
中心静脈カテーテルは、CVカテと呼ばれ臨床の場でよく見る医療機器の1つです。
中心静脈カテーテルの挿入には多くの合併症があり、早期に発見できなければ致命的になる恐れがあります。
この記事では、中心静脈カテーテルの観察項目や入浴時の注意点を解説します。
中心静脈カテーテルに関わる看護技術について経験がなく悩んでいる方は参考にしてください。

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている
X(Twitter):@shota_papa37
中心静脈カテーテル(central venous catheter:CVC)とは「心臓近くの静脈である中心静脈まで留置するカテーテルのこと」です。ここでは中心静脈カテーテルの目的や適応について紹介します。
中心静脈カテーテルを使用する目的は、重要な薬剤(カテコラミンや抗不整脈薬など)や高カロリー輸液(TPN)を患者さんに安全かつ確実に投与することです。
薬剤投与のほかに、中心静脈圧を測定し全身状態を評価したり、採血したりすることが目的の場合もあります。中心静脈カテーテルの穿刺部位は主に以下のとおりです。
一般的には内頸静脈から穿刺しますが、患者さんの状態に合わせて選択します。

手術室や集中治療室のほかに、一般病棟でも見る機会の多い中心静脈カテーテル留置法の適応は以下のとおりです。
胃や食道の手術後は絶食となるため、高カロリー輸液(TPN)により栄養やカロリーを確保します。
心不全や肥満の患者さんは、手がむくんだり繰り返し針を刺したりして皮下出血があるため、末梢血管からの静脈ルートの確保が難しいです。この場合も中心静脈カテーテルの適応となるのです。
また、透析するための中心静脈カテーテルは、ジェントルキャスやFDLカテーテルと呼ばれることもあります。
中心静脈カテーテル挿入によって起こりやすい主な合併症は以下のとおりです。
カテーテルの先端の位置と、気胸・血胸が起きていないかを確認するために、中心静脈カテーテルを挿入した直後は胸部レントゲンを撮影します。
そのほかにもバイタルサインを測定したり全身を観察したりして、合併症の早期発見に努めることが大切です。
ここでは観察項目や看護上の注意点を解説します。ポイントを押さえて根拠のあるケアを実践しましょう。
まずは、中心静脈カテーテルを挿入する前の準備と注意点を紹介します。
| 必要物品 | ディスポキャップ、マスク、滅菌手袋、滅菌ガウン、アルコール綿、消毒液、ヘパリン生食、中心静脈カテーテルキット、エコー、エコーゼリー、エコーカバー、モニター、局所麻酔薬など |
| 看護師の準備 | ・同意書の確認 ・患者さんに不安や質問がないか確認 ・標準予防策の実施 ・必要物品の準備 ・救急カートの準備 |
| 患者さんの準備 | ・挿入部位の剃毛 ・挿入部位の清拭やシャワー ・排泄を済ませておく |
患者さんの理解が十分でない場合は、看護師ができる範囲で説明したり、医師に追加での説明を依頼したりしましょう。
次に、中心静脈カテーテルを挿入するときの手順や看護上の注意点を紹介します。
| 挿入手順 | 看護上の注意点 | |
| ① | 必要物品の確認と患者さんの準備 | ・中心静脈カテーテルの種類(シングル・ダブル・トリプル・フロートラックなど)を医師に確認 ・同意書と患者さんの理解度を確認 ・心電図や血圧が分かるようにモニターを準備 ・内頸静脈から穿刺する場合はトレンデレンブルグ体位に調整(傾斜10~20度、頭部よりも下半身を高くする) ・バイタルサインを測定 |
| ② | 医師のガウン装着を介助 | 清潔操作で実施 |
| ③ | 医師が挿入部をエコーで確認 | 確認しやすいようにエコーの画面を調整 |
| ④ | 医師が消毒後に局所麻酔 | ・患者さんに疼痛の有無を確認 ・不安を軽減できるように状況を説明 |
| ⑤ | 中心静脈カテーテルを穿刺し、ガイドワイヤーの走行に沿って進める | 合併症を早期発見できるようにバイタルサインを測定、患者さんへの声かけ |
| ⑥ | レントゲン | ・先端の位置や合併症の有無を確認 ・医師によるガイドワイヤーを抜去忘れがないか確認 |
| ⑦ | 終了 | 片付けする際には針刺しに注意 |
中心静脈カテーテルの挿入は一般病棟の処置室で行われることもあります。
処置がスムーズに進むように必要物品を過不足なく準備したり、物品の配置を考えたりすることが重要です。
中心静脈カテーテルを挿入する際は、医師は穿刺部に集中するためバイタルサインの変化に気付きにくいです。
そのため、モニターを確認したり患者さんに声をかけたりして合併症の発生がないか確認することが重要です。
特に内頸静脈から穿刺する場合は、患者さんは顔にドレープがかかり周囲が見えなくなるため不安を感じます。患者さんに処置の進行状況を伝えながら不安の軽減に努めましょう。
カテーテル関連血流感染兆候(catheter-related blood stream infection:CRBSI)の観察が重要です。感染が発生すると治癒までに時間を要します。
明らかな原因がなく発熱する場合は、CRBSIが疑われるためすぐに医師に報告してください。以下のポイントに沿って皮膚を観察したり、自覚症状を確認したりしましょう。

刺入部を観察する際には、縫合糸で固定されているかも確認してください。
これらのポイントを看護計画に反映させて看護記録を記載しましょう。
感染予防のために、ガーゼ付きのドレッシング材は2日おき、フィルムのドレッシング材は7日おきの交換が望ましいです。また、点滴を投与するたびに点滴ルートの接続部をアルコール綿で消毒してください。
ほかにも、自己抜去しないように患者さんに指導することも大切です。認知症やせん妄などで抜去するリスクが高いと判断した場合は、医師の指示のもとで抑制帯の使用を検討することがあります。
中心静脈カテーテルから循環作動薬を投与している場合は、自己抜去が起こると薬剤が投与できなくなり生命に危険を及ぼす恐れがあるため、患者さんの精神状態をアセスメントして自己抜去がないように対応しましょう。
▼関連記事
中心静脈カテーテルの管理について知りたい
中心静脈カテーテル(CVカテーテル)挿入患者さんの観察時の注意点
よくある質問をQ&A形式で紹介します。不安や心配を解消し患者さんをケアしましょう。
PICC(ピック)とは「peripherally inserted central venous catheter」の略で、腕から挿入する中心静脈カテーテルのことです。
内頸静脈や大腿静脈と比べると、腕から挿入する場合は動脈の穿刺や肺の損傷のリスクが低いとされています。
医師のタスクシフトの取り組みとして、特定行為の研修を修了した看護師がPICCを挿入することもあります。
▼関連記事
PICCとCVの違いを教えてほしい
中心静脈カテーテルが挿入されている場合でもシャワーや入浴は可能です。
ただし、刺入部やカテーテル部分にお湯がかかると感染を起こす恐れがあります。
そのため、ドレッシング材で刺入部をカバーしたり、カテーテル部分にお湯がかからないようにしたりなどの注意が欠かせません。
さらに、カテーテルにお湯がかからなくても汗をかくとドレッシング材が剥がれるため、入浴後にドレッシング剤の剥がれがないか確認しましょう。

単発での点滴投与の場合は、点滴投与ごとにヘパロックしましょう。点滴を持続投与している場合は、閉塞アラームが鳴ったときや持続点滴が終了するときに中心静脈カテーテルからシリンジで逆血を確認してヘパロックを実施します。逆血が確認できないときに無理にヘパロックすると、血栓を押し込むことになるため注意してください。
また、点滴を投与していない場合は、1日に1回ヘパロックしましょう。
いずれの場合もヘパロックをする目的は、カテーテル内に血栓ができるのを予防するためです。
カテーテル内が血で固まると点滴投与の際に使用できなくなります。
病院や施設によってはヘパロックではなく生理食塩水でロックする場合もあるため、マニュアルに従って実施しましょう。

▼関連記事
中心静脈カテーテルをロックするのに最適な量や時間間隔は?
中心静脈カテーテルの看護は、合併症の早期発見が重要です。
バイタルサインを測定したり、自覚症状を確認したりして早めの発見に努めましょう。
さらに、中心静脈カテーテル挿入中は適切な管理ができなければ、感染症が発生したり自己抜去となり生命にかかわります。
この記事で解説したことを参考にして患者さんへのケアを実践しましょう。

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている
X(Twitter):@shota_papa37
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載
コメントはありません