腰部脊柱管狭窄症の看護は腰痛対策がポイント!看護計画と観察項目を解説

腰痛や足のしびれなどの症状により普段の生活に支障をきたす腰部脊柱管狭窄症。

腰部脊柱管狭窄症を抱えた患者さんのケアに悩む看護師さんは多いはず。

本記事では、腰部脊柱管狭窄症を発症する原因や観察項目、看護計画を解説します。腰部脊柱管狭窄症の患者さんを担当することに不安になったり心配したりしている看護師さんの悩みを解決できる助けになれると幸いです。

この記事を書いた人
西川正太
看護師/保健師/保育士

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている

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腰部脊柱管狭窄症とは

腰部脊柱管狭窄症とは「腰部の脊柱管が狭くなり神経が圧迫され、血流が低下することで症状をきたす」病気のことです。

ここでは、腰部脊柱管狭窄症の原因や分類、腰椎椎間板ヘルニア・腰椎すべり症との違いなどについて解説します。

腰部脊柱管狭窄症の原因

脊柱管は、背骨や椎間板をはじめ関節や靭帯などで囲まれており、その内側には脊髄の神経が通っています。この脊柱管が、狭くなることで腰部脊柱管狭窄症を発症します。脊柱管が狭くなる原因は、主に以下の3つです。

  • 背骨が変形する
  • 椎間板が膨らむ
  • 黄色靭帯が厚くなる

神経が通る脊柱管が狭くなることでさまざまな症状が現れ、放置すると歩行が難しくなるケースもあります。そのため、整形外科を受診して適切な治療を受けることが大切です。

腰部脊柱管狭窄症の分類

腰部脊柱管狭窄症は、患者さんの症状に加え、MRIや脊髄造影などの検査で診断します。腰部脊柱管狭窄症は、以下の3つに分類されます。

分類特徴
馬尾型・脊柱管内を通る馬尾が圧迫される
・両足にしびれ、脱力感が現れる
神経根型・馬尾からわかれた神経根が圧迫される
・片足に痛み、しびれが現れる
混合型・馬尾と神経根の両方が圧迫される
・馬尾型と神経根型の症状が現れる

ただし、閉塞性動脈硬化症やバージャー病など下肢の動脈の血流障害を生じたときにも、腰部脊柱管狭窄症と同じような症状が現れます

腰部脊柱管狭窄症とほかの病気を区別するために、追加の検査が必要になる場合もあります。

腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニア、腰椎すべり症の違い

ここでは、腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニア・腰椎すべり症の違いについて病態や症状、診断の3つを紹介します。

腰椎の病変について解説しているイラスト
腰部脊柱管狭窄症腰椎椎間板ヘルニア腰椎すべり症
病態脊柱管にある神経を圧迫椎間板から髄核が出て神経を圧迫腰椎ですべりが生じたうえでの神経の締めつけ
症状腰をそらすと両足、もしくは片足がしびれて痛む前傾姿勢になると片足が痛む歩くと腰が痛む
診断トレッドミルテスト(歩くときに背中をそらせる)下肢伸展挙上テストKempテスト(腰をそらす、かつねじる)

それぞれの病気は似た症状が現れますが、病態は異なるため患者さんの状態に合わせてケアすることが大切です。

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腰部脊柱管狭窄症の看護は腰痛対策がポイント

腰部脊柱管狭窄症を抱える患者さんの看護のポイントは腰痛の対策です。

腰痛を訴える患者さんが、腰の負担にならない姿勢を取るようにすることが大切です。

具体的には、患者さんがベッドで休むときは、仰向けになってもらい太腿のうしろにマットレスやクッションなどを敷いて、膝を屈曲させると安楽な姿勢になれます。

ほかにも、腰部脊柱管狭窄症にはさまざまな症状があります。

  • 間欠跛行(かんけつはこう)
  • 両足、もしくは片足のしびれ
  • 残尿感
  • 便秘

間欠跛行とは「長い距離を歩くと下肢のしびれが強くなり座ると改善する」といった症状です。

間欠跛行が続くと、歩くことが苦痛になりベッドで過ごす機会が増えます。

実際に「痛いから歩きたくない」「歩いたあときつくなるからベッドでゆっくりする」と患者さんが訴えたり、ストレスを感じたりするケースも多いです。この状態が続くと、下肢の筋力が低下して入院する前よりも歩けなくなる恐れがあります。

そのため、患者さんが痛みを訴えている場合は、まず医師に痛み止めの薬の使用を確認して痛みをコントロールしてください。痛みが落ち着いてからリハビリテーションをすることが重要です。

また、腰部脊柱管狭窄症の症状に悩む患者さんには生活上の工夫を指導すると良いでしょう。

腰部脊柱管狭窄症の症状に悩む患者さんの生活上の工夫

例えば、立って作業するときには10cm程度の踏み台に片足を乗せたり、歩くときには少し前かがみの姿勢になれるように杖や押し車を使ったりすることを指導してください。

さらに、リハビリのスタッフと協力しケアやリハビリテーションができると、患者さんが普段の生活で無理なく身体を動かせる機会が増えます。結果として、下肢の筋力が低下せず生活できるでしょう。

▼関連記事
腰部脊柱管狭窄症による腰痛を訴える患者さんへの看護について知りたい
間欠跛行に対する看護について知りたい

腰部脊柱管狭窄症の主な治療方法と観察項目

腰部脊柱管狭窄症の多くは自然と症状が改善します。そのため、まずは薬物療法や理学療法などの保存療法を行いながら経過を観察します。

ここでは、腰部脊柱管狭窄症の具体的な治療方法や観察項目をみていきましょう。

▼参考記事
腰部脊柱管狭窄症の看護について知りたい

保存療法と観察項目

腰部脊柱管狭窄症の保存療法の具体例は以下のとおりです。

  • 薬物療法(非ステロイド性抗炎症薬、筋弛緩薬など)
  • 装具療法(コルセット)
  • 理学療法(運動療法や温熱療法)
  • 神経ブロック(神経根ブロックや硬膜外ブロック)

これらの治療方法を行っても腰部脊柱管狭窄症の症状が改善しないときは、手術を検討します

そのため、疼痛や足のしびれの有無、残尿感、排便の状況などの観察項目を確認することが大切です。

ほかにも「生活で困っていることはないか?」「どのような場面で支援してもらいたいか?」など患者さんの訴えを聞いたうえでケアに取り入れていくことで、患者さんの安楽な入院生活につながります。

症状が悪化したり、新たな症状が現れたりした場合はすぐに主治医に報告しましょう。

手術(腰椎後方除圧術や腰椎後方除圧固定術)と観察項目

基本的に、手術は腰椎後方除圧術を実施します。

腰部脊柱管狭窄症の手術内容について解説

ただし、患者さんの状態によって後方除圧固定術を行います。特に、馬尾型の腰部脊柱管狭窄症は、自然と治るケースが少なく手術を行う場合が多いとされています。

術後の主な観察項目は以下のとおりです。

  • ドレーンの確認(排液の量や性状など)
  • 神経症状(血腫による神経の圧迫)の確認
  • 創部の観察

これらの観察項目をもとに、血腫を早期発見することが重要です。

看護師が患者さんの術後硬膜外血種を確認するイラスト

というのも、血腫の発見が遅れると、再出術をして血腫を取りのぞいても麻痺の症状やしびれといった神経症状がなくならない可能性があるためです。

そのため、腰部脊柱管狭窄症の手術を受けた患者さんを担当するときは、術前の患者さんのADLや麻痺の状況を把握し、術後の状態と比べて観察することが大切です。

また、ドレーンの排液量や創部の状態、自覚症状を観察し、すぐに異常を発見できるように努めてください。

腰部脊柱管狭窄症の看護計画

ここでは、腰部脊柱管狭窄症の患者さんに立案する看護計画の一例を紹介します。

【看護目標】

  • 疼痛やしびれ、排尿、排便障害などの症状が軽減する
  • 入院前と比べADLが低下しない

【看護計画】

OP

  • バイタルサインのチェック
  • 自覚症状の有無と程度
  • 運動麻痺の有無と程度
  • 間欠跛行の有無
  • 睡眠の状態
  • 排尿や排便の状況

TP

  • 安楽な姿勢を保持できるように支援する
  • リハビリテーションを理学療法士や作業療法士と協議したうえで実施する
  • 温罨法やマッサージなどを実施する
  • 患者さんに疼痛の有無を確認して、痛み止めの薬を使用して疼痛のコントロールを図る
  • ベッドの周囲の環境整備を実施し、過ごしやすいようにする
  • 眠れないときは、睡眠薬の使用を検討する
  • 不安や心配など思いを傾聴する

EP

  • 自覚症状が強くなった際には看護師に伝えるように指導する
  • 患者さんが自力で実施できるように指導する
  • 服薬方法について指導する
  • 介護保険の申請や受けられるサポートについて説明する

上記の看護計画を参考にして、患者さんの症状や思い、不安などの問題を取り入れた看護計画を検討してケアを実施しましょう。

まとめ

腰部脊柱管狭窄症を発症した患者さんは腰痛のほかに、間欠跛行や足のしびれなどを訴えるケースが多いです。

これらの症状が続くと、日常生活に支障をきたします。動くことがわずらわしくなり、結果として入院する前の状態よりも動けなくなる恐れがあります。

腰部脊柱管狭窄症の治療のほとんどは保存加療です。

症状が悪化したり、新たな症状が現れたりしていないか注意深く観察しましょう。

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