点滴ができない新人看護師は卒業!苦手な点滴を克服する4つのポイント

2023.1.4

看護師が点滴をしているイメージ

「点滴の針を刺すのが怖くてできない…」とお悩みの新人看護師は多いのではないでしょうか?
ここでは、新人看護師が点滴が苦手な理由や、点滴を克服できるポイントなどについて、詳しくご紹介していきます。この記事を最後まで読み終えていただければ、苦手な点滴への対処法が分かり、自信をもって働くことができます。
点滴を克服したい新人看護師の方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。

新人看護師が点滴が苦手な理由

点滴は看護師になってから、初めて手技に取組む看護技術です。不慣れな手技であるだけでなく、侵襲的な医療行為なので、不安を感じる新人看護師は少なくありません。
そこで、新人看護師が「点滴は苦手」と感じる理由を詳しくご紹介していきます。

  • 針を刺すのが怖い
  • 血管がどこにあるのか分かりにくい
  • 手技をスムーズに行えない
  • 自信が持てなくて苦手意識が強い

新人看護師にとって、「失敗したらどうしよう」という恐怖心は常につきまといます。また、先輩看護師やプリセプターから繰り返し注意を受けることで、「自分はできない」と思い込んでいる場合もあります。

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新人看護師が苦手な点滴を克服できる4つのポイント

点滴への苦手意識は、自信や仕事への意欲をなくしてしまう原因です。
新人看護師が苦手な点滴を克服できる、4つのポイントをご紹介していきます。手技の独り立ちを目指したい方は、チェックしてみましょう。

実施前の準備は万全に整える

新人看護師が苦手な点滴を克服するには、落ち着いて手技を行うことが大切です。そのため、点滴を実施する前に、しっかり準備を整えましょう。

  • 忘れ物がないように必要物品をチェックする
  • 留置針につなげるルートをすぐ取れる場所に配置しておく
  • 固定用のフィルムがすぐに使えるように準備しておく

あらかじめ準備を整えておくことで、留置針がずれたり、抜けたりするのを防げます。

また、スムーズに点滴を実施するためには、手技のイメージトレーニングも欠かせません。必要物品の配置場所や手順を想定するのに役立ちます。

先輩の手技を観察して学ぶ

先輩看護師の手技を観察することで、物品の配置場所や、針の穿刺角度などを学べます。自分自身の手技を振り返り、つまづきやすい箇所を克服するヒントを見つけやすいです。
また、先輩看護師に新人看護師の手技を確認やアドバイス・助言をしてもらうのも良いでしょう。自分では気付かなかった問題点を指摘してもらえるので、手技の改善につなげられます。

穿刺しやすい血管を選ぶ

本来点滴の穿刺に適しているのは、まっすぐで見えやすい血管や、刺しやすい場所です。しかし、点滴が苦手な新人看護師は、焦って穿刺に適さない血管を選んでしまうことがあります。
そこで、時間がかかっても、落ち着いて念入りに血管を探すのがおすすめです。前腕に血管が見えなかった場合、いったん駆血帯を外して前腕部分を360度観察してみましょう。
また、24Gの細い針を選ぶと刺しにくく、すぐに凝固して使えなくなってしまいます。よほど血管が細い患者様でなければ、基本の22Gを選ぶようにしてください。

ためらわずに穿刺する

「失敗したらどうしよう」「ミスしたくない」という不安が強いと、針先がぶれて失敗しやすくなります。動脈は深い部位を走行しており、静脈と動脈を刺し違えてしまう心配はほとんどないので安心してください。
ただし、静脈に刺した後、血管を探っているうちに誤って動脈を刺してしまう可能性はあります。もしも動脈に刺してしまった場合、逆血の勢いの強さで気付けるので、落ち着いて圧迫止血し、医師に報告しましょう。

また、点滴のルートが確保できた後は、三方活栓の接続の緩みや向き、点滴の漏れの有無などを観察することも大切です。

点滴でミスしてしまった新人看護師が取るべき措置

点滴でミスをしてしまった場合、適切な対処法が必要になります。そこで、点滴でミスしてしまった新人看護師が、取るべき措置を解説していきます。万が一の時に落ち着いて対処できるように、確認しておきましょう。

すぐに点滴を中止する

点滴の漏れによる静脈炎や、神経の損傷による痺れといったトラブルが起きた場合、速やかに点滴を中止しましょう。後遺症や体調不良の悪化など、患者様に重大な不利益が発生するおそれがあります。また、点滴の針を穿刺した腕以外に、全身状態に異常はないか、確認してください。

先輩看護師に報告する

インシデントやヒヤリハットが発生したら、できるだけ早く先輩看護師に相談しましょう。新人看護師は、経験や知識がまだ未熟なので、自分の判断で適切な対応をするのが難しいです。先輩看護師の適切な指示に従って対処してください。また、医師にも報告し、異常はないか診察してもらうことも大切です。

失敗から学びを得る

ミスをしてしまった後は、インシデントレポートを提出します。インシデントレポートの目的は、ミスが起きた原因を冷静に分析して、再発防止に努めることです。カンファレンスなどで、他の看護師と共有しますが、ミスをした看護師を責めるためではありません。同じミスを起こさないように、ミスを起こしやすい状況や傾向を掴みましょう。

新人看護師が抱える悩みへの対処法

新人看護師は不慣れな看護業務によって、仕事の悩みを抱えがちです。
中には、「出勤するのが憂鬱」「看護師を辞めたい」と思いつめてしまう方もいます。そこで、新人看護師が抱える悩みへの対処法をご紹介するので、参考にしてください。

同期と比べない

同期はさまざまな看護技術を習得して独り立ちしているにも関わらず、自分がうまくいかない状況が続いていると、つい比較してしまいがちです。「スタートラインが同じだったはずなのに、差がついている…」と不安や焦りを感じてしまいます。

しかし、成長のスピードや得意・不得意は人それぞれなので、自分のペースで進めていくことが大切です。過去の自分に目を向け、成長できている箇所や、習得できた技術を振り返ってみましょう。

できない理由を自己分析する

苦手分野やつまづきやすい箇所を、しっかり分析してみましょう。できること・できないことを明確に分けることで、先輩看護師やプリセプターに質問・相談をしやすくなります。また、インシデントを起こしてしまっても、ミスをした自分を強く責めて落ち込んでしまうのはおすすめしません。

インシデントは、ミスの原因を共有し、再発を防止するためのものです。
再度同じ失敗を繰り返さないように、冷静にミスの原因を分析して、インシデントの再発防止に努めましょう。

先輩看護師に相談する

「点滴ができない」という悩みを、先輩看護師やプリセプターに相談するのもおすすめです。アドバイスや助言をもらえるので、自分一人で抱えているよりも改善を目指すことができます。また必要に応じて、先輩看護師に手技を確認してもらうと良いでしょう。

新人看護師が点滴をできるようになる目安の時期

「新人看護師が点滴をできるようになる目安の時期っていつなの?」という疑問は気になるところです。そこで、厚生労働省の「新人看護職員研修 ガイドライン(P19)」の新人看護職員研修プログラム例を確認してみましょう。

4~6月7~9月10~3月
与薬の技術・皮下注射、筋肉内注射
・点滴管理:薬剤準備、ボトル交換、挿入部の固定、輸液量の計算など
・輸液ポンプ、シリンジポンプの使い方
・点滴静脈内注射
・薬剤などの管理(毒薬・劇薬・麻薬、血液製剤を含む)
・輸血の準備、輸血中と輸血後の観察
出典
厚生労働省「新人看護職員研修 ガイドライン(P19)」(2022年11月15日)

厚生労働省によると、7~9月に点滴静脈内注射の技術習得を目指しています。夏ごろに点滴の技術取得を目指すのが一般的でしょう。

ただし、技術習得を目指す時期は、病院によって異なります。一定年数勤めてから研修を受け、点滴の独り立ちを目指す病院もあるので、夏ごろに独り立ちをしていなくても遅いとは限りません。独り立ちの時期ばかり気にするのではなく、安全に点滴を行えるスキルを身に着けることが大切です。

また、技術不足な看護師が点滴のルート確保を行った結果、入院中の患者様に後遺症を負わせてしまい、訴訟に至ったケースもあります。技術への不安はミスにつながるので、同期よりも独り立ちの時期が遅れていても、焦らないようにしましょう。

点滴の機会が多い職場

点滴が苦手な方は、点滴の機会が多い職場を避けて、転職や異動を希望したいのではないでしょうか。そこで、点滴の機会が多い職場をご紹介していきます。転職や異動の際に、参考にしてください。

外来の検査室や点滴室

点滴室では、点滴処置が必要な方や、通院で抗がん剤治療を受けている方などへの点滴が主な業務です。点滴に対応する機会が多く、スキルが求められます。

一般の内科系クリニック

内科系クリニックは、特に採血や点滴を行う機会が多く、看護師が対応するケースがほとんどです。他の看護師に代わってもらうのが難しい場合、診察中の医師に対応を依頼しなければなりません。また、一定以上の臨床経験を積んでいる方や、採血・注射が得意な方を募集しているクリニックも多いです。点滴だけでなく、採血や注射が苦手な方に内科系クリニックは向かないといえます。

病院の透析室や透析クリニック

透析室や透析クリニックでは、透析前の処置として血管穿刺をしなければなりません。元々シャントを造設している人はそれほど難しい手技ではないものの、緊急で行う人は穿刺の難易度が上がります。穿刺に失敗して時間を取られてしまうと、患者様にとって負担が大きいです。注射スキルがある程度必要とされる職場なので、針が苦手な看護師はおすすめできません。

訪問看護ステーション

在宅で療養している方の中には、医師により点滴治療が必要であると指示されている方がいます。血管が見えにくい、血管が細いといった、穿刺に向かない血管であることが多いです。失敗しても他の看護師に替わってもらえないので、1人で対応する必要があります。

美容系クリニック

美容皮膚科・美容整形などのクリニックや病院の場合、施術の際に点滴や注射が必要です。他のクリニックや病院との違いとして、採血や注射などで内出血しないように、美容面での配慮も求められます。ある程度の注射スキルがない看護師が働くのは、難しいと言わざるを得ません。

点滴の機会が少ない職場

点滴の手技で自信をなくしている新人看護師でも、点滴の機会がない職場なら安心して働くことできます。そこで、点滴の機会がない職場をご紹介していくので、働きやすい職場探しにお役立てください。

大学病院

大学病院では、スキルアップのために研修医が点滴を行う場合が多いです。
看護師が点滴を行うには、「院内の試験に合格しなければならない」と定められている病院もあります。そのため、看護師の点滴のスキルは、ほとんど必要とされていません。

保育園や小児科

医師が処置全般を担当するクリニックでは、看護師が点滴の処置を行う場合は少ないです。看護師が処置を行っている職場では、ただでさえ苦手な点滴の難易度が上がるので、注意しましょう。

また、保育園で看護師が点滴に対応する可能性は、ほぼありません。ただし、食物アレルギーやアナフィラキシーを起こしてしまった子がいれば、エピネフリン注射を打つ可能性は考えられます。

老人福祉施設やデイサービス

要介護度の低い方が多く入居している介護施設では、点滴などの処置をすることはほとんどありません。定期的な健康診断を行う際にも、連携しているクリニックや検診施設の看護師が採血をすることが多いです。注射をする場合はインスリン注射など皮下注射なので、スキルは求められないでしょう。
注射の針が苦手な方でも安心して働ける職場です。

精神科

精神科では、基本的に点滴を必要とする患者様はほとんどいません。ただし、内服薬の効果をチェックするため、月に1、2回程度、定期的に採血を行います。また、内科や急性期病棟と混合している場合は、点滴の手技が必要となるので、配属先を確認しておきましょう。

まとめ

点滴ができないことで、自信をなくしてしまう新人看護師は少なくありません。実施前の準備を万端に整えたり、先輩の手技を観察して学んだりして、苦手意識の克服に努めましょう。また、もしミスをしてしまった場合、先輩看護師への報告や、インシデントレポートの提出により、ミスの再発防止も大切です。ただし、点滴室や透析クリニックなど、点滴のスキルが求められる職場はあります。

「どうしても点滴が苦手」「今勤めている職場で働き続けるのは難しい」と悩んでいる方は、転職や異動も視野に入れましょう。点滴の機会が少ない職場への転職を検討するなら、ぜひレバウェル看護にご相談ください。

レバウェル看護では、専任のアドバイザーが転職条件をしっかりヒアリングした上で、ご希望に合う職場をご提案いたします。初めての転職で不安を感じている方でも、履歴書の添削や模擬面接で、転職をサポートするので、安心してご利用いただけます。転職時期が決まっていなくても、まずはお気軽にレバウェル看護にご登録ください。

この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。

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