
バイタルサインは、身体にどんな問題が起こっているのかを客観的に把握するための指標です。毎日のように測定しているバイタルサインですが、異変にいち早く気付き、悪化を防ぐために必要不可欠な情報となります。
看護師は、バイタルサインの測定値から起こりうる変化を予測し、事前に行動することが大切です。
この記事では、バイタルサインの基準値から測定方法、アセスメントのポイントを解説します。

バイタルサインとは、「人間が生きている状態を示す兆候=生命兆候」のことです。バイタルサインの意味は、バイタルが「生きている」、サインが「兆候」を表します。バイタルサインは、身体に起きている問題を知り、今後の変化を予測するために必要となる情報です。
バイタルサインの測定は、測定する目的を意識し、正しく測定することが求められます。
看護師は、バイタルサインから得られた情報や他の情報から全身状態のアセスメントをし、看護に繋げていくことが大切です。
バイタルサインの基本は、血圧・脈拍・呼吸・体温の4つです。そのほか、意識状態や尿量も今後の患者さんの状態を予測・把握していくために必要な指標になります。
現場では、バイタルサインを以下のように呼ぶことが多いです。
バイタルサインの基準値を把握しておくと、身体の異常を早期に発見できます。数値が正常なのか、異常なのかを判断しアセスメントすることが大切です。
【成人のバイタルサイン基準値】
| 血圧 | 120/80mmHg未満収縮期血圧120 mmHg以下かつ拡張期血圧80mmHg以下 |
| 脈拍 | 60~90回/分 |
| 呼吸 | 12~20回/分 |
| 体温 | 36~37℃(腋窩) |
【小児のバイタルサイン基準値】
| 新生児 | 乳児 | 幼児 | |
| 血圧 | 60~80/50mmHg | 80~90/60mmHg | 90~100/60mmHg |
| 脈拍 | 120~140回/分 | 120~130回/分 | 100~110回/分 |
| 呼吸 | 40~50回/分 | 30~40回/分 | 20~30回/分 |
| 体温 | 36.5~37.5℃ | 36.5~37.5℃ | 36.5~37.5℃ |
▼看護に必要なアセスメントのポイント
バイタルサインを正しく測定するためには、正確な測定方法と測定のポイントを把握することが大切です。各バイタルサインの仕組みを知っておけばアセスメントに活かすことができます。バイタルサインの仕組みや測定のポイント、アセスメントを解説します。
血圧とは、血液が流れる際に血管の壁にかかる圧のことです。血圧は、心拍出量と末梢血管抵抗の2つで測定され、収縮期血圧・拡張期血圧・平均血圧の3つで表されます。
| 収縮期血圧 | 心臓が血液を送り出す際の最高圧。 値が高い場合は、動脈硬化や脳出血、心筋梗塞の原因となる。 |
| 拡張期血圧 | 心臓が拡張し、静脈から心臓に血液が戻ってくる時の最低圧。 |
| 平均血圧 | 心臓が収縮し拡張するまでの間に流れる血液の圧。 ICUでは、動脈に直接Aラインカテーテルを挿入し、平均血圧を測定する。 |
【血圧の異常とアセスメントのポイント】
血圧の異常を早期に発見するポイントは、異常値や随伴症状を把握しておくことです。測定値と普段の血圧を比較し判断する必要性があります。血圧の異常値について解説します。
高血圧の定義は、収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上です。臓器障害を合併する場合は、高血圧緊急症となりICUなどで血圧管理を行う必要があります。
低血圧として明確な数字は定義されていませんが、一般的には収縮期血圧100mmHg以下、または拡張期血圧50mmHg以下が低血圧であり、以下の随伴症状を伴うことがあります。
血圧の異常は、出血、脱水、はたまた熱傷など、起こっている理由をアセスメントし行動する必要があります。血圧の低下に対しては下肢を挙上するなどの対処方法を知っておくことが大切です。
【血圧測定のポイント】
血圧を測定する際のポイントを紹介します。

脈拍とは、大動脈によって拍出された血液が末梢で触知される拍動のことです。通常、心拍数と脈拍数は一致します。しかし、心拍出量の低下や血管の狭窄・閉塞がある場合は、脈拍として触知できないことから循環機能の異常を発見することが可能です。
【脈拍の異常とアセスメントのポイント】
脈拍は、以下のような循環器系の状態を推測することができます。
▼脈拍の異常
| 脈拍数 | 頻脈 | 100回/分以上:発熱や貧血、交感神経の緊張で起こる |
| 徐脈 | 60回/分以下:低体温や血圧上昇、迷走神経の緊張で起こる | |
| リズム | 整脈 | 脈と脈の間隔が等しい拍動 |
| 不整脈 | 脈と脈の間隔が等しくない拍動(リズム不整) 洞不全症候群または、洞結節以外からの刺激による心拍が原因 致死性不整脈は、脳梗塞などの血栓症を起こす可能性がある |
|
| 脈圧 | 大脈 | 大きく触れる脈。大動脈弁閉鎖不全症や敗血症、動脈硬化の可能性がある |
| 小脈 | 小さく触れる脈。脱水や出血、心機能低下の可能性がある | |
| 奇脈 | 吸気時のみ小さく触れる脈。心タンポナーデ、緊張性気胸の可能性がある |
【脈拍測定のポイント】

呼吸は、体内に酸素を取り入れ二酸化炭素を排出する役割を担っています。呼吸を観察する目的は、換気の状態や体内の酸塩基平衡を把握するためです。呼吸のアセスメントを行うにあたり、呼吸数、呼吸パターン、呼吸音を観察していきましょう。
【呼吸の異常とアセスメントのポイント】
| 呼吸数 | 頻呼吸(20回/分以上) | 発熱や術後など、体内が酸素を求めている場合や代謝性アシドーシス・心不全などで起こる。 呼吸数の増加は、血圧の低下よりも早く起こるため、急変前の異変に気が付くことができる。 |
| 徐呼吸(8回/分以下) | 頭蓋内圧亢進や薬剤による呼吸抑制など、呼吸中枢の障害によって徐呼吸となる。 | |
| 呼吸パターン | クスマウル呼吸 | 深い呼吸が規則正しく繰り返される呼吸。体が酸性に傾いている際に、呼吸で代謝をしようとするために起こる。 |
| チェーンストークス呼吸 | 深い→浅い→無呼吸→浅い→深いの呼吸を繰り返す呼吸。呼吸中枢に存在する二酸化炭素受容体の感受性が低下することにより起こる。 | |
| ビオー呼吸 | 無呼吸と不規則な呼吸を繰り返す呼吸。脳幹の呼吸中枢に障害が生じている場合に起こる。 | |
| 呼吸音 | 呼吸の副雑音 | 呼吸器の病変により、空気が気道を通過する際に副雑音が聴取される。 |
【呼吸測定のポイント】

体温は、感染症の有無や体温中枢機能の状態を予測できる指標です。体温には、日内変動が存在し、早朝が最も低く、午後が最も高くなります。
視床下部にある体温中枢で熱産生と熱放散の指令を出し、設定温度(セットポイント)と体内の深部温が一致する仕組みです。
【体温の異常とアセスメント】
| 発熱(高体温) | 感染症に伴う発熱 | 体内に細菌やウイルスが侵入すると、病原体を攻撃しようとセットポイントが高く設定され発熱が起こる。感染に伴う発熱は、感染防御反応であり、安易に解熱させることで免疫効果を低下させてしまうため、原因に合った適切な対応が大切。 |
| 非感染症による発熱 | 頭部外傷や脳腫瘍、脳出血などで直接的に視床下部が刺激されることで発熱が起こる。脱水になることで発汗により体温調整ができなくなり、体温が上昇する。 | |
| 低体温 | 35℃以下を低体温症といい、電解質異常や命の危険に関わる状態 | |
【体温測定のポイント】

患者さんの状態を予測していくためには、バイタルサインに加え意識レベルや尿量などの情報をアセスメントしていく必要があります。
意識レベルは、覚醒度を表し、「JCS」または「GCS」の評価スケールが活用されます。意識レベルを評価する際は、患者さんの普段の様子や認知機能、見当識障害などを把握しておくことが大切です。意識レベルの低下を認めた場合は、早急な対応が必要となります。
尿量は、腎臓や尿管の異常を示すと同時に、循環動態についての評価にも有効です。血圧が低下した際に、血圧を維持しようと尿量が減少する傾向があります。尿量や尿の性状を観察し、尿量が減少している場合は循環不全の可能性を考慮しましょう。
バイタルサインを測定する際は、目的を明確にして測定することが大切です。看護師として、異変に対して迅速に気付き、アセスメントしていくためのポイントを紹介します。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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