環境整備は看護になぜ必要?目的から実践まで分かりやすく解説

看護していると「環境整備って本当に必要なの?」と疑問を感じることがあるかもしれません。しかし、環境整備を怠ると患者さんに危険をおよぼす可能性があります。

この記事では、環境整備が看護に必要な理由や手順、実践方法を分かりやすく解説しています。環境整備を理解することで、患者さんに安全かつ質の高い看護を提供できるでしょう。

この記事を書いた人
島田綾乃
正看護師
大学病院で10年間、病棟看護師として勤務。 耳鼻咽喉科、腎臓外科、循環器小児科、脳神経外科、SCUでの臨床経験があり、得意分野は外科系。 現在は育児をしながら、看護師ライターとして医療分野の記事を専門に執筆。
※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

環境整備の目的と看護における重要性

看護における環境整備の目的は、大きく分けて以下の3つです。

  • 安全かつ衛生的な環境を整える
  • 心地よく快適な療養環境にする
  • 看護業務の質を向上させる

整っていない環境での療養生活は、患者さんにとってストレスの原因であり、心身の回復を妨げます。さらに安全性や清潔を保てないため、思わぬ事故やトラブルの要因になるおそれがあるのです。

輸液管理中の患者さんの周囲に物が散乱している

たとえば、輸液管理中の患者さんの周囲に、物が散乱していたとします。そうすると、トイレに行く際、点滴棒が物に引っ掛かりバランスを崩して転倒してしまうかもしれません。
治療中や術後の患者さんなどは、状態によって周囲への配慮が至らない場合もあるため、自分で整理整頓をしたり安全を確保したりが難しいケースもあります。看護師が環境整備を徹底することで、安全が保たれるのです

環境整備を行う際には、患者さんの安全を確保するだけではなく、快適な空間を作り出すことが大切です。患者さんに対するストレスの原因は、目に見えるものだけではありません。匂いや空気、音なども原因につながります。患者さんのストレスをなくすことは、身体機能の向上につながり、回復を早めることも期待できるのです。

また、看護師にとっても患者さんの療養環境が整っていることで、業務の効率化につながります。

正しく環境整備を行うことで、患者さんと看護師のどちらに対しても良い影響があるといえるでしょう。

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環境整備における目標

環境整備を行う際には、以下の目標を意識してみましょう。

  • 患者さんの安全確保
  • 快適な療養環境の整備
  • 感染予防の強化
  • 患者さんのADL向上

なかには業務が立て込み、環境整備に時間を費やすことにためらいを感じてしまう方もいるかもしれません。
一般的な企業において環境の作業改善を図るための考え方に、「5S」と呼ばれる技法があり、内容は以下のとおりです。

  • 整理
  • 整頓
  • 清潔
  • 清掃
  • しつけ

5Sは職場の安全性や生産性の向上が期待されており、内容は環境整備と似ています。環境整備は、患者さんの快適な環境づくりだけでなく、看護師の働きやすい環境づくりでもあるのです

環境整備の看護手順とポイント

効果的な環境整備を行うには、いくつかのポイントを押さえることが大切です。ただ単に物の配置を整えたり物品を拭いたりするだけでは、環境整備の目標を達成することは難しいでしょう

患者さんに環境整備の必要性を説明し、同意を得る看護師

環境整備の1つひとつに行う理由があります。これから説明する看護手順や注目するべきポイントについて理解し、効果が期待できる環境整備を実施しましょう。

環境整備の手順は以下のとおりです。

  1. 患者さんやご家族の方に環境整備の必要性を説明し、同意を得る
  2. 窓を開けて換気する
  3. ベッド上の物品を整え、シーツ交換をする
  4. ベッド周辺の物品の配置を整頓する
  5. 物品をクロスで拭き、清潔な状態にする
  6. 不要物の除去
  7. 片付け

環境整備は患者さんとコミュニケーションを取れる機会でもあります。患者さんと会話しながら、看護に必要な情報も取れるように意識しましょう。
実際にいくつかの手順におけるポイントを解説します。

環境整備の準備をする

環境整備をスムーズに行うには、事前の準備が大切です。必要な物品には以下のものがあります。

  • ゴミ袋
  • 使い捨て手袋
  • 使い捨てエプロン
  • 消毒用クロス
  • マスク

スタンダードプリコーション(標準予防策)を守ることは、看護師の感染予防にもつながります。患者さんの個別性に配慮して、ほかにも必要な物品があれば準備しましょう。

患者さんの安全を確保する

入院中に転倒や転落、挿入物の抜けなどを起こさないための予防策を取ることが大切です。具体的な方法として、以下の点に留意しましょう。

  • 患者さんの手が届く場所にナースコールを置く
  • ベッドを一番低い位置に調整する
  • ベッド柵を使用する(状況に応じて3点柵)
  • 患者さんのADLに合った物品配置にする
  • 行動範囲が狭くないか確認する
  • 運動靴やリハビリ靴など脱げにくい履物を用意する
  • 想定される危険について患者さんと共有する
  • ベッド周囲や床頭台の不要な物品は除去する
  • 床が濡れていないか確認する

指示が理解できなかったり安静度が守れなかったりする患者さんには、離床センサーやセンサーマットなどの検討が必要です。

環境整備では、患者さんのADLに合わせた予防策を取ることがポイントです。患者さんができることと、できないことを踏まえて環境整備をしましょう。

生活環境の清潔を保つ

入院されている患者さんは、免疫力の低下や治療などによって、感染を起こしやすい状態になっているかもしれません。患者さんの生活環境にある、オーバーテーブルやベッド、床頭台などを常に清潔に保つことは、感染の予防に有効です

消毒クロスで拭く際のポイントは以下のとおりです。

  • 埃を除去する
  • 清潔箇所から汚染箇所に向けて拭く
  • 一方向に拭く
  • 一度拭いたところには戻らずに拭く
  • 拭き残しのないように丁寧に拭く

拭き方を工夫することで、より長い時間清潔を保持できます。

快適に過ごせる環境を整える

患者さんにとってのストレス要因を取り除くことも重要です。ストレスは心身ともに影響をおよぼすおそれがあります。入院生活における主なストレス要因は以下のとおりです。

  • 温度や湿度
  • におい
  • プライバシー
  • 騒音

上記のストレス要因を取り除くためには、以下の方法に取り組みましょう。

  • エアコンなどで温度や湿度を調整
    ※必要に応じて温罨法や冷罨法などを実施する
  • 不快なにおいがあれば、窓を開けて換気をする
  • カーテンで区切り、プライバシーの空間を保つ
  • 大部屋の場合、他患者とのトラブルや騒音がないか確認する

ストレスのない快適な環境を整えることは、患者の回復を早めることにもつながります。

【年代別】環境整備の看護における留意点の違い

ここまでは、成人の患者さんを対象とした環境整備について説明してきました。年代によって環境整備における留意点は異なります。なかでも注意が必要な年代は新生児や小児、高齢者です。

それぞれの年代における留意点を解説します。

新生児や小児

新生児や小児は、ベッドからの転落やベッド周囲での転倒のリスクがあります。目を離したわずかな時間に、ベッドから降りてしまう可能性もあるため注意が必要です。子どもの目線に立ち、障害物やベッドから降りるための踏み台が置かれていないかなどを観察しましょう。

ほかにも、新生児や小児の手が届く所に危険物を置かないことも大切です。新生児や小児は、何でも物を運ぼうとする傾向があります。食べ物以外の物も口に含んで誤嚥や窒息の可能性があるため、物の配置も意識する必要があるでしょう。

高齢者

高齢者の患者さんは、筋力の低下や認知力の低下などによって、転倒するリスクが高くなるため注意が必要です。物品の配置だけでなく、滑りやすい靴や裾の長い服は避ける、床が濡れていないかを確認するなどの意識も転倒予防につながります。

環境の変化も、高齢者の患者さんが落ち着かなくなる要因の1つです。普段と違う環境がストレスとなり、認知症やせん妄を発症する可能性があります。患者さんにとってストレスとなっている要因を把握して、安全な環境を整えましょう。

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環境整備をする際に生じる問題と看護計画

環境整備の目的や手順、留意点などを一通り理解したうえで実践したとしても、患者さんの認識不足や不十分な環境整備が原因で、問題が生じる可能性もあります。

この章では、思わぬ事故を避け、安全な環境を提供するための看護計画を紹介します。

環境整備に対する認識不足

患者さんが環境整備の重要性を理解しても、実際の行動への移し方が分からない方もいます。改善策として、以下の看護計画を参考に情報収集してみましょう。

【O-P】

  • 環境整備への認識
  • 患者さんの状態
  • 患者さんのリスク要因
  • 入院前の生活スタイルや環境

【T-P】

  • 環境整備を患者さんと一緒に実施する
  • 環境ラウンドやチェックリストを用いて環境整備を行う
  • 患者さん自身が実施できる方法を検討する

【E-P】

  • 環境整備の目的について共有
  • リスク要因について患者さんに説明する
  • 患者さん自身でも意識するよう指導する
患者さんの個性に合わせた環境整備の内容を説明する看護師

患者さんの個性に合わせた環境整備の内容を看護師間で共有し、統一して行うことが大切です。

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患者さんに合わせた環境整備とはどういったものか知りたい

環境整備不足による転倒のリスク

安全でない療養環境が原因で、患者さんが転倒してしまうおそれがあります。予防策としては、患者さんの状態に応じた転倒リスクを把握することが大切です

【O-P】

  • バイタルサイン
  • ADL
  • 内服薬
  • 症状
  • 認知機能の低下の有無
  • 危険に対する認識力
  • 睡眠状況
  • 周囲の環境
  • 点滴やドレーンなどの挿入物の有無

【T-P】

  • 歩行・移乗介助
  • 履物や服装の調整
  • ベッド周囲の環境整備
  • ナースコールがすぐに押せるかを確認
  • 必要に応じてセンサーなどを使用
  • 定期的な観察

【E-P】

  • 転倒リスクについて説明する
  • 歩行介助、環境整備の必要性を説明する
患者さんの個性別に配慮した転倒予防策を考える看護師

患者さんの転倒リスクにつながる要因を見つけることで、個別性に配慮した転倒予防が見つかるでしょう。

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