ICU看護師に向いている人とは?目指す方法やメリット・デメリットも解説

2022.11.30

ICUのイメージ

ICU看護師に憧れている方には、「ICU看護師に向いている人はどんな人?」とその特徴を知りたいとお考えの方もいるでしょう。中には「私は不向きかも」と心配している方も。
そこでこの記事では、ICU看護師に向いている人、向いていない人のポイントや、不向きな場合も諦めずにチャレンジするコツをご紹介します。ぜひ、参考にしてICU看護師を目指しましょう。

目次

ICU(集中治療室)での看護師の仕事内容|病棟と何が違う?

日本集中治療医学会において集中治療とは、「生命の危機に瀕した重症患者を、24時間を通じた濃密な観察のもとに、先進医療技術を駆使して集中的に治療する」と定義されています。
その集中治療を行うための診療機器を整えた診療空間がICU(集中治療室)です。
日本クリティカル看護学会の「蓄積から挑戦へ(p2)」では、ICUは急性期看護・回復期看護・慢性期看護の中でも、より重篤な状態の患者が対象であることが示されており、この点が病棟看護と違う特徴と言えます。

出典
日本集中治療医学会「集中治療医とは」(2022年11月23日)
日本クリティカル看護学会「蓄積から挑戦へ(p2)」(2022年11月23日)

患者の全身状態モニタリングとアセスメント 

ICU看護師の役割として最も重要なのが、患者の全身状態を正確にモニタリングしアセスメントすることです。
ICUに入室している患者さんの多くは、心電図や観血的動脈圧モニター、中心静脈圧などの生体モニターを装着しています。
さらにドレーンや尿道留置カテーテルからの排液は、in-outバランスの判断に大切な情報です。
中には人工呼吸器や補助循環装置を用いて治療をしている患者さんも。
呼吸・循環に関するデータをチェックして、些細な変化を見落とさないようにしなければなりません。
実際に患者さんを見て触れることで情報収集し、わずかな異常を早期発見する必要もあります。

患者の日常生活の援助・療養環境の整備

ICUでは安全のために、オープンフロアの病床でカーテンをあけていることがほとんど。
治療の特性から性別や年齢、疾患に配慮することが難しくプライバシーが保たれにくいのが現実です。
24時間モニターのアラーム音がなり、治療や観察の度に物音が生じます。
このような環境で、患者さんが少しでも安楽に過ごすことができるよう、調整しなければなりません。
またセルフケアをできる患者さんが少なく、身体の清潔保持や食事の介助といった日常生活の援助も必要です。

診療・治療の補助 

どの部署でも診療・治療の補助は、看護師の主な役割の1つ。
特にICUは重症な患者さんを対象とするため、医療的介入をすることが日常的です。
中でも厚生労働省の施設基準を満たした施設は『特定集中治療室』とされ、より医療体制が充実しています。
2014年の診療報酬改定では、「特定集中治療室管理料1」「特定集中治療室管理料2」が新設。
専任医師が常時、特定集中治療室内に勤務していることなどが定めされています。
医師が常にいて治療がタイムリーに行われるため、一般病棟よりも診療・治療の補助場面が多いのがICU看護師の仕事内容の特徴と言えるでしょう。

医療機器の正確な操作

ICUでは様々な医療機器を用いて治療を必要とする患者さんが多く入室しています。
全身状態を把握するために、心電図、観血的動脈圧、中心静脈圧などを用いることが多く、正確にモニタリングするためには、装着方法やルートの管理方法、モニター機器の正確な操作をしなければなりません。
中でも使用頻度が高いのは、心電図モニター、輸液ポンプ、シリンジポンプ、人工呼吸器。
正しい使い方はもちろん、アラームの種類と原因を理解していることが患者さんの安全を守るため重要です。
異常の早期発見と医師への素早い報告や対処につながります。

手術後の受け入れ・オペ出し|転棟の申し送り

各外科の大きな手術の術後管理や、術前から全身状態が良くない患者さんの術後全身管理の目的でICUに入室する場合があります。
様々な診療科に合わせた術後管理、全身麻酔後のケアが必要で、各手術にあわせて受け入れ準備するのが特徴的です。
また既にICUに入室している方が緊急手術では、多くのルート類が挿入されておりオペ出しは慌ただしくなることも珍しくありません。
患者さんが安全に手術を受けられるように、手術室への正確な申し送りが求められます。
また、全身状態が回復した患者さんは一般病棟に転棟となるため、ICUでの経過や継続している問題を、抜けなく病棟看護師に伝えるのも大切な役割です。

急変時の対応

重症な病状の方や術後の方が入室するため、一般病棟よりも急変する可能性が高い患者さんが多いのがICU。
ICU看護師は正確なモニタリングで些細な変化に気付き、異常を早期発見できること、そして急変時の対応ができるようにしておく必要があります。

家族への精神的ケア 

大切な人が病院に入院するのは、家族にとってとても心配なことです。
その上、状態が悪化し重篤な状態にある場合のご家族の辛さは、測り知れません。
中には死を連想することもあるでしょう。
ルートやドレーンが入り、医療機器に囲まれた姿は家族にとって衝撃的だと考えられます。
家族に患者さんに起きている状況を分かりやすい言葉で伝えたり、家族の言葉に耳を傾け精神的なケアをすることがICU看護師の大切な役割です。

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ICU看護師に向いている人の4つのポイント 

ICU看護師の仕事の特徴を見ると、「ICU看護師に向いているのはどんな人?」と思う人もいるかもしれません。
ここではICU看護師に向いている人の特徴について、4つのポイントを紹介します。

観察力・洞察力がある人 

ICUに入室している患者さんは気管内挿管や鎮静が必要な場合があり、患者さん自身が症状を訴えることができないことがほとんど。
モニタリングやデータの観察とあわせて、患者さんを実際に見て触れて些細な変化を感じ取れる観察力はICU看護師には重要な能力の1つです。
また、些細な変化の本質的な部分、目には見えていない何かを探ろうとする洞察力があると、問題解決に繋がりやすくICU看護師に向いていると言えるでしょう。

視野が広く冷静に判断できる人 

患者さんが急変する可能性のあるICUでは、緊急事態でも起きている状況を冷静に判断し、的確に対応する能力が求められます。
患者さんが重篤であるからこそ、自分の担当業務ばかりでなくICU全体・チーム全体を見て自分がどう動くべきか、広い視野で捉えられる力がある人もICU看護師に向いていると言えます。

データ分析してケアに繋げる人 

ICUでは心電図や中心静脈圧などで循環動態を、人工呼吸器のグラフィックや血液ガス分析などで呼吸状態を、というように様々なデータを統合して全身状態をアセスメントする必要があります。
さらに見て触れて感じた患者さんの状態なども、データとして整理できることが大切です。
データから全身状態を分析し、行われている治療の方向性を確認しながら、今必要なケアを考えることができる人はより妥当性の高いケアの実施につなげられるでしょう。

コミュニケーション能力が高い人 

ICUでは気管内挿管が必要な方、治療のための鎮静が必要な方など、言語的コミュニケーションがとれない患者さんも多いです。
患者さんの動きや表情など、非言語的なコミュニケーションから読み取る力は、ICU看護師にとって重要な能力と言えるでしょう。
また、ICUでは多くの診療科の医師や臨床工学技士など、他職種との協力が必須。
コミュニケーション能力が高いと、医療チームの連携をより円滑に進めることが期待できます。

ICU看護師に向いていない人の3つのポイント

ICUで行われる治療の特性から、ICU看護師には向いていない傾向もいくつかあります。
特に理想とする働き方は一人ひとり異なり、ICUではそれを実現できない可能性もあるのです。
ここから紹介するポイントを参考にして、ICU看護師として働き続けることや、ICU看護師を目指すことを検討してください。

患者とじっくり関わる看護がしたい人 

ICUでは気管内挿管をしている方や状態が不安定な方が多く、会話がスムーズにできないケースがあります。
「患者さんと話をしながらじっくり関わる看護」がしたい方にとっては、ICUでは機会が少ないと言えるでしょう。
さらに状態が安定し回復してくると一般病棟に転科してしまうため、ゆっくり関わることが難しいのも現実。
ケア中に患者さんと話ができる機会が多い、一般病棟の方が向いているかもしれません。

プレッシャーを感じやすい人 

生命の危機状態にある患者さんが対象なため、急変する可能性が高く、一つひとつの行動が生命に直結しやすいのがICUの看護の特徴です。
このような状況下でプレッシャーを感じやすい人は、時間の経過とともに精神的な負担が大きくなってしまうでしょう。
無理してICU看護師を続けると、最悪の場合は健康を害する可能性もあります。
自分の正確にあった職場を選ぶのも大切なことです。

仕事よりプライベート重視の人 

モニタリングやデータ分析が不可欠なICUでは、覚えるべき知識が膨大です。
特にICUなどの急性期領域では医療技術の進歩が目覚ましく、看護師経験が長くても継続的な学習は必須でしょう。
プライベートな時間も、学習時間に当てなければならないことも。
自分の趣味や遊びなどで休日を充実させたい方には、不向きかもしれません。

ICU看護師になるために必要な準備は? 

看護師の役割はどの部署においても、患者さんの回復を目指し、療養の世話や診療の補助をすることです。
ICU看護師になるために特に資格は必要ありませんが、ICUでは重症の患者さんが対象であり、集中治療に関する専門的な知識やアセスメント力が求められます。
ここではICU看護師を目指すのに特に必要な準備について解説します。

配属に必要な条件をクリアする 

新人看護師をICUに配属することもありますが、病院によっては一定期間の病棟看護師の経験があることをICU配属の条件にしている場合があります。
自分が働いている病院の、ICUへの配属条件をよく確認し、条件をクリアできるよう計画的に行動する必要があるでしょう。

ICUへの異動希望をアピール 

部署異動は病院側の都合もあるので、希望どおりスムーズに行くとは限りません。
できるだけ早めに希望を叶えるためには、キャリアプランを師長にアピールすることが重要です。
病院側には人材を育成したい思いがあるため、「専門看護師や認定看護師を目指したい」「看護研究に取り組み看護の質を高めたい」など具体的な目標を提示するとより良いでしょう。

資格の取得や継続的な学習 

ICUでは急患の受け入れや急変対応の機会が他の部署よりも多い傾向があります。
このため、一次救命処置BLSや二次的救命処置のACLSなどの緊急時の対応に役立つ資格を取得しておくと業務に活かせるでしょう。
また、学会やセミナーに参加し新たな知見を知ることも大切です。
ICU看護師になるため行動する姿は、周囲の評価にも繋がり希望どおりの異動に繋がるかもしれません。

ICUで働くメリット・デメリット 

患者さんが生命の危機状態、重症であるというICUの特徴により、看護師にとってのメリット・デメリットが生じがちです。
代表的なメリット・デメリットを紹介するので、ICU看護師を目指す時の参考にしてください。

メリット①スキルアップを目指せる  

ICUでは外科・内科に関わらず、様々な診療科の治療やケアを経験できます。
他の部署ではほとんど扱われない、補助循環装置、人工透析などの医療機器を必要とする患者さんの看護にも携われスキルアップを目指せるでしょう。

メリット②患者の回復への喜び  

患者さんが徐々に回復に向かう姿を見るのは、看護師にとっても喜びの1つ。
ICUの場合は、入室時したときの患者さんのほとんどが生命の危機に瀕しているため、少しの回復の様子でも大きな喜びにつながります。

メリット③年収がアップする?  

夜勤回数が多いこと、業務の特殊さや重症者を対象にすることから、特殊勤務手当や危険手当が支給され、病棟よりも若干年収が高くなる場合もあります。
ただしプレッシャーがかかる場面が多いので、給与アップを目的にICU看護師を目指すのはおすすめできません。

デメリット①死に向き合う辛さや業務のプレッシャー 

ICUは生命の危機状態にある重症な患者さんに医療を提供する場所であり、一つひとつの業務でミスをできないというプレッシャーがかかりがち。
死に向き合う場面もあるため、精神的な負担がかかりやすい環境と言えます。

デメリット②患者との関わりが一時的 

病状が回復し、病棟管理が可能と判断される状態になると、患者さんはICUを退室することになります。
ICUから退院することはほぼないため、患者さんの回復の経過を最後まで看ることはできない点がデメリットの1つでしょう。

デメリット③ICU看護師は怖い?

ICUでは小さいミスが患者さんの生命に関わるため、先輩看護師の指導が厳しくなることもあります。
患者さんを守るための行動で、先輩看護師に悪気はありませんが、配属されたばかりの看護師にとっては萎縮してしまう原因の1つになりがちです。

私はICU看護師に不向きなの?諦めずにチャレンジを!

「ICU看護師に向いているポイント」に当てはまらないからと言って、ICUで働くことを諦める必要はありません。
「向いている人」とは、あくまで目安。
心配な人は次のような準備を進めて、ICU看護師にチャレンジしてみましょう。

病棟で経験積んでICUに異動 

ICUには心臓血管外科や脳神経外科、循環器内科、呼吸器内科の疾患を持つ方が入室するケースがよく見られます。
このためICUへの異動を目指す前に、各診療科で病棟看護師の経験を積むと、ICU異動時に活かせるでしょう。

教育体制・キャリアアップ支援が整っている病院を探す 

新人看護師や異動看護師に対する教育体制が整っている病院で働くのもおすすめです。
ICU看護師は向いていないかもと心配な方は、特に重要視した方が良いポイントでしょう。
また、異動看護師は経験者ということで、教育体制が体系化されていないこともあるので注意が必要です。

転職エージェントを利用する

転職エージェントは、転職を希望する看護師の方のキャリアプランや理想的な働き方にあった求人を紹介してくれます。
教育体制や職場の雰囲気などの、具体的な病院の内情についても詳しいので、より自分に合った転職先を探すことができるでしょう。

まとめ 

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病院や施設の福利厚生や教育制度、などの求人詳細や、気になる給与情報や職場の雰囲気についても職場情報に詳しいアドバイザーから情報収集していただけるのが特徴です。
またキャリアアドバイザーは、病院への条件交渉を代理で行っており、ICUへの配属希望や将来的なキャリアプランについても転職先に伝えやすくなります。
ICU看護師になりたいと転職をお考えの方は、ぜひご相談ください。

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