
腹部マッサージは、便秘の患者さんに自然排便を促す看護ケアの1つです。スムーズな排便は、患者さんが気持ちよく日常生活を送るために必要です。腸の構造と便秘の仕組みを理解し、効果的な腹部マッサージを行いましょう。
この記事では、腹部マッサージの基本を知るために腸の解剖整理から便秘の種類、腹部マッサージの方法、看護のポイントまでを解説します。適応となる患者さんに正しく実施できるよう、ぜひ参考にしてください。

腹部マッサージとは、便秘の患者さんに対して腹部をマッサージして排便を促すケアです。この章では、腹部マッサージの目的や効果、避けるべき状態を解説します。
腹部マッサージの目的は便秘改善です。腹部マッサージの効果として以下があげられます。
腹部マッサージは、腹部を圧迫し刺激を与えます。 以下のような状態にある場合は、腹部マッサージを控えましょう。
便秘と大腸の関係性を理解すると、効果的に腹部マッサージができるようになります。この章では、便秘とその種類、大腸の解剖を解説します。
便秘とは、便を十分な量排出できず、快便がみられない状態です。便秘は、嘔気や食欲低下につながり、活動量の低下や意欲減退へと影響していきます。便秘が活動量低下へ影響し、活動量の低下が便秘を引き起こすという悪循環へ繋がるため、早めの対処が必要です。
便秘の種類を紹介します。各便秘に合わせた対処方法と治療が大切です。

機能性便秘とは、大腸や直腸、肛門の機能が低下することで起こる便秘です。便秘の中で最も多いといわれ、運動不足などの生活習慣やストレス、加齢が原因となります。機能性便秘は、弛緩性便秘・痙攣性便秘・直腸性便秘の3つに分かれ、対処方法が異なるためきちんしたアセスメントが重要です。
【弛緩性便秘】
弛緩性便秘は、大腸の筋肉が弛緩し、蠕動運動が低下することで便が貯留して起こります。腹部マッサージが有効であり、高齢者や生活習慣に伴う影響が多い便秘です。
【痙攣性便秘】
痙攣性便秘は、自律神経の乱れやストレスの影響で腸の蠕動運動が不規則になり便の通過に時間がかかることで起こります。精神的ストレスを緩和し、自律神経を整えたり、温罨法や軽い腹部マッサージにてリラクゼーション効果を図ったりして、改善します。
【直腸性便秘】
直腸性便秘は、直腸にある便を排出せずに我慢を続けた結果起こる便秘です。排便を我慢すると、排便感覚が鈍化しますし、下剤や浣腸が習慣化すると直腸の神経が鈍くなります。対処方法は、食事や排便習慣の改善が第一優先ですが、時には摘便も必要となります。
器質性便秘は、腸の癒着や炎症により、便がスムーズに通ることができず腸管内に便が貯留する便秘です。原因としては、大腸癌や腹部の術後、潰瘍性大腸炎、クローン病、直腸瘤があげられます。器質性便秘の改善は、原疾患の治療が第一優先です。
症候性便秘は、基礎疾患による蠕動運動の減弱や、月経・妊娠中のホルモンバランスの乱れによって起こる便秘です。神経損傷や糖尿病の合併症で起こる便秘も症候性便秘に該当します。
薬剤性便秘は、薬剤の副作用により腸の蠕動運動が抑制されるために起こります。例えば、抗うつ薬、抗コリン薬、抗がん剤、鎮痛薬などです。薬剤性便秘は、下剤を内服し排便コントロールを行うことが重要ですが、腹部マッサージも蠕動運動亢進を目的として行います。
大腸の解剖と排便の仕組みを理解することで有効的な腹部マッサージや排便コントロールができるようになります。ぜひ、確認しておきましょう。

大腸は、盲腸・結腸・直腸に分かれています。結腸は上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分かれ、水分や電解質を吸収し固形の便へ変化させる仕組みになっています。大腸は、内容物が送られることで反射的に動き出します。この運動は、腸蠕動運動と呼ばれています。蠕動運動には自律神経が関与しており、交感神経が優位になると抑制され、副交感神経が優位になると亢進する仕組みです。
腹部マッサージをすると、腸の筋肉が弛緩し蠕動運動が促されるとともに、リラクゼーション効果により副交感神経が優位になり蠕動運動が亢進します。
この章では、実際に腹部マッサージを効果的に行う方法を解説していきます。腹部マッサージに合わせた温罨法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

腹部マッサージの方法です。腸へ刺激を与えるには10~20分程度行う必要があります。
温罨法は、腹部や腰部に温熱刺激を与えて腸蠕動運動を亢進させるケアを指します。腹部マッサージと併用することで、腹部膨満感や便秘の改善がさらに促進されます。
【温罨法の方法と注意点】
温罨法は、ホットタオルや湯たんぽで腹部や腰部を温める方法です。60℃程度の温タオルをビニール袋に入れ、腹部と腰部を10分程度温めます。この際、バスタオルを1枚当てるなど、火傷に注意しましょう。温罨法にて腹部を温めた後に腹部マッサージを行うことで、蠕動運動がより亢進されます。
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便秘の患者さんに対してできる温罨法について知りたい
腹部マッサージと便秘に関する看護を解説していきます。腹部マッサージを実施するにあたり、排便状況の観察は必須です。日頃の生活習慣や基礎疾患を踏まえたアセスメントが重要になってきます。

腹部マッサージを実施するにあたって必要な観察項目を紹介します。
排便コントロールや排便状況を観察する際に活かしてください。
| 排便関連 | 日常生活関連 | 疾患関連 |
| ・排便回数 ・排便の量 ・排便の性状 (硬さ、色、形状) ・腹部膨満感の有無 ・腸蠕動音 ・腹痛の有無 ・便意の有無 ・残便感の有無 ・排便時痛の有無 ・排便習慣 ・下剤の有無 | ・水分摂取量 ・食事摂取量 ・日中の活動量 ・睡眠時間 ・便秘に対する不安 ・精神的ストレス | ・基礎疾患 ・服薬状況 |
腹部マッサージは、便秘の患者さんに対する排便コントロールの第1歩となります。可能な限り、自然排便を促すことができるよう日頃の観察やケアが大切になります。腹部マッサージにおける看護のポイントは以下のとおりです。
腹部マッサージは、看護師だけでなく患者さん自身や家族が日頃のケアとして実践していくことが大切です。腹部マッサージが習慣となるよう指導していきましょう。
【腹部マッサージの指導のポイント】
腹部マッサージに対する知識が不足しており効果的な腹部マッサージができていない患者さんもいます。患者さんと看護師が一緒に実施し、腹部マッサージのポイントや効果を実感できる場合もあります。患者さんへの指導は、言葉での説明だけでなく実践することが大切です。
【腹部マッサージと併用したい便秘の指導】
便秘には、さまざまな原因があり腹部マッサージだけでの改善ができない場合もあります。腹部マッサージと併用したい指導には、食生活の改善、飲水量の調整、運動習慣、睡眠時間の改善があります。便秘の原因を考え、患者さんに合った指導をしていきましょう。
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Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
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Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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