するための観察力が必要です。
この章では、採血を成功させるためのコツをまとめました。
採血を成功させるためには、どの血管から採血するのかベストかを見極めることが大切です。基本的には、肘正中皮静脈・橈側皮静脈・尺側皮静脈のいずれかの血管のうち、太くて浅く弾力のある血管を選択します。
しかし、尺側皮静脈は運動神経を含む正中神経を損傷するリスクがあるため、選択する際は深く穿刺しすぎないよう慎重に実施しましょう。万が一、肘部に容易に穿刺できる血管が見つからない場合は、主要な神経損傷のリスクが低い前腕や手背の血管を選択するのもポイントです。
血管を探してみても、なかなか血管が出にくい患者さんもいるかもしれません。その場合は、以下にまとめた血管を出しやすくするコツを試してみてください。
いつも採血する場所を、患者さんに聞いても良いですね。

血管がはっきり見えないと不安になってしまいますが、焦らずに上記のコツを試してみましょう。
ただし、繰り返し手を握ったり開いたりする行為はカリウム値に影響を与える可能性があります。そのため、カリウムを測定する採血の場合には、実施しないよう注意してください。
採血中に起こりやすい合併症の1つに内出血があります。内出血はときに皮下血腫につながるおそれがあるため、すばやい処置が必要です。
内出血を起こさないために、以下のポイントを意識しましょう。
血管が細く弱い患者さんや抗血栓薬内服中の患者さんは出血しやすいため、内出血を引き起こしやすい状態です。上記のポイントを意識して、なるべく太く弾力のある血管に穿刺するようにしましょう。
採血は、抜針後検体を採取できたら成功というわけではありません。
採血後に起こりうる合併症について理解し、侵襲を最小限にとどめるための観察やケアを行うことも看護の1つです。
最後に、採血時の注意点とケアについて紹介します。
採血後に起こる皮下血腫は、十分な止血が行われないことで起こります。
たとえば、抗凝固薬や抗血小板薬内服中、また易出血傾向の患者さんは、通常よりも時間をかけた止血処置が必要です。止血が不十分だと、重度の皮下血腫やコンパートメント症候群のリスクがあり、手術などの侵襲的処置が必要になってしまいます。
一般的な止血時間は5分程度といわれていますが、出血リスクの高い患者さんの場合は、5分以上の時間をかけ止血することが大切です。止血できたかを最後まで確認しましょう。また、動脈誤穿刺は避けるように慎重に穿刺する必要があります。

採血で起こるアレルギーは、消毒薬やラテックスなどの物品に誘発され発症することが多いと考えられています。アレルギーを予防するには、採血実施前にアルコール綿やラテックスアレルギーの既往がないか確認しましょう。
採血中や採血後にアレルギー症状が出現した際は、すぐに医師へ報告し患者さんのバイタルサインを測定します。アナフィラキシーショックを呈した場合は、迅速な救命処置が必要です。医師への報告や救急カートのほか、AEDの持参などほかのスタッフへ応援を呼びかけ対応しましょう。
採血時の神経損傷に関する報告は稀ではありますが、神経分布や血管の走行を正しく理解していないと神経損傷を起こす可能性があります。なかでも、第1〜4指に疼痛や痺れを誘発させる正中神経損傷の発生が多く、引き起こすと患者さんのQOLに影響するため注意が必要です。
予防のコツは、近くを走行する尺側・正中皮静脈を深い位置で穿刺しないこと。また、浅い角度での穿刺や針の長さが短い翼状針の使用を検討することです。
採血中にたびたび見られる合併症として、血管迷走神経反応(VVR)があります。迷走神経の興奮に伴う血圧の低下、徐脈により脳への酸素供給が不足し起こる合併症です。採血に対する極度な不安といった精神的ストレスが関係していると考えられています。
予防のコツは、事前の水分摂取やリラックスできる環境づくりなどです。過去に同様の出来事があった場合、トラウマ体験となって発症しやすくなります。万が一迷走神経反射が起こった場合、椅子から転落するおそれがあるため、臥位を取るなど工夫しましょう。患者さんが安心できるような声かけも大切です。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
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Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
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Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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