
「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。
本記事は、アトピー性皮膚炎治療薬(塗り薬)についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹などの症状が皮膚にあらわれ、慢性的に良くなったり、悪くなったりを繰り返す病気です。
アトピー性皮膚炎の患者の皮膚では免疫の異常が起きています。免疫反応は刺激や異物から体を守るために欠かせない仕組みです。

アトピー性皮膚炎では、このアレルギー反応により免疫細胞から過剰にサイトカイン※が分泌されています。その結果、皮膚のかゆみや炎症が引き起こされます。
主に免疫に関わる細胞から分泌される物質で、細胞同士の情報を伝える役割を持ちます。免疫や炎症に強く関わっています。
アトピー性皮膚炎の薬物療法では、塗り薬による「外用療法」と飲み薬や注射薬などによる「全身療法」の2種類があります。患者さんの状態やライフスタイルに合わせて変わることはありますが、治療の基本は「外用療法」です。

それではアトピー性皮膚炎の塗り薬の使い分けをみていきましょう。
・クロベタゾールプロピオン酸エステル(商品名:デルモベート) など


・プレドニゾロン(商品名:プレドニゾロン)
【作用】
ステロイドが含有された塗り薬です。炎症を促す物質の産生を抑える抗炎症作用、炎症部位の血管を収縮させて、患部の赤みを鎮める血管収縮作用、免疫の働きを抑える免疫抑制作用などがあり、湿疹、痒み、赤みなどを和らげます。
【特徴】
ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎の治療薬として長い歴史があり、有効性や安全性に関しても多くの効果が報告されています。そのため、アトピー性皮膚炎の第一選択薬として使用されることが多いです。
患者の年齢、皮疹の種類・程度、皮疹の部位・範囲に応じて、適切なランクや剤形が選択されます。
ステロイド外用薬は、炎症を抑える強さから強い順にストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム(マイルド)、ウィークの5段階に分類されます。
剤型には以下の種類があります。
▼剤型の種類
| 軟膏 | 刺激が少なく、患部を保護する作用があります。カサカサした乾燥した患部、ジュクジュクした湿潤した患部にも広く使うことができます。ただし、べたつき感があります。 |
| クリーム | サラッと伸びがよく使用感がよいです。浸透性が高く、水で洗い流せることもメリットです。ただし、皮膚への刺激性があるため、ジュクジュクとした浸潤面には不向きです。 |
| ローション | 軟膏やクリームを使用しにくい頭髪部などに適しています。湿潤した患部には向いていません。若干の刺激があります。 |
【副作用】
ステロイド外用薬による副作用は、ランクの高いステロイド外用薬を大量かつ長期間使用すると起こりやすくなります。さらに、吸収率の高い顔面や陰部などに使用した際にも起こりやすいです。
以下に代表的な副作用を挙げます。
一般名:タクロリムス(商品名:プロトピック)

【作用】
カルシニューリンと呼ばれる酵素を阻害し、免疫細胞からのサイトカインの産生を抑制することで、アトピー性皮膚炎の症状を改善する薬です。
【特徴】
タクロリムス軟膏には成人用の0.1%製剤と小児用(2歳から15歳)の0.03%製剤の2種類があります。抗炎症作用はステロイド薬と比較して、0.1%製剤がストロングクラスと同等、0.03%製剤がミディアムクラスと同等とされています。
副作用などによりステロイド外用薬で治療困難なケースや、皮膚の薄い部分である顔面、頸部の皮疹に適しています。ステロイド外用薬での改善を図った後に、タクロリムス軟膏に移行して、ステロイド外用薬を減量することも行われます。
タクロリムス軟膏には1回あたりの塗布量の制限があります。また、びらん※や潰瘍面には使用できません。
【タクロリムス軟膏の年齢別1回塗布量の上限】
| 年齢(体重) | 塗布量の上限 | |
| タクロリムス軟膏0.1% | 16歳以上 | 1日2回塗布、1回5gまで |
| タクロリムス軟膏0.03%小児用 | 2歳~5歳 (20kg未満) |
1日2回塗布、1回1gまで |
| 6歳~12歳 (20kg以上50kg未満) |
1日2回塗布、 1回1~4gまで | |
| 13歳以上 (50kg以上) |
1日2回塗布、1回5gまで |
【副作用】
タクロリムス軟膏に特有な副作用として、塗った部位の一過性の刺激感、灼熱感などがあります。皮疹の改善に伴って消失することが多いです。
注意が必要なのは、皮膚感染症です。免疫抑制作用により、毛のう炎、皮膚真菌症などがあらわれる場合があります。
一般名:デルゴシチニブ(商品名:コレクチム)

【作用】
JAK(ヤヌスキナーゼ)という酵素の働きを阻害することで、サイトカインが過剰に産生されなくなり、正常な量に調節されることで、アトピー性皮膚炎の症状を改善する薬です。
【特徴】
デルゴシチニブ軟膏には0.5%製剤と0.25%製剤の2種類があり、成人(16歳以上)には0.5%製剤、小児(6ヵ月以上)には0.25%製剤を使用します。症状によっては小児にも0.5%製剤の使用が可能です。
抗炎症作用はステロイドと比較して、ミディアムクラスと同等かそれ以上とされています。
副作用は比較的少なく、ステロイド外用薬で問題となる毛細血管拡張や皮膚萎縮がありません。また、タクロリムス軟膏でみられる一過性の刺激感もほとんどないため、刺激感によってタクロリムス軟膏の導入が見送られた顔面や頚部の皮疹に使用できることがメリットです。
タクロリムス軟膏と同様に、1回あたりの塗布量の制限があります。
【デルゴシチニブ軟膏の1回塗布量の上限】
1日2回塗布、1回5gまで
【副作用】
塗布部位の毛包炎(おでき)、ざ瘡(ニキビ)などの皮膚感染症に注意が必要です。そのため、皮膚感染症部位には塗布しないようにしてください。
一般名:ジファミラスト(商品名:モイゼルト)

【作用】
PDE(ホスホジエステラーゼ)4という酵素を阻害して、細胞で炎症および抗炎症に関与するサイトカインの産生を制御することにより、アトピー性皮膚炎の症状を改善する薬です。
【特徴】
ジファミラスト軟膏には1%製剤と0.3%製剤の2種類があり、成人(15歳以上)には1%製剤、小児(3ヵ月~14歳)には0.3%製剤を1日2回塗布します。症状によっては、小児にも1%製剤の使用が可能です。
抗炎症作用はステロイドと比較して、ミディアムクラスと同等とされています。
デルゴシチニブ軟膏(JAK阻害薬)と同様に皮膚への刺激感がほとんどないため、最初から十分量塗ることが可能です。皮膚への透過性も良く、ステロイド外用薬と違い、体の部位による効果の差が小さいと言われています。
また、タクロリムス軟膏やデルゴシチニブ軟膏とは違って塗布量に上限がないため、広範囲な皮疹にも塗布できます。
安全性も高く、皮膚感染症などの副作用も少なく、ステロイド外用薬のような皮膚萎縮や毛細血管拡張の副作用もありません。
【副作用】
塗布部位に色素沈着、毛包炎(おでき)、膿痂疹(とびひ)、ざ瘡(にきび)、赤み 、刺激感 、腫れ、接触皮膚炎(かぶれ)といった副作用が起こることがあります。
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熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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