
「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。
本記事は、骨粗鬆症治療薬についてまとめました。作用・副作用に加えて注意点なども記載していますので、ぜひ参考にしてください。

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
骨粗鬆症とは、骨の量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
日本には約1,000万人いるとされ、その約70%が女性で、年間2~3%ずつ骨量が減っていると言われます。
骨粗鬆症の治療薬は、骨折が起きる確率の度合いに応じて使い分けます。
骨折が起きる確率(骨折リスク)を上げる要因は主に3つあります。
1つ目は骨を構成するカルシウムなどのミネラル成分が、骨にどれくらい詰まっているかを表す骨密度。2つ目は道ばたでつまずくなど、普段なら何でもないようなことでも骨折してしまう脆弱性骨折の有無。そして3つ目は年齢です。
では早速、使い分けの例を具体的にみていきましょう。
骨折リスクが低い場合、高い場合、きわめて高い場合の3つに分けて解説します。
まずは骨折リスクが低い場合に使われる薬です。

【作用】
骨に対して女性ホルモンのような働きをすることにより、閉経に伴い骨のカルシウム分が血液に溶け出すのを防ぎます。その結果、骨密度が増し、骨が丈夫になります。
【副作用】
乳房の張り、ほてり、吐き気などの症状があらわれることがあります。重大な副作用には血栓症があります。足の痛みやむくみがある場合、また突然の息切れ、胸の痛みがある場合、物が見えにくくなるような場合には、すぐに医師、薬剤師に連絡してください。
【使用上の注意】
男性、閉経前の女性には使用できません。

【作用】
ビタミンDは腸からのカルシウムの吸収を促します。また、骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを抑え、骨の形成を助けます。
【副作用】
便秘や胃の不快感などがあらわれることがあります。重大な副作用に高カルシウム血症があります。体がだるい、イライラする、吐き気、口が渇く、食欲がない、意識がもうろうとするなどの症状があらわれた場合は、高カルシウム血症の可能性があるため、すぐに医師、薬剤師に連絡してください。
【メモ】
エルデカルシトール (エディロール)は、特に強い骨折予防効果があります。背骨の骨折を予防するデータがはっきりと示されています。
続いて、骨折リスクが高い場合に使われる薬です。

【作用】
骨に付着して、骨を壊す細胞(破骨細胞)に取り込まれ、破骨細胞の働きを抑え、骨からカルシウムが流れ出るのを抑制して骨量を増やします。
【副作用】
胃の不快感、吐き気、胃痛などがあらわれることがあります。重大な副作用に顎骨壊死があります。あごの痛みや腫れ、あごのしびれ感、歯が浮いた感じ、歯のゆるみ、発熱等があらわれた場合は、医師、薬剤師に連絡してください。
【使用上の注意】
飲み薬と注射薬があります。飲み薬に関してはさまざまな決まり事があるため、特に以下のことを患者さんに伝えましょう。
この服用方法を守らなければ、薬が効かなくなり、食道障害などの副作用があらわれる恐れがあります。
【メモ】
飲み薬には、毎日飲むタイプだけではなく、週1回、月1回などのタイプがあります。注射には月1回、点滴では年1回のタイプもあります。
一般名:デノスマブ(商品名:プラリア)

【作用】
骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを活発にさせる物質「ランクル」をブロックして、破骨細胞の働きを抑えることで、骨を増やします。
【副作用】
低カルシウム血症に注意が必要です。手足のふるえ、筋肉の脱力感、けいれん、しびれ(唇のまわり、手・指など)などの症状がある場合には、医師・薬剤師に連絡してください。低カルシウム血症の予防のため、カルシウムやビタミンDが処方されることがあります。
【メモ】
皮下注射製剤であり、投与間隔が半年に1回という特徴があります。半年に1回の注射で背骨と太ももの付け根の骨量を増やします。その結果、デノスマブは背骨と太ももの付け根の骨折を減らします。
最後に、骨折リスクがきわめて高い場合に使われる薬を見てみましょう。

【作用】
副甲状腺ホルモン製剤は、骨を造る骨芽細胞の働きを助ける薬です。この薬を投与すると、骨を造る骨芽細胞が活性化し、骨形成が促進され、骨を強くする(骨密度が増加する)ことが確認されています。
【副作用】
副甲状腺ホルモン製剤は、人工的に作られた副甲状腺ホルモンの注射薬のため、投与期間が長くなると、骨の癌(骨肉腫、骨腫瘍性病変など)が起こりやすくなることが示されています。そのため、投与できる期間が決められています。
【メモ】
テリパラチド (フォルテオ・テリボン)は24ヵ月間まで、アバロパラチド (オスタバロ)は18ヶ月間まで使用可能です。薬価が高いため、重症骨粗鬆症に限定して使用するケースが多いです。
一般名:ロモソズマブ(商品名:イベニティ)

【作用】
スクレロスチンは骨細胞から分泌される物質です。骨を造る働き(骨形成)を抑制するとともに、骨を壊す働き(骨吸収)を促進することで骨量を減少させます。
このスクレロスチンの働きを阻害し、骨量を増加させる薬が抗スクレロスチン抗体薬です。 抗スクレロスチン抗体は骨形成促進作用と骨吸収阻害作用を併せ持っています。
【副作用】
重大な副作用に心血管系事象があります。締め付けられるような胸の痛み、胸を強く押さえつけられた感じ、冷や汗がでるなどの症状があらわれたら、医師・薬剤師に連絡してください。
【使用上の注意】
1ヵ月に1回皮下注射をします。投与期間は12 ヵ月までとされ、治療終了後は新たに骨吸収阻害薬(ビスホスホネート薬など)による治療が開始となります。
投与終了後に治療をしないと、骨量が減少してしまい骨折リスクが増大すると報告されています。適切な治療(ビスホスホネート薬投与等)を継続する必要があります。
骨粗鬆症治療薬について、もっと知りたいことや、困っていることがあればコメントしてください!
これは役立つぞ!とか現場と違うんだけど…というコメントも大歓迎です。
今回の内容はレバウェル看護公式Instagramにてイラストで簡単に解説しています。投稿はコチラ!
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熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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