
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は日本の死亡理由の上位を占めており、代表的な慢性疾患の1つです。COPDを抱えている患者さんは、症状の悪化を予防するためにセルフケアを行っていかなければならないため、看護の果たす役割は大きいと言えます。そこで本記事では、COPDの病態・治療・看護について説明していきます。是非参考にしてみてください。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、タバコ煙を主とする有害物質を長期にわたって吸入し暴露することで生じる肺疾患のことです。喫煙を背景に中高年に起こりやすい生活習慣病の一種と言われています。
COPDは以前、肺気腫と慢性気管支炎を統合した疾患でした。しかし2018年のガイドライン改正により、COPDの発生には非炎症性の機序があることが判明しました。よって現在は、炎症性疾患と非炎症性疾患の両方を含んだ概念がCOPDの定義となっています。
COPDの患者は全国に約530万人いると推定されており、40歳以上の人口の約9%を占めています。2021年の統計によると、男性の死亡順位の9位に位置しています。

COPDは、有害物質の吸入により肺に炎症が起こり、呼吸機能検査で非可逆的な気流閉塞を引き起こします。COPDは閉塞性肺疾患であるため、息が吐きづらくなることが特徴的です。
COPDは主に気腫型と非気腫型に分けられます。
気腫型では、炎症により肺胞壁が破壊されて肺の弾力性が低下してしまいます。その結果、肺胞壁に支えられていた気管支も閉塞してしまうのです。
一方で非気腫型は、末梢気道の病変を指します。気管支が慢性的に炎症を起こすと、気管支粘膜からの分泌物が多量に排出され、貯留します。分泌物の貯留により気道が狭くなり、閉塞してしまうのです。
COPDの最大の危険因子はたばこの煙です。日本ではCOPD患者さんの90%以上に喫煙歴があると言われています。COPDは受動喫煙でも生じます。
喫煙のほかには、大気汚染、粉塵や化学物質の吸入などが外因的要因として考えられています。内的要因としては、α1アンチトリプシン欠損による肺気腫があり、これは先天性の疾患です。
初期の頃は自覚症状に乏しく、進行すると徐々に症状が現れ始めます。主な症状は、労作時の呼吸困難、喀痰、咳嗽です。重症例では、発作性の呼吸困難や喘鳴が認められる場合もあります。

このような状態が続き、慢性呼吸不全になると、低酸素血症や肺の毛細血管減少により、肺の機能が低下します。すると、心臓から肺に十分な血液を送ることができなくなり、肺高血圧症となります。肺高血圧症は右心不全を引き起こしてしまいます。
COPDでは、口すぼめ呼吸や呼気の延長が認められることがあります。
また、肺で無理な呼吸を行うだけではなく、呼吸補助筋を使って効率の悪い呼吸を行うことにより、さまざまな所見が認められます。
具体的には、樽状胸郭(胸郭の左右径よりも前後径が拡大すること)、胸鎖乳突筋の肥大(胸鎖乳突筋が補助的に使用されることで生じる)、フーバー徴候(無理な呼吸を行うことで、吸気時に肋間が陥没すること)などがあります。

さらに症状が進行して呼吸不全や右心不全を合併するようになると、チアノーゼ、浮腫、頸静脈の怒張などが見られることがあります。
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初期は自覚症状に乏しいため、COPDは診断が難しく、未治療のまま重症化に至ってしまう場合が少なくありません。そのため、常にCOPDの可能性を疑いながら、早期発見・早期治療に努めていく必要があります。
COPDは喫煙と密接な関連があるため、まずは問診を行い、喫煙歴や咳嗽・喀痰といった症状がみられる場合は、COPDを疑います。
その他の検査方法には、呼吸機能検査、胸部X線検査、CT検査、動脈血ガス分析、運動負荷試験などがあります。
なかでも呼吸機能検査は確定診断です。気管支拡張薬を吸入したあとの1秒率が70%未満であり、閉塞性障害をきたすその他の疾患を除外できた場合に、COPDと診断されます。
その他の検査は補助的であり、気管支喘息・肺気腫・気管支炎などとの鑑別診断として用いられます。
COPDでは肺胞に非可逆的な変化が起きているため、COPDを治癒させることはできません。したがってCOPDの治療目的は、症状の進行を抑えて合併症を予防していくことです。また、患者さんのQOLを高めて患者が疾患と上手く付き合っていけるように支援することも重要な目標です。
COPDは、禁煙・薬物療法・呼吸リハビリテーション・栄養療法・酸素療法など、多様な側面から治療を行っていく必要があります。
COPDの最大の原因は喫煙であるため、禁煙することは非常に重要です。
禁煙治療に対しては、2006年より一定の基準を満たした場合に保険が適用されるようになりました。ニコチン依存症に陥っており自力で禁煙することが難しい患者さんに対しては、ニコチンパッチやニコチンガムを用いたり、禁煙補助薬を内服したりすることができます。

ただしCOPDの患者さんにとって喫煙は長年の習慣である場合が多いと言えます。そのため医療者には、習慣を変えることの難しさや辛さに共感しながら、禁煙を支援していくことが求められます。
COPDに用いられる主な薬剤は気管支拡張薬であり、吸入による投与が基本です。
気管支拡張薬は、気道の閉塞を改善することで呼吸困難を軽減する薬剤です。気管支拡張薬には、β2刺激薬・抗コリン薬・テオフィリンの3種類があり、重症度に応じて使い分けていきます。吸入薬は全身の副作用が少ないことが特徴です。ただし口腔内に薬剤が残っていると、口腔カンジタや嗄声などを引き起こすことがあります。吸入薬の使用方法を確認して、吸入後には必要時うがいを行い、副作用の出現を予防しましょう。
また、急性増悪の際は吸入ステロイドを用いたり、感染が起こっている際は抗菌薬を使用したりします。
さらに、抗炎症薬や去痰薬も使用されます。抗炎症薬は、肺や気道に起こっている炎症を抑える働きがあります。また去痰薬は、痰の排出を促進する働きがあります。
患者さんのQOLを向上させるために、呼吸リハビリテーションや運動療法を行うことも重要です。呼吸リハビリテーションは主に、呼吸訓練と排痰訓練に分けられます。
呼吸訓練としては、口すぼめ呼吸と腹式呼吸があります。
口すぼめ呼吸は、口をすぼめてゆっくりと息を吐く方法のことです。また腹式呼吸は、呼気の際に腹部を膨らませ、吸気の際に腹部を凹ませる方法のことです。
排痰訓練としては、痰の貯留部位に合わせた体位を維持する体位ドレナージが代表的です。そのほかにも、痰の貯留部位に手を当てて圧迫を加えることで排痰を促すスクイージング法や息を細切れにして吐き出すことで排痰を促すハフィング法があります。
COPDの患者さんは積極的に運動することも必要です。筋肉を日常的に使用することで、筋疲労を減少させ、呼吸困難の軽減を図ることができます。息苦しさから動くことに消極的になる患者さんも多いですが、歩行訓練など出来ることから行っていくようにしましょう。
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呼吸リハビリテーションの目的と看護について知りたい
COPDの患者さんは呼吸をすることに多大なエネルギーを消費するため、食事からエネルギーをしっかりと摂取することが必要です。しかし息苦しさから食欲が低下し、体重が減少する患者さんも多く見られます。栄養障害による体重減少が起こると、呼吸筋の筋力も低下し、さらに呼吸困難を悪化させてしまいます。
そのため栄養管理を行っていくことが必要です。栄養療法は、高エネルギー、高タンパク質の摂取が基本です。また、分食を行いゆっくりと咀嚼することで、無理せず食事摂取を行うことを心がけましょう。
COPDによって低酸素血症を引き起こしており、PaO2が60%未満またはSpO2が90%未満の場合に、酸素療法が適応となります。
ただし酸素療法を行った際に突然高濃度の酸素を投与することで、CO2ナルコーシスを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。またCOPDの急性増悪期には、非侵襲的陽圧換気(NPPV)が使用されることがあります。
また、在宅酸素療法も有効であり、患者さんのQOLを向上させることに繋がります。
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風邪やインフルエンザ等の呼吸器感染症に罹患すると、COPDの症状は悪化してしまいます。よって、COPDの患者にはインフルエンザや肺炎球菌のワクチン摂取を勧めます。また、日頃から手指衛生やうがいをこまめに行い、感染予防に努める必要があります。
COPDは治癒しない慢性疾患であるため、患者さんが疾患を受け入れ、セルフケアを行いながらQOLを維持していけるように関わることが重要です。そのため、医療と生活の両方の視点から支援できる看護師が果たせる役割は大きいと言えるでしょう。
看護師には、患者の全身状態を観察するだけではなく、患者教育を行うことが求められています。
COPDの患者さんと関わる際は、以下に挙げた項目を観察する必要があります。
呼吸状態の悪化、脈拍増加、判断力低下、倦怠感、食欲不振、浮腫といった症状は急性増悪のサインであるため、注意して観察します。
COPDは治癒しない疾患であり、患者さんの多くは呼吸困難を経験していることから、死に対する恐怖や将来への不安を感じている場合が多いと言えます。よって、患者さんの精神的側面も観察し、不安に寄り添うことも重要です。
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呼吸困難時の観察項目を教えてほしい
増悪期には、以下の点に注意して看護を行います。呼吸困難や合併症の出現を予防することが目的です。
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慢性閉塞性肺疾患の急性増悪時の看護のポイントとは
COPDでは呼吸中枢の障害もあり得るのか?
回復期には、以下の点に注意して看護を行います。症状の悪化を予防し、患者さんが自己管理できるように支援していきます。
在宅で看護を担うのは、患者さんご本人とそのご家族であるため、自立してケアを行えるよう、支援していきます。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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