緑内障点眼薬の使い分け!「重症度・タイプ・眼圧」に応じた分類のポイントを解説

「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。

本記事は、緑内障治療薬についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
笹川大介(ササガワダイスケ)
薬剤師、株式会社ゆかりファーマシー取締役

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。

各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。

※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

緑内障とは?

緑内障は、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経に障害が起こり、視野が狭くなる病気です。中高年の方に起こる代表的な病気の1つで、治療が遅れると失明に至ることもあります。しかしその進行は非常にゆっくりで、病気が進行するまで自覚症状はほとんどありません。

眼球の内部では、内側から外側へと常に一定の圧力(眼圧)がかかっています。眼圧は、眼の中の水分である房水の量で調節されています。房水は水晶体を支える毛様体で作られ、角膜にある隅角から流れ出ていくことで、常に一定の眼圧がかかるようになっています。つまり、眼圧は、毛様体からの房水の産生量と房水の流出量のバランスで決まるということです。

隅角が詰まったり閉じたりすると房水が流れにくくなり、眼内の房水の量が多くなると眼圧が高くなります。その結果、視神経が障害されて緑内障が起こるのです。

緑内障点眼薬の使い分けポイントについて

一般的な治療としては、緑内障の進行を抑えることを目的に眼圧を下げる点眼薬を使用します。作用により以下2つに分類されます。

  • ①房水の排出を促す薬
  • ②房水の産生を抑える薬

房水の流出路には、主経路である線維柱体からの流出と、副経路であるぶどう膜強膜からの流出があります。流出経路に異常が生じることで、房水が行き場をなくして眼圧が上昇するわけです。

笹川先生
緑内障の点眼薬は、緑内障のタイプ・重症度・眼圧の高さなどに応じて処方され、一種類の目薬だけで効果が少ないと判断された場合は、複数を組み合わせます。

では早速、具体的な使い分けをみていきましょう。

緑内障で主に使用される薬

房水の流出を促す薬(房水流出促進薬)

分類名:プロスタグランジン(PG)関連薬

  • 一般名:ラタノプロスト(商品名:キサラタン)       
  • 一般名:トラボプロスト(商品名:トラバタンズ)
  • 一般名:タフルプロスト(商品名:タプロス)
  • 一般名:ビマトプロスト(商品名:ルミガン)

【作用】
FP受容体を刺激して、ぶどう膜強膜流出経路からの房水流出を促進し、眼圧を下げます。

【特徴】
PG関連薬は、眼圧を下げる作用が優れていること、禁忌や全身性の副作用が少ないことから、緑内障治療の第一選択薬として使用されます。

ほかの薬剤との併用で、さらなる眼圧下降効果も期待できます。

【副作用】
点眼後、目からあふれた薬液が皮膚についたまま放置すると、少しずつ目のまわりが黒ずんだり、まつ毛が長く、太くなったりすることがあります。そのため、目からあふれた薬液は、すみやかに濡れた清潔なティッシュやタオルでふき取るか、もしくは目を閉じて、あふれた薬液を洗い流してください。

分類名:EP2受容体作動薬

一般名:オミデネパグ イソプロピル(商品名:エイベリス)

【作用】
眼のEP2受容体を刺激します。それにより、線維柱帯流出路ぶどう膜強膜流出路における房水の流出を促進し、眼圧を下げます。

【特徴】
効果はPG関連薬と同等ですが、目の周りの副作用(PG関連薬の副作用参照)が生じにくいことがメリットです。

ただし、白内障手術で眼内レンズを挿入している人や水晶体が無い人には使えません。黄斑浮腫(※)に伴う視力障害を起こす可能性が高いためです。

※黄斑浮腫:
「黄斑」とは、網膜の中でも最も視力の鋭敏な部分です。黄斑浮腫は、網膜の血管にコブができ、血管から血液中の成分がもれだして網膜内にたまっている状態です。ものの詳細を見分けたり、文章を読んだりするのにとても大切な場所である「黄斑」がむくんでしまい、ものが見えづらくなります。

PG関連薬のタフルプロスト製剤(主な商品名:タプロス、タプコム)とは併用禁忌です。併用すると眼の炎症が高頻度にあらわれます。

【副作用】
点眼後、一時的に霧視(霧がかかったように見えること)や眼の痛み、不快感などがあらわれることがあります。その場合は症状が回復するまで車の運転は控えるなど注意が必要です。

分類名:Rhoキナーゼ(ROCK)阻害薬

一般名:リパスジル(商品名:グラナテック)

【作用】
房水の排出に関わるRhoキナーゼという酵素を阻害することで、房水の排出を促し眼圧を下げます。

【特徴】
緑内障では房水の排出口である線維柱体が目詰まりを起こしているため、眼圧が上昇しています。Rhoキナーゼ阻害薬は線維柱体の構造を変化させて、線維柱体からの房水流出を促進させます。

PG関連薬やEP2受容体作動薬よりも眼圧下降作用は劣るため、ほかの緑内障治療薬で効果が不十分な場合に、第二選択薬や追加薬として使用されます。

【副作用】
一時的に血管を広げる作用があるため、点眼後に目が赤くなります(結膜充血)。通常、充血は1〜2時間でもとに戻り、点眼ごとに繰り返します。

点眼後5〜15分が目の赤さのピークになるため、もし外出時の充血が気になる場合は、外出時間を考えて早めに点眼すると良いでしょう。

房水の産生を抑える薬(房水産生抑制薬)

分類名:β受容体遮断薬

  • 一般名:チモロール(商品名:チモプトール)
  • 一般名:カルテオロール(商品名:ミケラン)
  • 一般名:レボブノロール(商品名:レボブノロール) など

【作用】
毛様体のβ受容体を遮断することで房水の産生を抑制します。その結果、眼内の房水が減少し、眼圧が下がります。

【特徴】
眼圧下降作用が強く、PG関連薬と同様に緑内障治療の第一選択薬となります。瞳孔に作用しないので、点眼により暗く見えたりまぶしく見えたりすることがなく、点眼時の違和感が少ないのも特徴です。

【副作用】
β受容体は全身に存在するため、全身的な副作用が起こることがあります。

心臓のβ1受容体が遮断されると、心臓の心拍数や収縮力が低下するため、動悸不整脈があらわれることがあります。また、気管支平滑筋のβ2受容体が遮断されると、気管支平滑筋が収縮し、気管支喘息が起こることがあります。

分類名:炭酸脱水酵素阻害薬

  • 一般名:ブリンゾラミド(商品名:エイゾプト)
  • 一般名:ドルゾラミド(商品名:トルソプト)

【作用】
房水の産生に関わる炭酸脱水酵素を阻害して、房水の産生を抑制することで、眼圧を下げます。

【特徴】
眼圧下降作用は、β遮断薬やPG関連薬と比べてやや劣ります。このため、β遮断薬やPG関連薬が副作用で使えないときに使用されます。また、効果を高めるためにほかの点眼薬と併用することが多いです。

【副作用】
点眼時の刺激症状(目がしみる、痛みを感じる)があります。症状がおさまるまでは、車の運転など機械の操作は控えるようにします。

房水の流出を促す薬(房水流出促進薬)+房水の産生を抑える薬(房水産生抑制薬)

分類名:α2受容体刺激薬

一般名:ブリモニジン(商品名:アイファガン)

【作用】
毛様体上皮のα2受容体を刺激して、房水産生を抑制し、ぶどう膜強膜流出路のα2受容体刺激することで房水流出が促進されて、眼圧を下降させます。

【特徴】
長期にわたり安定した眼圧下降効果が期待できます。また、視神経への保護作用などもあると考えられています。

ただ、治療効果では、β遮断薬やPG関連薬と比べやや劣るため、ほかの標準薬が副作用で使えないときや効果が不十分なときに、第二選択薬、第三選択薬として使用されます。単剤での治療も併用治療も可能です。

【副作用】
主な副作用として、点状角膜炎(眼のゴロゴロ感・痛み、まぶしい、涙が出る)、眼瞼炎(まぶたの炎症)、結膜炎、結膜充血、眼のかゆみ、眼の異常感、接触皮膚炎(薬がついた部位のかぶれ)などが報告されています。

配合点眼薬

2種類の点眼薬を1つにした配合点眼薬があります。配合点眼薬の使用により、点眼回数を減らせる、点眼時間を短縮できるなどのメリットがあります。

分類:PG関連薬・β遮断薬配合剤

  • 一般名:カルテオロール・ラタノプロスト配合(商品名:ミケルナ)
  • 一般名:ラタノプロスト・チモロール配合(商品名:ザラカム)
  • 一般名:タフルプロスト・チモロール配合(商品名:タプコム)
  • 一般名:トラボプロスト・チモロール配合(商品名:デュオトラバ)

分類:β遮断薬・炭酸脱水酵素阻害薬配合剤

  • 一般名:ドルゾラミド・チモロール配合(商品名:コソプト)
  • 一般名:ブリンゾラミド・チモロール配合(商品名:アゾルガ)

分類:α2刺激薬・β遮断薬配合剤

一般名:ブリモニジン・チモロール配合(商品名:アイベータ)

分類:α2刺激薬・炭酸脱水酵素阻害薬配合剤

一般名:ブリモニジン・ブリンゾラミド配合(商品名:アイラミド)

分類:Rhoキナーゼ阻害薬・α2刺激薬配合剤

一般名:リパスジル・ブリモニジン配合(商品名:グラアルファ)

さいごに

緑内障治療薬について、もっと知りたいことや、困っていること、そのほかにもこんな薬剤の記事が見たいなどがあればコメントしてください!

これは役立つぞ!とか現場と違うんだけど…というコメントも大歓迎です。

今回の内容はレバウェル看護公式Instagramにてイラストで簡単に解説しています。投稿はコチラ

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プロデュース
看護師のかげ
看護師、イラストレーター。病棟で働きながら医療・看護に関するコンテンツをさまざまな媒体で発表している。 保健師、呼吸療法認定士、終末期ケア専門士。著書に「看護が苦手なかげさんのイラスト看護帖」(永岡書店)ほか。X:@877_727、Instagram:@877_727

この記事を書いた人
笹川大介(ササガワダイスケ)
薬剤師、株式会社ゆかりファーマシー取締役

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。

各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。

お読みいただきありがとうございました!
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コメント

  1. イトウ

    緑内障の治療途中で白内障の手術をしましたがその間緑内障点眼薬が止められていまして術後20日で再開したのですが緑内障の点眼薬3種類の中のグラアルファだけが使用可です。尚ブロナック点眼薬は使用中です。他の緑内障点眼薬は使用できないのでしょうか?

    1. レバウェル看護編集部

      コメントありがとうございます。レバウェル看護編集部です。
      お問い合わせの件ですが、プロスタグランジン(PG)関連薬は炎症を強める可能性があるため、医師の指示で休薬するケースがございます。詳細は、担当医に確認されることをお勧めいたします。

  2. 今日も天気だ

    ラタノプロスト点眼液0.005%を2021年2月から使っています2025年3月の視野検査で追加の点眼液チモプトールEX0.5%を朝一回使うように医師に言われました。なお眼圧は昔から、目薬を使う前から両眼10か高くて11です。高血圧の薬アムロジピン錠とエナラプリルマレイン錠、心臓の働きを助ける薬を毎日服用していて、チモプトール液、相性があまり良くないと思うのですが、いかがでしょうか。

    1. レバウェル看護編集部

      本記事を執筆した薬剤師の笹川です。コメントを拝見しました。
      一般的には、アムロジピンやエナラプリルなどの薬を使用していても、チモプトールなどのβ遮断薬の点眼液との併用は可能です。
      大切なことは、点眼液は1滴入れば十分なので、あふれた液は拭いていただくことです。
      決められた用法・用量を守ることで、血圧・脈拍への影響は最小限に抑えられます。
      医療現場でも降圧薬や心臓の薬と緑内障治療薬はよく併用されていますので、安心してお使いいただけます。
      もしほかに気になることがあれば、主治医にご相談ください。

  3. Kai

    35歳です。8年前から両面の眼圧が20~23で高めでした。最近から第1ミケルナ(両目)第2グラナテック(左目)点眼しています。昔に初めて2本目に追加されたのがアイラミドでした。ですが点眼開始後2日目に、ヒリヒリしてからの痒み、目元が焼けるような痛み、目蓋の腫れが起こり、急きょエイゾプトに変更になりました。症状は収まり6ヶ月間点眼したのですが、今度は眼圧16で視野進行(中期に進行)エイゾプトからグラナテックに変更になり、14まで下がりました。ホッとした束の間、先生から今度悪化したら手術(メスを使用する)しか無いと告知されました。レーザーでは効果が薄いみたいです。もぅ使える目薬が無いとの事。最悪、3本目エイゾプト追加しか無いよ、と言われました。アイファガンにアレルギー反応が出ている為、アイラミドやグラアルファが追加処方出来ないみたいです。
    そこでお訊きしたいのは、本当に使える目薬がエイゾプトしか無いのか?(早目に3本目処方して貰った方が良いのか?)、また悪化した場合、セカンドオピニオン(転院も可能)して緑内障に詳しい病院に移って治療した方が良いのか迷っています。よろしくお願いします。

    1. レバウェル看護編集部

      コメントありがとうございます。レバウェル看護編集部です。
      お問い合わせの件、確認中です。お時間いただき恐縮ですが、何卒よろしくお願いします。

    2. レバウェル看護編集部

      本記事を執筆した薬剤師の笹川です。ご質問ありがとうございます。非常に悩ましい問題です。アイファガンの成分にアレルギーがあるため、3本目追加は作用機序から考えても、先生のおっしゃる通りエイゾプトのような炭酸脱水素酵素阻害薬の追加が妥当と考えます。まずは、このような点眼薬の追加で経過をみられてから、セカンドオピニオンを考慮してもいいのではないかと考えます。

  4. ハル

    ザラカムで目のまわりがかぶれ、皮膚科のパッチテストで陽性になり、目薬を変えるように言われました。これが緑内障に特化していて、一番眼圧を下げるそうです。今はデュオトラバになりましたが、どっちがいいでしょうか。

    1. レバウェル看護編集部

      本記事を執筆した薬剤師の笹川です。ご質問ありがとうございます。点眼液による皮膚炎があれば継続使用は困難になります。しかしながら、現在は様々な点眼液があるため、眼圧の降下作用よりも一番大切なのは、副作用がなく継続使用ができることです。デュオトラバ配合点眼液が問題なく使用できるならば、それが良い選択肢だと考えます。

  5. まーさん

    よろしくお願いします
    58歳です。3年前からラタノプロストを夜に点眼しています。1ヶ月前からアムロジピンを服用していますが、カルシウム拮抗剤は視神経に作用して緑内障を悪化させると言う記事を読みました。リスクを避けたいので降圧薬を変更するといたらどの種類の薬が副作用が少なく使えるでしょうか?
    その他はアトルバスタチンを服用しています。

    1. レバウェル看護編集部

      レバウェル看護編集部の看護師です。
      緑内障の進行度によっても医師の判断は異なり、また、自己判断での服薬変更は危険を伴います。いま一度主治医にご確認いただくことをお勧めいたします。どうぞお大事になさってくださいね。

  6. AMさん

    タプロスとグラアルファを処方されていますが併用はいいのでしょうか
    炎症がでるとか知人に聞いたので心配です ご教示ください

    1. レバウェル看護編集部

      レバウェル看護編集部の看護師です。
      記事内にありますようにタプロスとエイベリスは併用禁忌ですが、タプロスとグラアルファついては併用禁忌の記載はありません。ただ自己判断での投薬変更は危険を伴いますので、主治医にご確認いただくことをお勧めいたします。どうぞお大事になさってくださいね。

    2. AMさん

      ご回答ありがとうございます。
      Drに話をしたところ ルミガンとアイファガン併用にかえるといいますが
      3剤から2剤になるって眼圧はあがるのではないでしょうか
      いまの眼圧はきかされていませんがタプロス単体のころは17から18でした
      ご教示ください

    3. レバウェル看護編集部

      レバウェル看護編集部の看護師です。
      緑内障の進行度によって医師の判断は異なります。いま一度主治医にご確認いただくことをお勧めいたします。どうぞお大事になさってくださいね。

  7. ちろりん

    タフルプロストとブリモニジン酒石酸塩処方されていましたが 視野欠損がすすんでいるとビマトプロストとブリモニジン酒石酸塩の併用にかわりましたが眼圧の下降はどのくらい見込めるのでしょうか?教えてください

    1. レバウェル看護編集部

      レバウェル看護編集部の看護師です。
      点眼使用後の効果についてはこちらでは判断しかねます。主治医にご確認いただくことをお勧めいたします。どうぞお大事になさってくださいね。

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