
「脳卒中看護認定看護師になるにはどうすればいいの?」「受験条件や認定審査について知りたい」という看護師もいるのではないでしょうか。ここでは、脳卒中看護認定看護師になる方法を詳しく紹介します。脳卒中看護認定看護師の役割や取得するメリット・デメリットについても触れていますので、これから取得を目指す方はぜひ参考にしてみてください。
認定看護師制度は2019年に改正され、新制度では19の認定看護分野になりました。そのうちの1つが、脳卒中看護認定看護師です。
脳卒中看護認定看護師を目指すには、まず受験資格を満たしたうえで指定の教育機関に通う必要があります。この項では、脳卒中看護認定看護師になる方法を紹介しますので、資格取得を検討している方は確認してみてください。
脳卒中看護認定看護師になるには教育機関への入学が不可欠ですが、入学試験を受ける時点で臨床経験の基準をクリアしている状態が望まれます。通算5年以上の臨床経験のほか、以下のような実務研修の基準を満たすことが必要です。
・通算3年以上、脳卒中患者の多い部署での看護実績を有すること
引用:日本看護協会「特定看護分野の実務研修内容の基準(認定看護師B課程教育機関)(3P)」
・脳卒中患者の看護を5例以上担当した実績を有すること
・現在、脳卒中患者の多い施設等で勤務していることが望ましい
脳卒中看護認定看護師の資格取得を目指す方は、まず臨床経験や看護実績の条件を満たしているか、教育機関を受験する前に確認しておきましょう。
2019年に認定看護師資格制度が改正され、従来のA課程は2026年度に現行教育が終了します。2021年度からは新制度として、特定行為研修も含むB課程が開始されました。B課程の「脳卒中看護」は、A課程の「脳卒中リハビリテーション看護」から分野名が変更されたものです。
2026年度まではA課程の教育も受けられますが、これから目指す方は基本的にB課程の「脳卒中看護分野」を開講している教育機関に入学することになるでしょう。
日本看護協会の「認定看護師教育基準カリキュラム(B課程:脳卒中看護)」によると、脳卒中看護認定看護師の教育カリキュラムは下記のとおりです。
<共通科目:380時間>
| 教科名 | 時間数 |
| 臨床病態生理学 | 40時間 |
| 臨床推論 | 45時間 |
| 臨床推論:医療面接 | 15時間 |
| フィジカルアセスメント:基礎・応用 | 各30時間 |
| 臨床薬理学:薬物動態・薬理作用 | 各15時間 |
| 臨床薬理学:薬物治療・管理 | 30時間 |
| 疾病・臨床病態概論 | 40時間 |
| 疾病・臨床病態概論:状況別 | 15時間 |
| 医療安全学:医療倫理・医療安全管理 | 各15時間 |
| チーム医療論(特定行為実践) | 15時間 |
| 特定行為実践 | 15時間 |
| 指導 | 15時間 |
| 相談 | 15時間 |
| 看護管理 | 15時間 |
<専門科目・認定看護分専門科目:195時間>
| 教科名 | 時間数 |
| 脳卒中看護概論 | 15時間 |
| 脳卒中の病態生理と診断および治療 | 15時間 |
| 脳卒中機能障害とその評価 | 30時間 |
| 脳卒中患者・家族の理解 | 15時間 |
| 脳卒中急性期重篤化回避の支援技術 | 45時間 |
| 早期離床と日常生活活動自立に向けた支援技術 | 45時間 |
| 生活再構築のための支援技術 | 15時間 |
| 脳卒中患者への社会的な支援技術 | 15時間 |
<専門科目・特定行為研修区分別科目:57時間>
| 教科名 | 時間数 |
| 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 22時間 |
| 精神・神経症状に係る薬剤投与関連 | 35時間 |
<演習・実習:165時間>
| 科目 | 時間数 |
| 総合演習 | 15時間 |
| 臨地実習 | 150時間 |
参照:日本看護協会「認定看護師教育基準カリキュラム(B課程:脳卒中看護)」
教科の合計時間数は797時間となっており、修了までに6ヵ月~1年程度かかるようです。カリキュラムの受講を通して、脳卒中患者さまのリハビリテーション看護や日常生活支援、自己決定支援などに関する知識・技術の習得などを目指します。
脳卒中看護認定看護師のカリキュラムが修了した後は、下記の3つの手続きを行って認定審査を受けます。
認定審査の筆記試験は、マークシート方式・四肢択一で行われ、出題内容は以下の通りです。
| 出題方式 | 出題数 | 配点 |
| 一般問題 | 20問 | 50点 |
| 状況設定問題 | 20問 | 100点 |
参照:日本看護協会「認定看護師」
受験後、認定審査の合否は「資格認定制度 審査・申請システム」で確認が可能です。合格者は認定審査料を振り込み、認定情報の確認・登録を行えば、晴れて脳卒中看護認定看護師になることができます。
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認定看護師とは?役割や分野の種類、資格取得の方法などの概要を解説!
ここでは、脳卒中看護認定看護師が担う役割について分かりやすく解説しますので、なりたいと考えている方は確認してみましょう。
脳卒中とは、脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血といった脳の血管が詰まって起こる疾患の総称です。脳の血管が損傷することで、脳の神経細胞に充分な酸素を供給できなくなります。後遺症が残りやすく、生命の危険を伴うケースも珍しくありません。脳卒中看護認定看護師は、脳卒中の病態生理やアセスメントの専門的な知識を活かして、モニタリング・ケアを実施し、重症化や後遺症の回避を目指します。
脳卒中看護認定看護師は急性期から回復期を通じてリハビリテーションを行い、機能回復を促します。脳卒中は脳にダメージを与えるため、麻痺や言語障害といったさまざまな後遺症が残りやすい疾患です。特に重症度の高い患者さまは、元通りの生活を送るのが難しくなることもあります。発症後は疾患の治療だけでなく、日常生活や社会生活に復帰できるような支援が欠かせません。
脳卒中の患者さまは、重度の麻痺や認知機能の低下、生活環境などの要因が重なり、在宅復帰へのハードルが高くなる傾向にあります。在宅復帰を視野に入れて、患者さまやご家族の意思をしっかり確認するのも、脳卒中看護認定看護師の大切な役割の一つです。
また、脳梗塞や脳出血などを発症する背景には、高血圧や肥満、糖尿病といった生活習慣病などが潜んでいることもあります。再発予防のための健康管理について患者さまやご家族へ指導を行うことも必要です。
脳卒中の治療は病院で完結するのではなく、退院後は地域全体で長期的に支援していくことになります。病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、地域のかかりつけ医など、さまざまなコメディカルの連携が必要です。患者さまやご家族の意見が支援に反映されるように、脳卒中看護認定看護師は他職種連携の橋渡し役も担います。
脳卒中看護認定看護師は専門性の高い資格なので、取得するとさまざまなメリットが期待できます。脳卒中看護認定看護師を取得するメリットは下記のとおりです。
脳卒中は早期の適切な治療によって、救命率が上がり、後遺症が残りにくくなります。そのため、病態生理に関する知識や病状を適切にアセスメントするスキルが欠かせません。脳卒中看護認定看護師は、脳卒中看護に関する専門的な知識・スキルを磨くことができます。
また、脳卒中看護認定看護師は特定行為の研修を受けるため、抗けいれん剤や抗精神病及び不安薬の臨時投与が可能です。一般看護師よりも対応できる業務の幅が広がることで、達成感にも繋がります。
業務中に対応できる業務の制限が出ることで、もどかしい気持ちになり、仕事へのモチベーションが下がってしまう看護師は少なくありません。脳卒中看護認定看護師を取得すると、より深い知識や実践的なスキルが身につき、自信を持って業務に取り組めるようになるでしょう。
また、認定看護師は他の看護職員への指導や相談を担うこともあるため、周囲から頼られる存在としてやりがいを感じられるかもしれません。
認定看護師は専門性の高い知識・スキルを所有していることから需要が高く、幅広い職場で活躍できます。日本看護協会の「認定看護師」にある「分野別所属先種別登録者数一覧」によると、2024年12月末時点での脳卒中看護認定看護師の所属先は下記のとおりです。
| 課程 | 病院 | 訪問看護ステーション | クリニック・診療所 | 介護施設 | 学校・大学 | 認定看護師教育機関 | 看護協会 |
| 脳卒中リハビリテーション看護(A課程) | 632名 | 20名 | 6名 | 6名 | 10名 | 1名 | 0名 |
| 脳卒中看護(B課程) | 81名 | 1名 | 0名 | 1名 | 0名 | 0名 | 0名 |
脳卒中看護認定看護師の所属先の多くは病院であることが分かります。しかし今後は、高齢化や医療ニーズの多様化により、訪問看護ステーションやクリニックなど活躍の場は広がるかもしれません。
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認定看護師を取得するメリットとデメリットとは?将来性も踏まえて解説!
脳卒中看護認定看護師は取得するメリットが多い資格ですが、デメリットもあるので注意が必要です。ここでは脳卒中看護認定看護師を取得する際に生じるデメリットについて解説します。
認定看護師の取得を取るまでには、臨床経験の基準年数をクリアし、カリキュラムを修了・認定審査の合格と短くない時間がかかります。また、認定看護師を目指すのにかかる費用は、受験料や学費、認定審査料などを合わせて100万円程が目安です。
e-ラーニングを導入している教育機関は多いものの、通学期間中は休職や勤務時間の調整などを行う必要があります。学費以外に生活費もかかるため、まとまった金額を用意しておく必要です。職場によっては給与支給や学費免除といった体制が整っているため、職場ごとの支援制度や奨学金も活用しましょう。
職場によっては認定看護師の職場手当が支給されますが、中には給与アップにつながらないケースも少なくありません。日本看護協会の「2022年度専門看護師・認定看護師に対する 評価・処遇に関する調査(P25)」によると、認定看護師の約8割が処遇に変化がないことが分かりました。
| 評価の内容 | 割合 |
| 基本給が上がる・昇給(給料が上がる) | 10.0% |
| 昇格する(等級が上がる) | 4.7% |
| 昇進する(職位が上がる) | 5.1% |
| 特にない | 82.7% |
参照:日本看護協会「2022年度専門看護師・認定看護師に対する 評価・処遇に関する調査(P25)」
認定看護師は患者さまやご家族、ほかの看護職員と関わる機会が多いことから、日勤帯の勤務日数が増えます。夜勤手当が減ってしまい、「思ったより給与アップが期待できなかった」と感じることもあるかもしれません。今勤めている職場で給与アップが難しい場合、好待遇な職場に転職するのも選択肢の一つです。
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この項では、脳卒中看護認定看護師以外に、脳血管疾患治療に携わる看護師におすすめの資格を紹介します。受講条件も併せてお伝えするので、取得できる資格を探している方は参考にしてみましょう。
ISLSプロバイダーとは、日本神経救急学会と日本救急医学会が合同で定めた資格です。脳卒中初期の診察を標準化し、一刻も早い治療へつなげるための手技や知識の共有を目的としています。基本的に、受講資格に臨床経験や学会への参加は問われません。脳卒中看護認定看護師よりも取得が容易で、准看護師でも取得できるのが魅力的な資格です。
回復期リハビリテーション看護師は、回復期リハビリテーション病棟協会によって認定される資格です。回復期リハビリテーションにおける質の高い看護の提供やリスクマネジメント、多職種協働・チームアプローチなどを目的としています。受講するには下記の全てを満たさなければなりません。
会場開催とWeb開催を含む全6クールの研修を受けることが必要です。回復期のリハビリテーションに関する知識・スキルを高めたいと考えている看護師におすすめの資格になります。
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ここでは、脳卒中看護認定看護師を目指す人によくある疑問をQ&A形式で紹介します。
脳卒中看護認定看護師の認定審査は、合格率が80~90%だと言われています。共通科目を含めた各認定看護分野の教育カリキュラムが出題範囲なので、難易度は比較的易しめです。もし不合格となった場合でも、次年度の認定審査を受けることが可能になっています。
A課程の認定看護師制度は、2026年度に現行教育、2029年に認定審査が終了となります。その後は、2021年から開始されたB課程の認定看護師制度が引き続き運用されます。認定看護師制度そのものが廃止されるわけではありません。今後取得を検討している方は、概要を十分に確認しましょう。
脳卒中看護認定看護師の役割は、脳梗塞や脳出血といった脳卒中の患者さまに対して、専門性を活かして、質の高い看護ケアや機能回復のためのリハビリテーションを提供することです。取得にあたって専門的な知識・スキルを磨けるほか、幅広い職場での活躍や業務へのモチベーション維持などが期待できます。
ただし、脳卒中看護認定看護師になるには、受験条件を満たしたうえで教育機関に通い、認定審査に合格しなければなりません。時間や費用がかかりますが、必ずしも給与アップにつながるとは限らないため、フォロー体制が整った職場への転職も視野に入れてみてください。
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