
「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。
本記事は、酸分泌抑制薬についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
胃酸は強力な酸(pH1〜2)です。胃酸は食物の消化や食物と一緒に体内に取り込まれた細菌の殺菌を行っています。
なんらかの理由で胃粘膜を守る胃粘液などの防御因子の働きが低下したり、攻撃因子と呼ばれる胃酸の分泌が過剰になってしまうと、胃粘膜が傷つき消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)になってしまいます。

また、酸性である胃の内容物が逆流することにより、食道の粘膜がただれる逆流性食道炎も引き起こします。
逆流性食道炎は、食べ過ぎ、早食い、高脂肪食、アルコール、喫煙などの生活習慣や前かがみの姿勢や肥満などの腹圧がかかる姿勢や体型が原因となります。
酸分泌抑制薬は、胃酸の分泌を抑えて胃粘膜への刺激を減らすことで、消化性潰瘍、逆流性食道炎に伴う症状(胃痛、胸焼けなど)を改善します。
酸分泌抑制薬には、以下の3つがあります。

それでは酸分泌抑制薬の使い分けについて見ていきましょう。

【作用】
胃酸の分泌に働く酵素(プロトンポンプ)に結合し、プロトンポンプの作用を阻害することで、胃酸の分泌を抑制する薬です。
【特徴】
胃酸の分泌を強力に抑制することから、消化性潰瘍や逆流性食道炎の第一選択薬として使用されます。治療期間は原則として、胃潰瘍の治療では8週間、十二指腸潰瘍の治療では6週間までと投与制限があります。
また、NSAIDsやアスピリンが原因で起こる薬剤性潰瘍の治療・予防でも使用されます。
【副作用】
下痢、腹痛、嘔気、便秘などが起こることがあります。

【作用】
胃酸の分泌に関係するヒスタミンH2受容体を遮断して、胃酸の分泌を抑える薬です。
【特徴】
PPIより胃酸分泌抑制作用はやや弱いです。 そのため、PPIやボノプラザンが副作用などで使用できないケースに処方されることがあります。
H2ブロッカーはPPIと比較して、即効性があります。PPIは安定した胃酸分泌抑制効果を発揮するまでに約3日から5日間を要します。一方で、H2ブロッカーは服用後数時間で胃酸分泌抑制効果を発揮します。特に夜間の胃酸分泌を抑制します。
ただし、耐性が生じて酸分泌抑制効果が低下するため、長期投与には不向きです。また、ラフチジンを除くH2ブロッカーは、腎臓で排泄されるため、腎機能に応じて用量を調節する必要があります。
H2ブロッカーは、スイッチOTCと呼ばれる一般用医薬品で、医師の診断、処方なしに薬局やドラッグストアで購入できる薬でもあります。
【副作用】
便秘、下痢、嘔気などが起こることがあります。高齢者や腎機能が低下した患者では、せん妄や錯乱が生じることがあります。
一般名:ボノプラザン(主な商品名:タケキャブ)
【作用】
カリウムイオンの流入を抑えて、プロトンポンプの働きを阻害することで、胃酸の分泌を抑制する薬です。
【特徴】
PPIよりも即効性があります。薬を飲んでから数時間で最大効果を発揮します。加えて酸分泌抑制作用もPPIより強いです。PPIと並んで消化性潰瘍、逆流性食道炎の第一選択薬として使用されますが、重症の逆流性食道炎の治療ではP-CABが推奨されています。
また、消化性潰瘍の原因となるピロリ菌の除菌にも使用されます。ピロリ菌の除菌には、かつてはPPIと2種類の抗生物質の3つが用いられましたが、PPIを使用した場合の除菌の成功率が70%程度に対して、P-CABを使用した場合は成功率が90%と高いため、現在はP-CABを用いた除菌が一般的になっています。
【副作用】
便秘、下痢、腹部膨満感、嘔気などが起こることがあります。
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今回の内容はレバウェル看護公式Instagramにてイラストで簡単に解説しています。投稿はコチラ!
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熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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