利尿薬の使い分けを薬剤師が解説!「尿細管のどこに働くか?」によって分類

「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。

本記事は、利尿薬についてまとめました。作用・副作用に加えて注意点なども記載していますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
笹川大介(ササガワダイスケ)
薬剤師、株式会社ゆかりファーマシー取締役

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。

各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。

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利尿薬とは?

利尿薬とは、尿量を増加させ、体内の不要な水分の排泄を促し、血圧を下げたり、浮腫などを軽減したりするための薬です。

利尿薬の使い分けポイント

利尿薬は主に尿細管という部分に働きます。

尿細管とは、糸球体と腎盂をつなぐたくさんの管が集まっている場所で、大きく4つの部位に分けられており、糸球体に近いものから、近位尿細管、ヘンレループ、遠位尿細管、集合管と呼ばれています。

利尿薬は、尿細管のどこに働くか?によって使い分けます。

利尿薬を理解するためにはまず、水はNa+(ナトリウムイオン)と常に一緒に移動するということを覚えておきましょう。

尿細管では、尿(原尿)に含まれる水分などを血液中へ戻す再吸収が行われています。利尿薬はNa+の再吸収を抑えることにより、水の再吸収も抑えます。

それにより体外へ排出する尿量を増やして、体内の余分な水分を排泄しているのです。

では、早速使い分けの例を具体的にみていきましょう。

利尿薬の種類

分類名:炭酸脱水酵素阻害薬

一般名:アソタゾラミド(商品名:ダイアモックス)

【作用】
近位尿細管で、炭酸脱水酵素の働きを阻害します。炭酸脱水酵素とは、腎臓、脳、目など体のあちこちに存在する酵素の一種です。炭酸脱水酵素はH+(水素イオン)とNa+の交換に関わっています。

この薬は、炭酸脱水酵素の作用を阻害して、Na+の再吸収を抑えることで水分を尿に排泄します。

【特徴】
眼圧を下げる作用があり、緑内障という眼の病気で使用されることがあります。

利尿作用が弱いため、血圧や浮腫に対して使用されることはほとんどありません。

【副作用】
吐き気や食欲不振、手足のしびれ感、多尿などが起こることがあります。

分類名:ループ利尿薬

  • 一般名:フロセミド(商品名:ラシックス)
  • 一般名:アゾセミド(商品名:ダイアート)
  • 一般名:トラセミド(商品名:ルプラック)など
  

【作用】
尿細管のヘンレループという部位に作用して、Na+、K+、Cl-(塩化物イオン)の再吸収を抑えます。それにより尿量を増やし、体にたまった余分な水分を取り除きます。

【特徴】
強力な利尿作用があります。腎機能が低下している場合でも利尿効果を示します。

うっ血性心不全の治療において、ループ利尿薬は第一選択薬となります。うっ血性心不全では、全身へ血液を送り出す心臓のポンプ機能が低下し、全身に水分(血液)がたまって、浮腫を起こしています。

ループ利尿薬を使用すると血管内の水分が減り、浮腫が改善するため、心臓の負担が軽くなります。

【副作用】
薬が効きすぎると、脱水を起こしたり血圧が下がりすぎたりして、ひどい脱力感やめまいを起こすことがあります。

また、血液中のカリウムやナトリウムが減ってしまう電解質異常(低カリウム血症、低ナトリウム血症)にも注意が必要です。だるい、力が入らない、のどが渇くといった症状が出てきます。定期的な血液検査で副作用の早期発見が可能です。

分類名:サイアザイド系利尿薬

  • 一般名:トリクロルメチアジド(商品名:フルイトラン)
  • 一般名:ヒドロクロロチアジド(商品名:ヒドロクロロチアジド)など
 

【作用】
腎臓の遠位尿細管でNa+、Cl-の再吸収を抑えることで、尿としてNa+や水分を排泄し、体内の余分な水分を減らして血圧を下げる薬です。

【特徴】
利尿薬のなかでは血圧を下げる作用が高く、Ca拮抗薬、ARB/ACE阻害薬とならび高血圧治療薬の第一選択薬の1つです。

特に、食塩感受性高血圧(塩分の影響を受けやすい高血圧)に役に立つと言われています。

【副作用】
長期にわたり多く飲み続けると、血液中のナトリウムやカリウム分が減ってしまったり(低ナトリウム血症、低カリウム血症)、逆に、カルシウム、血糖、尿酸値などが増えてしまったりすることがあります。

また稀な副作用ですが、日光に当たった部分に発疹ができる光線過敏症を起こすことがあります。

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分類名:カリウム保持性利尿薬

一般名:スピロノラクトン(商品名:アルダクトンA)

【作用】
腎臓の遠位尿細管および集合管でアルドステロンというホルモンの働きを抑えます。アルドステロンは尿中のNa+や水分を血液中へ戻す働き(再吸収)を促進させ、カリウムの排泄を抑制します。

この薬は、アルドステロンの働きを抑えるため、Na+と水分の再吸収が抑えられ、結果的に尿としてNa+と水分を排泄させることで、血圧を下げたり浮腫を改善したりします。

【特徴】
利尿作用はあまり強くありません。

この薬の一番の特徴は、サイアザイド系利尿薬、ループ利尿薬と違い、カリウムを保持する作用があることです。そのため、これらの薬と併用することで、サイアザイド系利尿薬やループ利尿薬の弱点である低カリウム血症の副作用を軽減できます。

スピロノラクトンには心臓の保護作用があり、心不全の死亡率を減らすという報告があります。また、肝硬変にともなう腹水にもよく使われます。

【副作用】
スピロノラクトンの特徴的な副作用として、女性化乳房や乳房痛といった副作用があります。女性化乳房は男性患者の約10%で生じるとされています。乳房がふくらむ、乳首の腫れや痛みがないか確認が必要です。

また、カリウムを保持する作用があることから、血液中のカリウムが高くなる高カリウム血症を起こすことがあります。

高カリウム血症では、筋力の低下(脱力感)、不整脈、吐き気、しびれなどの症状が出ることがあります。定期的に血液検査をしているかも確認してください。

分類名:バソプレシン受容体拮抗薬

一般名:トルバプタン(商品名:サムスカ)

【作用】
利尿を抑えるホルモン(抗利尿ホルモン)であるバソプレシンが、バソプレシンV2受容体に結合すると、尿中から血中への水の再吸収が促進されます。

この薬はその結合を抑えることで、水の再吸収を阻害し、水分のみを体外へ排出して、浮腫を改善させます。

【特徴】
他の利尿薬と違い、カリウムやナトリウムなどの電解質排泄を増やさず水分だけを排出させるのが特徴です。これにより低カリウム血症などの懸念が少ないです。

ループ利尿薬など、他の利尿薬で効果不十分な心不全や肝硬変による浮腫(体液貯留)の治療に用いられます。

また、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)や常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)といった病気にも使用されます。

【副作用】
利尿作用により血液が濃縮され、血液中のナトリウム濃度が過度に高くなる高ナトリウム血症に注意が必要です。

自覚症状としては、意識の低下、手足のふるえ、けいれんなどがあります。副作用にすぐに対処するため、初回投与は入院下で行うことになっています。

さいごに

利尿薬について、もっと知りたいことや、困っていることがあればコメントしてください!

これは役立つぞ!とか現場と違うんだけど…というコメントも大歓迎です。

今回の内容はレバウェル看護公式Instagramにてイラストで簡単に解説しています。投稿はコチラ

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プロデュース
看護師のかげ
看護師、イラストレーター。病棟で働きながら医療・看護に関するコンテンツをさまざまな媒体で発表している。 保健師、呼吸療法認定士、終末期ケア専門士。著書に「看護が苦手なかげさんのイラスト看護帖」(永岡書店)ほか。X:@877_727、Instagram:@877_727
この記事を書いた人
笹川大介(ササガワダイスケ)
薬剤師、株式会社ゆかりファーマシー取締役

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。

各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。

お読みいただきありがとうございました!
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コメント

  1. トリ

    1日のプロセミド上限は、どれくらいでしょうか
    医師の指示に従うことは理解しております。

    1. レバウェル看護編集部

      ご質問ありがとうございます。
      レバウェル看護お役立ち情報編集担当の看護師です。
      フロセミドの1日の上限量は、内服薬や注射剤によって異なります。
      詳細につきましては、該当製品の添付文書をご参照くださいますようお願いいたします。

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