骨粗鬆症患者に対する看護ケアの方法って?生活指導のポイントを紹介

「骨粗鬆症の患者さんに対する看護はどうすれば良いの?」
「生活指導では何を伝えればよ良い?」と悩む看護師の方もいるでしょう。

骨粗鬆症は骨強度が弱くなり、骨折しやすくなる疾患です。薬物療法もありますが、何よりも骨粗鬆症を悪化させない、骨折しない生活を送ることが重要となります。そのために看護師は、患者さんに骨折のリスクを伝え、適切な生活指導を行うことが大切です。

この記事では、はじめて骨粗鬆症患者さんを受け持つ方でも、骨粗鬆症の患者さんに質の高いケアを提供できるように、知っておくべき知識をまとめています。
また、生活指導をするときのポイントについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
島田綾乃
正看護師
大学病院で10年間、病棟看護師として勤務。 耳鼻咽喉科、腎臓外科、循環器小児科、脳神経外科、SCUでの臨床経験があり、得意分野は外科系。 現在は育児をしながら、看護師ライターとして医療分野の記事を専門に執筆。
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骨粗鬆症の看護をするうえで必要な基礎知識

骨粗鬆症の患者さんのケアをするには、骨粗鬆症の基礎知識を理解しておかなければいけません。

ここでは、骨粗鬆症の原因や検査方法、治療法について解説します。

骨粗鬆症とは?原因と種類

骨粗鬆症は、骨強度が弱くなるのが特徴であり、骨折のリスクが高くなる疾患です。骨強度は「骨密度」と「骨質」の2つが関係しています。

そして、骨粗鬆症が発生する原因によって、原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症の大きく2種類に分けられます

原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症

原発性骨粗鬆症は、加齢や生活習慣が影響して発症します。高齢になると骨を作るスピードが遅くなったり、女性であれば閉経後にホルモンが変化したりすることで、骨粗鬆症を発症しやすくなるのです。ほかには、運動不足や栄養バランスの乱れ(カルシウムやビタミン不足など)も原因として考えられます。

対して続発性骨粗鬆症は、疾患や薬剤などが影響して発症します。突然発症して、病状の進行が早いことが特徴です。具体的な原因としては、バセドウ病や甲状腺機能亢進症、糖尿病などの疾患、ステロイドの長期服用が考えられています。

ほかにも、喫煙やアルコールやカフェインの過剰摂取など、骨粗鬆症の原因となる要素は多岐にわたります。

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検査方法

骨粗鬆症は、主に以下の検査で診断されます。

  • 骨量測定
  • レントゲン撮影
  • 骨代謝マーカー(血液や尿検査)

骨量測定の方法は、X線を用いる「DXA」や「MD」、超音波を用いる「QUS」などがあります。また、検査以外に問診も、骨粗鬆症の診断に有益な情報です。具体的には、以下の内容が問診で聴取されます。

  • 骨折の有無
  • 服薬中のくすり
  • 生活習慣(食事内容や運動習慣、喫煙の有無)
  • 家族歴
  • 閉経の有無(女性の場合)

骨粗鬆症は、検査所見や画像診断、既往歴の聴取などによって総合的に診断されます。

治療法

骨粗鬆症の治療法は、骨密度を改善し、骨折のリスクを減少させることが目的です。

主な治療法は以下の3つです。

  • 薬物療法
  • 食事療法
  • 運動療法
骨粗鬆症の薬物療法

骨粗鬆症の薬物療法は、骨形成の促進や骨を破壊する作用の抑制、骨代謝の調整などを目的としています。患者さんの状態によって、いくつかの薬が組み合わせられることもあり、使用される薬の種類は多種多様です。飲み薬をはじめ、点滴や注射などの選択肢があります。

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食事療法では、カルシウムとビタミンDを摂取し、骨の健康を促進します。乳製品、魚介類、大豆食品などの食品を取り入れ、バランスの取れた栄養が重要です。

運動療法は、骨を刺激し、骨密度を向上させる目的で行われます。有酸素運動や負荷のある筋力トレーニングが推奨されていますが、年齢や個々の筋力などを考慮したうえで適切な運動が取り入れられるのです。

食事療法と運動療法については、後ほど詳しく解説します。

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骨粗鬆症における看護ケアと観察項目

骨粗鬆症患者への看護で重要な点は、骨折を防ぐことです。そのために、骨折リスクを下げるケアを行います。

また、骨粗鬆症は完治が難しい疾患とされているため、不安を抱えている患者さんもいます。そのため、看護師は精神的ケアが求められる場面も少なくありません。

ここでは、骨粗鬆症における看護ケアと観察項目について詳しく解説します。

全身状態や症状の確認

まずケアで大切なことは、患者の全身状態の観察です。
以下の項目について確認しましょう。

観察項目内容
検査データ・骨量測定
・レントゲン撮影
・骨代謝マーカー(血液・尿検査)
・骨密度値などにより重症度を確認する
疼痛の有無疼痛の部位や程度
姿勢や歩き方・脊柱の湾曲
・身長の変化
・歩き方に違和感があるか
既往歴骨折の既往歴
内服薬・内服薬の種類
・服薬の状況
生活習慣・運動の有無
・食事内容
・ほか生活習慣(喫煙や飲酒の有無など)

骨粗鬆症は骨折を発症するリスクが高いため、疼痛があるときには骨折を疑います

骨折が見られた場合には、骨粗鬆症に対する治療に加えて、骨折の悪化を防止し、治癒を目指したケア(安静や外用薬の貼付など)が実施されます。

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転倒の予防ケア

骨折しないためには、転倒を防止する指導や環境整備を実施します。

転倒の予防ケアでは、看護師による指導だけでなく、患者さん自身の意識を高めることも大切です。以下の内容に留意しましょう。

  • 履物
  • 周囲の環境
  • 歩き方や姿勢
骨粗鬆症患者の転倒の予防ケア

履物はスリッパより、かかとのある靴が良いです。滑りにくい靴を選びましょう。ほかにも、床が濡れていたり物が落ちていないかを確認したり、歩行の妨げになるものがないかなどを確認したりして、周囲の環境を整備します。

患者さん自身の意欲を高めるには、転倒による骨折のリスクを分かりやすく説明し、実際に取り入れられる方法を一緒に考えることが大切です。退院後にも継続できるよう、患者さんのライフスタイルを考慮して、適切な方法を見つけましょう。

不安に対する精神的ケア

骨粗鬆症の患者さんは、いつ骨折してしまうのかなどの不安が大きいことが予測されます。そのため、看護師による精神的サポートが重要となるのです。

患者さんの不安を傾聴し、抱えている悩みを明確にしましょう。生活の変化や日常の困りごとに対して聞いてみるのも有効です。患者さんのやるべきことや注意することが明確になれば、不安も和らぐでしょう。

コミュニケーションを大切にし、患者さんが前向きに治療していけるように支えることが看護師の役割です。

セルフケアの支援

患者さんが今の骨密度を維持し、骨折を防ぎながら生活するには、退院後のセルフケアが重要となります。

看護師は外来や入院中に、セルフケアについて指導する場面があるでしょう。セルフケア方法を指導する際はまず、自宅での患者さんの生活について把握することが大切です。

  • 食生活
  • 飲酒歴
  • 喫煙歴
  • 1日の活動量
  • 運動習慣
  • 家の間取りや生活環境

患者さんの生活に合わせたセルフケアを検討する必要があるため、多角的に情報を集めましょう。栄養や運動に関しては、栄養士や理学療法士と連携して、より専門的な側面からの支援や介入が必要です。

骨粗鬆症は予防が大切!生活指導と看護のポイント

骨折を防ぎ、骨粗鬆症を予防するには生活指導がカギとなります。看護師による生活指導によって患者さんは正しい生活習慣を習得し、骨折のリスクを軽減できるのです。

看護師による骨粗鬆症の患者さんに対する生活指導のポイントは、以下の5つです。

  • 骨折のリスクを伝える
  • 食事指導をする
  • 日光浴と適度な運動を指導する
  • 禁煙指導をする
  • 服薬指導をする

それぞれ解説します。

骨粗鬆症患者に骨折リスクを伝える看護師

骨折のリスクを伝える

まずは、骨折しやすい状態であることを、患者さんに理解してもらうことが大切です。

骨折しやすい状態であることだけでなく、骨折したあとのリスク(状態によっては手術が必要になる、活動が制限されるなど)もあわせて説明しましょう
一度骨折すると再び骨折するリスクが高まるため、骨折予防の重要性を理解してもらうことがポイントです。

食事指導をする

骨粗鬆症の患者さんは、食生活で気をつける点がいくつかあります。

骨の健康に不可欠なカルシウムだけでなく、カルシウムの吸収を促進するビタミンDやビタミンKも積極的に摂取してもらいます。乳製品、魚介類、大豆製品など、バランスの良い食生活を心掛けるよう指導しましょう。

実際にどのような献立が良いのか、退院後でも実践できるよう栄養士と協力しながら食事指導をすることが大切です。

日光浴と適度な運動を指導する

骨粗鬆症の患者さんにとって日光浴と適度な運動は、骨密度を維持し骨を強くすることにつながります。さらに、日光浴はビタミンDの生成を促進し、カルシウムの吸収を助け、骨の健康をサポートしてくれるのです。

そして、適度な運動は骨密度を向上させ、筋力を増強する役割があります。有酸素運動やウォーキング、筋力トレーニングなど、個別性に配慮した運動を提案しましょう。

禁煙指導をする

喫煙による有害物質は、カルシウムの吸収を減少させ、骨密度を低下させる可能性があります。そのため、禁煙は骨折のリスクを軽減し、治療の効果を向上させるために必要です。

骨粗鬆症を進行させないために、禁煙サポートを実施しましょう。なかなか禁煙できない患者さんには、禁煙外来など専門的に介入できる支援を紹介するのも効果的です。

服薬指導をする

骨粗鬆症を悪化させないためには、処方された薬を正しく飲み続けることが大切です。効果が目に見えてわかるものではなく、長期的に服用するものもあるため、薬の必要性や服薬方法についての説明が重要となります。

さらに、使用する薬のなかには、服薬方法に注意が必要なものもあります。骨密度を向上させる効果が期待できる「ビスホスホネート製剤」は、カルシウムやマグネシウムなどが多く含まれる食材や飲み物と一緒に服用すると、薬の吸収に影響をきたすおそれがあるため注意が必要です。

必要に応じて薬剤師と協力しながら、退院後の生活に配慮した服薬方法を指導しましょう。

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