
導尿は何らかの原因により排尿できなくなった患者さんに対する医療行為です。
診療科を問わず必要な看護技術の1つであり、導尿の観察項目やリスクを知ったうえで実施しなければなりません。
ただし、導尿について不安や悩みを感じている看護師は多いはず。
導尿の手順や観察項目、自己導尿の方法を詳しく解説します。この記事が、導尿の看護について悩むあなたの悩みを解決できるきっかけになれれば幸いです。

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている
X(Twitter):@shota_papa37
導尿とは「自力で排尿できない場合に外尿道口から膀胱に無菌的にカテーテルを挿入し尿を排泄させる方法」のことです。ここでは、導尿の目的や種類について解説します。
導尿の主な目的は、神経因性膀胱や前立腺肥大などが原因で出なくなった尿を、カテーテル挿入により排泄させることです。ほかにも、導尿には以下の目的があります。
尿が出ない原因は2つあり、1つは腎臓で尿が作られ膀胱まで運ばれるものの排尿できない状態であり、この場合は導尿で対応します。もう1つは、腎機能が低下し尿自体が作られなくなる状態であり、この場合は導尿ではなく透析を検討します。
導尿には「持続的導尿」と「間欠的導尿」の2種類があります。それぞれについて詳しく解説します。
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持続的導尿は「膀胱留置カテーテルを留置したままで尿を出す方法」です。対象は以下のとおりです。
術後の全身管理や心不全を発症している際は、尿量の変化や身体の水分量の変化をチェックするために膀胱留置カテーテルを留置したままとします。

術後や検査後に安静が必要でトイレに行けない場合でも、安静が解除されるまで必要です。ただし、男性は尿器で対応するケースもあります。
膀胱留置カテーテルを抜去した後、排尿が確認できない場合があるため注意してください。腹部の状態を観察し、尿閉が疑われた際に間欠的導尿を実施することもあります。
ブラッダースキャンで残尿を確認すると、より正確な情報が得られるでしょう。
間欠的導尿とは「医師の指示で決められた時間ごとに、その都度カテーテルを挿入し尿を出す方法」です。
導尿というと間欠的導尿をイメージする方が多いでしょう。
尿閉や排尿困難がある場合や、排尿した後も膀胱内に多量の残尿がある場合が、間欠的導尿の適応です。
導尿は陰部を出すことによる恥ずかしさを感じるケアであるため、患者さんに配慮して実施することが大切です。大部屋の場合は必ずカーテンを閉め、個室の場合でも処置中には誰も入らないように配慮してください。

導尿を実施する手順とコツは以下のとおりです。
| 手順 | コツ | |
| ① | 患者さんに声かけして同意を得る | わからないことや不安なことがないか確認 |
| ② | 必要物品を準備する: ネラトンカテーテル(12~14Fr)、潤滑剤、消毒、滅菌手袋、鑷子、処置用のシーツ、ビニール袋、尿器、エプロン | 処置中は清潔操作となるため過不足なく準備 |
| ③ | 手指衛生を行い防護具を装着する | 尿が飛び散る可能性があるため防護具を着用する |
| ④ | ベッドの高さと患者さんの体位を調整する | ・処置しやすいようにベッドの高さを調整 ・患者さんの足を広げて陰部がよく見えるように体位を調整 |
| ⑤ | ズボンや下着を脱いでもらう | 羞恥心に配慮する |
| ⑥ | 滅菌手袋を装着し陰部を消毒する | ・陰部に汚れがある場合は消毒の前に汚れを拭きとる ・利き手は清潔のまま ・利き手でないほうの手で陰部にふれる (男性の場合) 利き手ではないほうの手で陰茎を持ち亀頭部を露出させ、中心から外に円を描くように消毒 (女性の場合) 利き手ではないほうの手で小陰唇を開き、上から下に消毒 |
| ⑦ | カテーテルを挿入する | ・利き手でカテーテルを挿入 ・利き手が不潔にならないように注意 ・カテーテルは鑷子を使って挿入、もしくは鑷子を使わずに直接手でカテーテルを挿入 (男性の場合) ・コツは陰茎をしっかり把持して、立たせるようにして挿入 ・一般的な挿入の長さは20cm程度です。ただし、前立腺の肥大が疑われ入らない場合があるため、無理に挿入せず泌尿器科医に依頼 (女性の場合) ・4〜6cm挿入(ネラトンカテーテルには目盛りがついているため、挿入する前に尿道に入れる長さを確認) ・尿道口と膣の区別がつかない場合があるため注意 |
| ⑧ | カテーテルを挿入したら、カテーテルの末端を尿器に入れる | ・逆行性感染を予防するために、カテーテルが尿器に触れないようにすることがコツ ・患者さんが腹圧をかけられない場合は、看護師が恥骨上部を軽く圧迫 |
| ⑨ | 尿の流出がなくなったらカテーテルを抜く | ・尿が飛び散らないように注意 ・尿の混濁・尿臭・浮遊物の有無を観察 |
| ⑩ | 患者さんの姿勢や病衣を整え、物品を片付ける | 陰部が露出した時間をなるべく短くするために、片付けよりも先に患者さんの状況を整える |
導尿にはネラトンカテーテルを使用します。
吸引チューブと間違える方もいますが、ネラトンカテーテルは先端が丸くなっているため尿道口を損傷しにくいです。ネラトンカテーテルについて詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
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ネラトンカテーテルの種類の違いと使い分けが知りたい
患者さんに導尿をするときに注意する看護ポイント
導尿のリスクは主に以下2つです。
それぞれの観察項目について解説します。
尿路感染症とは「尿路で発生した感染症のこと」です。
通常、尿が膀胱から身体の外へと排出されるまでに、感染症を起こす細菌はほとんどありません。そのため、導尿は清潔操作で実施することが重要です。
導尿を行うことにより細菌が入り感染症を起こす恐れがあるため、以下の観察項目に沿って患者さんを注意深く観察しましょう。
尿路感染症を起こすと、淡黄色の尿が濁ったり、ツーンとするニオイを発したりします。
尿路感染を予防するために、排尿バッグは床に付けないように、また膀胱よりも低い位置に置いてください。
というのも、床に付くと排尿バックが不潔となりやすく、膀胱よりも高い位置にあると尿が流れにくくなったり、一度出た尿が身体の中に戻る恐れがあるためです。

さらに、不必要な留置は避けて早期の抜去を検討したり、長期留置している場合は医師に確認してカテーテルを入れ替えたりしましょう。
尿管や膀胱損傷による出血の具体的な観察項目は、以下のとおりです。
前立腺肥大がある患者さんはカテーテルを進めにくいため、無理に押し込まないことが大切です。脳神経外科や心臓血管外科、循環器内科の患者さんは、抗血小板薬や抗凝固薬を飲んでいる場合が多く出血しやすいため注意してください。上記の症状が現れた際にはすぐに医師に報告しましょう。
排尿障害の改善がみられない場合は、自宅で患者さん自身が導尿しなければなりません。これを自己導尿といいます。自己導尿では尿路感染症や上部尿路障害を予防することが大切です。

以下の症状が現れた際は尿路感染症や尿管損傷を起こしている恐れがあるため、すぐに知らせるように指導しましょう。
男性の自己導尿では、陰茎をしっかり上方に向けて把持し、患者さん自身で尿道口を確認できるように指導します。女性の場合は、尿道口と膣が区別しにくいため、まずは尿道口の確認から指導してください。
手技に慣れるまでは鏡を見ながら挿入したり、看護師が繰り返しチェックしたりすることもあります。
使用したカテーテルは再利用せずに捨てる方が望ましいです。
再利用する場合には、使用後はカテーテルを十分に洗浄し保存液が入ったケースに入れます。ケースを洗ったり、保存液の使用法に従って保存液を交換したりすることも忘れないでください。
退院するまでに、自宅で患者さん自身でできるように指導しましょう。
ここでは、導尿の看護計画の一例を紹介します。脊髄損傷による神経因性膀胱で持続的導尿が始まった患者さんの看護計画です。
| (看護問題)感染リスク状態 |
| (看護目標)感染症を起こさない |
| 観察計画(OP) ・排尿の量、性状 ・血尿の有無 ・排尿痛、残尿感、腹部膨満感などの状態 ・バイタルサイン ・採血結果 ・水分摂取量、食事内容 ・ストレス、発汗 ・年齢 ・前立腺肥大の既往 ・不安や不眠の有無 |
| 援助計画(TP) ・排尿バックの位置を確認する ・陰部を清潔に保つ ・ナースコールを手元に置く ・水分を摂取を促す |
| 教育計画(EP) ・膀胱留置カテーテルを留置する必要性を説明する ・感染症を起こす可能性を説明する ・膀胱留置カテーテルを引っ張られないように注意したり、バッグをベッドより下に、かつ床につけないように説明する |
導尿は臨床の場でよく行う基本的な看護技術です。
感染対策を怠ると尿路感染症を起こしたり、手技が未熟であると尿管損傷をきたす恐れがあります。
ただし、導尿のスキルばかり注目してはいけません。導尿は患者さんにとって恥ずかしさを感じる看護技術です。
本記事で紹介した導尿の手順やコツなどを踏まえたうえで、患者さんの心配や不安な気持ちに寄り添ってケアを実施しましょう。

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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