
「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。
本記事は、抗うつ薬についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
精神的なエネルギーが不足した状態で、強い落ち込みが長く続きます。何ごとにも興味が持てなくなり、むなしさを感じます。
睡眠障害や食欲低下などの身体症状も現れます。うつ病が重くなると、自分を責めて、自殺を図る危険もあります。
そのため、早期発見をして適切な治療を受けることが重要です。
「うつ病・うつ状態」が起きるメカニズムは未だ解明されていませんが、
脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることが関係しているのではないかと考えられています。
脳内では、セロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が、神経
細胞から出て別の神経細胞の表面にある受容体にくっつくことで情報を伝達していますが、その後またもとの神経細胞に取り込まれます(再取り込み)。
うつ病のさまざまな症状は、脳の中で気分や意欲に関わる働きをするセロトニンやノルアドレナリンが減ってしまうことで起こると考えられています。うつ病の人では、放出される神経伝達物質が少なくなっており、再取り込みをされることでますます少なくなるからです。

かつては三環系抗うつ薬と呼ばれる種類の薬が使用されていましたが、副作用の問題などから、現在では新規抗うつ薬と呼ばれるSSRI、SNRI、NaSSA(ナッサ)が第一選択薬として使用されています。
抗うつ薬は、一般的に少量から始めて徐々に増やしていきます。これは、治療に最適な服用量になるように調節したり、副作用を軽減したりするためです。抗うつ薬は飲み始めてから効果があらわれるまでに2〜4週間ほどかかります。

それでは、これらの新規抗うつ薬の使い分けを、新薬であるS-RIMも含めて具体的にみていきましょう。

【作用】
神経細胞へのセロトニンの再取り込みを防ぐことで、セロトニンを増やして、うつ病の症状を改善する薬です。
【特徴】
脳内でセロトニンは、主に精神の安定に関与しています。そのため、SSRIは特に不安や落ち込みが目立つ場合によく処方されます。
薬によっては、不安と関係する病気であるパニック障害や社会不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに使用される場合もあります。
【副作用】
薬の飲み始めに、食欲不振や吐き気、腹痛、下痢などの消化器系の副作用があらわれることがあります。
また、離脱症候群に注意が必要です。1ヵ月以上薬を服用した後に、突然中止、または急に減量したときに生じる症状です。不眠、嘔気・嘔吐、焦燥、頭痛などが起こります。特にパロキセチンで生じやすいとされています。

【作用】
神経細胞へのセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを防ぐことで、セロトニンとノルアドレナリンを増やして、うつ病の症状を改善する薬です。
【特徴】
脳内でノルアドレナリンは、主に意欲上昇に関与しています。SNRIはセロトニンおよびノルアドレナリン両方の働きを強めるため、SSRIの効果に意欲向上が加わります。そのため、SNRIは意欲低下が目立つ場合によく処方されます。
またSNRIのデュロキセチンは痛みに対しても適応があるため、痛みを伴ううつ病には第一選択となりうる薬です。
3か月以上続く痛みを慢性疼痛と呼びます。慢性疼痛を持つ患者さんには、抑うつ症状が多く見られます。また、抑うつ症状が痛みを引き起こし、痛みが慢性化する場合があることも分かっています。
【副作用】
飲み始めに吐き気やめまいといった副作用が出ることがあります。
一般名:ミルタザピン(商品名:リフレックス・レメロン)

【作用】
神経細胞からのセロトニンやノルアドレナリンの放出を促進して、ノルアドレナリン・セロトニンを増やすことで、うつ病の症状を改善する薬です。
【特徴】
SSRI、SNRIと比較して、効果発現が早く、強力な抗うつ作用があります。
食欲を増進させる作用があり、吐き気などの胃腸障害が少ないのが特徴です。また、眠気が強く出るため、食欲低下や不眠が目立つ場合によく処方されます。高齢者のうつ病は食欲低下や不眠が強いため、この薬が選択されるケースが多いです。
【副作用】
眠くなる、口が渇く、体がだるくなる、体重が増えるなどの症状があらわれることがあります。
一般名:ボルチオキセチン(商品名:トリンテリックス)
【作用】
セロトニンの再取り込みを阻害する作用と、セロトニンの受容体を調節する作用により、セロトニンのみならず、ノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンなどの放出を促進して、うつ病の症状を改善する薬です。
【特徴】
現段階(2025年4月)で日本で一番新しく発売された抗うつ薬です。セロトニン、ノルアドレナリン以外の神経伝達物質にも関与することで、幅広い抗うつ効果が期待されます。脳卒中、認知症におけるうつ状態への効果も期待されます。
また、ほかの抗うつ薬で問題となる離脱症候群や性機能障害といった副作用が少ないことも特徴の1つです。
ボルチオキセチンは海外の臨床試験において、うつ病における認知機能障害(集中力・思考力の低下など)の改善効果も認められています。
【副作用】
吐き気や眠気などが生じることがあります。吐き気以外の副作用は他剤よりも少ないです。
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熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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