褥瘡のドレッシング材!看護師が覚えておきたい種類と特徴、使い方を解説

褥瘡の処置に必ず必要となるドレッシング材。
ドレッシング材は、褥瘡の湿潤環境をコントロールし、創部を保護します。褥瘡の状態に応じてドレッシング材を適切に選択してくことが大切です。

この記事では、ドレッシング材の目的や分類、特徴を解説しています。ドレッシング材の選択の仕方やケア方法、ドレッシング剤の一覧も紹介しているため、ぜひ参照ください。

この記事を書いた人
平野 芹奈
看護師
看護師資格、日本救急医学会認定ICLS取得。 急性期病院にて、脳神経外科、脳神経内科、血液内科の病棟看護師として勤務。その後、トラベルナースや派遣看護師、正社員などの働き方を選択し、脳神経外科専門病院・CRC、保育園看護師、コールセンター管理職を経験してきました。 現在は、Webライター、美容医療系のSNS運用代行を行っています。
※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

褥瘡ドレッシング材とは?

ドレッシング材とは、創部の湿潤環境を保ち、創傷に固着しないように作られた近代的な製剤と定義されており、傷を覆う医療用材料のことです。以前は、ガーゼや包帯など創傷を覆う材料全般を示していました。ですが現在は、滅菌ガーゼなどを除くとされています。

褥瘡の治療は、状態に応じたアセスメントと適切な治療の選択をすることが大切です。褥瘡ドレッシング材の目的や種類、対象となる創の深さや状態を知り、早期に治療を開始することで治癒を目指せます。

出典:

褥瘡ドレッシング材の目的

以下は、褥瘡に対してドレッシング材を使用する目的です。

褥瘡に対してドレッシング材を使用する目的
  • 創面を保護する
  • 疼痛や圧力を緩和する
  • 湿潤環境を作る、コントロールする
  • 浸出液を吸収する
  • 創傷治癒を促進させる
  • 創部の感染を抑制させる

褥瘡ドレッシング材は、傷の状態に応じて適切な湿潤環境を作り、創傷を保護する役割があります。褥瘡の基礎知識を身につけ、どのドレッシング材が適応となるかを知りましょう。

褥瘡ドレッシング材の適応

ドレッシング材の適応は、褥瘡の急性期から慢性期、浅い創から深い創までさまざまです。適切なドレッシング材が選択できるよう、褥瘡の治癒過程にわけて解説します。

褥瘡の急性期と慢性期

褥瘡の急性期は、褥瘡発生から1~3週間までの期間のことです。急性期の褥瘡は、水泡やびらんなど皮膚トラブルが混在していることもあり、深さの判定が難しい時期となります。
急性期治療の基本は、適度な湿潤環境を保ち、透明ドレッシング材で保護することです。

褥瘡の慢性期は、急性期を過ぎた頃からです。創の状態に応じて治療の目的が変わります。浅い褥瘡か、深い褥瘡かを判断し、ドレッシング材を選択することが必要です。

褥瘡の深さとドレッシング材

浅い褥瘡は、真皮にとどまる褥瘡で、この時期は創の保護が重要です。

深い褥瘡は、治癒の過程で以下に分かれます。治癒過程とドレッシング材を選択する際のポイントの紹介です。

深い褥瘡の治癒過程
  • 壊死期:壊死組織と浸出液の量に応じて、ドレッシング材を選択。
  • 炎症期:感染のコントロールが重要。浸出液の量に合わせドレッシング材を選択。
  • 肉芽形成期:外用薬とドレッシング材を組み合わせ、肉芽形成を促進。
  • 上皮形成期:創の面積や創の縮小に効果的なドレッシング材を選択。

ポリウレタンフィルムは、透明であることから発赤や紫斑、創の観察に優れています。

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ドレッシング材は感染のない褥瘡に使用する

ドレッシング材は、感染のない褥瘡に使用することが原則です。ドレッシング材で感染創を閉鎖すると菌の繁殖が促進されます。ドレッシング材は、創を湿潤環境に保つことができる一方で、細菌が増殖しやすい環境もあることも覚えておきましょう。

感染を予防するためのポイントを紹介します。

  1. ドレッシング材の交換を適切に行う
  2. 浸出液が多い場合は、吸水性の高いドレッシング材を使用する
  3. 創周囲の皮膚感染にも注意する
  4. 創洗浄にて清潔な環境を保持する
  5. 抗菌薬や外用薬の使用を検討する
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ドレッシング材の分類と一覧

ドレッシング材は、使用する目的に応じて以下のように分類できます。

主なドレッシング材の働き
目的主なドレッシング材
創面を閉鎖し、湿潤環境を形成するハイドロコロイド
乾燥した創に湿潤環境を形成するハイドロジェル
浸出液を吸水するハイドロポリマー・ハイドロファイバー・ポリウレタンフォーム・アルギン酸塩・キチン
創面の保護ポリウレタンフィルム

ドレッシング材の種類と特徴、使う際のポイント、商品名

主に現場で使うことの多いドレッシング材の種類と特徴、使用時のポイントを解説します。種類により成分や形状が異なるため、ドレッシング材を選択する際に役立ててください。

ハイドロコロイド

ハイドロコロイドは、親水性コロイドと疎水性ポリマーからなるドレッシング材です。

【特徴】

  • 創の浸出液を吸収してゲル状に変化させる。
  • 創部の湿潤環境を保ち、治癒を促進させる。

【用途とポイント】

  • 肉芽形成期以降の浸出液が少ない創や真皮・皮下組織に至る創に使用する。
  • 浸出液が多い場合は、避ける。
  • 創周囲の皮膚を2~3㎝覆うサイズで貼布する。

【主な商品目】

デュオアクティブ、テガダーム ハイドロコロイド、レプリケアライト

ポリウレタンフィルム

ポリウレタンフィルムは、半透明のフィルムに粘着剤を塗布したドレッシング材です。

【特徴】

  • 創部の観察に優れている
  • 水蒸気や酸素に透過性に優れている
  • 外部からの水分や細菌の侵入を防ぐことができる

【用途とポイント】

  • 発赤や水泡の保護や褥瘡予防に使用する
  • 浸出液の少ない場合に適応となる
  • 剝がすときの皮膚トラブルに注意する
  • 保険の適応はない

【主な商品名】

オプサイトウンド、テガダーム

ポリウレタンフォーム

ポリウレタンフォームは、ポリウレタンフィルム・親水性ポリウレタンフォーム、非固着性ポリウレタンの3層からなるドレッシング材です。

【特徴】

  • 水分吸水に優れており、湿潤環境を保持する
  • 肉芽形成、上皮形成を促進する
  • ゲル状に変化しないことから、創や皮膚にくっつかない

【用途とポイント】

  • 浸出液が多い創に適している
  • 皮下組織、筋や骨に至る創に使用(肉芽形成期→上皮形成期)
  • 創部外線から1.5~3.0㎝大きいサイズで貼布する

【主な商品名】

ハイドロサイト薄型・ハイドロサイトAD

ハイドロジェル

ハイドロジェルは、多量の水分により乾燥した壊死組織を軟化させるドレッシング材です。

【特徴】

  • 多量の水分により、組織自体の融解を促進する
  • シート状とゲル状があり、シート状は疼痛緩和効果、ゲル状は炎症の鎮静化が目的

【用途とポイント】

  • 浸出液が少ない創に使用する
  • 真皮に至る創傷、皮下組織に至る創の壊死組織期→上皮形成期に使用する
  • 周囲の皮膚の浸軟に注意する
  • シート状は、乾燥すると硬くなり剝がれにくくなる

【主な商品名】

ゲル状(グラニュゲル)、シート状(イントラサイトジェルシステム)

アルギン酸塩

アルギン酸塩は、高い吸収力を持つアルギン酸を不織布にしたドレッシング材です。

【特徴】

  • 浸出液を吸収し、ゲル状にすることで湿潤環境を保つ
  • 吸収速度が速く、自重の15~20倍の吸収力を持つ
  • 肉芽形成、上皮化を促進する
  • カリウムイオンを放出し、止血作用を促進する
  • 疼痛緩和効果がある
  • シート状やひも状、リボン状とさまざまな形状がある

【用途とポイント】

  • 出血を伴う褥瘡に適している
  • 皮下組織に至る創傷(肉芽形成期→上皮形成期)に使用する
  • 乾燥した創には不適応である
  • 交換時に創面が乾燥していたら、微温湯で湿潤させる

【商品名】

アルゴダーム、カルトスタット

ハイドロファイバー

ハイドロファイバーは、吸収性と保水性を兼ね備えたドレッシング材です。

【特徴】

  • 親水性ポリマーの繊維を使用し、自重の25倍の吸収力を持つ
  • 高い吸収性を持ち、ゲル化させる
  • 長期的に創部の湿潤環境を維持することが可能である
  • 浸出液が横に広がることを抑える構造になっている

【用途とポイント】

  • 浸出液が多い創に使用する
  • 皮下組織に至る創傷(壊死期後期から肉芽形成期→上皮形成期)に使用する
  • ゲル化することを想定し、余裕を持って貼布する

【商品名】

アクアセルAg、バーシバXC

ハイドロポリマー

ハイドロフポリマーは、吸収パッド、吸収シート、ポリウレタンシート、ポリウレタンカバーフォームによって構成されているドレッシング材です。

【特徴】

  • 浸出液を吸収し、不織布によって取り込まれ創面にフィットする

【用途とポイント】

  • 皮下組織に至る(肉芽形成期→上皮形成期)に使用する
  • 感染創には適さない
  • 浸出液を過度に吸収することで、創にずれが加わった際に悪化させる危険性がある

【商品名】

  • ティエール

キチン

キチンは、甲殻類から抽出されたキチンをシート状にしたドレッシング材です。

【特徴】

  • 浸出液の吸収と保持機能に優れている
  • 鎮痛効果、止血作用、肉芽形成作用がある
  • シート状、スポンジ状、綿状の素材がある

【用途とポイント】

  • 浸出液が中等~多量の場合に使用する
  • 真皮、皮下組織、筋、骨に至る創に使用可能である
  • 浸出液が多い場合は、上から二次ドレッシング材が必要となる

【商品名】

  • ベスキチン

ドレッシング材を交換する際の看護とポイント

褥瘡処置におけるドレッシング材の交換方法と看護のポイントを紹介します。

褥瘡の処置とドレッシング材を交換する際のポイント

褥瘡の治療は、スキンケアが重要です。洗浄するタイミングやポイントを抑え、感染リスクを抑えていきましょう。ドレッシング材の種類や浸出液の量によって、ドレッシング材の交換時期が変わってきます。

ドレッシング材の交換時には褥瘡の状態の変化を観察

ドレッシング材を交換する際のポイント

  1. 発赤が退色傾向を示すかを確認する
  2. 褥瘡の浸出液の量
  3. 褥瘡の深さ・大きさの確認
  4. 炎症や感染徴候の確認
  5. 肉芽組織・壊死組織の程度や変化
  6. ドレッシング材の貼付状況の確認(空気の混入、剥がれていないか)

ドレッシング材の看護

褥瘡のドレッシング材は、貼布後も観察を継続する必要があります。

体位交換やバイタルサインを測定するときなど、患者さんと接する際には褥瘡部位の観察を心掛けましょう。ドレッシング材が剥がれていないか、浸出液が漏れていないか、疼痛の程度や掻痒感もドレッシング材を貼布する上で求められる看護ケアとなります。

ドレッシング材を剥がす際は、皮膚を引っ張らないことが大切です。剥がれる面をドレッシング材の上から抑えながら持ち上げるように剥がしていくことがポイントになります。

褥瘡ドレッシング材の保険適応

ドレッシング材は皮膚欠損用創傷被覆材として保険償還の価格が決められています。保険上2週間の使用が基準ですが、必要と認められた場合は3週間を限度として算定が可能です。

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