看護師がCRC(治験コーディネーター)になるには?必要なスキルも紹介

看護師がCRCになるには?必要なスキルも紹介のイメージ

「CRC(治験コーディネーター)として働いてみたい」と興味のある看護師は多いのではないでしょうか。
ここでは、CRCとして働く場合の主な就職先や求められるスキル、看護師がCRCとして働くメリットなどについて詳しく紹介します。
この記事を最後まで読み終えてもらえれば、CRCとして働く姿をイメージでき、転職活動に役立つでしょう。
CRCへのキャリアチェンジを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

目次

CRC(治験コーディネーター)とは

「治験」とは、開発された薬を患者様や健康な成人に使用し、効果や安全性、適性な投与量・投与方法などを確認する目的で行われる臨床試験です。
治験の結果を厚生労働省に申請し、薬として承認されれば、医薬品として使用されるようになります。
CRCは医療機関で行われる治験を円滑に進めるために、医師・製薬会社・被験者の間に立ち、調整・支援を担う職種です。

治験の流れ詳細
治験の準備治験実施計画書(プロトコル)の確認スタートアップミーティング時の資料作成や議事進行のサポート製薬会社から搬入される検査機器類や検査キットの管理
治験実施時被験者の募集・スクリーニング被験者に渡す治験の説明文書や同意書の作成のサポート被験者のスケジュール管理と対応製薬会社に報告する症例報告書(CRF)の作成有害事象が起きた際の治験責任医師への報告
治験終了後治験終了報告書の作成

CRCは被験者への服薬指導や相談業務などを担うものの、看護師のように医療的ケアを提供することはありません。

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看護師が未経験からCRC(治験コーディネーター)に転職するには

「未経験でもCRCに転職できるの?」と不安に感じている方は少なくありません。
ここではCRCの主な就職先や就職で有利になるポイントを紹介するので、転職活動にお役立てください。

主な就職先

看護師がCRCになるには、SMO(治験施設支援機関)に就職するのが一般的です。
SMOでは治験に伴う業務や手続きをサポートする企業であり、CRCとして働く看護師のほとんどがSMOの正社員として勤務しています。
複数の治験を担当し、病院やクリニックに直行直帰する働き方が多いです。
治験部門のある大規模な病院では、院内CRCへの部署異動も可能ですが、件数自体は少ないため稀と言えます。

就職で有利になるポイント

CRCの求人票では、「看護師有資格者優遇」と記載されていることが多く、看護師資格があれば就職で有利になりやすいです。
また、企業側は採用後にできるだけ長く勤めて欲しいと考えていることから、年齢層が低いほど採用率がアップしやすい傾向にあります。
20代半ば~30代の看護師は、CRCとして採用されるチャンスがより多いと言えるでしょう。

CRC(治験コーディネーター)の1日のスケジュール例

ここでは、CRCの1日のスケジュール例を紹介します。

時間スケジュール内容
9:00担当する医療機関に直行し、1日のスケジュールやメール内容を確認する
9:30被験者のカルテや検査結果を確認する治験薬や検査キットを準備する
10:30被験者の服薬状況・体調などについてヒアリングする治験薬の回収や受け渡し、今後のスケジュールについて確認する被験者対応後は検査結果などに関する症例報告書を作成する
12:30昼休憩をとる日によっては午前中とは別の医療機関に移動する
13:30治験候補者の診察に同席し、治験のスケジュールや検査項目などに関する説明をサポートする必要に応じて、医師や検査部に検査の依頼をする
15:30症例報告書の作成や事務処理、翌日の治験薬や検査キットの準備などを行う医師や臨床開発モニター(CRA)への報告や打ち合わせに参加する
18:00日によってはSMOのオフィスに帰社する業務を終えたら退勤する

CRCは残業が少ないものの、被験者の対応や事務処理が長引き、定時で退勤できないこともあります。
また、基本的に土日は休日ですが、医師や被験者から連絡があれば電話やメールの対応を求められるでしょう。

看護師がCRC(治験コーディネーター)として働くメリット

看護師とCRCは働き方や仕事内容が異なるため、「看護師よりもCRCの方が向いている」という方は少なくありません。
そこで、看護師がCRCとして働くメリットは下記のとおりです。

  • 夜勤なし・土日休みで給与水準が高い
  • デスクワーク中心で働ける
  • 新薬の開発に携われる
  • 医療に関する知識を活かせる

それぞれのメリットについて詳しく紹介するので、どのようなメリットが期待できるのか確認してみましょう。

夜勤なし・土日休みで給与水準が高い

CRCは基本的に平日の日中のみの勤務ですが、専門性の高い職種として評価されていることから、給与水準は良いといえます。
厚生労働省の「job tag」によると、全国的な平均年収を430.2万円としています。
一方、同じく「job tag」では看護師の全国的な平均年収を519.7万円と報告していますが、日勤帯のみの働き方では給与が下がる可能性が高いです。
ワークライフバランスだけでなく、給与も重視したい看護師にとってCRCは魅力の多い働き方と言えます。

出典
厚生労働省「治験コーディネーター – 職業詳細 | job tag」(2025年7月14日参照)
厚生労働省「看護師 – 職業詳細 | job tag」(2025年7月14日参照)

デスクワーク中心で働ける

CRCは患者様対応以外に、記録作成やデータの管理、報告書の提出などデスクワークが中心となります。
病棟のように身体介助や長時間の立ち仕事、緊急対応がほとんどないため、心身への負担を抑えて働きやすいです。
また、パソコンスキルや事務処理能力を活かせる職種なので、オフィスワークに興味のある看護師に向いているでしょう。

新薬の開発に携われる

CRCは治験を通じて、新薬が世の中に普及するまでのプロセスを間近で見ることができます。
特に難病やがんなどのように難治性の高い疾患の治験では、「医療に貢献できている」というやりがいを感じやすいです。
時には、治験による効果を期待できた被験者から感謝されることもあり、臨床では得られない達成感が仕事へのモチベーションにつながります。

医療に関する知識を活かせる

被験者の対応や副作用の観察、服薬状況の確認など、CRCとして関わる多くの場面において、医療知識や臨床経験が活かされます。
特に治験に関する説明や相談対応では、被験者が安心して治験を受けられるような声かけが重要です。
医療の現場からは一歩引いた立場にはなるものの、現場経験を活かしながら医療に貢献できるのはCRCならではの魅力でしょう。

看護師がCRC(治験コーディネーター)として働く際の注意点

看護師がCRCとして働くとメリットが多い一方で、人によっては「CRCは合わない」と感じる場合があります。
注意点を把握しないまま転職してしまうと、入職後にミスマッチにつながり、長く働くのが難しくなるかもしれません。
ここでは、看護師がCRCとして働く際の注意点を紹介するので、自分に合った働き方ができるのかチェックしてみましょう。

調整役ならではの難しさがある

CRCは、医師・製薬会社・被験者といった多くの関係者の間に立つ「調整役」としての役割を担います。
スケジュールの調整や意見のすり合わせなどで板挟みになるほか、臨機応変な対応力や丁寧なコミュニケーション力が求められるでしょう。
時には、治験を円滑に進める責任から精神的なプレッシャーを感じ、ストレスにつながることもあります。

看護業務に携わる機会がない

CRCはバイタルサイン値のチェックや問診を行う機会はあっても、基本的に注射や採血など医療的ケアは担当しません。
身体を動かすことが好きな方や、患者様に直接ケアを提供したい看護師にとって、物足りなさを感じる可能性があります。
看護師資格を所有していても、あくまで治験のサポート役という立場であることを理解しておきましょう。

看護師としてブランクが明く

CRCはデスクワーク中心で働き、医療・介護の現場から遠ざかるため、臨床技術を磨く機会が減ります。
したがって、看護師復帰を検討した際に、スキル面で不安を感じることもあるでしょう。
特に、長期間CRCとして働くとブランクがハードルとなり、転職先の選択肢が狭まりやすいので注意が必要です。

CRC(治験コーディネーター)として働く看護師に求められるスキル

CRCは看護師経験を活かして働きやすい職種ですが、医療・薬学に関する知識以外にもさまざまなスキルが求められます。
CRCとして働く看護師に求められるスキルは下記のとおりです。

  • 基本的なパソコンの操作
  • コミュニケーション能力
  • 常に学び続けられる高い学習意欲

それぞれのスキルについて詳しく紹介するので、当てはまるスキルがあるかチェックしてみましょう。

基本的なパソコンの操作

CRCの業務では、WordやExcelを使った報告書作成、治験データの入力、メール対応など、パソコン作業が日常的に発生します。
特に治験データは正確さが求められるため、ミスなく効率的に入力できるような操作スキルが欠かせません。
特別なITスキルは必要ないものの、パソコンに苦手意識がある看護師は、あらかじめ練習しておくと安心です。

コミュニケーション能力

CRCは、被験者や医師、製薬会社の担当者など、多くの関係者とやり取りをしながら治験を進めていきます。
中でも、被験者には治験の目的や副作用などを丁寧に説明し、安心して治験に参加してもらう必要があるでしょう。
相手の立場を理解しながら、正確かつ誠実な対応ができる高いコミュニケーション能力は、CRCとして活躍するうえで大きな強みとなります。

常に学び続けられる高い学習意欲

入職後に研修を受けられるため、転職活動中から薬学・薬機法に関する勉強をする必要がありません。
しかし、CRCとして就職後は、日々新しい薬剤や疾患に関する知識が必要とされるため、常に学び続ける姿勢が求められます。
したがって、CRCを目指すうえで勉強熱心さは必要不可欠です。

CRC(治験コーディネーター)に向いている看護師の特徴

「自分はCRCに向いていないかもしれない」という不安から、転職をためらう看護師は多いものです。
下記のような看護師は、CRCに向いているでしょう。

  • 看護師以外の職種に興味がある
  • 身体への負担が少ない職場で働きたい
  • 疾患や薬理について学びたい

CRCに向いている看護師の特徴を分かりやすくお伝えするので、確認してみましょう。

看護師以外の職種に興味がある

CRCは看護師とは業務内容や働き方が大きく異なります。
病棟看護師の経験を活かしつつ、別のキャリアにも挑戦したいと考えている方にCRCはおすすめです。
治験に関する専門知識を身につけ、医師や製薬企業と関わる業務は、臨床以外の世界を知る良い機会となるでしょう。

身体への負担が少ない職場で働きたい

CRCは基本的に日勤のみで、夜勤や長時間の立ち仕事がありません。
体力的な負担が大きくなってきた看護師や、子育て・介護と両立したい看護師にとって、働きやすい環境です。
また、デスクワークが多いため、病棟勤務で感じていた腰痛や疲労感から解放されたい方にもぴったりと言えます。

疾患や薬理について学びたい

治験では新薬やさまざまな疾患に関する情報を扱うため、最新の医療知識や薬理の理解が深まります。
特に、疾患の進行や副作用の経過を観察し、医師と共有する場面では、高度な医療判断が求められることもあるでしょう。
「薬の効果や安全性に興味がある」「最新の医療について学べる職場で活躍したい」という看護師にとって、CRCは成長できるフィールドです。

CRC(治験コーディネーター)以外に看護師におすすめの職種

看護師経験を活かしてキャリアチェンジできる職種は、CRCだけではありません。
ここでは、CRC以外に看護師におすすめの職種を紹介するので、転職活動の参考にしてみましょう。

臨床開発モニター(CRA)

臨床開発モニター(CRA)とは、GCPや治験実施計画書(プロトコル)にしたがって、治験が適切に行われているかをモニタリングする職種です。
製薬会社の開発部門や、企業から臨床試験を受託されているCRO(開発業務受託機関)に所属します。
CRCと連携しながら、治験データの信頼性を担保する重要な役割を担うでしょう。

クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)

クリニカルスペシャリスト(フィールドナース)とは、医療メーカーや企業に勤務し、病院やクリニックに対して自社製品販売の営業サポートを行う職種です。
看護師として医療機器を使用した経験や、医療機器に関する説明を受けた経験が活かされます。
あくまで営業サポートであり、業務範囲は企業によって異なるでしょう。

▼関連記事
クリニカルスペシャリストとは?転職するのに必要な経験や資格、求人傾向

医療情報担当者(MR)

医療情報担当者(MR)は、製薬会社の営業職として、病院やクリニックの医師に対して自社医薬品の情報提供や使用促進活動を行います。
製品知識だけでなく、疾患や薬理作用についての深い理解が求められるため、看護師の医療知識が強みとなるでしょう。
患者様に直接関わることは少なく、医師と対等に話せるコミュニケーション能力が必要不可欠です。

CRCと看護師についてよくある質問

ここでは、CRCと看護師についてよくある質問を紹介します。

臨床経験が何年あれば看護師からCRCへ転職しやすいですか?

看護師がCRCに転職するために必要な臨床経験は定められていないものの、2~3年ほどの臨床経験があればCRCとして十分に活躍できます。
特に、慢性疾患やがん治療などに携わる機会の多い内科系の診療科目での臨床経験が豊富だと、治験業務を進めるのに役立つでしょう。
ただし、1年程度の臨床経験でも採用となるケースはあるため、医療現場で培った知識や経験をCRCとしてどのように活かせるのか、しっかりアピールすることが大切です。

看護師からCRCに転職する前に取得した方が良い資格はありますか?

看護師からCRCに転職する際、新たに取得しなければならない資格はありません。
入社後に研修制度が整っている職場が多く、無資格・未経験でもCRCとして働くことができます。
CRCとしてスキルアップを目指したいのであれば、将来的に認定CRCの取得や、上級者臨床研究コーディネーター養成研修の受講なども視野に入れると良いでしょう。

出典
日本臨床薬理学会「認定CRC制度」(2025年7月14日参照)
国立がん研究センター東病院「2025年度 上級者臨床研究コーディネーター養成研修 研修生募集要項」(2025年7月14日参照)

まとめ

CRCは治験が円滑に進められるように、医師・製薬会社・被験者の橋渡し役として、調整・支援を担う職種です。
看護師がCRCに転職する場合、SMO(治験施設支援機関)に就職するのが一般的であり、年齢層が低いほど採用率がアップする傾向にあります。
CRCは平日の日中のみの勤務であり、デスクワーク中心で働けるため、心身への負担が少なく済むのが魅力です。
看護師以外の職種に興味がある方や、疾患や薬理について学びたい方はCRCへの転職を検討してみましょう。

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この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。
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