
抗菌薬は、臨床現場で多く扱う薬剤の1つです。細菌感染症に対して効果をもたらす反面、投与方法や種類を誤ると耐性菌を作り出してしまう可能性があります。また、投与後の観察を怠ると、アナフィラキシーショックなどの重大な症状を引き起こすこともあり注意が必要です。
この記事では、抗菌薬に関する基礎知識から観察方法、看護のポイントまで解説します。ぜひ日々の看護ケアの参考にしてください。

臨床現場でよく用いられる抗菌薬には、たくさんの種類があります。抗菌薬の大きな特徴は、それぞれ特定の細菌種にしか効果を示さないという点です。抗菌薬の種類や特徴の違いを理解し、日々の看護ケアに繋げましょう。
この章では、抗菌薬投与において看護師が押さえるべき基礎知識を解説します。
抗菌薬は大きく分けて以下の6つに分類されます。
それぞれの分類によって、効果のある細菌や対象となる疾患が異なります。抗菌薬への正しい知識を持ったうえで、患者さんの病態にあわせて抗菌薬を投与することが大切です。
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抗菌薬の選択方法について知りたい
抗菌薬は、細菌や真菌から作られるものと、人工的に合成されたものに分けられます。抗生物質は細菌や真菌に由来するもののみを指し、抗菌薬の中の1つです。抗菌薬と抗生物質の作用機序は同じで、主にタンパク質合成や細胞膜合成の阻害、細胞膜の透過性亢進などがあります。
抗菌薬はほかの薬剤との相互作用を引き起こす可能性があるため、飲み合わせに注意が必要な場面もあります。抗菌薬と抗生物質は臨床現場では同義語として用いられますが、厳密には由来するものに違いがあることを覚えておくと良いでしょう。
特定の抗菌薬や抗生物質の効果が得られにくくなる、もしくは効果が出なくなる状態を薬剤耐性(AMR)といいます。薬剤耐性菌の出現やまん延により、これまで使用していた抗菌薬での治療が困難となり、感染症の重症化や死亡の危険性が高まるのが特徴です。

なかでも、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性緑膿菌(MDRP)などの感染症が拡大し、臨床現場でも度々問題となっています。
薬剤耐性菌のまん延防止には、適切な感染対策・管理の徹底や適切な抗菌薬の使用が必要です。
抗菌薬の特徴について理解を深めたところで、ここからは抗菌薬投与前における看護師の観察項目について解説します。
抗菌薬は、細菌感染症に対して高い治療効果を発揮する一方で、アナフィラキシーショックをはじめとした重篤な副作用のリスクがある薬剤です。そのため、過去に抗菌薬を使用して副作用が出現した場合、同様もしくは類似した抗菌薬の投与は原則禁忌とされています。

副作用を確実に予防する方法は存在しないため、投与の際にはあらかじめ患者さんの既往歴やアレルギーの有無などの情報を収集しておくことが大切です。
抗菌薬の投与前には、バイタルサインの観察も欠かさずに行いましょう。測定項目は以下のとおりです。
ほかにも、酸素飽和度(SpO2)や意識レベルなどもあわせて観察しましょう。
投与前のバイタルサインは、投与中に状態変化があった際に比較するための大切な情報です。投与前のバイタルサイン測定で状態変化を示す兆候を発見できれば、投与の可否を検討する指標となります。
抗菌薬投与による異常を早期発見するためには、必ず事前にバイタルサインを測定しましょう。
バイタルサイン測定のほかに、生体モニターの観察も大切です。まれに、特定の抗菌薬や抗ウイルス薬などが原因となり、薬剤性QT延長症候群が発症する可能性があります。
薬剤性QT延長症候群は、薬剤の影響により心電図上でQTを認め、心室頻拍(VT)や心室細動(VF)などの不整脈を生じる状態です。めまいや失神などの症状が見られ、突然死することもあるため、すみやかな処置が求められます。このほかにも、生体モニターは患者さんの状態をリアルタイムに観察するための重要な情報が表示されています。異常の早期発見のためには、生体モニターを経時的に観察するようにしましょう。
抗菌薬投与中は、患者さんの状態を観察することはもちろん、抗菌薬の特性を理解した看護ケアが必要です。
ここからは、抗菌薬投与中に必要な看護ケアについて解説します。
抗菌薬投与中は免疫力が低下しやすくなるため、感染症を併発するリスクが高まります。また、抗菌薬は感染症に対する治療として投与しているため、看護師がスタンダードプリコーション(標準予防策)を徹底することが大切です。
以下の対象物を扱う場合には注意しましょう。
上記の対象物に触れる際には、次の行動(スタンダードプリコーション)を実践してください。
スタンダードプリコーションは、感染予防のほかにも薬剤耐性菌の発現やまん延防止にも効果的なため、正しい手技を身につけておきましょう。
抗菌薬の使用時だけに限りませんが、薬剤を投与する際には必ず患者さんに使用している薬剤や目的について説明しましょう。

また、抗菌薬は点滴以外にも内服薬として処方されることがあります。決められた用法用量を守り、正しく内服するよう指導することが大切です。
とくに抗菌薬の場合、薬剤耐性菌の発現が恐れられており、取り扱いに注意が必要です。患者さんにも薬剤耐性菌に関する説明を行い、抗菌薬使用にともなう教育的ケアが重要となります。
抗菌薬を投与したあと、患者さんの異常を早期に発見して考えられる影響を最小限に抑えるには、抗菌薬に関してあらゆる知識を習得しておくことが大切です。
ここの章では、抗生剤投与時における看護師の注意点について解説します。
アナフィラキシーショックを含むアレルギー反応は、抗菌薬を点滴投与してから5〜15分以内に起こることが多いとされています。そのため、初回投与時は必ず患者さんのそばから離れず、注意して状態を観察しましょう。
初回投与時に限らず、抗菌薬を投与してから何らかの異常を自覚することがあれば、すぐに報告するよう患者さんへ説明することも大切です。投与中に異常をきたした場合は、直ちに投与を中止し医師へ報告してください。
抗菌薬を1日に複数回投与する際、6時間もしくは8時間ほど間隔を空けて投与するよう指示が出されます。投与間隔を空ける理由は以下のとおりです。
抗菌薬には、濃度依存性抗菌薬と時間依存性抗菌薬の2種類があります。濃度依存性抗菌薬は血中濃度が一度に上がるため、連続で投与すると副作用の発生リスクが高まるのです。一方で時間依存性抗菌薬は、血中濃度を一定に保つことで効果を発揮する薬剤です。一番低い血中濃度を示すトラフ値が一定の値を下回ると、十分な効果が期待できません。
このような理由から、抗菌薬を投与する際は医師の指示のもと、一定の間隔を保ち投与することが大切です。
高齢者が抗菌薬を使用する場合、腎機能の低下がないか確認することが大切です。抗菌薬のうち、アミノグリコシド系やグリコペプチド系、ニューキノロン系などの抗菌薬は腎排泄型の薬剤とされています。これらの薬剤は、腎機能が低下している患者さんが使用すると、薬剤性腎障害につながるおそれがあるため注意が必要です。
薬剤性腎障害の徴候を早期に発見するためには、尿量の低下や浮腫などの急性腎障害の症状がないかを観察しましょう。
抗菌薬による副作用に対して、不安を抱く看護師の方もいるかもしれません。あらかじめ観察項目と対応方法を理解しておくと安心です。
ここからは、抗菌薬投与により副作用が出現した場合の看護ケアと観察項目について解説します。
抗菌薬による副作用のなかで、比較的見られやすいものを以下にまとめました。
これらの症状は、初回投与時にのみ出現するわけではありません。副作用のなかには、投与してから数日経過して発症するものもあるため、継続的な観察が必要です。

また、副作用のなかでも重大な症状を呈するアナフィラキシーショックは、多くの場合投与してから15分以内に発現するため注意して観察しましょう。悪心や動悸などの軽度なものから、呼吸困難感や気道閉塞などの重度なものまで、幅広いアレルギー徴候が出現します。
薬剤性アレルギーをはじめとした副作用が出現した場合は、早急に対応しなくてはなりません。副作用出現時における看護のポイントは、以下のとおりです。
これらの対応は、医療施設や患者さんの病態および、医師の指示によって異なることがあります。特にアナフィラキシーショックが発生した場合には、ほかの看護師への応援要請や医師への報告を優先し、同時に全身状態を観察するスキルが求められます。上記のポイントを基本的な対応方法として理解しておくと、自信を持って患者さんに抗菌薬を投与できるでしょう。
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Q. お礼奉公中でも転職は可能?
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