スタンダードプリコーション!感染予防対策の基本と手順

スタンダードプリコーションは、医療機関において感染を予防するための一般的な考え方です。感染源や感染経路に合わせた感染予防対策が必要となります。スタンダードプリコーションのポイントを理解することは、自分自身への感染を予防することにもなります。

この記事では、スタンダードプリコーションの一般的な考え方から目的、手順を解説します。感染経路に合わせた具体的な感染予防策も解説していますので、参考にしてください。

この記事を書いた人
平野 芹奈
看護師
看護師資格、日本救急医学会認定ICLS取得。 急性期病院にて、脳神経外科、脳神経内科、血液内科の病棟看護師として勤務。その後、トラベルナースや派遣看護師、正社員などの働き方を選択し、脳神経外科専門病院・CRC、保育園看護師、コールセンター管理職を経験してきました。 現在は、Webライター、美容医療系のSNS運用代行を行っています。
※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

スタンダードプリコーション(感染予防対策)とは

厚生労働省により、スタンダードプリコーションとは「感染対策の基本として、すべての血液、体液、分泌物(喀痰等)、嘔吐物、排泄物、創傷皮膚、粘膜等は感染源となり、感染する危険性があるものとして取り扱うという考え方」と示されています。

スタンダードプリコーションは「標準予防対策」と呼ばれ、すべての患者さんが対象です。感染経路に合わせた、感染予防策が求められます。

出典:
厚生労働省 感染対策の基礎知識

スタンダードプリコーションの目的

スタンダードプリコーションの目的は、以下の4つです。

  1. 患者間における医療従事者を介した感染を防止する
  2. 医療従事者自身の感染を防ぐ
  3. 院内感染、集団感染を防ぐ
  4. 血液および体液による曝露を予防する

感染源と予防策

感染症の原因となる細菌やウイルスを感染源といいます。感染源になりうるものと、それらを取り扱う際に取るべき予防策を把握しておきましょう。

感染源になりうる細菌やウイルスを取り扱う際の予防法
感染源になりうるもの予防策
血液、体液、排泄物を処理するとき手袋を着用する
血液、体液、排泄物が飛び散る処置をするとき手袋・マスク・エプロン・ゴーグルを着用する
感染性廃棄物を取り扱うとき手袋を着用する
針刺し予防リキャップせずに、針捨てボックスへ破棄する
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スタンダードプリコーションの基本

スタンダードプリコーションの基本は、手指衛生・個人防護具(PPE)・咳エチケットです。基本的な感染予防策と血液・体液汚染時の対応方法を解説します。

手指衛生

手指衛生には、手洗いと手指消毒が含まれます。手指は、細菌やウイルスに汚染されやすい感染経路です。

【手指衛生の種類と方法、必要となる状況】

種類方法必要となる状況
手洗い流水と石鹸目に見える汚れがある場合
粘液物に触れたあと・手袋を外したあと
(オムツ交換・採血・処置後など)
手指消毒アルコール擦式手指消毒剤目に見える汚れがない場合
患者さんや物品に触れたあと
(体位交換後・バイタルサイン測定後・パソコン操作後・食事配膳後など)

【手指消毒のタイミング】

  1. 患者さんに触れる前後
  2. 清潔・無菌操作の前
  3. 血液や体液に曝露するリスクのある処置を行った後
  4. 手袋を外した後
  5. 患者さんの周辺にある物品に触れた後

【手指衛生のポイント】

  • 1つのケアに対して、1回の手指衛生を徹底する
  • 親指や指の間、爪、手首は、洗い残しが多い箇所であることを意識する
  • 手洗いは、30~60秒程度の時間をかけ洗い流す
  • アルコール擦式手指消毒剤は、15~30秒程度擦り込む
  • 水分やアルコール擦式手指消毒剤は、十分に乾燥させる

個人防護具(PPE:personal protective equipment)

個人防護具は、湿性生体物質(血液や体液、分泌物、傷のある皮膚、粘膜、嘔吐物、排泄物など)から医療従事者を守るために必要となります。状況に合わせた個人防護用具の選択と正しい手順での着脱が大切です。各防護具の目的と着用のポイントを解説します。

個人防衛具(PPE)の説明

【個人防護具の着脱手順】
個人防護具は、着用時と脱衣時で順番が異なります。
着用時:ガウン・エプロン→マスク→ゴーグル・フェイスシールド→手袋
着脱時:手袋→ゴーグル・フェイスシールド→ガウン・エプロン→マスク

ガウンまたはエプロン

ガウンやエプロンは、湿性生体物質が身体と衣服に付着するのを防止する目的があります。ガウンは手首を覆うように着用し、脱衣時は汚染した外側に触れないよう中表に丸めることがポイントです。

キャップ

キャップは、湿性生体物質が頭髪へ付着することや毛髪の落下を防止する目的があります。着用時は、髪の毛がキャップから出ないように気をつけましょう。

サージカルマスクまたはN95マスク

鼻や口からの感染を防止するために基本となるのがマスクの目的です。自分に合ったサイズを選択し、ヒダが下向きになるようにすることがポイントとなります。着用時は隙間がないことを確認し、着脱時は外側に触れないようゴム紐を持ち破棄することが大切です。

ゴーグルまたはフェイスシールド

ゴーグルやフェイスシールドは、目や鼻・口からの感染を防止するために必要です。マスク着用後にゴーグルまたはフェイスシールドを着用します。

手袋

手袋は、手指からの接触感染を予防するために着用します。個人防護具の中で最後に着用することで、清潔な手袋のまま処置が可能です。手袋の着用前後は手指消毒が必要になり、外すときは外側の汚染されている面に触れないようにしましょう。

シューズカバー

シューズカバーは、湿性生体物質で靴が汚染される可能性がある場合に着用します。

咳エチケット

咳エチケットとは、細菌やウイルスによる感染症をほかの人へ移さないための予防策です。以下が、咳エチケットの基本となります。

  • マスクの着用
  • ハンカチやティッシュで口と鼻を覆う
  • こまめに手洗いやうがいをする

咳やくしゃみの飛沫は1~2m飛ぶため、口や鼻を抑えることが大切です。こまめな手洗いやうがいは、手についたウイルスの拡大を防止するために効果的な方法になります。

血液・体液汚染時の対応

看護師は、血液や体液の曝露からの職業感染を予防することが大切です。HIVやHCV、HBV、梅毒トレポネーマなどが職業感染にあたります。曝露の可能性が考えられる場合は速やかな処置が求められ、感染を防止するための効果的な対応策が必要です。

血液や体液が皮膚や傷口に付着した場合は、石鹸を使用し流水で洗いましょう。粘膜に付いた場合も流水でよく洗浄します。考えられる感染症に応じた服薬が必要です。

感染経路の種類に合わせた感染予防策

基本のスタンダードプリコーションのほかに感染経路に合わせた予防が大切です。感染経路と予防策を解説します。

感染経路の種類に合わせた感染予防法について

空気感染の予防策

空気感染は、飛沫核が5μm以下の粒子であり空気中に浮遊している飛沫による感染を示します。麻疹や水痘、結核などの患者さんが対象です。陰圧室での管理を行い、入室する際はN95マスクを着用します。

【N95マスク着用のポイント】

  • 顔にフィットしているかを確認する
  • 鼻や顎から空気が漏れていないかを確認する
  • 定期的にサイズが合っているかフィットテストを行う

飛沫感染の予防策

飛沫感染は、5μmより大きい粒子の飛沫による感染を示します。インフルエンザやマイコプラズマ肺炎などが対象です。患者さんは、個室での管理または1m以上離して集団隔離を行います。

【飛沫感染の看護と集団隔離/コホーティング※】
患者さんへ近づくときには、サージカルマスクを着用しましょう。コホーティングを行うことで感染拡大を防ぐことができます。

※コホーティング:感染者と非感染者で分け担当する看護師を決めること

接触感染の予防策

接触感染とは、皮膚や粘膜の直接的接触や医療従事者の手や医療器具を介した間接的接触、そのほか手すりやタオルなどの物品を介しての間接的接触により、病原体が付着して感染することです。

多剤耐性菌による感染やRSウイルス、蜂窩織炎やウイルス出血熱など多様な感染症が対象となります。個室での管理が原則ですが、個室管理が困難な場合は集団隔離やコホーティングが大切です。

【接触感染予防のポイント】

  • 入室時は、ディスポーザブル手袋を着用する
  • 接触したあとは、毎回ディスポーザブル手袋を交換する
  • 退室時は、ディスポーザブル手袋を外したあとに手指衛生を徹底する

スタンダードプリコーションにおける看護

すべての患者さんに適応となり、看護師の基本であるスタンダードプリコーション。
この章では、スタンダードプリコーションにおける看護のポイントを解説します。

感染予防対策に必要な情報収集

適切な感染予防策を選択するために、以下の情報を収集することが大切です。

  • 年齢
  • バイタルサイン
  • 全身状態
  • 既往歴
  • 細菌検査の結果
  • 血液検査の結果
  • 渡航歴
  • 動物との接触歴
  • 接触した方の感染症の有無
感染予防対策に必要な情報収集をしている看護師

感染予防対策における看護

感染予防策は、スタンダードプリコーション(標準予防策)の手指衛生・PPE・咳エチケット以外にも環境の整備やリネンの取り扱い、医療器材の取り扱いなどがあります。どれも、看護師にとって大切な知識です。

スタンダードプリコーションの目的や手順を把握し、適応となる状況に合わせた感染予防を選択していくことが求められます。担当する患者さんや部署で必要となる知識や技術を学んでいきましょう。

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