
胸水はさまざまな疾患に起因し、悪化すると呼吸困難や胸痛を引き起こします。多量の胸水が貯留している患者さんでは、胸腔穿刺や胸腔ドレナージを実施することもあり「どのように看護したらよいか分からない」とお悩みの方もいるかもしれません。
本記事では、胸水のある患者さんに対しての看護や重要な観察項目について解説します。患者さんに適切な看護を提供するために、胸水についての基礎知識や治療法についても理解しておきましょう。

胸水とは、2つの胸膜(壁側胸膜と臓側胸膜)の間に貯留した液体のことです。胸膜腔には、健康な人でも少量の液体が貯留していますが、何らかの理由で異常に液体が溜まってしまうと、胸水と診断されます。
胸水は2種類あり、特徴はそれぞれ以下のとおりです。
種類の違いによりある程度原因を推測でき、その原因によってリンパ液や血液、膿など貯留される液体は異なります。
胸水の原因は多岐に渡ります。基本的に胸水は、原因疾患に起因して起こる症状のひとつです。具体的な原因は、以下のものがあります。
上記の原因は一例です。なかには、腹膜透析や薬物の副作用によって発症する可能性もあります。
胸水は一般的に、胸部レントゲンを撮影することで発見できます。詳しく原因を探るには、血管造影CT検査や超音波検査、胸腔穿刺(胸水を採取して行う検査)を実施することが有効です。

胸水の種類や性状によって、原因が特定できることもあります。たとえば、滲出性胸水であれば感染症や胸部外傷などが疑われ、漏出性胸水であれば心不全や肝硬変などが一般的です。
胸水における症状の多くは、呼吸困難感と胸痛です。胸水が少量の場合には、症状が見られないケースもありますが、胸水の量が多いほど症状は顕著に現れます。
呼吸困難感は、胸水によって肺が圧迫されることで生じます。

胸痛は胸膜の痛みであり、常に痛みを感じることもあれば、深い呼吸や咳をしたときにだけ痛むこともあります。痛みが強いと本人の苦痛やストレスにつながるため、必要に応じて鎮痛薬を使用します。
そのほかにも、原因疾患による症状が現れることも少なくありません。たとえば心不全が原因の場合、四肢の浮腫が見られます。全身状態を観察して、小さな症状を見落とさないことが大切です。
胸水の治療法は、主に以下の3つが選択されます。
原因疾患の治療を行いながら、症状に合わせて胸水に対する処置が検討されることが一般的です。原因疾患が回復に向かうことで、胸水の改善が期待できます。
胸水貯留は確認できるものの、状態が安定しているときには、すぐに胸腔穿刺や胸腔ドレナージは行わず、保存的治療が選択されることがあります。その場合には、利尿剤を投与して水分出納バランスをマイナスで管理することで、胸水を減らすことが可能です。
胸水の量が多く、症状が顕著に現れている場合には、胸腔穿刺や胸腔ドレナージにて貯留した胸水を外部に抜き取る処置が行われます。胸腔穿刺は一時的に針を刺して胸水を抜く処置ですが、胸腔ドレナージはドレーンという管を留置することで、持続的に胸水を抜くことが可能です。状態に合わせて、適切な治療法が選択されます。

胸水を抜いてもすぐに貯留してしまう場合には、管から薬剤を注入して2つの胸膜を癒着させる「胸膜癒着術」が実施されることもあります。
胸腔ドレナージに関しては、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
胸水のある患者さんへの看護で必要なことは、状態や症状の観察、アセスメントのほかにも、安全・安楽に過ごせるよう環境を整えることです。
この章では、看護のポイントを解説します。なお、バイタルサインや観察項目については、次章で詳しく解説しますので、あわせてお読みください。
胸水が貯留していると肺の拡張が制限されて、呼吸困難感の訴えが見られます。呼吸のしにくさや苦しさは患者さんの大きな負担となるため、安楽な体位や姿勢にポジショニングすることが必要です。
両側に胸水が貯留している場合には、臥位よりも座位や半座位で過ごしたほうが呼吸はしやすくなります。一方で片側のみに胸水が貯留している場合は、側臥位も有効です。左右の胸腔は繋がっていないため、横向きで過ごしても問題ありません。

一般的には、胸水が貯留していないほう(健側)を下にします。そうすることで、健康な肺(肺胞内)へ多くの血液が流れ、ガス交換が促進されて呼吸状態の改善が見られるためです。しかし状態によっては、胸水が溜まっているほう(患側)を下にすると、状態の良いほうの肺が膨らんで呼吸が楽になることもあります。どちらの側臥位が良いかは、本人の呼吸困難感の改善度や、SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)の値を見ながら判断すると良いでしょう。一番は患者さんの楽な姿勢に合わせて適切にポジショニングすることが大切です。
なお、胸水が動くと咳嗽が出やすくなるため、体位変換はゆっくり実施することがポイントです。
胸腔ドレナージを持続的に行っている患者さんには、バイタルサインや呼吸状態の観察はもちろん、正しい管理や異常の早期発見が大切です。
基本的には、正常にドレナージができているかをチェックしましょう。観察項目は以下のとおりです。
また胸腔ドレナージには、臓器や血管の損傷、感染症などの合併症のリスクもあります。日々の観察・管理で異常が見られた場合には、直ちに医師に報告しましょう。早期発見、早期対応が大切です。
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胸水の排液について知りたい
胸水のある患者さんでは、バイタルサインはもちろん、呼吸状態や胸水の観察が欠かせません。患者さんの全身状態を観察して多くの情報を集めることで、正しいアセスメントや個別性のある看護につながります。
ここでは、胸水の患者さんにとって重要な観察項目について解説します。
胸水のある患者さんでは、血圧や体温、脈拍などのバイタルサインに加えて、呼吸回数や呼吸音などの呼吸状態の観察も重要です。同時にSpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)を確認して、十分に酸素を取り込めているかをチェックしましょう。多量の胸水が貯留している場合、呼吸困難感の訴えが見られます。胸水貯留が悪化するにつれて、呼吸音や症状(胸痛や呼吸困難感など)に変化が見られるため、注意して観察することが大切です。
さらに、咳嗽や喀痰の有無も確認しましょう。
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胸水貯留のある患者さんの聴診の仕方について知りたい
胸腔ドレナージを行っている患者さんでは、毎日胸水の観察が必要です。胸水の量が減少しているのか、排液の性質や量に変化が見られるのかなどを観察することで、状態が良くなっているのかが分かります。たとえば、血性だった排液が淡々血性に変化していたら、改善しているサインです。
急激に胸水の排液量が減っている場合には、ドレーンの閉塞が疑われます。異常や排液の変化などが見られる場合には、医師へすぐに報告しましょう。
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胸水に関する病態生理・観察項目・看護について
胸水貯留の保存的治療とドレナージ治療の違いは?
胸水が貯留していると痰が出やすいのか?

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Q. お礼奉公中でも転職は可能?
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