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2024.1.31
「救急病棟とICUはどんな違いがあるの?」「自分に向いているのはどちらの病棟?」と悩んでいる看護師の方は多いのではないでしょうか。
ここでは、救急病棟とICUの違いや、働く看護師の仕事内容・役割などについて詳しくご紹介していきます。
この記事を最後まで読み終えていただけたら、それぞれの病棟の違いが分かり、キャリアパスに役立てることができるでしょう。
救急病棟とICUへの部署異動・転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
救急病棟とICU(集中治療室)の違いについて、詳しくご紹介していきます。
それぞれの病棟・患者様の特徴や看護師の配置基準などをお伝えしていくので比較してみましょう。
ここでは、救急病棟とはどのような病棟なのかお伝えしていきます。
救急搬送された患者様は救急外来で救急・救命処置を行い、重症度に応じてICUやHCU、一般病棟に入院します。
ICUにて超急性期の集中治療を受け、全身状態が安定したものの、一般病棟での治療が難しい重症患者様の受け皿となっているのが救急病棟です。
薬物中毒やアルコール中毒の患者様が、短期間入院するケースも多いでしょう。
また、救急医療施設は患者様の重症度に応じて、下記のように一次、二次、三次救急に分かれています。
救急の種類 | 重症度 | 主な医療施設 |
一次救急 | 比較的軽症なので入院は不要 | 休日夜間急患センター |
二次救急 | 手術や入院による治療が必要 | 病院群輪番制病院、共同利用型病院 |
三次救急 | 生命にかかわる重篤な症状 | 救命救急センター |
医療機関によっては、ドクターカーを救急現場に出動させ、看護師が同乗することもあります。
そのほかにも、ドクターヘリで災害現場に駆け付ける「フライトナース」や国内外で大規模災害が発生した際に派遣される「災害支援ナース」など、病棟外でも活躍の場が広いです。
日本看護協会の「外来・救急外来の人員配置の見直しと強化を (P5)」によると、救急外来では、看護職員の設置について定められていません。
一方、救急病棟における看護師の配置基準は下記のとおりです。
施設基準の種類 | 看護配置 |
救命救急医入院料1 | 4:1 |
救命救急医入院料2 | 2:1 |
救命救急医入院料3 | 4:1 |
救命救急医入院料4 | 2:1 |
入院料ごとに看護師の配置基準が異なるため、入職を検討している場合はあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
救急外来に搬送される患者様は年齢層が幅広く、緊急度や重症度には個人差があります。
特に重症度や緊急度が高い症例には、心肺停止、多発外傷、急性冠症候群、脳出血などが挙げられるでしょう。
そのほかにも、中毒や熱傷、外傷によって搬送される患者様もいます。
ICUに入院するほど重症ではない方や、ICUやHCUを経て容体が落ち着いた方は、救急病棟に入院するケースが一般的です。
また、薬物中毒やアルコール中毒、自殺未遂などで救急搬送された患者様は、一般病棟ではなく救急病棟で受け入れる場合もあります。
次に、IUC(集中治療室)についてご紹介していきます。
ICUは「Intensive Care Unit」の略称であり、「集中治療室」とも呼ばれます。
集中的かつ高度な医療の提供に必要な医療機器や生命維持装置といった設備のほか、診療体制も整っているのが特徴的です。
救急外来から緊急入院を受け付けるほか、侵襲率の高い術後の患者様が手術室から入室することもあるでしょう。
救命救急センターの中に位置づけられている病院が多いですが、救急外来をメインとした救急科とは区別されています。
ICUでは、患者様2名に対し、1名の看護師が配置される「2:1」の体制が組まれています。
重篤な患者様が多く、急変のリスクが高いことから、慎重かつ高度な医療を必要としているためです。
一般病棟が10:1や7:1であるのに比べると、ICUの看護師基準は手厚いことが分かります。
ICUでは内科・外科を問わず、重症度および緊急度が高い患者様を受け入れています。
具体的な疾患名は下記のとおりです。
事故後や手術後に全身管理が必要な患者様や、重篤な疾患によって機能不全に陥った患者様が多く、24時間体制で患者様の全身管理を行います。
救急病棟とICU(集中治療室)ではどのような仕事を担うのか、気になるところです。
そこで、救急病棟とICUで働く看護師の違いについて、下記のとおりに解説していきます。
それぞれの特徴的な仕事内容・役割だけでなく、共通しているものもお伝えするので確認してみましょう。
救急病棟で受け入れている患者様は、ICUやHCUの患者様よりも容体が落ち着いており、重症度が低いです。
そのため、IUCやHCUに準じた仕事内容・役割を担います。
ただし、病院によっては、救急病棟だけでなく当番制で救急外来も兼務します。
救急外来の知識・スキルを求められるのは、救急科の看護師ならではと言えるでしょう。
救急搬送された患者様は、まず救急外来で看護師によってトリアージや問診、検査の補助などが行われます。
そのため、いかなる状況でも患者様の状態を冷静に把握し、アセスメントできる能力が求められるでしょう。
また、比較的重症度が高くない患者様は救急病棟に入院し、適切な治療やケアを提供します。
救急外来では、患者様の重症度・緊急度に応じて速やかに救急・救命処置を行います。
また、救急病棟に入院する患者様は、比較的容体が落ち着いているものの、一般病棟への転科・転棟が可能なほど状態は落ち着いていません。
急変時は胸骨圧迫を始めとした適切な処置を行い、患者様を救命します。
ICUは緊急度や重症度の高い患者様が入院する病棟です。
そのため、ICUで働く看護師はハイレベルな知識・スキルに基づき、患者様に対して必要なケアを提供しています。
ここでは、ICUで働く看護師の仕事内容・役割についてご紹介していきます。
ICUに入院している患者様は、モニターや呼吸器など医療機器で生命をつないでいます。
そのほかにも輸液ポンプやシリンジポンプなどで、薬剤の投与も精密に管理されている患者様がほとんどです。
そこで、ICUの看護師は医療機器が適切に作動しているか、チェックする必要があります。
ICUは患者様の部屋が個室で区切られておらず、カーテンで仕切られています。
医療機器のアラームや急変対応などで、睡眠と覚醒のリズムの乱れにつながりやすいです。
そこで、生活リズムを整えるために下記のようなケアを実施します。
生活リズムの乱れは、せん妄や夜間の不穏のリスクを高めます。
寝たきりで意識がない患者様でも、その人の尊厳を守るためにも、生活リズムを意識したケアを提供することが大切です。
救急病棟・ICU看護師で共通している仕事内容・役割についてご紹介していきます。
救急病棟やICUに入院している患者様の多くは、治療のために全身管理を必要とします。
具体的なケアの内容は下記のとおりです。
体調変化なわずかな兆候も見逃さないように、細心の注意を払って患者様の全身状態を把握します。
救急病棟やICUでは重篤な患者様を受け入れているため、医師の診察や処置の頻度が多くなりやすいです。
そのため、看護師は医師の診察や処置を補助し、医師の指示を先読みした準備も欠かせません。
また、患者様の状態を正確にアセスメントし、医師に報告することで、患者様の急変を未然に防げるでしょう。
突然の怪我・病気によって戸惑いを感じる患者様・ご家族は多いです。
特に、後遺症による機能障害や、外見の変化を伴う外傷は、今後の生活への不安が高まりやすいでしょう。
状況に対する丁寧な説明や精神的なフォローによって、患者様・ご家族の不安を軽減することも救急看護師やICU看護師の重要な役割です。
救急病棟やICUは、残業手当や夜勤手当のほかに、病棟独自の手当が支給される可能性があり、一般病棟に比べて給与アップが見込めます。
ICUの看護師は、ハイレベルな医療を提供し、一般病棟では取り扱わないような医療機器も使うため、特殊業務手当が支給される病院も少なくありません。
特殊業務手当は月に1~2.5万円ほどが相場です。
一方、救急看護師は泥酔や薬物依存症の患者様による暴力行為のリスクがあることから、危険手当が支給される病院もあります。
危険手当の相場は、1ヶ月あたり1万円ほどです。
救急病棟やICUは、積極的に給与アップを目指したい人にぴったりの職場と言えるでしょう。
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ICUの看護師の年収相場は?転職すれば給料アップできるのかを解説
「自分は救急病棟で働くのが向いているの?」と気になっている方は少なくありません。
そこで、救急病棟に向いている看護師の特徴は下記のとおりです。
あてはまる特徴はあるか、チェックしてみましょう。
救急外来では患者様が救急搬送されるタイミングが予測できないため、救急病棟へ入院してくる患者様も見通しが立ちにくいです。
救命に対してシビアな状況でも落ち着いて患者様の状態をアセスメントし、冷静に判断・対応していく必要があります。
また、突然の事故や病気によって重症な状態に陥ってしまい、不安や焦り、混乱が生じている患者様・ご家族は多いです。
患者様やご家族に感情移入しすぎると、看護師側の精神的な負担につながります。
患者様やご家族が抱える辛さに寄り添いながらも、うまく気持ちを切り替えながら対応できる看護師が向いているでしょう。
救急医療の現場では、複数の患者様の対応に追われることも多く、精神的な緊張感が常に求められます。
そのほかにも24時間体制で治療やケアが必要となるので、不規則な勤務形態でも働ける肉体的なタフさが欠かせません。
また、手を尽くした患者様の看取りや急変に直面することもあり、気持ちをうまく切り替えていける強い精神力も重要な要素です。
体力・精神力のタフさに自信がある看護師なら救急病棟に向いているでしょう。
患者様の状態に合った迅速な救急・救命処置のスキルや医療機器の取り扱いなど、ハイレベルな医療について学べます。
また、病院によってはドクターカーやドクターヘリに乗ったり、災害現場に駆け付けたりと、院外にも活躍の場が広がっていることも多いです。
積極的に学びたい人や、スキルアップしていきたい人は、救急病棟の看護師への適性が高いと言えるでしょう。
救急病棟だけでなく、ICUにおける看護師の適性も気になるところです。
そこで、ICUに向いている看護師の特徴について、下記のとおりにご紹介していきます。
ICUへの転職を視野に入れている方は確認してみましょう。
ICUに入院している患者様の病状は予測不可能なことも多く、迅速かつ冷静に対処しなければなりません。
看護師が混乱してしまうと、急変患者様への対応の遅れにつながります。
予測していなかった急変に遭遇しても感情をコントロールし、非常事態に備えられる看護師が望ましいです。
ICUの患者様は急変リスクが特に高いため、適切なアセスメントによって患者様の状態を把握するスキルが必要です。
また、ICUに入院している患者様は、様々な部位の疾患や怪我による治療を受けています。
幅広い疾患や病態生理の知識・観察項目を理解している看護師が求められるでしょう。
異常が生じてから対応するのではなく、異常の兆候にいち早く気付き、的確に医師に報告することが大切です。
ICUではハイレベルかつ最新の医療技術や医療機器を用いて治療や看護を行います。
ハイレベルな医療は常に進化しており、最新の知識・スキルをアップデートしていかなければなりません。
「最新の医療に積極的に携わり、学び続けたい」と考えている看護師にとって、ICUは向いている職場です。
ここでは、救急病棟とICUの違いについてよくある質問について、詳しくご紹介していきます。
ICUとHCUはいずれも、急性期の重篤な患者様を受け入れる高度急性期病棟です。
ただし、HCUに入院する患者様は、ICUに入院する患者様に比べて緊急度や重症度が低い傾向にあります。
HCUに入院する患者様の特徴は下記のとおりです。
また、看護師の配置基準は4:1となっており、ICUの方が看護師の配置人数が手厚いです。
高度急性期病棟の看護師としてスキルアップを目指したいなら、「クリティカル認定看護師」も選択肢の一つです。
「救急看護」と「集中ケア」が統合化され、急性かつ重篤な患者様の重症化予防や合併症予防に向けた全身管理など、専門性の高いスキルや知識を身に着けられます。
また、民間資格の「診療看護師(NP)」の取得もおすすめです。
胸腔ドレーンの抜去や気管内挿管といった特定行為を行えるほか、医師と連携しながら治療プランの作成に携わることもあるでしょう。
特定看護師とは異なり、大学院でのNP課程の履修や修士の保有など、高いスキルを証明できるのも魅力的です。
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診療看護師(NP)とは?仕事内容や給料、なり方について解説
救急病棟とICUは同じく高度急性期病棟であるため、混同されることが多いです。
しかし、共通している仕事内容・役割がある一方で、それぞれの病棟に特徴的なものもあります。
違いを把握していないまま入職してしまうと、「思っていたのと違う」「こんなつもりではなかった」といったミスマッチにつながりやすいです。
それぞれの病棟の違いをしっかり把握し、自分に合った職場を選ぶようにしましょう。
もしも「自分に合った職場や働き方について相談したい」という方は、レバウェル看護を利用してみませんか?
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