
ICU看護師に興味を抱いている方もいるでしょう。ICUの看護師は、重症度が高く生命の危機がある患者さまの治療・看護を行います。この記事では、ICUで働く看護師の役割・仕事内容やメリット・デメリットなどを解説。向いている人の傾向や給料事情、キャリアアップにおすすめの資格も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ICU看護師は、重症患者さまの全身管理や、医師の指示下での医療処置、生活援助といった役割を担います。ここでは、ICU病棟の特徴や対応患者さまの例などを解説しますので、参考にしてみてください。
ICUとは「Intensive Care Unit」の略称で、重症患者さまを24時間体制で治療・ケアする病棟です。入院する患者は重症度が高く急変リスクがあるため、一般病棟よりも集中的な管理が求められます。フロアは、患者さまのちょっとした変化にもいち早く気付いて対応できるようオープンフロアである場合が多いでしょう。
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ICUのケア対象は、内科や外科などの診療科を問わず、重篤な状態にある幅広い患者さまです。ICUは、事故後や手術後で厳重な容態観察が必要な人や、重篤な急性機能不全に陥った人が対象となります。
敗血症や意識障害、脳出血、呼吸不全などがその例です。急性心筋梗塞、重症熱傷なども対応範囲に入ります。日本集中治療医学会「JIPAD 2021年度 全体版年次レポート 2021年度 ver.1.10(P16)」によると、成人のICU患者には消化器がんや心血管疾患などの症例が多いようです。
日本集中治療医学会「集中治療部設置のための指針 2022年改訂版(P468)」によると、ICUにおける看護師の配置基準は、患者さま2人に対して看護師1人以上の配置を下限とし、1日の平均で患者さま1.5人に対して看護師1人以上の割合で勤務することを推奨。患者さまのケアレベルも考慮した看護師の配置も必要です。同資料を基に、以下の表で患者さまの状態ごとに推奨される、看護師の配置基準をまとめました。
| 看護を行う患者さまの状態 | 配置基準(患者さま:看護師) |
| 新興感染症や多臓器障害に対し臓器サポートを行っている場合 | 1:1以上 |
| 小児や人工呼吸器装着中、重要臓器不全などで単一臓器サポートなどが必要な患者さまの場合 | 1~1.5:1 |
| 臓器不全からの回復期や術後など臓器不全のリスクは内在するが、臓器サポートはなく継続的なモニタリングや薬物療法を中心とするケアレベルの場合 | 2:1以上 |
参照:日本集中治療医学会「集中治療部設置のための指針 2022年改訂版(P468)」
各勤務の責任者は看護業務に含まずに、人員配置をすることも推奨されています。ICUでは、スタッフが一目で患者さまの様子を確認できるよう、基本的にオープンフロアになっているのも特徴です。
ICU以外にも、集中治療を担うユニットは数多くあります。厚生労働省「入院(その6)高度急性期入院医療について(P58,59)」を参考に、おもな集中治療ユニットを特徴・看護師の配置基準とともにまとめました。
| 種類 | 日本語表記 | 対象 | 看護師配置(患者さま:看護師) |
| ICU | 集中治療室 | 疾患の種類を問わず、重篤な症状や術後で容態観察が必要な患者さま | 2:1 |
| HCU | 高度治療室 | 緊急度は高くないものの、急変のリスクがある患者さま | 4:1または5:1 |
| EICU | 救急集中治療室 | 救命救急センターに救急搬送された危篤状態の患者さま | 2:1 |
| SCU | 脳卒中集中治療室 | 脳卒中を急性発症した患者さま | 3:1 |
| CCU | 冠疾患集中治療室 | 虚血性心疾患を中心に、重篤な循環器疾患を発症した患者さま | 2:1 |
| NICU | 新生児集中治療室 | 24時間体制で集中的な医療が必要な新生児 | 3:1 |
| MFICU | 母体・胎児集中治療室 | 切迫早産や重篤な合併症妊娠や、胎児に重篤な病気がある妊婦 | 3:1 |
| PICU | 小児集中治療室 | 重症度の高い疾患や外傷を負った子ども(0~15歳ごろまで) | 2:1 |
参照:厚生労働省「入院(その6)高度急性期入院医療について(P58,59)」
ICUが診療科を問わず幅広い疾患・対象年齢の治療を行うのに対して、ICU以外の集中治療室は、専門性に特化し、対象範囲が狭い点が大きな特徴です。どの治療室に勤務するかで、その後の看護師としてのキャリア形成も大きく変わるといえるでしょう。
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ここでは、ICU看護師の仕事内容と1日のスケジュールを解説します。業務内容や勤務形態ごとの流れをつかむヒントにしてみてください。
ICU看護師が担う業務内容は、以下のとおりです。
| ICUの仕事 | 仕事内容の詳細 |
| 手術前後の物品準備・患者さま対応 | ・術後直後に必要な人工呼吸器や薬剤、モニター類の準備 ・ICU入室直後は麻酔からの覚醒状態やバイタルなどを確認 |
| 患者さまのモニタリング・全身管理 | ・心電図モニターの確認や血圧などの観察 |
| 医師の指示に基づく医療処置 | ・容態変化に応じて鎮静薬などを投与・管理 ・カテーテル留置や気管挿管、胸腔ドレナージなどの介助 |
| 医療機器の管理・操作 | ・人工呼吸器や人工透析装置などのアラーム解除や設定変更 |
| 日常生活の援助 | ・排泄介助や体位変換などの実施 ・ADL向上に向けた離床や廃用症候群を防ぐためのリハビリ補助 |
| ご家族への精神的ケア | ・突然の事故や急病で混乱するご家族の精神的ケア ・医師の病状説明に同席して意思決定を支援 |
| 検査移送や一般病棟への転科支援 | ・検査室への移動中も人工呼吸器やモニターが途切れないよう搬送 ・一般病棟へ移る際の病棟ナースへの申し送り |
| 清潔ケアや感染管理 | ・手洗い、ガウンテクニック、口腔ケアや消毒で感染防止 ・ベッド上での清拭や洗髪で感染症を防止 |
| ご家族へのメンタルケア | ・ご家族へのこまめな声かけ ・治療継続や中止、看取りの選択支援 |
ICU看護師の仕事内容は、モニター確認、医療機器操作など多岐にわたります。ADLの低い患者さまが多いため、理学療法士との連携により、リハビリの介助も実施。夜間は照明を落とすなどサーカディアンリズムを意識したケアを行い、環境変化で起こりやすい不穏、せん妄を予防します。患者さまの容態が安定した後は、一般病棟へ適切に情報を引き継ぐ必要があるので、正確な看護記録を作成することが大切です。
ここでは、ICU看護師の1日のスケジュール例を解説しますので、参考にしてみてください。なお、長日勤や早番・遅番といった変則交代制勤務や、夜勤専従を採用する病院もあります。
日勤帯のスケジュールは基本的に8時から17時であり、看護師の受け持ち数は1〜2人程度です。
| 8:00 | 出勤、情報収集 |
| 8:30 | 朝礼、申し送り |
| 9:00 | ラウンド、清潔ケア |
| 12:00 | 昼食配膳、投薬 |
| 13:00 | 交代で休憩 |
| 14:00 | ラウンド、転棟準備・入浴介助 |
| 16:30 | 申し送り、記録、カンファレンス |
| 17:00 | 退勤 |
ICUでは2時間に1回程度の頻度でラウンドを行い、バイタルサインのチェックなどを細かく行います。重症患者へのケアは業務一つひとつに時間を要するため、焦らず丁寧な対応が求められるでしょう。突発的な急変事態にも備える必要性があるため、常に余裕を持った行動を意識することが大切です。
ICU看護師の夜勤におけるスケジュールは以下のとおりです。
| 16:00 | 出勤、情報収集 |
| 16:30 | 申し送り |
| 17:00 | ラウンド、点滴準備 |
| 17:30 | 夕食配膳、投薬 |
| 18:00 | ラウンド、交代で食事休憩 |
| 20:00 | 睡眠前投薬、就寝準備 |
| 21:00 | 消灯・記録・緊急入院の対応 |
| 22:00 | ラウンド・交代で仮眠 |
| 翌6:00 | モーニングケア・ラウンド |
| 翌7:30 | 朝食配膳・投薬 |
| 翌8:30 | 申し送り・記録 |
| 翌9:00 | 退勤 |
ICUに入院している患者さまは急変リスクが高いです。 消灯後もラウンドし、バイタルサインのチェックやケアを行います。患者のわずかな変化も見逃さないよう気を配り、少しの違和感でも医師への報告や相談を行うことが大切です。 夜間に緊急入院の対応をすることもあるでしょう。
ここでは、ICU看護師として働くメリット・デメリットとして、やりがいや大変さを解説します。
ICU看護師のやりがいには、達成感やスキルアップが挙げられるでしょう。
ICU看護師のやりがいの一つが、患者さまの状態回復を近くで見守れることです。ICUでは、度重なる急変があったり、処置を必要としたりする患者さまが多数います。手術やケアによって、安定した状態に回復する姿を見ると達成感に包まれるはずです。
ICUで働く大きなメリットは、自分のケアによって患者の容態が劇的に改善する達成感でしょう。循環器や呼吸器などの生命維持に直結する領域から外科まで、幅広い疾患の知識が身につきます。人工呼吸器などの高度な医療機器の管理や、心肺蘇生といった緊急時のスキルも日常的に習得できるでしょう。培った汎用性の高いアセスメント能力は、将来どの部署へ進んでも大きな強みにはるはずです。
ICU看護師には、やりがいがある一方で「プレッシャー」「専門性」といった面で大変さもあるようです。
ICU看護師は、急変対応のプレッシャーを感じやすい仕事といえるでしょう。ICUの患者さまではモニターの異常に常に気を配ったり、スピード感のあるアセスメントが求められたりします。判断力が患者さまの容態に影響を及ぼすこともあるため、人によってはストレスを感じることも。
ICUで働く大変さの一つは、突然の心停止や急変に対処する際の精神的プレッシャーが大きい点です。高度な専門知識が求められるため、疾患の理解や医療機器の管理など絶え間ない学習が必要でしょう。配属後の新人研修では、人工呼吸器の管理や心電図の読み方、ドレーンの取り扱いなどを学びます。膨大な知識を短期間で習得し、臨床に結びつけるための勉強時間を確保する努力が求められる。
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ICU看護師の勉強方法は?継続するコツやキャリア別のポイントもご紹介
ここでは、ICUの看護師に向いている傾向にある人を解説します。
ICUの看護師には、緊張感のある現場でも感情をコントロールし冷静に判断できる人が向いています。命に関わる予測不能な事態が日常的に起こるため、冷静かつ柔軟な対応力が求められるでしょう。1人では判断できないと感じたら、適切に周囲に連携するコミュニケーション能力があることも大切です。
状況に合わせたアセスメント能力があることも、ICU看護師に向いている人の特徴の一つでしょう。ICUでは刻一刻と患者さまの容態が変化します。異常が発生してから動くのではなく、事前に予測して予防策を立てられる観察する必要性があるといえます。
ICUの看護師に向いているのは、高度な医療でキャリアプランを形成していきたい方です。
ICUでは循環器や呼吸器などの管理が欠かせないので、心臓外科や呼吸器内科、循環器内科、救急外来などで知識を活かせます。心電図モニターの操作や術後のモニタリングまで、ICUのスキルを活かした業務を行えるでしょう。職場によっては退院支援に携わるので、復帰を見届けたいと看護師にも向いています。
レバウェル看護が独自に行った調査によると、ICUに勤務する看護師の平均月給は38万2,938円、平均賞与は94万1,428円で、そこから算出した平均年収は553万6,684円でした。
| 平均月給 | 平均ボーナス | 平均年収 |
| 38万2,938円 | 94万1,428円 | 553万6,684円 |
※2024年3月時点のデータ
※年収は、月給×12+ボーナスで計算
同調査のデータにより算出した、看護師全体の平均年収は約473万円のため、ICUで働く看護師の給与は高水準の傾向にあるといえます。
ここでは、ICUの看護師に転職する際のポイントを解説しますので、ぜひご一読ください。。
ICU看護師を目指す際、ICU特化した求人は限られることをあらかじめ理解しておきましょう。急性期病棟で一括採用のうえ、適性や人事状況によってICUに配属されたり、非公開求人でICU限定の募集があったりすることも。ICUは病院内のほかの部署と兼任扱いで募集されることもあります。患者さまがICUにいない際は、別の部署に応援に行く場合もあるでしょう。
ICUの看護師になるには、病床数の多い病院を探すのも手です。ICUは臨床経験3年以上の募集が多い傾向にあり、一般診療科や急性期病棟からICUに移る流れが一般的です。転職時は、以下のような集中治療室の病床数が多い傾向にある病院を選択することで、配属の希望が通りやすくなる可能性があります。
救急専門のEICUや心疾患専門のCCUでは患者さまごとに集中治療室が独立して用意されることも。
ICU看護師になるには、志望動機で活躍したい旨を的確に伝える必要性があるでしょう。「なぜICUなのか」といった希望理由や、応募先でどう活躍できるのかをアピールしてみてください。
前職は循環器内科の看護師として働いておりました。モニターの数値やバイタルサインの変化から異変を察知し、医師に報告したところ、患者さまの状態回復につながった経験があります。ICU領域は未経験ではありますが、前職で培った観察力や判断力を活かし、命の最前線で患者さまを支えたいと考え、志望いたしました。
ここでは、ICU看護師のキャリアアップにおすすめの資格として、「診療看護師」「クリティカルケア認定看護師」「急性・重症患者看護専門看護師」を解説します。
診療看護師になると、医師の包括的な指示の基で、一定の医行為を行えます。診療看護師になるには、看護師として5年以上の経験が必要です。加えて、大学院で所定の修士課程を修了後、試験に合格する必要があります。医師の到着前からできるケアの幅が広がり、ICUで培った判断力を活かせるでしょう。
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ICU看護師のキャリアアップには、クリティカルケア認定看護師の取得もおすすめです。クリティカルケア認定看護師とは、日本看護協会の認定看護師のうち、重篤かつ急性期の患者さまに特化した資格です。クリティカルケア認定看護師は、さらなる重篤化を避けたり、合併症を予防したりする役割を担います。取得によって、ICUで身につけた観察力やアセスメント能力にあらためて自信を持てるでしょう。
急性・重症患者看護専門看護師も、ICU看護師のキャリアアップに役立つ資格の一つです。
日本看護協会が掲げる専門看護師の分野のなかで、重症度や緊急度が高い患者さまのケアに特化した分野を「急性・重症患者看護」としています。的確な医療が行われるよう、ご家族の支援を行ったり、スタッフの調整役を担ったりすることも。ICUの専門性を活かして幅広い対応をこなしたい方におすすめです。
ここでは、ICU看護師に関してよくある質問をQ&A形式で紹介します。
優秀さに関係なく、新卒1年目での配属自体が稀といえるでしょう。一般的に、ICUは最新の医療知識・スキルの勉強も多く求められるので、配属後の取り組み姿勢が大切といえます。新卒や臨床経験が浅い状態から目指すには、教育体制が手厚い病院を選び、部署異動の機会を待つ道も。
面談や人事希望のアンケートで異動希望を出せます。ただし、〇年働けば必ずしも希望が叶うとはいえません。人事担当者は経験年数に加えて、どういったスキルを身につけたのかを重視します。リーダー経験を積んだり、「人工呼吸器を扱ったケアを積極的に行う」「急変対応の勉強会に参加する」といった行動を取ったりしてみましょう。
ICUとは、24時間体制で重篤な患者さまの治療・看護を行う職場です。ICU看護師の仕事は、「患者さま対応や物品準備など手術前後の準備」「モニタリングや全身管理」「医師の指示の基での医療処置」など、多岐にわたります。
ICUで働く代表的なメリットは、「状態回復を見守れる達成感がある」「幅広い疾患に対応してスキルアップできる」といった点です。一方で、「急変対応へのプレッシャーがある」「高度な分野を覚えたり学習したりする」などのデメリットも。
ICU看護師に向いている人の特徴は、「緊張感のある現場で判断力を発揮できる」「状況に合わせたアセスメント能力がある」といった人といえるでしょう。看護師がICUに転職する際は、病床数の多い病院を探したり、ICU看護師として活躍したい旨を志望動機でアピールしたりしましょう。
とはいえ、「1人では履歴書の志望理由や職務経歴書のブラッシュアップが難しい」と感じる方もいるでしょう。そうした方はレバウェル看護にご相談ください。レバウェル看護では、非公開求人も紹介できるので、条件に合った病院を見つけやすいでしょう。履歴書の志望理由や職務経歴書の添削もできますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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