狭心症の治療で使用する「硝酸薬」「Kチャネル開口薬」の使い分けを解説!

「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。

本記事は、狭心症治療薬についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
笹川大介(ササガワダイスケ)
薬剤師、株式会社ゆかりファーマシー取締役

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。

各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。

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狭心症とは

狭心症は、心臓の筋肉(心筋)に酸素と栄養を供給する冠動脈が狭くなり、十分な血液が流れなくなって胸の痛みや胸の圧迫感などの発作を起こす病気です。

症状が進行して冠動脈が完全に詰まった状態が心筋梗塞です。狭心症と心筋梗塞をまとめて、虚血性心疾患と呼びます。

冠動脈に十分な血液が流れなくなるのは、動脈硬化により冠動脈が狭くなったり、詰まったりするためです。

冠動脈の状態によって、狭心症は以下いくつかの種類に分けられます。

労作性狭心症(安定狭心症)

プラーク※により血管が狭くなり血流が悪い状態です。運動などによって、心筋に多くの酸素・栄養が必要になったときに発作を起こします。

※プラーク
血管の内側に血液中のコレステロールなどがたまってできる動脈硬化巣のこと。

冠攣縮性狭心症

血管が一時的にけいれんして狭まり、血流が悪化した状態です。就寝中や早朝の安静時に発作が起こります。

不安定狭心症

完全には詰まっていないものの、冠動脈の狭くなった部位にプラークがあって血管内が詰まる危険性が高く、心筋梗塞に移行しやすい状態です。不安定狭心症と急性心筋梗塞を、合わせて急性冠症候群といいます。

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狭心症の治療薬の使い分けについて

狭心症の薬物治療では主に硝酸薬、Ca拮抗薬、β遮断薬を使うのが一般的です。狭心症のタイプによって使い分けます。

Ca拮抗薬は冠攣縮予防に極めて有効であり、冠攣縮性狭心症の第一選択薬として使用されます。

β遮断薬は心拍数と心収縮力を低下させて、心筋の酸素需要を低下させます。労作性狭心症(安定狭心症)や急性心筋梗塞に有用です。

ただし冠攣縮性狭心症では冠動脈の痙攣を悪化させるため、単独投与は避けます(Ca拮抗薬との併用は可)。

今回は、狭心症の治療薬として使用される硝酸薬と、似た作用を持つKチャネル開口薬の使い分けを詳しくみていきましょう。

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狭心症治療で主に使用される薬

分類名:硝酸薬

  • 一般名:ニトログリセリン(商品名:ミリスロール注、ニトロペン舌下錠、ミオコールスプレー、ミリステープ、ニトロダームTTS<パッチ>)
  • 一般名:硝酸イソソルビド(商品名:ニトロール注、ニトロール錠、ニトロールRカプセル、フランドル錠、フランドルテープ)
  • 一般名:一硝酸イソソルビド(商品名:アイトロール)
     

【作用】
体内で分解されて、一酸化窒素(NO)を放出します。それにより冠動脈を広げて血液の流れをよくすることで、心臓への酸素の供給を増やします。また、全身の血管の抵抗を減らすことで心臓の負担を軽減します。

【特徴】
舌下錠、スプレー、内服薬、貼付薬、注射薬といったさまざまな剤形があります。予防的に使う薬と発作時に使う薬があります。

注射剤は、静注により速やかに効果を発揮します。不安定狭心症や心不全などの重症例に対して院内で用いられます。

一方で内服薬や貼付剤は持続性があり、発作を予防するため定期的に使用します。

内服薬、貼付剤は冠攣縮狭心症において、発作の予防として有効です。しかし、継続的な使用で効果が減弱する耐性が起こるため、第一選択薬であるCa拮抗薬でもコントロールできない場合に追加して使います。

耐性に関しては、休薬期間を設けることで生じにくいとされています。

狭心症の発作(胸痛、胸部圧迫感、胸部絞扼感)に対しては、ニトログリセリン錠の舌下投与またはスプレータイプを口腔内に噴霧します。労作性狭心症と冠攣縮性狭心症のどちらの発作にも有効です。

ニトログリセリンの舌下錠やスプレーは吸収が速く、速効性があります。携帯しておき、狭心症の発作時に患者自身で使用します。

労作性狭心症や心筋梗塞の二次予防においては、β遮断薬の投与が優先され、硝酸薬は胸痛などの症状を和らげるため補助的に用いられます。

硝酸薬は狭心症発作の寛解と予防には効果的ですが、予後改善(延命)効果は明らかにされていません。

【副作用】
血管を拡張させることから、血圧が下がります。血圧低下によるふらつきや転倒に注意が必要です。

飲み始めに頭痛が起こることがありますが、次第に慣れてくることが多いです。投与初期の頭痛には鎮痛薬を併用することもあります。

【禁忌】
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤、グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤とは併用禁忌です。

前者は前立腺肥大症や肺動脈性肺高血圧症、勃起不全、後者は慢性血栓塞栓性肺高血圧症や肺動脈性肺高血圧症で使用される薬です。

禁忌なのは、硝酸薬と併用することで過度の血圧低下が生じる危険性があるためです。

また、閉塞隅角緑内障と呼ばれるタイプの緑内障では、眼圧を上昇させるおそれがあることから禁忌となっています。

分類名:Kチャネル開口薬

一般名:ニコランジル(商品名:シグマート)

【作用】
一酸化窒素(NO)を発生させたり、カリウムチャネルを開いたりすることで、冠動脈などの血管を拡張して血流量を増加し、血管の痙攣を抑えて胸痛などの狭心症の症状を改善する薬です。

【特徴】
硝酸薬と同様に、一酸化窒素(NO)による血管拡張作用があります。それに加えて、カリウム(K)チャネルを開くことによる血管拡張作用も持ち合わせています。この薬は、心筋虚血の改善効果に加え、心筋保護作用があります。

Kチャネル開口薬は、血管の痙攣を抑える作用があることから、冠攣縮性狭心症の治療においてCa拮抗薬で症状のコントロールが不十分なときに併用することで効果が期待できます。

硝酸薬で問題となる耐性も生じにくいです。また、血圧、心拍数、心機能に対する影響が少ないため、低血圧や徐脈がある場合でも投与可能です。

労作性狭心症の場合は、β遮断薬にCa拮抗薬、硝酸薬を組み合わせても治療の効果が見られない場合に、Kチャネル開口薬の併用を行います。

Kチャネル開口薬は、心筋梗塞の二次予防の有効性も示されています。

【副作用】
硝酸薬と同様に頭痛の副作用があります。ただし、硝酸薬と比較して、血圧低下の副作用は少ないです。

重大な副作用に口内潰瘍、舌潰瘍、肛門潰瘍、消化管潰瘍があります。

【禁忌】
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤、グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤とは併用禁忌です。

狭心症に使われる、硝酸薬とKチャネル開口薬の比較まとめ

分類名作用使い分け副作用
硝酸薬一酸化窒素(NO)を放出することで、冠動脈を拡げて血流を改善させ心臓の負担を軽くする・舌下錠やスプレー:発作時に使用
・内服薬や貼付薬:発作予防のために使用
・労作性狭心症と冠攣縮性狭心症のどちらの発作にも有効
・血圧低下によるふらつきや転倒
・頭痛
Kチャネル開口薬一酸化窒素(NO)を発生させたり、カリウムチャネルを開いたりすることで、冠動脈などの血管を拡張して、狭心症の症状を改善する・冠攣縮性狭心症の治療にて、Ca拮抗薬で症状のコントロールが不十分なときに併用。
・低血圧や徐脈がある場合でも投与可能。
・頭痛
・口内潰瘍、舌潰瘍、肛門潰瘍、消化管潰瘍

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さいごに

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プロデュース
看護師のかげ
看護師、イラストレーター。病棟で働きながら医療・看護に関するコンテンツをさまざまな媒体で発表している。 保健師、呼吸療法認定士、終末期ケア専門士。著書に「看護が苦手なかげさんのイラスト看護帖」(永岡書店)ほか。X:@877_727、Instagram:@877_727

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薬剤師、株式会社ゆかりファーマシー取締役

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。

各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。

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