
患者さんへの重要な看護ケアの1つに「ガス抜き」があります。ガス抜きはおもに消化器疾患の患者さんに必要なスキルであり、習得することで適切な看護ケアを提供できるでしょう。
この記事では、ガス抜きの概要や種類、方法などを解説します。実施する際の注意点やポイントもわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

ガス抜きは、消化管に溜まったガスを自力で排出できない方に実施するケアです。消化管のなかに存在するガスは、通常「げっぷ」や「おなら(放屁)」で排出されます。1日あたり約0.5〜1.5リットルのガスを無意識のうちに排出しますが、腸の機能が低下した患者さんは、自力でガスを排出できません。
ガスが排出されず溜まり続けると、腹部膨満感や腹痛・悪心などが出現する場合もあります。ガス抜きすることで、患者さんの安楽な生活をサポートできるでしょう。
また、胃ろうを増設している方に対して、胃の中の空気を抜くことをガス抜き(エア抜き)と呼ぶこともあります。
看護師が実施するガス抜きは、大きく分けて以下の3種類あります。
これらは、ガスが溜まる理由や排出の方法が異なります。それぞれを理解し、担当患者さんへどのガス抜きが必要かを判断できるようになりましょう。
駆風浣腸は、肛門へ挿入したネラトンカテーテルを通じ、腸に溜まったガスを排出する方法です。腸閉塞などの消化器疾患により、排便・排ガスを自力で行えない方に実施します。
直腸からS状結腸あたりまでカテーテルを挿入するため、カテーテルで腸粘膜を傷つけないよう注意しなければいけません。挿入後は自然にガスが抜けますが、必要に応じて腹部のマッサージも併用してガスの排出を促します。
ストーマを造設した方は、排泄物を溜めるパウチからガスを抜きます。ガスを抜かないとバルー二ング(ガスでパウチが膨らむこと)を起こし、パウチがはがれてしまうおそれがあるからです。
最近のパウチにはガス抜きフィルターが備えられており、ある程度ガスが溜まると自動的に排出されます。ただし、フィルターの目詰まりなど不具合が起きた場合は、手動でのガス排出が必要です。
ストーマからのガス抜きは造設時に指導する場合もあるため、看護師は方法を熟知しておきましょう。
胃ろうを造設している方は、経管栄養の前に胃の中の空気を抜く必要があります。この工程が胃ろうのガス抜き(またはエア抜き)です。
胃ろうのガス抜きは、唾液の嚥下に伴って胃に入った空気を抜くのが目的です。胃の中に空気が溜まったまま経管栄養を行うと、胃の内容量が限界を超えてしまい、嘔吐や気分不良を起こしかねません。誤嚥性肺炎を発症するリスクにもつながるため、経管栄養の直前にはガス抜きの必要性をチェックしましょう。

ガス抜きを行う前に、患者さんの腹部の状態や自覚症状などを観察する必要があります。腹部膨満感や腹痛の原因となるのは、必ずしも腸内のガスとは限らないためです。
ガス以外の腹部膨満感の原因としては、腹水や腫瘍などが考えられます。患者さんの主疾患や既往歴、観察項目などを確認し、総合的に判断しなければなりません。

ガス抜き前の観察項目は以下のとおりです。
また、観察項目をもとに、触診、視診、打診などのフィジカルアセスメントを用いて、患者さんの状態を多角的に評価しましょう。特に腹囲の測定や、張りを訴える部分の触診、打診や聴診による音の確認などは重要です。
駆風浣腸・ストーマ・胃ろうのガス抜きは、どれも方法が大きく異なります。3種類のガス抜き方法をきちんと理解し、スムーズに処置を行いましょう。
この章では、ガス抜きの種類ごとの手順や方法、注意するポイントなどを解説します。
駆風浣腸は大腸に溜まったガスを排出するため、肛門からカテーテルを挿入します。腸へのカテーテル挿入は、腸粘膜を傷つけるリスクもあるため、手順や準備する物品などを正しく理解しておくことが大切です。
駆風浣腸を行う前に、使用する物品の準備と確認を行います。
準備する物品は以下のとおりです。
物品を準備したら、以下のような手順で駆風浣腸を実施します。
実施前は必ず患者さんへ説明を行い、同意を得ましょう。駆風浣腸を実施中は下半身を大きく露出し続けるため、タオルで覆うなどして、患者さんの尊厳を守る配慮が大切です。

ガスが排出されると、尿器の中に泡が発生します。泡が出なくなり、腹部を触診して張りがなくなっていれば終了です。ガスが抜けると、バイタルサインが変動する方もいます。実施後は血圧や脈拍などのバイタルサインを測定し、体調の変化を聞きましょう。
駆風浣腸を行う際は、必ず左側臥位で実施しましょう。カテーテルが到達する直腸とS状結腸は、左側臥位をとることで自然な走行となります。右側臥位や立位での実施は、カテーテルが腸壁と接触して腸粘膜を傷つけてしまうおそれがあるため避けましょう。
また、カテーテル挿入時は無理に押し込まないことが重要です。直腸粘膜が傷つき、腹痛や出血を起こしかねません。カテーテルを挿入する長さは5〜7cmほどが良いとされていますが、抵抗なく安全に挿入できる長さには個人差があります。痛みを確認しながらゆっくりと挿入していき、抵抗がない範囲に留めましょう。
ストーマのパウチに備えられているガス抜きフィルターは、使用期間や便の状態によって目詰まりを起こすことがあります。また、ガス抜きフィルターのないパウチも存在するため、状況に応じて手動でのガス抜きが必要です。
なかには、ストーマを造設した患者さんへガス抜き方法を指導する場面もあるため、手順やポイントを正しく押さえておきましょう。

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ストーマのガス抜きは、装具の種類によって手順が異なります。
面板とパウチが一体となった「ワンピースタイプ」の場合、排出口を解放してガスを排出しましょう。面板とパウチが分かれている「ツーピースタイプ」の場合は、双方の接続部を開くことでも排出可能です。
また、パウチを軽く圧迫することにより、フィルターからのガス排出を促進できます。ただし、強く圧力を掛け過ぎると、腹部へ負担がかかったりパウチがはがれたりするおそれがあるため注意しましょう。
ストーマのガス抜きは、患者さんの便の状態を観察することで、必要性を予測することが可能です。たとえば水様便の場合、フィルターが目詰まりを起こしやすく、バル―二ング(膨らむ)の確率が高まるとされています。
また、パウチの使用日数が長引くことでもフィルターが劣化し、うまく機能しないことがあります。患者さんの便の状態やパウチの使用日数、パウチの管理能力などを評価し、ガス抜きの必要性を見極めましょう。
胃ろうのガス抜きは、経管栄養を安全に実施するための重要な工程です。さらに、胃の中の空気量を観察することで、健康状態の評価にもつながります。
胃ろうのガス抜きの手順やポイントを見ていきましょう。
胃ろうのガス抜きは、経管栄養の前に実施します。
胃ろうのガス抜き手順は以下のとおりです。
なるべくシリンジを使用することが望ましいですが、胃ろうチューブのキャップを開放するだけでもガス抜きができることがあります。ガス抜き後は経管栄養も行うため、チューブの破損がないか事前に確認しておきましょう。
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胃ろうのガス抜きチューブについて知りたい
胃から出るガスの容量は、健康状態のアセスメントに役立ちます。ガスの量が多い場合、ストレスや体調不良などが原因となっている可能性があるためです。可能であればシリンジを使用し、量を正確に記録しておきましょう。
なお、胃の中に残留物がある場合、通常のカテーテルでうまくガスが抜けないこともあります。ボタン型の胃ろうチューブであれば、減圧チューブを使用しガスを抜きましょう。
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Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
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