
スタンダードプリコーションは、医療機関において感染を予防するための一般的な考え方です。感染源や感染経路に合わせた感染予防対策が必要となります。スタンダードプリコーションのポイントを理解することは、自分自身への感染を予防することにもなります。
この記事では、スタンダードプリコーションの一般的な考え方から目的、手順を解説します。感染経路に合わせた具体的な感染予防策も解説していますので、参考にしてください。

厚生労働省により、スタンダードプリコーションとは「感染対策の基本として、すべての血液、体液、分泌物(喀痰等)、嘔吐物、排泄物、創傷皮膚、粘膜等は感染源となり、感染する危険性があるものとして取り扱うという考え方」と示されています。
スタンダードプリコーションは「標準予防対策」と呼ばれ、すべての患者さんが対象です。感染経路に合わせた、感染予防策が求められます。
スタンダードプリコーションの目的は、以下の4つです。
感染症の原因となる細菌やウイルスを感染源といいます。感染源になりうるものと、それらを取り扱う際に取るべき予防策を把握しておきましょう。

| 感染源になりうるもの | 予防策 |
| 血液、体液、排泄物を処理するとき | 手袋を着用する |
| 血液、体液、排泄物が飛び散る処置をするとき | 手袋・マスク・エプロン・ゴーグルを着用する |
| 感染性廃棄物を取り扱うとき | 手袋を着用する |
| 針刺し予防 | リキャップせずに、針捨てボックスへ破棄する |
スタンダードプリコーションの基本は、手指衛生・個人防護具(PPE)・咳エチケットです。基本的な感染予防策と血液・体液汚染時の対応方法を解説します。
手指衛生には、手洗いと手指消毒が含まれます。手指は、細菌やウイルスに汚染されやすい感染経路です。
【手指衛生の種類と方法、必要となる状況】
| 種類 | 方法 | 必要となる状況 |
| 手洗い | 流水と石鹸 | 目に見える汚れがある場合 粘液物に触れたあと・手袋を外したあと (オムツ交換・採血・処置後など) |
| 手指消毒 | アルコール擦式手指消毒剤 | 目に見える汚れがない場合 患者さんや物品に触れたあと (体位交換後・バイタルサイン測定後・パソコン操作後・食事配膳後など) |
【手指消毒のタイミング】
【手指衛生のポイント】
個人防護具は、湿性生体物質(血液や体液、分泌物、傷のある皮膚、粘膜、嘔吐物、排泄物など)から医療従事者を守るために必要となります。状況に合わせた個人防護用具の選択と正しい手順での着脱が大切です。各防護具の目的と着用のポイントを解説します。

【個人防護具の着脱手順】
個人防護具は、着用時と脱衣時で順番が異なります。
着用時:ガウン・エプロン→マスク→ゴーグル・フェイスシールド→手袋
着脱時:手袋→ゴーグル・フェイスシールド→ガウン・エプロン→マスク
ガウンやエプロンは、湿性生体物質が身体と衣服に付着するのを防止する目的があります。ガウンは手首を覆うように着用し、脱衣時は汚染した外側に触れないよう中表に丸めることがポイントです。
キャップは、湿性生体物質が頭髪へ付着することや毛髪の落下を防止する目的があります。着用時は、髪の毛がキャップから出ないように気をつけましょう。
鼻や口からの感染を防止するために基本となるのがマスクの目的です。自分に合ったサイズを選択し、ヒダが下向きになるようにすることがポイントとなります。着用時は隙間がないことを確認し、着脱時は外側に触れないようゴム紐を持ち破棄することが大切です。
ゴーグルやフェイスシールドは、目や鼻・口からの感染を防止するために必要です。マスク着用後にゴーグルまたはフェイスシールドを着用します。
手袋は、手指からの接触感染を予防するために着用します。個人防護具の中で最後に着用することで、清潔な手袋のまま処置が可能です。手袋の着用前後は手指消毒が必要になり、外すときは外側の汚染されている面に触れないようにしましょう。
シューズカバーは、湿性生体物質で靴が汚染される可能性がある場合に着用します。
咳エチケットとは、細菌やウイルスによる感染症をほかの人へ移さないための予防策です。以下が、咳エチケットの基本となります。
咳やくしゃみの飛沫は1~2m飛ぶため、口や鼻を抑えることが大切です。こまめな手洗いやうがいは、手についたウイルスの拡大を防止するために効果的な方法になります。
看護師は、血液や体液の曝露からの職業感染を予防することが大切です。HIVやHCV、HBV、梅毒トレポネーマなどが職業感染にあたります。曝露の可能性が考えられる場合は速やかな処置が求められ、感染を防止するための効果的な対応策が必要です。
血液や体液が皮膚や傷口に付着した場合は、石鹸を使用し流水で洗いましょう。粘膜に付いた場合も流水でよく洗浄します。考えられる感染症に応じた服薬が必要です。
基本のスタンダードプリコーションのほかに感染経路に合わせた予防が大切です。感染経路と予防策を解説します。

空気感染は、飛沫核が5μm以下の粒子であり空気中に浮遊している飛沫による感染を示します。麻疹や水痘、結核などの患者さんが対象です。陰圧室での管理を行い、入室する際はN95マスクを着用します。
【N95マスク着用のポイント】
飛沫感染は、5μmより大きい粒子の飛沫による感染を示します。インフルエンザやマイコプラズマ肺炎などが対象です。患者さんは、個室での管理または1m以上離して集団隔離を行います。
【飛沫感染の看護と集団隔離/コホーティング※】
患者さんへ近づくときには、サージカルマスクを着用しましょう。コホーティングを行うことで感染拡大を防ぐことができます。
※コホーティング:感染者と非感染者で分け担当する看護師を決めること
接触感染とは、皮膚や粘膜の直接的接触や医療従事者の手や医療器具を介した間接的接触、そのほか手すりやタオルなどの物品を介しての間接的接触により、病原体が付着して感染することです。
多剤耐性菌による感染やRSウイルス、蜂窩織炎やウイルス出血熱など多様な感染症が対象となります。個室での管理が原則ですが、個室管理が困難な場合は集団隔離やコホーティングが大切です。
【接触感染予防のポイント】
すべての患者さんに適応となり、看護師の基本であるスタンダードプリコーション。
この章では、スタンダードプリコーションにおける看護のポイントを解説します。
適切な感染予防策を選択するために、以下の情報を収集することが大切です。

感染予防策は、スタンダードプリコーション(標準予防策)の手指衛生・PPE・咳エチケット以外にも環境の整備やリネンの取り扱い、医療器材の取り扱いなどがあります。どれも、看護師にとって大切な知識です。
スタンダードプリコーションの目的や手順を把握し、適応となる状況に合わせた感染予防を選択していくことが求められます。担当する患者さんや部署で必要となる知識や技術を学んでいきましょう。
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一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
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Q. お礼奉公中でも転職は可能?
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