看護師は資格取得で給料アップできる?手当や昇給の実情を解説!

2022.12.5

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給与を上げたいとお悩みの看護師のなかには、「資格を取れば給与アップにつながるかも」と考える方もいるでしょう。しかし、看護師が資格を取得しても、大幅な給与アップにはつながらないのが実情です。
このコラムでは、なぜ資格取得が給与アップにつながらないのかを解説します。看護師がスキルアップできる資格や、資格取得以外で給与アップを目指す方法もあわせてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

看護師は資格を取れば給与アップにつながる?

看護師が資格を取っても、大幅な給与アップにつながる可能性は低いといえます。資格手当がつく可能性はありますが、相場は数千円~1万円程度のため、給与アップのためだけに資格を取るのは割に合わないといえるでしょう。

なぜ給与アップが見込めないのか

資格をとっても給与アップを見込めない理由は、資格を昇給の評価対象とする病院が少ないためです。たとえば、日本看護協会認定の資格である認定看護師と専門看護師について見てみましょう。日本看護協会の「看護職員の処遇改善に向けて~看護管理者の皆さまへ~」によると、資格取得による処遇への影響で「特にない」と答えた割合は、認定看護師が82.5%、専門看護師が86.9%でした。また、資格手当の平均月額は認定看護師が8,556円、専門看護師が11,566円となっており、大幅に給与アップしているとはいえないでしょう。

出典
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看護師の給与アップの可能性がある資格

資格取得で何万円もの給与アップを目指すことは難しいですが、スキルアップと共に資格手当を狙うことはできるでしょう。ただし、手当だけを狙って資格を取ろうとするのではなく、自分がスキルアップしたい分野を決めたうえで勉強するのが良いでしょう。

ここでは、看護師が取得することで給与アップの可能性がある資格と、資格取得にかかるおおよその費用を紹介します(通う大学やスクール、使用する教材などによって費用は変動します)。日本看護協会認定の資格、医療専門の資格、医療以外の資格の3つのカテゴリー別に解説するので、参考にしてみてください。

日本看護協会認定の資格

日本看護協会が認定する資格は資格手当だけでなく、管理職へのキャリアアップも目指せます。しかし、これらの資格取得は難易度が高く、いくつかの条件を満たす必要があるため、時間や費用がかかることを頭に入れておきましょう。職場に資格取得支援制度がある場合は利用するのもおすすめです。

1.認定看護師

認定看護師は特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を持つ看護師のことです。ほかの看護師に対して看護レベルの向上のために指導をしたり相談を受けたりする役割も果たしています。
資格取得には、看護師免許取得後の実務研修が通算5年以上で、そのうち認定看護分野で3年以上の実務研修が必要です。特定の看護分野は19分野で、教育機関において一定のカリキュラムを修了したのち、認定審査に合格すれば取得できます。資格には有効期限があり、5年ごとに更新の審査が必要なので注意しましょう。

【資格取得までにかかる費用】
約100万円

2.専門看護師

専門看護師は特定の専門看護分野において、優れた知識や技術を持つ看護師のことです。患者とその家族のサポートのほか、看護師の育成や看護研究なども役割に含まれます。

資格取得には、看護師免許取得後の実務研修が通算5年以上で、そのうち専門看護分野の実務研修が3年以上必要です。特定の看護分野は13分野で、教育機関で所定の単位取得が必要です。その後、書類審査と筆記試験(論述形式)に合格すれば取得できます。認定看護師と同様に資格の有効期限は5年間です。

【資格取得までにかかる費用】

約200万円

3.認定看護管理者

認定看護管理者は、病院や介護老人保健施設などの管理者に必要な知識を持つ看護師のことです。患者や家族、地域住民に対して看護サービスの質を向上するため、組織改革や看護師の育成などを行います。
認定看護管理者は、看護師として5年以上の実践経験があり、日本看護協会が定める教育課程を修めるか大学院で看護管理を専攻し、修士課程を修了していることが条件。その後、認定審査に合格すれば取得できる資格です。認定・専門看護師と同じく5年ごとに審査が必要なので、忘れずに更新しましょう。

【資格取得までにかかる費用】
約200万円

出典
日本看護協会「専門看護師・認定看護師・認定看護管理者
(2022年11月29日)

医療系の専門的な資格

ここでは、認定看護師や専門看護師以外の医療系の資格をご紹介します。興味のある資格があれば、まずは無料パンフレットを取り寄せたり、その資格が属する分野について調べたりしてみましょう。

1.精神科系の資格

精神科に関する専門的資格は、国家資格の「公認心理師」や「臨床心理士」、「認知症ケア専門士」などです。心理系の資格は精神科だけではなく、企業や学校のカウンセラー、児童相談所などでも活かせます。

【資格取得までにかかる費用】
公認心理師…約100~300万円(資格取得までのルートによって変動)
臨床心理士…約60~400万円(資格取得までのルートによって変動)
認知症ケア専門士…約5万円

2.救急科系の資格

救急科に関する専門的資格は、「学会認定自己血輸血看護師」「ACLS」「PALSプロバイダー」などです。これらの資格は、救命処置や感染対策に関する資格で、救命救急の現場で役立ちます。

【資格取得までにかかる費用】
学会認定自己血輸血看護師…約4万円
ACLS…約4万円
PALSプロバイダー…約4万円

3.整形外科系の資格

整形外科に関する専門的資格は、「日本運動器看護学会認定運動器看護師(JSMNC)」「骨粗しょう症マネージャー」などです。これらの資格は患者さまのADL(日常生活動作)の維持や向上、治療後のリハビリに役立てることができます。今後の高齢化社会に向けて、需要が高まる資格といえるでしょう。

【資格取得までにかかる費用】
日本運動器看護学会認定運動器看護師(JSMNC)…約20万円
骨粗しょう症マネージャー…約2万円

4.小児科系の資格

小児科に関する専門資格は、国家資格の「社会福祉士」や「臨床心理士」、「思春期保健相談士」などです。小児科の患者さまは胎児期から成人まで年齢層が幅広く、発達に応じた対応が求められます。障害や難病を抱える小児患者さまのサポートに対して、心のケアや福祉に関する知識を活かせるでしょう。

【資格取得までにかかる費用】
社会福祉士…約20~400万円(資格取得までのルートによって変動)
思春期保健相談士…約12万円

5.呼吸器系の資格

呼吸器系に関する専門資格は、「禁煙支援士」「呼吸療法認定士」などです。これらの資格は、喘息や気管支炎などの内科の仕事から、外科手術前後の重症患者の呼吸療法(吸入・酸素・呼吸理学療法・人工呼吸・機器の管理など)のケアまで、幅広く活かせます。資格を取得することで活躍できるフィールドは広がるでしょう。

【資格取得までにかかる費用】
禁煙支援士…約5,000円~3万円(コースによって変動)
呼吸療法認定士…約3万円

6.循環器系の資格

循環器系に関する専門資格は、「循環器専門ナース」「人工心臓管理技術認定士」「心臓リハビリテーション指導士」などです。これらの資格を取得することで、入院中だけでなく治療後や退院後の生活指導、QOLに考慮した患者教育ができます。高血圧や脳卒中などの代表的な生活習慣病は循環器系の疾病であり、今後も求められる役割は大きいでしょう。

【資格取得までにかかる費用】
循環器専門ナース…約20万円
人工心臓管理技術認定士…約1万円
心臓リハビリテーション指導士…約3万円

7.消化器系の資格

消化器系に関する専門資格には「消化器内視鏡技師」があります。この資格があれば、医師の監督指導のもとで、内視鏡を用いた消化器内視鏡業務に従事できます。消化器系の現場で働くのであれば必須ともいえる資格です。
あわせて取得しておくと役立つ資格として「栄養サポートチーム専門療法士(NST専門療法士)」や「日本口腔ケア学会認定資格」などがあります。消化器系の病気を持つ患者への診療補助や術後の看護などに専門知識を活かせるでしょう。

【資格取得までにかかる費用】
消化器内視鏡技師…約5万円
栄養サポートチーム専門療法士…約4~7万円(参加する学会・研修によって変動)
日本口腔ケア学会認定資格…約1~2万円

8.血液系の資格

血液系に関する専門資格は「自己血輸血看護師制度」「臨床輸血看護師」などです。輸血は副作用や合併症を伴いやすく、輸血治療には深い知識と的確な判断力が要求されます。血液系の専門知識や資格があれば、医師、臨床検査技師、看護師の三者の連携がとれ、安全性が高まるでしょう。

【資格取得までにかかる費用】
自己血輸血看護師制度…約4万円
臨床輸血看護師…約35000円

9.不妊治療系の資格

不妊治療系に関する専門資格は「不妊カウンセラー」「体外受精コーディネーター」などがあります。高齢出産や不妊治療の専門クリニックが増えている社会背景から、不妊に悩む夫婦・パートナーをサポートできる専門知識を持った看護師のニーズは、年々高まっているのです。

【資格取得までにかかる費用】
不妊カウンセラー…約5万円
体外受精コーディネーター…約5万円

10.介護福祉系の資格

介護に関する専門資格は、「ケアマネージャー(介護専門支援員)」「介護福祉士」などです。「ケアマネジャー(介護専門支援員)」はケアプランの作成やサービス事業者との調整など、ケアマネジメント全般を担う役割を果たしています。介護福祉系の資格では取得難易度が高いといわれていますが、看護師資格と実務経験が5年以上あれば受験可能です。今後の高齢化社会に伴い、ますますニーズが高まる資格といえます。

【資格取得までにかかる費用】
ケアマネージャー…約7万円~20万円(独学かスクールに通うかで変動)
介護福祉士…約10~150万円(資格取得までのルートによって変動)

11.QOL系の資格

看護師が取得すると有効なQOL関連の資格は、「健康予防管理専門士」「笑い療法士」などです。「健康予防管理専門士」は、健康の保持と増進のための具体的な方法や専門知識を持ち、患者さまやご家族へ指導やカウンセリングを行います。また、「笑い療法士」は、笑いによって患者さまの自己治癒力を高めたり、病気を未然に防いだりできる環境作りをサポートするのが役割です。

QOL(クオリティ・オブ・ライフ)は「生活の質」を意味します。近年、医療現場では患者のQOLの維持・向上が重視されているため、その専門知識を持つことでほかの人材との差別化や給料アップが期待できるでしょう。

【資格取得までにかかる費用】
健康予防管理専門士…約2万円
笑い療法士…約4万円

医療系以外の資格

ここでは医療系以外の資格の中から、医療の分野でニーズが高まることが予想されるものを紹介します。医療機関での資格手当には直接結びつかない資格もありますが、看護師としてより活躍の場が広がり、ほかの職種に転職する場合にも役立つでしょう。

1.手話通訳士

手話通訳士は、聴覚障がいのある患者さまとの円滑なコミュニケーションのために通訳を行います。手話通訳士の資格取得のためには、学科と実技試験の合格が条件です。取得後に手話通訳者派遣センターに登録すれば、依頼を受けて通訳業務を行うこともできます。

【資格取得までにかかる費用】
手話通訳士…約2~20万円(独学かスクールに通うかで変動)

2.英会話の資格

TOEICをはじめとする英会話の資格は、日本語を話せない患者さまと円滑なコミュニケーションを取るために役立つ資格です。日本に居住する外国人が増加している近年、重宝される機会も多いでしょう。また、国際看護師を目指す場合、一定のTOEICのスコアが必要です。日本以外の国で働くことで、待遇や給料アップが見込める可能性があります。看護師以外の職種への転職を考える場合も、英語力は強力な武器になるでしょう。

【資格取得までにかかる費用】
TOEIC…7,810円

3.パソコンやIT関係の資格

医療業界でもIT化の進行が予想されます。そのため、基本的なパソコンスキルは身につけておくと安心でしょう。一般企業と比べると、看護師のITスキルの必要性は低いといえます。しかし、管理職になればExcelやWord、PowerPointなどを使用して資料を作る機会が増える可能性があるため、まずはパソコンに慣れておき、可能なら「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」や「日商PC検定」といった資格に挑戦してみるのがおすすめです。

【資格取得までにかかる費用】
マイクロソフトオフィススペシャリスト…約1万円
日商PC検定…約5,000円~1万円

4.アロマテラピーの資格

看護師のアロマテラピー専門資格に「日本アロマセラピー学会認定臨床看護師」があります。日本アロマセラピー学会が主催している認定資格です。近年、緩和ケアにアロマテラピーを取り入れる医療機関が増えてきていることもあり、今後のニーズアップに備えて注目の資格といえます。

【資格取得までにかかる費用】
日本アロマセラピー学会認定臨床看護師…95,000円

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看護師が給料アップのために資格を取る際の注意点

ここでは、看護師が給料アップに向けて資格を取る際の注意点を紹介します。資格を取る前にしっかりとしたキャリアプランを立て、手当の確認を忘れずに行いましょう。

キャリアプランをしっかり立ててから資格を取る

看護師の方は、資格を取る前にしっかりとしたキャリアプランを立てましょう。資格の取得には多くの時間と費用がかかり、働きながら勉強時間を確保するのは難しい場合もあります。自身の働き方や職場によって必要な資格も異なるため、今後のプランや目標明確にしてから資格を取るようにしましょう。

職場に資格手当があるか確認する

看護師の方が資格を取っても、確実に給与アップにつながるわけではありません。まずは、職場に資格手当があるか、ある場合はいくら支給されるのかを確認しましょう。せっかく時間と費用をかけて資格を取っても、資格手当制度が整っていなければ給与アップは望めなくなってしまいます。十分な資格手当がないのであれば、手当のある病院への転職を検討するのも一つの手です。

資格取得以外に看護師が給料アップする3つの方法

ここでは、資格取得以外に考えられる看護師の給与アップの方法を3つ紹介します。自分ができそうなものから取り組んでみましょう。

1.夜勤回数を増やす

夜勤の回数を増やすのは、看護師の給料アップの方法として一番身近な方法です。夜勤専従のバイトを行うのも良いでしょう。ただし、医療機関によって夜勤手当の金額には差があります。夜勤手当が相場よりも少ない職場で勤務回数を増やしてしまうと、体力的につらいだけでなく長続きしません。夜勤の回数を増やす前には、まず手当金額を確認しておきましょう。

2.昇進・昇格を目指す

昇進や昇格をすれば役職手当がつき、給与アップが見込めます。一般的に、管理職になるには一定の経験や能力が必要です。また、管理職になれば現場とは違う苦労も発生するでしょう。それでも長く看護師を続けたい、スタッフをまとめる立場から医療現場に貢献したいと考えている方であれば、昇進・昇格を目指す価値はあるといえます。

3.転職する

「何年も働いているのに昇給しない」「資格を活かして働いているのに給料アップにつながらない」といった場合は、思い切って転職をしてみるのも一つの手です。看護師の給与体系は病院ごとに差があります。一般的に、運営母体が大きくなるほど給料水準は高くなる傾向にあるため、より規模の大きい病院への転職を検討してみましょう。転職に不安を感じているのであれば、看護師専門のエージェントを利用する方法もあります。給与を含め、転職者の希望に合った職場を紹介してもらえるはずです。

まとめ

看護師が資格の取得で、大幅な給与アップを狙うのは難しいのが実情です。ただし、資格手当がついたりスキルアップできたりと、看護師としてプラスに働く可能性はあります。給与アップを狙うだけであれば、夜勤を増やす、転職するといった選択肢もあるので、ぜひ検討してみてください。

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