
消化器外科の看護師について詳しく知りたい方はいるでしょう。消化器外科は、食道や胃腸、肝臓といった幅広い器官を扱う科で、看護師は健康観察やストーマ管理などを行います。この記事では消化器外科で働く看護師の役割・仕事内容や1日のスケジュール例を解説。やりがいやキャリアアップしたい方向けの資格も解説していますので、ぜひご一読ください。
消化器外科は、「食道」「胃腸」「肝臓」「胆のう」「膵臓」「脾臓」「肛門」といった器官への治療を行う診療科です。悪性腫瘍や虫垂炎、膵炎のほか痔疾患、胆石症、腸閉塞などの疾患を扱っています。疾患の状態に応じて、放射線や内視鏡、超音波による治療などを行うのが特徴です。すべての消化器官の治療・ケアに関わるので、疾患そのものへのアプローチだけでなく、食事の摂取や排せつも診ます。
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ここでは、消化器外科で働く看護師の役割や仕事内容を解説します。
消化器外科で働く看護師は、バイタルサイン測定を行い、入院患者さまの健康状態の把握に努めます。排せつ状況や嘔吐・吐血の有無、食事摂取の状況などを患者さまから聞き取り、必要に応じて医師に報告するのが、看護師の役割です。自力で食事摂取や排せつが難しい場合、看護師が介助し、日常生活をスムーズに送れるように支援します。
重症感染症や大腸がんでは、ストーマを造設するケースも。看護師はストーマを適切に管理することで、スキントラブルや便の漏れを防ぎます。生活や外見が変わることへの戸惑いを感じる患者さまも。退院後の生活も見据え、患者さまの心理的ケアや、パウチの交換に関する手技やスキントラブルへの対処法なども指導します。
経管栄養は、嚥下障害や意識障害などによって、食事の経口摂取が難しい症例で適用される栄養の補給方法です。4週間以内と短期間で見込まれる場合は経鼻が選択されます。経鼻栄養チューブは、高齢者や術後せん妄の生じている患者さまでは、自己抜去につながるケースもあり、病棟看護師の管理が欠かせません。
チューブ挿入時は患者さまに嚥下を促す必要がありますが、嚥下機能に問題を抱えている方にとっては苦痛を伴います。できるだけ患者さまにとって負担の少ない処置となるように、スムーズに挿入するスキルが必要です。
消化器外科は、腹腔鏡手術や開腹・開胸手術で疾患の治癒を目指す診療科目です。術前準備や手術室とのスムーズな連携、術後の経過観察など、周術期の患者さまのケアに取り組みます。特に、術後は感染予防や早期回復のために、ドレーンチューブで排液を促しているケースがほとんどです。排液の色調や臭い、量などを観察し、異常の早期発見に努める必要があります。
消化器外科の看護師は長期的な支援を視野に入れて、退院後の生活についても指導します。消化器官の疾患の外科治療後は、食事の内容や摂り方に気を配らなければならない症例が多いためです。胃を切除すると、これまでどおりに食事を摂取するのが難しく、胃や腸に負担をかけないように消化に優しい食品を少量ずつゆっくり摂取する必要があります。
急いで食事を摂ると、腸の急激な働きによる体調不良を引き起こす「ダンピング症候群」のリスクが高まるので、適切な食事摂取が重要です。肝臓の疾患を患っている場合、肝機能が正常になるまで飲酒を控えなければなりません。生活背景や患者さまの理解度も確認しつつ、指導します。
検査値の読み取りも消化器外科で働く看護師の仕事内容です。消化器外科では、さまざまな手法で検査を行います。血液検査で炎症や感染がないかや、胃カメラで出血やがんが見られないかを調べます。検査前の便のデータを医師に伝えることも。異常があったり、数値に大きな変化があったりした場合に的確に報告するため、検査値を読み取るスキルは欠かせません。消化器外科の看護技術については「消化器科のQ&A一覧」を参考にしてみてください。
ここでは、消化器外科で働く看護師の働き方を解説します。消化器外科の仕事を知る参考にしてみてください。
ここでは、消化器外科病棟で働く日勤帯看護師のスケジュール例を紹介します。
| 8:30 | ・出勤後、夜勤帯の職員から申し送りを受ける ・受け持ち患者さまの情報を収集する |
| 9:00 | ・採血や清潔援助、おむつ交換などケアを提供する |
| 9:30 | ・手術予定の患者さまを手術室まで送り届ける |
| 10:00 | ・患者さまの入院や退院に対応する |
| 10:30 | ・受け持ち患者さまの元を訪室し、バイタルサイン測定や点滴交換、ドレーンの処置などを行う |
| 11:30 | ・血糖測定やインスリン注射、経管栄養を実施する |
| 12:00 | ・患者さまの昼食を配膳する ・交代で昼休憩に入る |
| 13:00 | ・下膳時に食後薬を配る ・経管栄養を片付ける ・病棟カンファレンスに参加する |
| 14:00 | ・手術を終えた患者さまを手術室まで迎えに行く ・バイタルサインの再測定や口腔ケアなどを行う |
| 16:00 | ・看護記録を作成する |
| 16:30 | ・夜勤帯の職員に申し送りを済ませる |
| 17:00 | ・業務を全て終えたら退勤する |
消化器外科病棟では患者さまの入退院が激しく、手術の出し迎えの対応なども求められます。規模の大きい病院ほど業務量が多い傾向にあるでしょう。残業時間が多くなりやすいため、定時で退勤できない日も少なくありません。ワークライフバランスを重視したい看護師は、小規模の総合病院やクリニックでの勤務を選択するのも一つです。
消化器外科の看護師が活躍できる職場には以下があります。
最新の医療機器や設備が整っているので、移植手術に対応可能です。大学病院は、総合病院で治療が難しい疾患・合併症の患者さまも多く来院します。総合病院の場合、大学病院に比べると、重症度や緊急度が高くはありません。積極的に救急搬送を受け入れている病院では、緊急手術を要する症例にも対応しています。クリニックには比較的軽症で容態が落ち着いた患者さまが来院するのが特徴です。
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厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査/職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」によると、看護師の給与は下記のように報告されています。
| きまって支給する現金給与額 | 36万5,900円 |
| 年間賞与その他特別給与額 | 85万6,400円 |
| 年収(「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月分+「年間賞与その他特別給与額」) | 524万7,200円 |
参照「令和7年賃金構造基本統計調査/職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
消化器外科看護師はほかの診療科目に比べて業務量が多く、残業時間が増える傾向にあります。したがって平均的な給与より、消化器外科看護師の給与のほうが高くなるかもしれません。特に、規模の大きな大学病院では基本給が高いことが多いため、積極的に給与アップを目指したいのであれば、規模の大きな病院で夜勤回数をこなすと良いでしょう。
ここでは、消化器外科で働く看護師のやりがいを解説します。
消化器外科看護師として働くと、病態生理に関する基本的な知識が身につきます。ただし、消化器官は口腔から肛門までつながっており、学ばなければならない疾患の種類も膨大です。経口摂取した食事がどのように消化・排泄されていくのか、一連の流れや各臓器の働きを理解しながら、病態生理について学んでいく必要があります。
検査値のアセスメントスキルも身につきます。消化器官の中にはステージが進行していても、自覚症状がほとんど現れない臓器もあります。特に肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、黄疸や腹水、肝性脳症といった症状が出る頃には非代償性肝硬変まで進行しているケースは珍しくありません。患者さまとのコミュニケーションや健康観察から得られる情報だけでなく、検査値のデータをしっかり読み取るスキルが求められます。血液検査のデータ以外に、X線やCT画像なども読み取れるように、普段から理解を深めておくと良いでしょう。
患者さまの回復を感じやすい点は、消化器外科のやりがいの一つといえます。消化器外科には、疾患によって、「思うように食事が取れない」「自力での排せつが難しい」といった患者さまも多くいます。術後の経過とともに食事制限が段階的に緩和されたり、自力で排せつできるようになったりする姿を見ると、ケアの成果を実感できるはずです。
ここでは、消化器外科の仕事に向いている人の特徴を解説します。
傾聴力があったり、チーム医療で患者さまを支える姿勢があったりする人は、消化器外科の仕事に向いているといえます。消化器外科では、患者さまから必要な情報を自然に聞き取れる傾聴力が必要です。副作用や入院生活の不安を抱える方を、他職種と連携して支えるには、コミュニケーション能力も求められます。
消化器外科に向いているのは、消化器に関する幅広い知識・スキルを身につけたい看護師です。消化器外科は、扱う器官の幅が広く、食事や排せつ、ストーマなど、生活に直結する悩みに寄り添います。放射線や内視鏡、超音波など治療法も多岐にわたるので、看護の知識やスキルも広がるはずです。
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ここでは、キャリアアップしたい消化器外科看護師におすすめの資格を解説します。
口腔ケアアンバサダーとは、日本口腔ケア学会が認定する制度です。受験資格は、口腔ケアや口から始まる全身の健康に興味・関心がある全ての人が対象となるため、国籍や年齢などの制限が設けられていません。6,000円の受験料がかかります。口腔ケア学会認定資格試験もあり、ステップアップを目指せるのが特徴です。
NST専門療法士は、「静脈栄養・経管栄養などに関して優れた知識・技能を有している者」として日本栄養治療学会に認定される資格です。資格条件は下記の全てを満たす必要があります。
消化器外科の患者さまは、食欲不振や吐き気などの症状が妨げとなり、食事への意欲が失われてしまいがちです。消化器外科看護師は治療の一環として栄養管理を行うだけでなく、患者さまが食べることのへの楽しさや喜びを取り戻せるような関わりが求められます。患者さまの栄養管理に注力したい看護師におすすめの資格です。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士は、「医師、歯科医師あるいはそれに準ずるものによる摂食嚥下リハビリテーション計画を理解したうえで、摂食嚥下訓練を実施し、経過・結果の報告する能力や同リスク回避に必要な知識・技能を有する者」と定められています。日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「2026年度日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士試験の実施について」によると、受験資格は下記のとおりです。
日本看護協会の摂食嚥下障害看護認定看護師との大きな違いは、通学せずにeラーニングで取得を目指せる点です。消化器疾患によって摂食嚥下に困難が生じている患者さまをケアしたい方は、取得を検討してみましょう。
皮膚・排泄ケア認定看護師は、通称WOCと呼ばれる資格です。WOCはそれぞれ創傷、ストーマ、失禁を表す英単語を指しています。褥瘡予防やスキンケア、ストーマ造設者の装具選択、尿・便失禁に伴う、かぶれといった皮膚トラブルの予防や改善などを行います。消化器分野の患者さまのQOL向上に貢献できる資格です。
ここでは、消化器外科看護師についてよくある質問を紹介します。
まずは解剖生理学の基礎を学び、消化器官の構造や機能について理解したうえで、代表的な疾患の学習を進めましょう。参考書や本、ガイドライン、病棟のマニュアルを中心に学習すれば、病棟看護師に必要な知識・スキルを深めるのに役立ちます。受け持ち患者さまの疾患や検査データ、ケアなどは身近な症例として頭に残りやすいです。退勤後や休日など、限られた時間を有効活用して、少しずつ学習を進めることが大切です。
がんの患者さまとも接する機会があるので、不安を察知する傾聴力のある看護師は多いといえます。吐血があっても冷静に対処する必要があるので、落ち着いた性格の看護師が多いかもしれません。忙しいなかでも、素早くチューブを挿入できるのも消化器外科看護師の特徴といえます。
手術室や整形外科に転身する道があります。周術期のケアに携わる消化器外科の看護師は、手術室の看護師と連携する機会が多くあるので、経験を活かせるはずです。食事や排せつなどのADL(日常生活動作)向上を見守った経験を活かし、整形外科で活躍する選択肢もあるかもしれません。
なぜ消化器外科で働きたいのかが伝わるよう、消化器外科に特化した内容でまとめるのも一つです。「消化器ならではの病態生理に関する知識・スキルを身につけたい」「検査値のアセスメントスキルを向上させたい」といった目標を伝えたり、「食事や排せつの変化を観察しながら患者さまの回復を支えたい」といった看護観を自分の言葉で伝えてみてください。
消化器内科も消化器外科と同様に、口腔から肛門までの臓器を診察・治療する診療科目です。腹痛や吐き気・嘔吐、下痢、食欲不振などの際に内視鏡検査や超音波検査、CT検査などで確定診断を進めます。ただし、内視鏡によるポリープ切除は行うものの、消化器外科のようにメスを用いた外科的治療は行いません。一般的には胃腸科でも消化器内科と同様の検査・治療を行えることが多いですが、肝臓・胆のう・膵臓の治療には対応していないのが特徴です。
どちらのほうが大変であると一概には言えません。消化器外科は入退院が多く、急変時の対応も求められるため、多忙な診療科目です。一方、消化器内科は消化器がんや消化器症状があらわれる難病など、疾患が多岐に渡るほか、治療期間も長い傾向にあります。それぞれの診療科目の大変な面ややりがいを感じられる面を比較し、自分に合っているキャリアを選択すると良いでしょう。
消化器外科は、「食道」「胃腸」「肝臓」「胆のう」「膵臓」「脾臓」「肛門」といった器官への治療を行う診療科です。悪性腫瘍や虫垂炎、膵炎のほか痔疾患、胆石症、腸閉塞などの疾患を扱っています。疾患の状態に応じて、放射線や内視鏡、超音波による治療などを行うのが特徴です。すべての消化器官の治療・ケアに関わるので、疾患そのものへのアプローチだけでなく、食事の摂取や排せつも診ます。
消化器外科の看護師は、食道から肛門までの消化器の幅広い器官をケアします。入院患者さまの健康観察やストーマの管理・指導、経鼻栄養チューブの管理などを実施。周術期のケアや退院後の指導、検査値の読み取りなども看護師の役割です。
特にストーマの管理・指導や術前・術後のケア、生活指導などは消化器外科ならではの看護業務といえます。がん看護に取り組む場面も多いことから、医療的スキルだけでなく傾聴力も欠かせません。消化器の病態生理の知識を高めたり、チーム医療をとおして患者さまの回復を見守りたい方などは消化器外科看護師に向いているでしょう。
とはいえ、消化器外科に興味はあっても、「消化器外科の業務についていけるか不安」「必要な知識が膨大で覚えられるか心配」といった方もいるでしょう。レバウェル看護では、キャリアアドバイザーが現在のスキルに応じた最適な求人を提案します。
段階的なステップアップが可能な転職プランを考えたり、他科での経験を活かす方法を具体的に提示したりすることも可能です。履歴書の志望動機の書き方もアドバイス可能ですので、この機会にぜひご活用ください。
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