「フライトナースになりたい。興味がある」という看護師の方も多いでしょう。フライトナースはドクターヘリに乗って働く、救命医療のスペシャリストです。このコラムではフライトナースの仕事内容や待遇、なり方について紹介しています。コラムを読んで、フライトナースを目指す方法を確認し、今後のキャリアを考える一助にしてください。
フライトナースとは、医療用ヘリコプターであるドクターヘリで救急患者の元に駆けつけ、救命活動を行う看護師です。ドクターヘリが配備されている病院の救命救急センターに所属しています。
フライトナースは志願者が多く、非常に高いスキルが求められるため、看護師の中でも精鋭揃いといえる職業です。
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フライトナースの任務は出動要請があればすぐに現場に駆けつけ、フライトドクターとともに救命処置を行うことです。
ドクターヘリには搭載できる医療機器に限りがあるため、消防本部などから入った患者の情報を元に必要な医療機器を選んで持参します。その判断を誤ると救命処置が適切にできないという事態が起こるため、長年の看護経験と高いスキルが必要不可欠です。
また、救命救急の現場では、患者が意識障害に陥っていたり、外傷を負っていたりするケースもあるため、周囲にいる家族が大きな精神的ショックを受け取り乱してしまうケースも多くあります。患者への看護だけでなく、家族の精神的なサポートをすることもフライトナースの大切な役割です。
フライトナースは日によって担当が違います。フライト担当の日は出動要請に応じてすぐに現場に向かえるよう、その日は専用のフライトスーツを着用して勤務。出動するまでは院内の仕事を進めますが、要請があればすぐに手を止めて現場に急行します。
また、フライト担当の日にはヘリ内部や物品の点検、医療機器の動作確認なども実施。出勤した際には同乗する医師やヘリスタッフとのカンファレンスを行い、スケジュールや天候状況を把握します。
事前に準備してある医療機器・医薬品を持ってドクターヘリに搭乗。出動要請から、約3~4分ほどで離陸します。
ヘリの運行中は消防本部指令室から入る患者の状況を基に、治療方法の検討や救急搬送先の選定をフライトドクターとともに行います。また、現場到着後すぐに処置ができるように、使用する医療機器の準備をします。
ヘリが現場に到着しだい、すぐに患者の元に駆けつけて、フライトドクターが行う治療を支援します。また、現場に患者の家族がいれば、状況を聞くのも仕事の一つです。家族が動揺しているようなら、励まして落ち着かせます。
医療処置後は、搬送に向けて看護記録を付けます。
患者を医療機関まで搬送している間、フライトナースは患者から目を離さず容体の変化に注意します。ドクターヘリの機内はエンジン音が大きく、言葉が聞き取りづらいため、表情などから容体の変化を察知することが必要です。
出動元の医療機関に戻ったら、そのまま受け入れる場合と、救急車に乗せ換えて別の受け入れ先に搬送する場合があります。フライトドクターとフライトナースは、患者を引き継ぐまでケアを継続。患者を引き継いだ後は勤務先に戻り、出動に備え待機します。
出動要請の回数は日によってまちまちです。フライトナースは勤務している病院の救命救急センターに所属しているため、出動要請が無い日は救急車で搬送されてきた患者の対応や時間外の緊急対応をしています。
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救命医療の中でも空の上という特殊なシチュエーションで看護を行うフライトナース。病棟で勤務している看護師と待遇面に違いはあるのでしょうか。
フライトナースの収入は看護師の平均に比べ高い傾向にあります。危険搭乗手当や特殊勤務手当がつくからです。また、ドクターヘリを配備している病院は規模が大きいため、比較的基本給が高い傾向にあります。看護師の平均年収である480万円前後より多い500万円前後がフライトナースの年収の目安です。
フライトナースといっても毎日ドクターヘリに搭乗しているわけではありません。基本的にシフト制で、1ヶ月単位でフライト担当の日が割り振られます。
基本的に、勤務シフトは一般的な看護師とさほど変わりはありません。2交代制や3交代制のシフトが一般的です。
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フライトナースになるには条件があります。資格取得や実務経験などが必要です。本項ではフライトナースになるための条件を紹介します。
フライトナースになるためには、日本航空医療学会のフライトナース委員会が定める3つの選出基準を満たさなければなりません。選出基準は以下の3つです。
・看護師経験5年以上で、救急看護師経験3年以上または同等の能力があること
・ACLSプロバイダーおよびJPTECプロバイダーもしくは同等の知識・技術を有していること
・日本航空医療学会が主催するドクターヘリ講習会を受講していること
救急病院はこの基準を元に選出基準を定めています。
参照元
厚生労働省「ドクターヘリの安全な運用・運航のための基準」
フライトナースになるには、ドクターヘリを所管している病院に就職し、救急部門に配属されなければなりません。なお、ドクターヘリは、平成30年9月時点で43道府県53機が導入されています。
参照元
厚生労働省「ドクターヘリの現状と課題について」
基本的に、フライトナースは救急救命センターに所属している看護師から選ばれます。そのため、フライトナースになるには、救命救急センターに所属していることが条件です。
救急救命センターでさまざまな患者の症状に対応できるスキルを身につけなければなりません。
フライトナースになるためには、フライトナースとして選ばれる必要があります。フライトナースの選出基準を満たしても、選出されなければフライトナースになれません。
フライトナースに選出されるには、病院内の選出基準を満たした上で、救命部門の師長にフライトナースとして推薦される必要があります。
フライトナースとして働くことには以下のような利点があります。
フライトナースは、やりがいのある仕事だといえます。実際に現場に向かい、初期治療の補助ができるので、患者の命を救う実感が得られでしょう。
フライトナースとして働く利点には、医療の知識を生かせることが挙げられます。フライトナースは、医師の補助を行うことが主ですが、患者が多くてフライトドクターの手が足りない時には自分の判断で処置を行わなくてはならない場合があります。
今までの救急業務の中で得た看護技術や知識を現場で活用できることが、フライトナースの仕事のやりがいといえるでしょう。
フライトナースはやりがいのある仕事といえますが、一方で臨機応変な対応が求められるなど大変な面もあります。本項ではフライトナースの大変なところを紹介。ぜひ参考にしてみてください。
フライトナースは、臨機応変な対応を求められる仕事です。病院内とは異なり、ヘリコプターで向かう現場は設備が整っていません。その中で的確な処置を行う必要があるのです。
フライトナースの大変な点に、業務がきついことが挙げられるでしょう。
フライトナースは救急外来での業務をこなしながら、要請があれば至急ヘリコプターで離陸して現場に向かわなくてはなりません。また、離陸後も限られた時間内で患者の病態を予測し、必要な物品をヘリ内で準備する必要があります。余裕のある現場とはいえず、忙しくきつい業務といえるでしょう。
フライトナースに向いているのは、成長意欲のある人や、冷静な判断力がある人、コミュニケーション能力が高い人などです。本項ではフライトナースに向いている人の特性を紹介します。
フライトナースになるためには幅広い知識と看護能力が求められます。より多くの命を救うためには、日頃から最新の救急医療情報を知っておくことが不可欠です。そのため、最新の救急医療について常にアンテナを張り、スキルアップを心がけられる人に向いているといえます。
研修中を除き、ドクターヘリに搭乗するフライトナースは基本的に1人です。心身の危機的状況である患者を救うため、どのような医療機器の準備が必要か、どのように処置を進めるべきなのか、きちんとその場の指揮をとりながら対応しなければなりません。一刻を争う状況下で手元にある情報が少なくても、冷静に判断する能力がある人に向いているでしょう。
ドクターヘリでの救命活動では、スムーズな連携が患者の命を繋げる要。現場にいる警察官や消防士とも、スムーズに状況を把握し合うことが重要です。また、患者の家族の心のケアをすることも大切な役割ですので、高いコミュニケーション能力は必須といえます。
フライトナースを目指す際は、第三級陸上特殊無線技士などの資格を取得しておくと良いでしょう。
本項ではフライトナースを目指す際に取得しておきたい資格について紹介します。
第三級陸上特殊無線技士は無線の取り扱いに関する資格で、医療系の資格ではなく、警察無線や消防無線などの基地局、移動局、携帯局の技術操作ができるようになる資格です。
フライトナースは現場の救急隊などと無線で連絡を取るため、この第三級陸上特殊無線技士の資格を取得しておかなければなりません。
参照元
厚生労働省「ドクターヘリの安全な運用・運航のための基準」
JPTECプロバイダーは、日本救急医学会公認の病院前外傷教育プログラムのことです。病院に到着する前の現場における観察と処置を迅速かつ的確に行い、できるだけ早く病院に搬送することで、外傷死を無くすことを目的とする教育コースです。1日間のコースを受講し、筆記試験に合格すれば資格が取得できます。
参照元
JPTEC協議会「JPTEC協議会が指定する教育コース」
ACLSプロバイダーは、二次救命処置スキルを身につけることができる資格です。心停止や重症不整脈、急性冠症候群、そして脳卒中の診断と治療法を知ることができます。
ACLSプロバイダーは救急医療の基礎といえる資格です。資格を得るためには2日間の研修と、筆記試験と実技試験に合格が必要になっています。
参照元
日本ACLS協会「ACLSプロバイダー」
PALSプロバイダーは、二次救命処置スキルを身につけることができる資格であるACLSの小児版となる資格です。乳児や幼児の緊急病態である、心停止などの判断と対応法を学ぶコースになっています。
PALSプロバイダーを取得することで、重症の疾病や重度の外傷の子どもに対しての救命や治療を知ることができます。資格を得るには、2日間の研修と筆記試験と実技試験の合格が必要です。
参照元
日本ACLS協会「PALSプロバイダー」
フライトナースを目指す際には、日本航空医療学会が主催するドクターヘリ講習会の受講をおすすめします。フライトナースになるには、この講習会を受けることが条件になっている場合が多いからです。ドクターヘリ講習会では、ドクターヘリの運用に関する基礎知識を得ることができ、実際の救急現場を想定した実技体験をすることもできます。
参照元
日本航空医療学会「ドクターヘリ講習会」
フライトナースとして求人募集をすることは基本的にありません。一般的にフライトナースはドクターヘリを配備している病院から任命されるか、志願してなるためです。目指すのであれば「ドクターヘリを所有する病院で救命看護師として働く」というルートを辿ります。
フライトナースは一刻を争う現場で、限られた医療機器を使用し救命処置を行わなくてはなりません。患者の命を救えなかった時には「もっとできることがあったのではないか」と救命医療の難しさを感じることもあるでしょう。しかし、その反面、患者が無事に回復し集中治療室から出られた姿を見た時、命を救う最前線で医療を提供できたことにやりがいを感じることもできるといえます。フライトナースは救命医療の中でも人気があるため、募集者も多く狭き門を通過する必要があります。
フライトナースを目指すには、必要な資格取得のため勉強をしたり、救命救急での現場経験を積んだりすることが道のりへの第一歩といえるでしょう。
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自然災害の多発地帯である日本では、フライトナースの今後の需要は増えていくことが予想されています。また、ドクターヘリは救急車よりも短時間で現場に着ける上に、病院への搬送時間も短縮できるため、救命率も救急車よりも高い実績があります。
そのため救急医療の分野からの期待もあり、対応分野の広がりも見込まれています。
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