
麻薬と聞いて「取り扱いが難しい」というイメージを持つ看護師も多いのではないでしょうか。
麻薬には副作用があるため、投与時は患者さんの状態をよく観察する必要があります。さらに、麻薬の取り扱いや記録の方法にも注意しなければなりません。
この記事では麻薬の看護や取り扱いの注意点などについて解説します。麻薬を投与中の患者さんへのケアや麻薬の管理についての知識を身につけ不安を解消しましょう。

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている
X(Twitter):@shota_papa37
麻薬とは医療用麻薬のことであり「オピオイド鎮痛薬」を指すことが多いです。
「麻薬及び向精神薬取締法」で麻薬の適応や取り扱いの注意点が厳しく取り決められています。ここでは、麻薬の種類や適応について解説します。
麻薬は原則、以下の3つの場合にのみ使用できます。
ただし、麻薬の一部はがん以外の慢性的な疼痛に対しても、非オピオイド鎮痛薬(アセトアミノフェンやNSAIDsなど)では治療効果が得られない場合に限り使用できます。

麻薬は中枢神経や末梢神経にあるオピオイド受容体に作用することで、強い鎮痛作用を期待できます。
末消では痛み刺激の伝達をブロックし、中枢(脳)では痛みを抑える信号の経路「下行性疼痛抑制系」を活性化して痛みの感じ方を和らげます。
患者さんの状態をアセスメントし、痛みがコントロールできているか評価することが大切です。
ここでは麻薬の種類を紹介します。
| 薬剤名 | 商品名 | 特徴や注意点 |
| コデイン | コデインリン酸塩 | ・麻薬と非麻薬のものがある ・咳止めとして使われる ・経口投与で使用 ・呼吸抑制がある場合や18歳未満は禁忌 |
| モルヒネ | ・MSコンチン ・アンペック坐剤 ・モルヒネ塩酸塩注射液 | ・腎機能が低下している場合は、鎮静や呼吸抑制が現れることがあるため注意が必要 ・オピオイドで唯一の坐剤がある ・内服薬と注射はレスキュー薬※としても使用可 |
| オキシコドン | ・オキシコンチンTR ・オキファスト ・オキシコドン注射液 | 持続投与中に痛みが増強した場合、PCAポンプ(携帯型精密輸液ポンプ。患者自身でレスキュー薬投与可)でも使用可 |
| フェンタニル | ・フェンタニル ・フェントス ・デュロテップMT ・アブストラルなど | ・貼付剤、注射剤、口腔粘膜吸収剤 ・貼付薬は貼付部位を加温すると血中濃度が急激に上昇するため注意 ・注射薬は術後の疼痛コントロールでよく使用 ・舌下錠はレスキュー薬として使用 |
| タンベンタドール | タペンタ | ・経口のみで使用 ・レスキュー薬がないため疼痛が増強した場合はほかの薬を選択 |
| メサドン | メサペイン | ・神経障害性を伴う難治性がん疼痛にのみ使用 ・トルサード・ド・ポアンツ症候群に注意 |
※レスキュー薬:強い痛みが現れたときに使用し、効果が現れるのが比較的早い薬のこと。
麻薬は痛みを緩和する効果が期待できます。ですが、腎機能が低下している患者さんの場合は、鎮静や呼吸抑制などの症状が現れる恐れがあり注意が必要です。
麻薬の副作用は、麻薬を開始するときや増量するときに現れやすいため注意してください。代表的な副作用は以下の3つです。

ほかにも、そう痒感やめまい、ふらつき、さらには呼吸抑制が起こる恐れがあります。麻薬を適切に使用している場合は呼吸抑制は起こりにくいですが、起きた場合は重篤な状態となるため注意してください。
呼吸抑制が現れる前には、患者さんは傾眠や意識障害を起こしていることが多いです。そのため「昼間だけど眠たい」「いつの間にか寝てしまう」などといった訴えがないか、また意識レベルの低下がないか観察しましょう。
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麻薬性鎮痛薬とその副作用について知りたい
麻薬の管理は「麻薬及び向精神薬取締法」により厳しく定められています。そのため、ほかの薬剤とは違った管理方法となります。
さらに、麻薬の管理方法は、ガイドラインをもとに病院ごとに独自ルールを設けている場合が多いです。ここでは一般的なルールや注意点を紹介します。
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麻薬の管理について知りたい
麻薬を医師が処方して、看護師が受け取り、患者さんに投与するまでの主な流れは以下のとおりです。病院ごとに流れが異なるため、あくまで参考としてください。
緊急時にすぐに使えるように2〜3本のみ麻薬を病棟の金庫に保管します。ただし、緊急時用以外の麻薬は原則、病棟に長期間は保管できません。
そのため、麻薬が処方されるたびに看護師が薬局に取りに行きます。麻薬を紛失したり、調剤を間違ったりしないように、何度もダブルチェックします。

麻薬は患者さんに投与する直前に薬局に取りに行くのが原則です。
ただし、夜間や休日などの使用を想定したり、麻薬の投与が中止になったりした場合は一時的に病棟で麻薬を保管しなければなりません。また、使用後のアンプルや貼付剤を病棟で一時的に保管することもあります。その際は、病棟内の鍵付きの金庫で保管します。
金庫の鍵は、平日は看護師長や主任などの管理者、夜間や休日はリーダーの看護師が持っているのが一般的です。そのため、看護師は麻薬を使用する前に管理者やリーダーに報告し、金庫から麻薬を取り出し患者さんに投与します。
金庫から麻薬を出し入れする際には「麻薬取扱管理一覧表」の用紙に記録します。この用紙には以下の項目が記載されています。
この記録用紙に従い管理者や看護師でダブルチェックして、麻薬の出し入れをその都度管理します。
空のアンプルや使用済みの麻薬の貼付剤も薬局に返納しなければならないため、絶対に捨てないようにしましょう。
シリンジポンプで麻薬を投与する場合、シリンジポンプに「麻シール」を貼り、麻薬であることをわかりやすくします。病院によって方法は異なりますが、ほかの看護師が誤って麻薬を捨てないようにするためです。

万が一、麻薬を誤って捨てたり、紛失したりした場合は、都道府県知事に「麻薬事故届」を提出しなければなりません。
誤って麻薬のアンプルを割ってしまったり、麻薬の注射剤をこぼしたりした場合も届け出が必要です。警察への報告が必要なるケースや都道府県知事から麻薬使用の中止を通告されるケースがあるため、麻薬の管理には十分に注意しましょう。
麻薬を投与中は薬剤名を赤字で看護記録に書きます。看護録を書くタイミングは、麻薬の開始時、増量時、交換時、終了時などです。たとえば、以下のように看護記録を書いてください。
さらに、麻薬の副作用が出現したら消化器症状や精神神経症状、呼吸状態についても看護記録として残しましょう。
患者さんの状態によっては、退院後に在宅でも麻薬を継続する場合があります。以下のポイントで患者さんや家族に指導しましょう。
「麻薬は使っても大丈夫なの?」「麻薬を使って中毒にならないよね?」などと、麻薬を使うことに不安を感じる患者さんもいます。さらに、在宅での麻薬の使用は、医療従事者の観察が行き届きにくいです。
そのため、患者さんや家族に疑問や質問がないか確認しながら、十分説明することが大切です。
麻薬を投与中の患者さんの看護は、特に麻薬の投与を始めたり、増量したときに副作用が現れやすいため注意して観察することが大切です。
麻薬の管理は「麻薬及び向精神薬取締法」で厳しく定められています。麻薬の紛失やアンプルの破損があると、都道府県知事に届け出たり、警察に報告したりしなければなりません。院内のルールに従って、適切に取り扱いましょう。

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている
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看護師から寄せられる“よくある質問”
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Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
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Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
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Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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